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防風林「知的財産の活用が輸出を支える【2022年5月4週号】」

 ▼中国に流出したブドウ「シャインマスカット」について、許諾契約料を試算すると年間100億円以上になると農林水産省が示した。栽培面積は2020年で5万3千ヘクタールであり、さらに拡大傾向にあるという。19年で1840ヘクタールの日本とは29倍の差がある。
 ▼政府は、農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略を改訂し、新たな事項として知的財産対策の強化を盛り込んだ。具体的には、育成者権者に代わって専門家が知的財産権の管理・保護を行う「育成者権管理機関」の設立を検討。改正種苗法で措置された海外持ち出し制限の実効性を確保する方針だ。
 ▼フランスには、種苗企業の出資で設立した管理機関があり、国内外の4400品種を管理。年間98億~126億円の使用料収入があるそうだ。試算に過ぎないとはいえ、シャインマスカットの価値の大きさに驚く。
 ▼日本の農産物の強みは優れた品質にある。輸出先市場での競争力確保に品種の権利保護は不可欠だ。違法な流出を許しては育成者の労苦に報いることもできない。