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防風林「分かりやすく伝えるということ【2022年10月3週号】」

 ▼「ギョエテとは俺のことかとゲーテ言い」は、外国語を日本語で表記する難しさを表した川柳だ。明治初期の小説家、斎藤緑雨の作とされる。当時、ドイツの文豪、ゲーテの表記はギーツ、グーテなどさまざまあった。多くの人が使う中でゲーテに集約された。
 ▼人の名前は説明不要でいいのだが、最近の政策に使われる英語や略語、カタカナ用語は、もっと簡単に説明できないものかと悩むものが多い。例えば「IoT」。"モノのインターネット"とかっこ書きの言葉を添えるが、具体的にイメージしにくい。詳しくは「多様な機器がインターネットを介して情報交換し、相互に制御する仕組み」となる。
 ▼急に増えてきた言葉は「DX」だ。デジタルトランスフォーメーションの略だが、直訳の「デジタル変革」では意味が伝わらない。ネットで探すと「デジタル技術を社会に浸透させ人々の生活をより良いものに向上させる変革」を指すそうだ。ただ、個別に確認しないと具体的な内容は分からない。
 ▼農林水産省の2023年度予算概算要求の重点事項にも「DXの推進」が盛り込まれた。具体的には、スマート農業の社会実装の加速化のほか、補助金申請手続きのオンライン化など行政手続きの"抜本的効率化を実現する"とした。25年までにオンライン利用率60%の目標を掲げるが、抜本的効率化の指標は、利用率向上だけでよいのか。日本語にも説明が必要だ。