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農用馬150頭生産 馬事文化を先導【5月3週号 岩手県】

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 【岩手支局】1974年に農用馬の生産を始めた滝沢市鵜飼の大坪昇さん(84)は、2020年に累計生産頭数が150頭に到達した。獣医学系大学の臨床実習に協力するなど、県内の馬事文化の発展に尽力し、21年には「馬事文化賞」に選出。今後は累計200頭の生産を目指す。建築関係の仕事をしていた大坪さんは、趣味として馬の飼育を始めた。「子どものころ、家で馬を飼っていて、自分でも飼ってみたいと思った」。現在はポニーを含めて約15頭を飼育する。馬にストレスを与えないように、十分に日光浴をさせ、厩舎を清潔に保つことを心掛けるという。「けがや病気が減る。馬が元気だと、自分も元気になる」と笑顔を見せる。農用馬の勤労に感謝し神社に参拝する「チャグチャグ馬コ」に多くの馬を参加させ、今年で40回目。大坪さんは「馬も人も健康だからできたこと」と話す。30年ほど前から、岩手大学の臨床実習に協力している。農用馬は、温和な性格で、去勢や発情検査がしやすいという。「実習に参加した学生が、獣医師として活躍している姿を見るとうれしい」。長年にわたる県内の馬事文化発展への貢献が評価され、21年に「IWATE KEIBA AWARDS」の「馬事文化賞」に選出された。「飼育に苦労することもあったが、楽しみながらできた結果だ」と話す。近年、農用馬は生産者の高齢化や後継者不足で生産頭数が減少している。「牛は生乳や食肉で多く利用されるが、農用馬は農業機械の普及などで利用機会が少ない」と大坪さん。「目標は200頭。100歳になるまで頑張りたい」と力強く話す。

〈写真:「馬の成長を楽しみながら飼育している」と大坪さん〉