ヘッドライン一覧 購読申込&お問い合わせ 農業共済新聞とは? 情報提供&ご意見・ご感想 コラム防風林

燃油暖房機取り付け型ヒートポンプ導入 資材高騰を乗り切る【3月2週号 秋田県】

230316_7.jpg

 【秋田支局】肥料や燃料などの農業資材の高騰が続き、農業経営に大きな影響を及ぼしている。鹿角市十和田岡田の農事組合法人なりた農園では、燃油費を削減するため、燃油暖房機取り付け型のヒートポンプをイチゴと菌床シイタケのハウス1棟ずつに導入した。同法人では冬の間、イチゴの直売出荷と収穫体験を実施する。日中、寒さに当たると成長が遅くなることから、ハウス内を温めなければならない。菌床シイタケも効率的な温度管理が不可欠だ。以前は重油を燃料とする温風暖房機「ハウスカオンキ」だけで温めていたが、12月と1月は一日中稼働するため、膨大な燃油費がかかるという。そこで今年1月に導入したのが、ハウスカオンキに取り付けて利用できるヒートポンプ「誰でもヒーポン」。電気を使って空気中の熱を圧縮・排出し、ハウス内の温度を上げる仕組みで、暖房費の節約につながるという。成田和由代表(45)は「近年の資材高騰対策として導入した。ハウスカオンキの上に付けるだけでよく、追加で置き場を確保する必要がない」と話す。誰でもヒーポンはハウスカオンキと共用できるのがメリット。ヒートポンプから出た熱風をハウスカオンキの送風ファンでハウス内に送る。ヒートポンプでの加温が足りない場合は、ハウスカオンキの暖房機能を稼働させて補うことが可能だ。同法人では、誰でもヒーポンとハウスカオンキの統合制御盤も導入した。ハウス内を一定の温度に調整でき、電気・燃油を余分に使うことがないという。温度は成田代表の経験と調査を基に決め、寒い時期は午前8時から10時までが18度、午後1時半までが25度、午後4時15分までが21度、翌日午前8時までが8度の4段階で設定している。成田代表は「導入して間もないが、燃油の使用量が確実に減った。電気代は以前よりかかるが、燃油費が減った分、コストは抑えられる。温度を制御することで温度設定以外の作業に時間を費やせるため、コストと労力を減らし、時間を有効活用できる」と話す。同法人では、イチゴと菌床シイタケのほか、水稲約30アール、花き約50アール、育苗ハウス6棟でブドウ「シャインマスカット」やホウレンソウを栽培。成田代表は「効果が高ければ、ほかのハウスでの導入を検討したい」と先を見据える。

〈写真:「燃油の使用量が減り、温室効果ガスの排出量が削減できる」と成田代表〉