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防風林「恵方巻き ― ロスなく長く続く行事に【2022年2月1週号】」

 ▼農林水産省は、今年も恵方巻きの予約購入を呼びかけている。需要に見合った販売を促し、残り物の廃棄による食品ロスの大量発生を回避するのがねらいだ。今年は60を超える食品小売事業者が予約販売に対応するという。米の消費拡大は歓迎したいが、食べられないままの大量廃棄は見過ごせない。
 ▼恵方巻きの起源は、戦国時代や江戸時代など諸説あり定かでない。節分にその年の恵方に向かって食べる風習も大正時代に大阪の花街で始まったなど複数の説がある。ただ、大量廃棄が問題化したブームのきっかけがコンビニの宣伝競争にあったことは確かだ。
 ▼最初は関西地域の限定販売だったが、1990年代に全国展開され、「縁起がよい」と多くの消費者が歓迎した。その結果、販売競争が激化し、節分を過ぎた直後に作り置きしていた恵方巻きの大量廃棄を招いた。
 ▼日本では、スイーツなど食品ブームの消長が激しい。つい数年前は、タピオカドリンクを提供する飲食店が続々開店し、軒を連ねた。昨今は飲みたくても提供する飲食店がどこにあるかさえ分からない。
 ▼コンビニの販売戦略がきっかけとは言え、恵方巻きは縁起を担いで続けている人も多いだろう。今年の恵方は北北西という。コロナ禍の収束なども願いながら食べてみるのもよいだろう。米の消費拡大に向け、適度に太く、長く続くブームを望みたい。