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今週のヘッドライン: 2015年03月 2週号

〈震災・原発事故から4年 歩み 確かに〉水田、園芸施設/複合経営進め農地を未来へ ―― 宮城県仙台市・(農)せんだいあらはま(1面)【2015年3月2週号】

150311_01+02.jpg 「仕事を安心して任せてもらえるように成長し、荒浜に活気を戻したい」と水田農業担当の酒井啓好さん(21)。施設園芸担当の鈴木若菜さん(21)と仙台市若林区荒浜の農事組合法人「せんだいあらはま」で働く。東日本大震災から4年、大津波で甚大な被害を受けた水田の基盤整備工事も進み、2015年度は約100ヘクタールを耕作する予定だ。集落コミュニティーの再生など課題も残る中で、大規模水田農業と施設園芸の複合経営による復興へ着実に歩んでいる。

(1面)

〈写真上:陳列中に買い物客と話し、ミニニンジンの魅力をPRする鈴木さん(中)と酒井さん(右)〉
〈写真下:荒浜地区では基盤整備工事が進む。「基盤整備を機に農地集積し、水田農業を省力化したい」と佐藤さん〉

農水省/多面的機能支払の実施状況を報告 増加するも地域に偏り(2面・総合)【2015年3月2週号】

 農林水産省は5日、多面的機能支払交付金第三者委員会(委員長・中嶋康博東大大学院教授)を開き、2014年度の多面的機能支払交付金の実施状況を報告した。「農地維持支払」「資源向上支払」ともに取り組み面積(1月末時点)は、前対策となる13年度の農地・水保全管理支払交付金の実績を2〜3割上回った。ただ、実施地域の偏りもみられ、委員からは現場の実態に即した推進体制の強化などを求める意見が挙がった。15年度からは、法律に基づく日本型直接支払制度に位置付け、中山間地域等直接支払などと合わせ、事務の簡素化なども図る。農地や水路などの維持管理は、持続可能な農業や農村景観を保全する基礎となる。地域の主体的な活動をしっかりと進めていく必要がある。

(2面・総合)

〈震災・原発事故から4年 歩み 確かに〉車で各地に出向き対面販売 焼き芋で絆つなぐ ―― 福島県伊達市・佐藤博章さん(3面・暮らし)【2015年3月2週号】

150311_03.jpg 「焼き芋を通じて福島県の農業の復興につながれば」と話す福島県伊達市保原町の佐藤博章さん(34)。水稲やモモなどを生産する傍ら、「IMO(イモ) JAPAN」と名乗り、イベントなど依頼に応じて特別仕様の焼き芋カーで焼き芋やジャガバターを届けている。東日本大震災の福島第1原発事故に伴う風評被害などで農産物の売り上げが落ち込んだ。そんなときに食べて応援してくれる人たちに励まされ、復興支援を訴えて焼き芋カーで日本を縦断し農業を続ける決意を固めた。縁と絆づくりの活動として取り組みを続けている。

(3面・暮らし)

〈写真:シルクスイートを使った焼き芋は甘くてトロトロしていると好評だ〉

水稲共済/自然災害に備え十分な補償水準を(5面・NOSAI)【2015年3月2週号】

 間もなく水稲の育苗時期を迎える。水稲共済への加入も作付け内容を踏まえて経営に合った加入方式で、十分な補償を選ぶようにしたい。2015年産から適用となる共済掛金標準率が見直され、全国平均では45.5%の低下となる。農家の掛金負担はおおむね軽減される見込みだ。飼料用米などの新規需要米も加入できる仕組みとなっている。水稲共済のあらましを、共子さんが済太郎君に聞いた。


 共 子 加入には、やはり掛金が気になるわ。全国的には引き下げになると聞いたけど。
 済太郎 掛金率の基となる共済掛金標準率は、直近20年間の金額被害率に基づいて算定される。一般に3年ごとに見直され、15年産からは新しい掛金率が適用される。水稲作況指数が74となった1993年が算定の基礎から抜けるため、一筆方式では共済掛金標準率は45.5%低下し、0.76%となる。地域によって異なるけど、おおむね引き下げになる見込みだ。

(5面・NOSAI)

新食品表示法が4月1日に施行 機能性表示制度を導入(14面・流通)【2015年3月2週号】

効用の明示可能に 事業者負担に懸念も
 現行の「食品衛生法」「JAS法」「健康増進法」にまたがる表示基準を統合し、加工食品に栄養成分表示を義務付けるなど新たな食品表示基準案などについて、消費者庁は2日、東京・新宿で説明会を開いた。新たな食品表示法は、食品の安全性や品質などを分かりやすくすることが目的で、4月1日に施行される。野菜や果物など農産物を含む食品の成分の健康効果を表示できる機能性表示制度も新たに導入する。消費者の健康志向が高まる中、栄養成分や機能性表示には、付加価値販売などに結び付くと期待されている。ただ、優良誤認などを招く懸念もあり、新表示制度への円滑・適正な移行には、消費者や生産現場に向けた丁寧な説明などが不可欠だ。

(14面・流通)

粗飼料自給率8割超 収益性高い経営 ―― 徳島県阿波市・片岡寛之さん(15面・営農技術)【2015年3月2週号】

150311_04.jpg 搾乳牛50頭規模で酪農を経営する徳島県阿波市吉野町柿原の片岡寛之さん(39)は、「購入飼料に負けない自給飼料を作る。餌代が抑えられ、消費者に安心も与えられる」と話す。粗飼料自給率を育成牛と乾乳牛で100%、搾乳牛で80%を実現する。チモシー乾草など購入飼料費を抑え収益増につながっている。TMR(混合飼料)は、卵巣の状態や歩き方など観察をもとに内容を調整。経産牛1頭当たりの平均年間乳量は9200キロ、乳脂肪分4.1%、無脂固形分8.8%となっている。

(15面・営農技術)

〈写真:「飼料費を抑え、質の高いWCSが作れる」「土壌改良に堆肥が手に入って助かる」と片岡さん(右)、瀬尾さん〉

獣医師が発表 畜産経営支える技術(8〜9面・家畜診療等技術全国研究集会)【2015年3月2週号】

 畜産の生産現場で診療活動に携わる獣医師が、診療技術などの研究成果を発表する第41回家畜診療等技術全国研究集会(主催・NOSAI全国)が2月26、27日の両日、東京都港区のヤクルトホールで開かれた。地区発表会を経た21題の研究発表から、「傍正中切開による子牛の尿膜管摘出手術」を報告したNOSAI兵庫阪神基幹家畜診療所の笹倉春美獣医師が農林水産大臣賞を受賞。そのほか、農林水産省経営局長賞9点(うち吉田賞1点、奨励賞2点)、全国農業共済協会長賞11点が選ばれた(審査委員長・酒井健夫日本大学名誉教授)。農林水産大臣賞など上位入賞の研究成果のほか、今後の飼養管理に参考になる主な研究を紹介する。また、「卵巣と子宮の関係を考慮した繁殖診療」をテーマにした酪農学園大学獣医学群獣医学類の片桐成二教授による講演の概要も併せて紹介する。


150311_05.jpg〈農林水産大臣賞〉「傍正中切開による子牛の尿膜管摘出手術」
兵庫県 NOSAI兵庫阪神基幹家畜診療所・笹倉春美獣医師ほか

 子牛の尿膜管摘出手術を、乳頭前方の傍正中を切開する傍正中切開で実施した。従来の正中切開では困難とされる尿膜管の正中腹壁への癒着部位を避けた切開が可能で、雄では陰茎を避けた手術が容易にできる。

(8〜9面・家畜診療等技術全国研究集会)

〈写真:笹倉春美獣医師〉

津波被災農地の復旧は70% 原発事故の風評などの課題も続く(2面・総合)【2015年3月2週号】

 農林水産省は4日、東日本大震災から4年を前に農林水産業の復旧・復興状況などを公表した。津波被災農地2万1480ヘクタールのうち、1月末時点で営農再開が可能な面積は1万5060ヘクタールで復旧率は70%となった。特に東京電力福島第1原発事故の影響が続く福島県の復旧率は30%にとどまる厳しい状況だ。

(2面・総合)

かんきつ 葉やつぼみでハーブティー、アロマオイル ―― 島が潤う仕組みに【広島支局・2015年3月2週号】

150311_06.jpg 【広島支局】「島にある資源を有効活用し、島を元気にする仕組みをつくりたい」。かんきつ栽培が盛んな大崎上島(大崎上島町)と大崎下島(呉市豊町)では、地域おこしグループ「瀬戸内ネロリウム協議会」が中心になり、かんきつの葉やつぼみで作ったハーブティーやアロマオイルなどを販売し、島の活性化に力を入れている。
 リラックス効果があるといわれる、かんきつ類の花の精油「ネロリ」。2012年4月、ネロリで島を活性化することを目的に、大崎上島・下島地区や県内の企業、農家が団結し、瀬戸内ネロリウム協議会(角南正之会長=59歳、役員4人、会員7人)を設立した。
 同協議会では、レモンの葉、「甘夏」のつぼみにほうじ茶や紅茶などを組み合わせ、3種類のオリジナルハーブティーを商品化。中でも、同地区のレモンの葉と「清見」のドライフルーツを混合させた「陽海(ひなみ)」は、香りが良く後味がすっきりしていて好評だという。
 葉やつぼみの収穫は5月の2週間ほど。地域の人に委託しながら収穫するものの、人手が少なく収穫量が限られるため、生産拡大は今後の課題だ。角南会長は「ボランティアを募ったり、高齢者に気軽に参加してもらえたりする収穫イベントを模索中です」と話す。
 一昨年からは、ネロリの癒やし効果を目玉にネロリ体験ツアーを催し、葉やつぼみの収穫体験などを実施。参加したアロマセラピストらの口コミが広まり、昨年は66人が香りなどを楽しんだ。「多くの人にネロリを知ってもらい体験してもらうことで、島が潤い発展していければ」と話す。
 地元企業の山陽商船株式会社で経営企画室長も務める角南会長は、「島の農家ともっと連携をとって、島の活性化につなげられる協議会にしていきたい」と意欲的に話す。


〈写真上:つぼみを提供している甘夏の園地を紹介する中原さん〉

耕作放棄地利用し試験栽培 ―― 薬用シャクヤクの産地へ【岡山支局・2015年3月2週号】

150311_07.jpg 【岡山支局】「売れる作物が確立できれば、耕作放棄地は減っていくはず」と話すのは、井原市野上町で枝物の桜(100アール)やユキヤナギ(20アール)などを栽培している森本潔さん(66)。
 農業委員会や耕作放棄地対策協議会などの会長を務めている森本さんは、今後の耕作放棄地対策として栽培を推奨していく作物を探していた。薬用植物の国内使用量は、そのほとんどを輸入に頼っていて、国内での生産に需要があること、切り花シャクヤクが20年ほど前から井原市内で栽培されてきたことなどから、薬用シャクヤクにたどり着いた。
 栽培のモデルケースとするため、国の補助事業を活用し、2014年度から実際に耕作放棄地を使ってシャクヤクの試験栽培(4アール)を開始した。
 試験栽培以外にも、規模拡大のため農家への呼びかけ、出荷体制を整えるための生産組合の設立など、今からすべきことは少なくないという。
 森本さんは、「地元農家からも反響がある。井原を薬用シャクヤクの産地にできるよう、まずは試験栽培を成功させたい」と決意を述べる。


〈写真:「シャクヤクは、それほど栽培に手がかからず、新たに始めるのにうってつけ」と森本さん〉

自家産リンゴでチップス ―― 消費者目線大切に【秋田支局・2015年3月2週号】

150311_08.jpg 【秋田支局】「子どもも安心して食べられるおやつを考えた」と話す、横手市平鹿町醍醐の佐藤和也さん(31)は、添加物を含まない乾燥リンゴチップス「あっぷちっぷ」を考案。横手市内の薬局などで販売している。
 栄養士の資格を持ち、都内の飲食店で働いていた経験を持つ佐藤さん。5年前にUターンし、現在、「つがる」「やたか」「ふじ」などのリンゴを中心に約1.7ヘクタールで果樹栽培に取り組む。
 「近くの道の駅に置いてあったリンゴの乾燥チップを食べてみたが、味気のなさに疑問を持った」と佐藤さん。原材料のリンゴは、自家産で甘味の強い「王林」だけを使い、食べやすさに配慮する。
 完成までには、同市内の託児所に試作品を持って訪問。利用する保護者から意見を集めるなど、試行錯誤を重ねた。「食物アレルギーがある子どもの増加など、食の安全性が強く求められている中で、幼い子を持つ親の意見は大変参考になった」と話す。
 「果樹農家として栽培技術を磨くことはもちろんだが、消費者の目線に立った販売にも力を入れたい」と意欲を見せる。


〈写真:あっぷちっぷを考案した佐藤さん〉

幻のイチゴ「明宝」を30年以上【兵庫支局・2015年3月2週号】

150311_09.jpg 【兵庫支局】「イチゴ『明宝』には強い思い入れがあります」と話す、たつの市揖保町の小河博(おがわひろし)さん(74)は、妻の治代(はるよ)さんとイチゴや野菜などを栽培している。
 小河さん夫妻は30年以上、明宝を栽培。明宝は「幻のイチゴ」といわれる品種で、栽培農家が少なく、今では育成元の県立農林水産技術総合センター研究所にも種苗がないという。
 実は甘く柔らかいが、傷みやすく日持ちが悪い。市場に出回ることはほとんどなく、摘んだその日に直売するのが主流となっている。
 「苗の作り方が難しく、今でも苦労します」と小河さん夫妻。10月に220平方メートルのハウス1棟に1500本の苗を植え付ける。収穫しやすいように高畝にする他、水が確実に行き渡るよう畝に配管を施設。12月にはハウスの被覆ビニールを二重張りにし、夜間は太いロウソクを4、5本灯(とも)すなど、凍結防止のためにいろいろと工夫し、1月中旬から5月中旬まで収穫する。
 「イチゴは二人三脚で栽培するのに最適。夫婦円満の秘訣(ひけつ)です」と治代さんは話す。


〈写真:「明宝」の手入れをする治代さん〉

自家野菜の漬物 ―― 味のばらつき解消 サイズなども工夫【山形支局・2015年3月2週号】

150311_10.jpg 【山形支局】「もともと料理や漬物作りが好きだった」と話す、小国町増岡の舟山恵子さん(62)は、7年前から自家産野菜を使って約10種類の漬物を製造・販売している。
 「恵子の漬物」と名付けて、夏はナスやキュウリ、冬はダイコンやカブなどで製造。現在、町内のショッピングセンターで販売している。
 「一番気を使うのは味」と話す舟山さん。最初は、作るたびに仕上がりの味が違い悩んだが、調味料の分量をより厳密に量り、統一した味が出せるよう努力した。
 消費者の意見を聞きながら、買いやすい価格やサイズにしている舟山さん。全商品を税込み300円にして、売れ行きを見ながら週2回、1回50個ほどを出荷。売れ残りはほとんどなく、安定した売れ行きを見せている。
 「栽培や加工の技術をさらに向上させ、消費者から『おいしい』と言ってもらえる商品を作っていきたい」と意欲を見せる。


〈写真:商品と舟山さん〉

自家産野菜を低温乾燥 ―― 甘味と風味に自信【北海道支局・2015年3月2週号】

150311_11.jpg 【北海道支局】「低温乾燥の干し野菜は、お湯で戻せば野菜本来の甘味がそのままです」と話す留萌市の女性農業者6人のグループ「萌の会」の横山優美子代表。13種類の干し野菜を商品化し、その味を消費者に伝えようとPRに努めている。
 地元の農村交流センターに減圧平衡発熱乾燥機が導入されたことを機に、乾燥野菜作りを開始。昨年、イベントに出品し、商品化にこぎ着けた。
 グループが利用する乾燥機は減圧方式で、35〜45度くらいの温度で水分が蒸発する仕組み。野菜の乾燥は20時間ほどかかるが、水分の多いトマトや野菜の収穫時期によっては乾燥時間が異なる。
 商品化したのは長ネギ、ニンジンなど13種類で、メンバーが作る野菜を用いている。「高温乾燥のものと比べ味が損なわれず、栄養素も喪失しない。素材の色も損なわれず、パッケージを開けると野菜の香りが広がる」と紹介する。
 今後、グループは商品にレシピを添えることも検討している。


〈写真:商品化した干し野菜〉

防風林「復興を成し遂げる日まで【2015年3月2週号】」

 ▼現状は依然として厳しい。東日本大震災から4年目を迎え、復興の進展状況など省庁の公表資料に目を通した実感だ。津波に被災した農地の復旧割合は70%となったものの、前年同月比で7増にとどまる。被害甚大な農地の工事が残されている。
 ▼被災地域は、全国比はもとより県全体の中でも人口減少や高齢化、産業空洞化などが顕著だという。「食べて応援しよう!」や観光誘致のキャンペーンが展開されているが、被災3県の観光客中心の宿泊者数は震災前の1割減だ。まだ回復に至ったとは言えない。
 ▼また、農地や住宅などの復旧以上に地域コミュニティーの再生や新生が課題となっている。仮設住宅では、高齢者の独居と1人で食事する孤食が増えているそうだ。車を持たない高齢者は買い物弱者となり、家に引きこもりがちになる。そんな生活が糖尿病や高血圧などの病気や認知症を増やしているとの指摘もある。
 ▼課題克服に向け、多様な取り組みが始まっている。日本栄養士会が進めるのは「ほっこり弁当プロジェクト」だ。管理栄養士が作った弁当を保育所まで受け取りに来てもらう仕掛けで、高齢者が外出する機会を作る。弁当を渡して帰すだけでは寂しいと、園児と一緒に食事をしたり、園の行事に参加してもらうなど取り組みの幅が広がっている。
 ▼早くも大震災の記憶の風化を指摘する意識調査もある。本当の復興実現は、一つ一つの困難を乗り越えた先にある。その日まで「忘れない」ことを肝に銘じよう。

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