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良質ブドウ生産に先進技術活用【5月3週号 富山県】

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 【富山支局】「畑の病害地点をドローン(小型無人機)で見つけ、パソコン上へ情報を送信することで作業効率を上げています」と話すのは、南砺市立野原のトレボー株式会社代表取締役・中山安治〈なかやま・やすはる〉さん(71)。同社は2017年に設立、6次産業化を推進する農林水産省認定の企業だ。設立の翌年、立野原地区に12ヘクタールの土地を確保し、19年にワイン醸造用のブドウの苗木1万本を定植。現在は17ヘクタールで4万1千本を栽培する。中山さんは酒店を45年間営んできたが、「残りの人生を、過疎化が進む立野原丘陵地帯にワインで貢献したい」と、ワイナリー設立を決意した。ワイナリーでは、欧州系で赤ワイン用の黒ブドウ7品種、白ワイン用の白ブドウ6品種を栽培する。「美しくバランスの良いワイン造りのため、ブドウの木1本からの醸造を750ミリリットルのワイン3本までに抑えています」と中山さん。ワイナリー「Domaine Beau(ドメーヌ・ボー)」を開業した20年度の醸造本数は1万6千本だったが、21年度は2万7500本を達成、24年度には5万本を目標としている。無補糖・無補酸のワインを目指して、白ワインの相対的な糖度を上げるため、ブドウ果汁の水分を一部凍らせて取り除くなど、品質向上を図るための冷凍技術を導入した。通信システム「ぶどうファーモ」は、五つの地点の土壌水分、地中のpH、炭酸ガス濃度などの情報を、遠隔から瞬時に収集でき、良質なブドウ作りに生かされている。中山さんは「繊細で奥行きがあり、バランスが良く、余韻が長く残るようなワインは、ブドウに夢を語りかけ、愛情を持って育ててやれば必ず造れると信じている」と話す。

〈写真:ブドウ畑の前で中山さん。「今後は農作業の省力化に向け、AI(人工知能)を使った鳥獣害対策などを取り入れたい」と話す〉