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今週のヘッドライン: 2015年02月 3週号

農協改革などの骨格まとまるも所得向上の道見えず(1面)【2015年2月3週号】

生産現場の理解・納得なく 改革後の農協像も不透明
 政府・自民党とJA全中は9日、今国会に提出する農協改革などの関連法案の骨格について合意した。焦点となった監査制度は、単位農協に公認会計士監査を義務付け、JA全中から分離し新設する監査法人か一般の監査法人を選ぶ「選択制」を導入する。JA全中は、2019年3月末までに会員相互の調整などを担う一般社団法人に移行する。一方、准組合員の事業利用量規制は、今後5年間の利用実態調査などを踏まえ、慎重に決定するとした。政府は、単位農協の経営自由度を高め、農家所得の向上につなげると農協改革のねらいを主張する。ただ、一連の改革議論は生産現場の理解・納得なしに進められ、改革による単位農協の姿が不透明なため、混乱や農政への不信感も広がっている。

(1面)

温暖化に適応した農業へ 農水省が対策検討スタート(2面・総合)【2015年2月3週号】

リスク回避、利点活用の両面で
 農林水産省は9日、食料・農業・農村政策審議会企画部会地球環境小委員会などの合同会議を開き、「農林水産省気候変動適応計画」の検討を始めた。農林水産分野の地球温暖化に伴う気候変動の影響評価と適応方向をまとめ、夏ごろをめどに閣議決定する政府全体の適応計画に反映する。温室効果ガスの排出削減につながる環境負荷が小さく省エネ型の適応策の開発・普及を基本とし、低温被害の減少に伴う産地拡大などメリット活用や極端な気象現象による災害への対応・防災などを検討する。気候変動は農業生産に大きな影響を及ぼすと懸念され、計画的な取り組みでリスク回避を図る必要がある。

(2面・総合)

養蚕の伝統カフェでつなぐ 養蚕から糸作り・紬の手織りまで行う ―― 鹿児島県指宿市・上原照美さん(3面・暮らし)【2015年2月3週号】

150218_01.jpg 「使う人が限られる紬(つむぎ)と違い、料理なら幅広い人に養蚕を知ってもらえる」と笑顔を見せる鹿児島県指宿市東方の上原照美さん(48)。料理を通じて養蚕に興味を持つ人を増やしたいと「養蚕農家カフェ桑の実」を開店した。地域の伝統料理を取り入れた月替わりのランチ「おかいこ御膳」には、シルクパウダーや桑の実、桑の葉を使う。ランチの後に体験できる繭玉からの絹糸取りも人気だ。夫の達也さん(48)は併設する工房で、養蚕から糸作り、紬の手織りまでを一貫して手がける。桑畑に囲まれたカフェでゆったりとした時間を提供している。

(3面・暮らし)

〈写真:「料理には加工品を使わず手間を掛けるので、多くは作れません」と照美さん〉

名水で栽培/減農薬米を直販 確かな食味で店頭価格維持 ―― 栃木県塩谷町「いなほ総合農園」古沢和夫さん(8面・流通)【2015年2月3週号】

150218_02.jpgおにぎりなど付加価値の追求も
 栃木県塩谷町「いなほ総合農園」の古沢和夫さん(64)は12ヘクタールで栽培する米を全量直販する。主力は6ヘクタール栽培する「コシヒカリ」で、農薬散布などを低減した特別栽培の認証を取り、穀温を低く保つ乾燥・精米で食味の低下を防ぐ。県内の直売所17カ所のほか、首都圏の顧客約100軒に直売する。また、娘の昌子さん(39)がおにぎりやおこわに加工し、10カ所の直売所で販売している。「つけられる限りの付加価値を追求する。価格は下げず地域の農産物の価値や信頼を保ちたい」と和夫さん。店頭価格は10年以上ほとんど変えず、生産継続や規模拡大が可能な販売につなげている。

(8面・流通)

〈写真:「高品質を保つ意識を維持するため、商標登録している」と水清米を手に和夫さん(右)と昌子さん〉

良食味や端境期収穫に在来種を活用 年間80種の野菜生産 ―― 兵庫県市川町・牛尾武博さん(9面・営農技術)【2015年2月3週号】

150218_03.jpg芋類含め30種を自家採種 良品選び原種の形質保つ
 年間80種類の野菜を90アールで有機栽培し、セットにして直販する兵庫県市川町上牛尾の牛尾武博さん(66)。セット内容の充実を図り、良食味や端境期に収穫できる在来種など30種類を自家採種している。交雑しやすいアブラナ科などは、病気がなく形が良いものを選んで500メートル以上離れた採種用圃場に植え替え、寒冷紗(かんれいしゃ)で交雑と鳥の食害を防ぐ。種は、瓶などに詰めて冷蔵保存する。冬季の看板商品である「マチコネギ」は、入手した在来種の自家採種を約30年続け、原種の良い形質を保ってきた。

(9面・営農技術)

〈写真:マチコネギを収穫する武博さん〉

農林水産物・食品輸出額 前年比11.1%増の6117億円(2面・総合)【2015年2月3週号】

 農林水産省は10日、2014年の農林水産物・食品輸出額(速報値)は前年比11.1%増の6117億円と発表した。過去最高となった13年の輸出額を更新した。海外の和食ブームによる日本産食品の需要の高まりに加え、円安や輸出先国の福島第1原発事故に伴う規制の緩和などが後押しした。内訳は農産物が3570億円、林産物が211億円、水産物が2337億円だった。

(2面・総合)

太さ7、8センチの「炭谷ごぼう」―― 次世代へ残したい【香川支局・2015年2月3週号】

150218_04+05.jpg 【香川支局】長くて太い外見からは想像できない軟らかさと香りが特徴の「炭谷(すみや)ごぼう」。今では手に入りにくくなった伝統野菜だ。高松市塩江町の標高600メートルの山間地・炭谷地区で作られ、寒暖差がある気象条件と、この土地独特の軟らかい粘土質に育てられる。
 現在、傾斜地3アールで栽培を続ける唯一の生産者、藤川正雄さん(83)・スミコさん(77)夫妻は「私たちにできるのは、昔から受け継いできた栽培方法で、みんなに喜んでもらえるゴボウを作ること」と話す。
 炭谷ごぼうの栽培は、3月に畑を80センチの深さまで土を掘り起こす「底掘り」から始まる。「土はできるだけ軟らかくした方がいい品質になる」。畑は急斜面にあるため農業機械の導入は難しく、ほとんどの作業がくわなどを使った手作業だ。
 良品生産に向け、雑草は除草剤を使わず手で抜く。夏場は特に過酷な作業となる。昨年は4月に種を播き、12月中旬から下旬にかけて約千本を収穫した。
 「市販の種でも炭谷ごぼうは作れるが、この土地で育った種でないと納得のいくものはできない」と正雄さん。祖父の時代から約200年近く、毎年、自家採取で種を保存してきた。また、ゴボウは連作ができないため10アールの畑を数枚に区切り、栽培する場所を毎年変更し、1年かけてじっくり栽培している。
 藤川さんは「炭谷ごぼうがなくなるのは寂しいこと。畑を引き継ぐ後継者を見つけて技術を伝えつつ、体の丈夫なうちは栽培を守っていきたい」と話す。


〈写真上:炭谷ごぼうの圃場で藤川さん夫妻〉
〈写真下:普通のゴボウは太さ2〜3センチ(右)だが、炭谷ごぼうは7〜8センチもある〉

夏ダイコン ―― 端境期に有利販売【山形支局・2015年2月3週号】

150218_06.jpg 【山形支局】食味の良さから「六沢(ろくさわ)だいこん」としてブランドを定着させている西塚則夫さん(62)。尾花沢市六沢地区を中心に20ヘクタールの畑で、15人の従業員とダイコン作りに励む。
 ダイコンは冷涼な気候を好み、一般的に春や秋に栽培されることが多いが、やませが吹き込み、尾花沢の市街地よりもさらに平均気温が低いという、六沢の気候を生かした夏の栽培を取り入れることで、長期間の出荷を実現。市場で品薄となる9月は高値での取引が見込めるため、夏ダイコンは経営的にも大きな強みとなっている。
 「高品質のダイコン作りに欠かせないのが『土作り』」と話す西塚さん。播種の前にエンバクをすき込み、元肥として完熟堆肥や鶏ふんなどの有機肥料を施用。他にも独自の有機質資材を投入し、軟らかい土が出来上がる。その結果、根張りが良くなり食味も向上するという。
 過去には、虫害や価格の低迷などで、経営的に苦しい時期もあった。それでも「おいしかったと言われればまた作りたくなる。百姓の性(さが)というものでしょうか」と西塚さんは笑う。


〈写真:ダイコンを収穫する西塚さん〉

自家産牛乳でチーズ ―― ミルクの状態 見極めて【滋賀支局・2015年2月3週号】

150218_07.jpg 【滋賀支局】竜王町にある有限会社古株(こかぶ)牧場(肉牛360頭、乳牛40頭)の直営スイーツショップ湖華舞(こかぶ)で、古株つや子さん(31)が手掛けるチーズが注目されている。
 酵素を使う一般的なチーズと異なり、乳酸菌で固めて発酵させる「酸凝固」タイプで、熟成度合いで風味が変化する。現在、自家産の生乳を使って6種類のチーズを販売するが、原点となったのが2度のフランス研修だ。最初の渡仏で酸凝固タイプのチーズに魅せられ、帰国後に試作するが、菌の特性や熟成の難しさに直面。技術向上のためフランスを再訪、半年間修業した。
 「測度計に頼るのではなく、時間や季節ごとに変化するミルクの状態や特性を、自分の目や感覚で見極めて発酵させる大切さを知りました」と古株さん。生乳との向き合い方が変わったことで、より安定感のあるチーズができるようになった。
 「消費者に、チーズをもっと気軽に楽しんでもらえるようPRしたい」と意欲的だ。


〈写真:つやこフロマージュ(左)と、地酒「松の司(つかさ)」を使ったチーズを手に古株さん〉

落ちないりんごジュース ―― 合格願う気持ち込めて【秋田支局・2015年2月3週号】

150218_08.jpg 【秋田支局】秋田市雄和の農事組合法人「種沢果樹組合」(伊藤敬一組合長・77歳、組合員67人)は、11月に収穫したリンゴを雪の中で保存する「雪中りんご」に取り組んでいる。
 リンゴを詰めたコンテナは、事務所の軒下に設置することで、屋根から落ちる雪が自然と積もる仕組み。人の手で雪をかぶせる作業を省力する工夫を凝らしている。
 リンゴは3月下旬ごろに取り出し、同組合の事務所内で販売。毎年遠方から買い求める人がいるほどだ。
 この他、同組合では「落ちないりんごジュース」も手掛けている。園地の一部をあえて取り残し、1月まで木から落ちなかったリンゴをジュースに加工している。
 主に受験生から「雨風に負けず耐え抜いたリンゴにあやかり忍耐強く勉強を頑張りたい」とニーズが高い。伊藤組合長は「このジュースを飲んで、合格を目指してほしい」と願いを込める。


〈写真:ジュースを手に伊藤組合長〉

復興へ農家茶屋 ―― 地域のつながり守る一助に【福島支局・2015年2月3週号】

150218_09.jpg 【福島支局】「被災したこの地の一日も早い復興を。そしてその一助になりたい」――伊達市霊山町小国地区で古民家を利用した茶屋を営む樋口高志さん(42)は、もちやおこわを中心に東北各地の郷土料理で観光客や地元住民をもてなす。
 樋口さんは会津地方の出身。関東圏で働いていたが、農業を営みながら飲食店を開く夢を抱いてJターンした。小国地区で古民家を自力で改装しながら準備していたとき、地震が発生、東京電力福島第1原発の事故が起きた。
 小国地区は特定避難勧奨地点に指定され、避難指示や賠償金が家ごとに違い、農業再開も進まない状況だ。「住民は精神的に大きな打撃を受けていました。住民同士のつながりを持ち続けるため、自分が新しいことをこの地で起こすことに意味があると考えています」と樋口さんは話す。
 国などの支援を受け、農家茶屋「風知草(ふうちそう)」を昨年8月に開店。お披露目会に地元住民を招いたところ、約30人が参加し、今後の励みになったという。
 献立は、会津地方の「こづゆ」、山形県庄内地方の「弁慶飯」など郷土料理だ。もちやおこわはパック詰めでJAの直売所で販売する。「もっと東北各地の料理を取り入れたい」と樋口さんは意欲的だ。


〈写真:メニューを手に樋口さん〉

エミューを飼育 ―― 6次化を夢見て【新潟支局・2015年2月3週号】

150218_10.jpg 【栃木支局】栃木市都賀町深沢の氏家幸一さん(61)は、「コシヒカリ」などを栽培(270アール)する他、農閑期の収入源になればと、オーストラリア原産のエミューの飼育を2012年から始め、現在は9羽を世話している。
 飼育は、北海道の牧場から、ひなを4羽譲ってもらい始めた。餌は、くず米やくず麦、米ぬかなどを配合したものを与える。1年に20個ほど卵を産み、約50日でかえるという。
 氏家さんは「今後は、卵をかえし、エミューの数を増やしたいです。と殺や加工施設を作り、肉や革などの販売を進め、将来的には、エミューを飼育する農業生産法人を立ち上げ、地域に利益を還元していきたい」と抱負を話す。


〈写真:エミューと氏家さん〉

「柚子べし」開発 ―― 加工用ユズに付加価値【高知支局・2015年2月3週号】

150218_11.jpg 【高知支局】三原村の三原村農業公社では、表面が傷つくなどした加工用ユズを利用して新たに商品を開発している。
 同公社は、奈良県や和歌山県などで作られてきた柚餅子(ゆべし)に注目。柚餅子とは果肉をくりぬいたユズにみそやクルミなどを詰めて蒸し、寒風で数カ月乾燥させたもの。
 同村産の柚餅子は餅ではなく本来の意味の「柚子(ゆう)べし」と名付けて中身は地元の米みそ、宗田節などを詰めている。
 同公社の渡邉敬一営業統括本部長は「現在1500個ほど乾燥中です。県内の蔵元と協力して地酒とのセット販売なども考えています」と話す。


〈写真:乾燥中の柚子べしと渡邉営業統括本部長〉

防風林「清酒の輸出に拡大の余地あり【2015年2月3週号】」

 ▼2014年の農林水産物・食品の輸出額は、前年比で11.1%増え、初めて6千億円台に到達した。農林水産省は、為替の円安に加え、和食ブームで日本産食品の実需が高まったと分析する。
 ▼緑茶、みそ、しょうゆなどの輸出額が伸びており、特に清酒は9.3%増の115億円と好調だ。米国がトップで香港、韓国と続く。米の輸出では、他国産米と比べ2〜5倍の価格差が課題とされる。しかし、清酒は現地産比で5〜10倍の価格差も許容範囲だという。
 ▼酒造会社の清酒出荷量は長期にわたり減少し、この15年ほどで半減した。清酒を敬遠する若者も多いそうだ。ただ、最近は吟醸酒や純米酒などの需要が高まり、10年度以降は横ばいで推移する。
 ▼政府が水田活用の柱に据える飼料用米は、財務省の審議会に財政負担の問題を指摘された。清酒なら、愛飲者を増やすほど財政負担なく拡大できる利点がある。何しろ、フランスのワイン輸出額は7700億円、英国のスコッチは5千億円だ。清酒が食い込む余地は十分にある。
 ▼海外に清酒のおいしさが浸透すれば、持続的な水田活用を支える力にもなるだろう。

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