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リキュールに反響 規格外メロンは廃棄しません【9月4週号 島根県】

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 【島根支局】「味は変わらずおいしいのに、割れたメロンは破棄していました。そんな現状に、もったいないという気持ちが募り、何かできないかと活動を始めました」と話すのは、益田市飯田町の渋谷さやかさん(41)。県内屈指のメロン産地の同市で、渋谷さんのほか真庭幸〈みゆき〉さん(40)、松本裕美〈ひろみ〉さん(42)のメロン農家3人を中心に、グループ「ほしみっつ+(プラス)」を立ち上げた。メロンの栽培面積は減少傾向で、贈答に利用する人は年配者が多いことに危機感を抱き、2018年に規格外メロンを使った商品のPR活動を開始した。当初はメロンピューレを自ら試作し、販売を検討したものの、家業の合間での作業は難しかった。このため、同市で酒造りに取り組む株式会社岡田屋本店に相談。規格外メロンを持ち込み、味やデザインを追求したメロンリキュール「あむめろ」を共同で開発した。19年に地元スーパーや道の駅で販売したところ大きな反響があったという。製造を担当した同社の大谷弘二〈こうじ〉取締役COO(最高執行責任者)は「アムスメロン本来の味に近いものを目指し、果汁を40%も使いました。ロックで飲むのがお勧めで、アムスメロンの味を存分に楽しんでいただければ」と話す。「アムスシェイク」やメロンをそのまま削った「けずりメロン」など季節限定の商品なども提携販売する。「シェイクを飲んだ方から『おいしい』と言ってもらえたのがうれしかったです」と真庭さん。加工品向けの需要は年々増え、今年は規格外のアムスメロン約317キロを出荷した。もっと欲しいという声はあるが、栽培状況や生食との兼ね合いで難しく、今後の検討課題だ。「もちろん、規格外となるメロンは少ないほうが良いです」と松本さんは苦笑する。「バウムクーヘンなどのお菓子作りやメロンフェアなど、幅広い年代へPRして、メロン栽培を継続できる環境をつくっていきたいですね」と3人は話す。

〈写真:メロンリキュールあむめろ(税込み880円)を前に、右から松本さん、真庭さん、渋谷さん〉