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今週のヘッドライン: 2015年03月 1週号

〈震災・原発事故から4年 歩み 確かに〉牛飼い あきらめない ―― 福島県・沼野裕一郎さん(1面)【2015年3月1週号】

150304_01+02.jpg 「いい牛を育てても価格で評価されず、憤りを感じている」と黒毛和牛200頭を肥育する福島県棚倉町岡田鍋沢の沼野裕一郎さん(34)は訴える。福島第1原発事故からまもなく4年になるが、福島県産の黒毛和牛は、東京食肉市場での枝肉平均価格が全国平均と比べてキロ200円程度安い推移から脱却できないままだ。全ての県産牛肉は放射性物質検査を実施して基準値を超える例はなくなっている。それでもなお、取り扱いを避けるスーパーや飲食店があり、風評被害との闘いは続いている。県は、生産者と消費者の交流イベントなどを開催し、福島牛をはじめとする農畜産物のおいしさと安全性をPRするものの、福島ブランドの再興に向けた道のりは遠い。

(1面)

〈写真上:「牛飼いにはロマンがある。正しく価格で評価され、昔みたいに楽しく牛飼いをしたい」と話す博さん(右)と裕一郎さん〉
〈写真下:飼養管理を父に任せ、裕一郎さんは東京都内で消費者に安全性をPRする〉

春の農作業安全確認運動始まる 死亡事故ゼロの実現へ(2面・総合)【2015年3月1週号】

 農作業に伴う死亡事故防止に向け、3月1日から春の農作業安全確認運動が始まった。農林水産省は5月末までの3カ月間を重点期間として、安全対策の実施を呼びかける。2012年度の農作業死亡事故件数は、350件で3年連続で減少したものの、農業就業人口に占める割合は増加傾向にある。死亡事故の7割は農業機械作業中に起き、8割は65歳以上が占める状況も改善されていない。今春の運動では、科学的な知見に基づく新たな安全対策の検討に着手するとともに、新たに女性の視点などを取り入れた事故予防グッズの利用などを推進する。農繁期を迎え、地域を挙げて農作業安全対策を確認・徹底し、死亡事故ゼロの実現につなげたい。

(2面・総合)

自家産の米・卵使用/グルテンを含まない「ブラウニー」製造 おいしい笑顔届けたい ―― 岡山県岡山市・農園菓子工房「ホトトギス」(3面・暮らし)【2015年3月1週号】

150304_03+04.jpg 岡山市北区御津で農園菓子工房「ホトトギス」を営む吉原修蔵さん(37)は、自家産の米と卵を使ったチョコレートケーキ・ブラウニーを製造・販売する。「種をまくところからお客さんに行き着くまでが一つの物語だ。全ての過程に関われるのが楽しい」と話し、水稲「アケボノ」90アールや平飼い養鶏などを手がける。田園風景の中で農的な暮らしがしたいと米国から移住した。自家産小麦を使うパン屋を始めたが、妻のサラさん(35)が麦製品を食べられない疾患と分かり、グルテンを使わない菓子製造に切り替えた。ブラウニーは、食品アレルギーなど疾患のない人にも好評で、循環型農業と菓子工房の経営がうまく回り出している。

(3面・暮らし)

〈写真上:「買うのではなく、ゼロから自分で始める面白さがある」と卵を手に修蔵さん〉
〈写真下:サラさんは「大好きなブラウニーがまた食べられてうれしい」と喜ぶ〉

産地守る まとめ役/研修会で制度や農業問題を把握 ―― 和歌山県・NOSAI和歌山中部(5面・NOSAI)【2015年3月1週号】

150304_05+06.jpg 「NOSAI制度はもしものときのお守りだ。災害や事故などが起こっても営農を続けられるよう推進することが重要だ」と和歌山県有田川町久野原の福本忍さん(69)は話す。NOSAI部長を務めて16年目になる。NOSAI和歌山中部(和歌山中部農業共済組合、池田幸世組合長)では、NOSAI部長が広報紙などの配布や事業の加入推進を行い、NOSAI制度の円滑な運営を支えている。組合では、毎年NOSAI部長研修会を開き、事業内容を説明するほか要望をふまえた講演を催して活動を後押しする。地域のまとめ役としても活躍する2人のNOSAI部長を訪ねた。

(5面・NOSAI)

〈写真上:「栽培や新品種導入の相談に訪れる人にNOSAI制度を紹介している」と福本さん(左)〉
〈写真下:剪定〈せんてい〉作業する向山さん。「NOSAI制度は、再生産に役立つ営農の支えだ」と話す〉

にぎわうトマト観光農園 味を確認して摘み取り ―― 大分県玖珠町・マルカ農園(10面・流通)【2015年3月1週号】

150304_07+08.jpg 68アールでトマトを栽培する大分県玖珠町戸畑のマルカ農園では、1〜5月に観光農園トマトファームを開いて経営の安定につなげている。代表の梶原行治さん(50)は「自分の目で選んだトマトを食べてもらえば違いが分かる。新鮮で品質の良いトマトを味わってもらう方法として観光農園は最適だ」と話す。5月の大型連休だけで県内外から約2500人が訪れ、地域の観光振興に一役買っている。

(10面・流通)

〈写真上:マイクロトマトの生育を確認する行治さん。「酸味と甘みのバランスが一番いい糖度8〜9度のトマトを安定生産したい」〉
〈写真下:青果やバラエティーに富んだ加工品が並ぶ直売所。「直売所を目当てに訪れるお客さんも多い」と恵子さん〉

獣害対策/若手4人が後押し 見える化で防護万全に ―― 長崎県雲仙市(11面・営農技術)【2015年3月1週号】

150304_09.jpg 長崎県雲仙市では、わな猟免許を持つ若手農家4人を鳥獣対策民間実施隊に任命する。力を入れるのは、設置から数年が経過した電気柵やワイヤメッシュ柵を地域住民や行政と一緒に見回る「集落環境点検」だ。課題や防護の弱点を洗い出し、白地図に書き込んで〝見える化〟した資料などをもとに座談会を開いて地域の農家と対策を話し合う。民間実施隊の金澤宏さん(27)は「わなを仕掛けてもイノシシがかからないことも多い。捕獲より侵入させない防護が大切」と話す。緩衝帯の整備や箱わなによる捕獲などの対策も組み合わせ、市の農作物被害額を大幅に減少する効果が上がっている。

(11面・営農技術)

〈写真:麦の圃場に設置したワイヤメッシュを点検する民間実施隊。左から金澤さん、笹田さん、甲斐さん、元村さん〉

林農相が再登板で会見 創造プランの推進強調(2面・総合)【2015年3月1週号】

 政治資金問題で突然辞任した西川公也農相の後任として参議院議員の林芳正氏が2月23日、農相に就任した。会見で、農林水産業の成長産業化や美しく活力ある農山漁村の実現に向け、政府の「農林水産業・地域の活力創造プラン」に基づいた施策を着実に進めていく考えを強調。最終局面とされる環太平洋連携協定(TPP)交渉については「国会決議が守られたという評価が得られるよう政府一体で交渉に当たっていきたい」と述べた。

(2面・総合)

仲間と共に「入間ごぼう」―― 産地復活に力【埼玉支局・2015年3月1週号】

150304_10+11.jpg 【埼玉支局】狭山市を含む入間郡で約40年前、盛んに栽培されていた「入間ごぼう」。産地を復活させようと、同市加佐志の奥富康雄さん(42)が150アールで入間ごぼうを栽培し、普及に取り組んでいる。
 そこで、かつてゴボウの産地だった狭山市で、産地の復活を目指し、「さやま里芋増産倶楽部(くらぶ)(会員7人)」の有志4人が「ごぼうプロジェクト」を立ち上げた。奥富さんがリーダーを務め、2013年から入間ごぼうの生産に取り組んでいる。
 奥富さんは収量は落ちるが「柔らかさ」を売りにするため、約100日栽培した若いゴボウを収穫する。「ゴボウが好きなのに食べられない」という高齢者に好評だ。また、香りが強く、収穫時期はゴボウが一般的には出回らない時季に当たり、需要が高いという。
 奥富さんは「産地としての生産振興と市場への認知度を高め、幅広い世代に受け入れられるように」と、規格外(20グラム以下)の加工にも取り組む。食品加工業者と連携し、ハーブを使用した「ごぼうのぴくるす」と原材料全て埼玉県産で作る「ごぼうのもろみ漬け」を考案し、近所の酒屋などで販売している。 
 奥富さんは今後について、「入間ごぼうはおいしい。高品質というイメージを持ってもらい、栽培技術と収量を上げて、お客さんの期待に応えられるよう生産したい」と話している。


〈写真上:ゴボウ収穫機と奥富さん〉
〈写真下:袋に詰めたゴボウ(奥)と加工品〉

農家民宿レーベン ―― 体験など通じて「命」の大切さ伝える【高知支局・2015年3月1週号】

150304_12.jpg 【高知支局】「子どもが楽しんでいる姿など、お客さんに喜んでもらえるとうれしいですね」と話すのは、大豊町佐賀山・標高800メートルの地にある「農家民宿レーベン」の渡辺智子さん(33)。18頭の牛の飼育とトマトなどの野菜(ハウス20アール)を無農薬で栽培する両親の則夫さん(65)・薫さん(58)を手伝う傍ら、民宿経営を任されている。
 渡辺さん方では「作るだけでなく、お客さんに提供し、喜んでもらいたい」と、1987年に軽食喫茶店をスタートさせ、2010年からは民宿も経営。
 宿泊の他、希望によって野菜収穫などの農業体験もできるが、レーベンでは乳搾りやチーズ作りなどの畜産関連の体験ができるのが特徴。体験者からも「牛乳の味が濃い」「チーズがおいしかった」と好評を得ている。
 食事では、可能な限り自家産の牛肉や野菜を提供していて、「農業体験と併せ、人が命あるものに生かされていることを感じてもらいたい」と智子さん。
 レーベンでは県外を中心に年間300人ほどが利用。「良かった。また、泊まりたい」との声が寄せられている。則夫さんは、「畜産、野菜栽培と共に民宿は、経営の三本柱の一つになっている」と話す。


〈写真:民宿運営と農作業に忙しい智子さん〉

白イチゴ「桃薫」の注文増加 ―― 高品質生産に意欲【新潟支局・2015年3月1週号】

150304_13.jpg 【新潟支局】昨年春から、モモの香りがする白いイチゴ「桃薫(とうくん)」をハウス栽培する上越市大潟区の風間勝さん(78)。「白雪姫」と名付け、地元のショッピングセンターや日帰り入浴施設、農産物直売所に出荷している。
 会社員だった風間さんは退職後、以前から興味のあった農業をやってみようと、果樹と施設園芸に挑戦。それまで農業経験があまり無かったため、JA職員の指導を受けながら、最初はトマト、次にメロンの栽培を行った。
 「初めは、全く手探り状態でした。やっと自分なりに栽培のノウハウを身に付けたので、7年ほど前からイチゴ栽培に取り組みました」と風間さん。「イチゴは全国的にも生産競争が激しいため、高品質な商品を提供することが大切です」と表情を引き締める。
 「最初は、白いイチゴに違和感があったのか、売れ行きはいま一つでした。でも、他の地域の白いイチゴがテレビで紹介され、今年は予約が増えていますよ」と笑顔を見せる。


〈写真:出荷する「白雪姫」を手に風間さん〉

通年でイノシシを捕獲 ―― 80歳の現役ハンター【鳥取支局・2015年3月1週号】

150304_14.jpg 【鳥取支局】「80歳になっても人のためになることができるんだと生きがいを感じています」と話すのは、倉吉市関金町で有害鳥獣の捕獲に取り組む池山弥義(みよし)さん。池山さんは一年を通して、主にイノシシを捕獲。多いときには年70頭を狩猟・捕獲するという。
 池山さんは現在、「倉吉イノシシ会」(構成員数9人)に所属し活動している。会での活動期間は、狩猟期間の11月から2月末まで。
 捕獲は、イノシシが山から山へ移動するときには、決まった3本のルートのいずれかを通るという習性を利用。痕跡からイノシシの居場所を見極める。居場所が分かれば、イノシシを追い立てる役と各ルートで待ち伏せする役に分かれてイノシシを捕獲する。
 狩猟期間以外は、地域のイノシシが出そうな場所を見回り、痕跡や動向を探りながら「くくりわな」を中心とした捕獲を行う。
 「毎日が研究です」と話す池山さん。現在使用しているわなは、これまで使ってきた中で捕獲率が最も高いが、満足せず自らわなに改良を加え捕獲率100%を目指す。
 捕獲者が少ない現状に危機感を覚えるという池山さん。「安心して農業ができるように動ける限り頑張りたい。若い方にも、一緒に地域農業を守って行ってほしい」と話す。


〈写真:追い立て前に、別の場所で待機する仲間と連絡をとりあう池山さん(右)〉

地場野菜や加工品 ―― 移動販売に多くのファン【秋田支局・2015年3月1週号】

150304_15.jpg 【秋田支局】自家産野菜や加工品を提供する、北秋田市鷹巣の「まごころ直売所」(佐藤詳子会長=63歳)は、専用車で移動販売を行っている。
 もともと、店頭販売をしていた同直売所。佐藤会長は「近くに大型量販店ができ、利用者が減ったため、思い切って移動販売に切り替えた」と経緯を話す。
 商品は季節によって変わり、夏は会員が収穫する農産物、冬は餅の加工品や洋菓子などがメーンになる。「冬期間はどうしても野菜が足りない。会員がもっと増えれば、品数も充実してくるのだけれど」と問題点を挙げる。
 個人宅を巡る火曜日の移動販売では、毎週来るのを楽しみにするファンも多く、ついつい雑談が長くなることもあるよ」と笑う。
 佐藤会長は「メンバーは、それぞれ日常の仕事をしながらの活動なので、大変なときもある。それでも仲が良いため、やりがいをもって続けているよ」と笑顔を見せる。


〈写真:移動販売で新鮮野菜や手づくりの加工食品を届ける〉

石油発動機を収集 ―― 油のにおいと音に魅力【福島支局・2015年3月1週号】

150304_16.jpg 【福島支局】昭和初期から中期にかけて、農作業機械などの動力源として使われた石油発動機を収集しているのは、伊達市の佐藤金蔵さん(83歳、水稲40アール)。同じ趣味を持つ仲間と交流し、毎年の展示運転会(発動機所有者が機械を持ち寄って稼働させる)を楽しみにしている。
 佐藤さんは、20年ほど前から知人から譲り受けるなどして発動機を集め、一時は30台を数えた時期もあったが、同一機種を譲るなどして今は9台を所有する。
 動かなかった発動機を自ら整備して動き出した瞬間が「たまらなく感動的」と目を細める佐藤さん。「石油のにおいとピストンが動く心地良い音が魅力。ピストンの動きにも愛着がある」と話している。
 知人の紹介で「県北発動機愛好会」に入会した佐藤さんは、年に数回の会合や県内外の愛好家との交流を楽しむ。今は4月の展示運転会に向けて整備に余念がないという。


〈写真:発動機と佐藤さん〉

イチジクの加工品 ―― おいしさを多くの人へ【岡山支局・2015年3月1週号】

150304_17.jpg 【岡山支局】JA岡山東の備前市いちじく部会(18人、2.25ヘクタール)は、1988年の結成以来、特産品として西洋イチジク「桝井(います)ドーフィン」を生産している。代表の楢崎延さん(74)は「生果のイチジクは日持ちしないので地産地消になりますが、加工品なら遠方の方にも味わっていただけるので、開発に力を注いでいます」と意欲的だ。
 商品化を担うJA岡山東備前加工グループ(小林侚子代表、7人)の有道美保子さん(56)は、「果実本来の味と香りを生かした商品作りを心がけています」と話す。
 イチジクはペクチンが多いため加熱すると固まりやすいが、「コンフィチュール」は理想的な滑らかさを追求し、一般的なジャムに比べ柔らかい食感に仕上げている。また、イチジク果肉のペーストに自家製味噌(みそ)を練り合わせた「味噌ディップ」は野菜や肉に合わせるだけでなく、トーストに塗っても美味という。


〈写真:イチジクの加工品〉

防風林「ウメ輪紋病 地域挙げて対策を【2015年3月1週号】」

 ▼春の訪れを告げる梅の花は、日本人が好む景観の一つだろう。観梅を楽しめる名所が各地にある。ただ最近は、関東や近畿でウメ輪紋病がじわりと広がり、万全の警戒と対策が必要になっている。
 ▼兵庫県伊丹市は、市の緑ヶ丘公園の梅林でウメ輪紋病ウイルスの感染が見つかり、9日以降に約50種400本ほどの梅をすべて伐採すると発表した。公園には見納めとなる花を楽しもうと多くの人が訪れているという。
 ▼国内では、東京都青梅市で2009年に初めて見つかった。梅の公園を中心に農家の園地が連なり、吉野梅郷と呼ばれる観光地でもあったが、感染の広がりから、昨年春には公園のすべてと周辺地域の樹を伐採してしまった。市は、再生計画を策定し、16年度からの植え直しを予定する。
 ▼ウメ輪紋病に有効な薬剤はなく、感染した樹や苗などの処分とウイルスを媒介するアブラムシの防除が対策の基本だ。葉の緑色が薄いまだらになったり、ドーナツ状の輪紋が感染を確認する目安になる。
 ▼これ以上の感染拡大を許せば、和食を代表する梅干しの生産にも影響する。地域一体で対策を励行し、病害を撲滅してほしい。

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