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防風林「伝統工芸を次代につなぐ【2022年7月1週号】」

 ▼地域の歴史や文化の中で生まれ、長く受け継がれてきた伝統工芸品が各地に存在する。地域の魅力を発信し、観光資源などとしての活用が期待される一方、需要の縮小や後継者の減少、原材料・用具の確保難など課題も多いようだ。
 ▼地域資源としての伝統工芸の活用について総務省が公表した実態調査の報告書によると、織物や染織品、和紙、陶磁器など日本の伝統工芸品の数は約1400もある。しかし、全体的なデータはないものの、経産大臣が指定する伝統的工芸品では、四半世紀ほどで生産額が7割近く減少したという。
 ▼背景には、生活様式の変化や安価な工業製品の普及がある。ただ、産地の中には新たな取り組みで活性化につなげた例もある。織物と景観・食事を組み合わせた観光ルートの設定による観光客誘致、地域おこし協力隊制度を活用した後継者育成などだ。
 ▼報告書では、修行・就業中の収入や独立の支援など後継者確保に成果を上げた事例を整理し、需要拡大と仕事として成立する経済基盤確保の重要性を強調する。伝統工芸は、地域の歴史や文化そのもの。技術を次代につなぐ工夫が必要だ。