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今週のヘッドライン: 2015年03月 3週号

補償が拡充した園芸施設共済 8割が新制度を選択 ―― 埼玉県・NOSAI埼玉北部(1面)【2015年3月3週号】

150318_01.jpg 「補償の拡充はありがたい。後継者である息子のためにもしっかり共済に入っておきたい」と埼玉県深谷市新戒の中野敏夫さん(62)は強調する。2014年2月の大雪で、キュウリを栽培する12連棟の鉄骨プラスチックハウス25アールが全壊した。資材や人手不足で再建が遅れ、2月上旬にようやく完成した20アールのハウスでキュウリ定植に向けた作業を急ぐ。NOSAI埼玉北部(埼玉北部農業共済組合、泉二良組合長)は、雪害をきっかけに補償が拡充された園芸施設共済の推進で加入農家全戸を訪問し、新たな補償での加入を呼びかけてきた。加入農家の約8割が拡充後の補償を選択している。

(1面)

〈写真:中野さん(右から2人目)と紘於さん(同1人目)に拡充された補償の説明をする強瀬課長(左から2人目)と川田職員(同1人目)〉

農地の転用権限を地方に移譲へ 適正運用の仕組み不可欠(2面・総合)【2015年3月3週号】

 自民党・農林関係合同会義は11日、農地転用許可権限を地方自治体の長に移譲することを盛り込んだ政府の「地方分権改革一括法案」の条文を了承した。今国会に提出、早期成立を目指す。転用事務手続きの迅速化や地域の実情を踏まえた土地利用などを求める地方の意向を反映した。ただ、権限移譲に伴い大型店舗や工業団地などへの転用増加を招くと心配する声は強い。農業委員の選出を公選制から市町村長の任命制に移行する農業委員会改革も控える中、食料生産基盤として維持すべき農地を将来にわたって確保する適正な運用の担保が求められる。

(2面・総合)

平均年齢70歳の農家女性16人が活躍 地域の元気が集まる市場 ―― 兵庫県赤穂市・周世ふれあい市場(3面・暮らし)【2015年3月3週号】

150318_02.jpg 近隣農家が生産した農作物を週2回直売する兵庫県赤穂市周世(すせ)の「周世ふれあい市場」は、地元食材を使った料理を提供する喫茶コーナーや弁当などを目当てに訪れる人も多い。運営するのは、平均年齢70歳の農家女性16人で活動するふれあい市場企業組合だ。古林千鶴子代表(80)は「周辺にはスーパーマーケットも喫茶店もない。ふれあい市場は、地域住民と利用客が集まって元気を分け合える場所」と話す。誰もが気軽に立ち寄れる地域の拠点として、お年寄りや家族連れなどでにぎわっている。

(3面・暮らし)

〈写真:昼食に訪れたふれあい市場OGと話に花を咲かせる古林代表(中)。「古林さんの元気な姿を見に来ている」とOGの一人は話す〉

高値で推移する14年産大豆 前年産の不作から確保意向強く(9面・流通)【2015年3月3週号】

 2014年産の国産大豆価格が高値で推移している。日本特産農産物協会が実施する入札取引では、2月の平均落札価格は前月比37円(0.3%)高の60キロ1万2706円となった。消費者の国産ニーズの高まりを受け、豆腐や納豆を製造する実需者が国産確保に向くが、現在の価格水準に国産離れを危ぶむ声も出ている。国産大豆の継続的な使用には生産と価格の安定が課題とされており、主要な産地では、生産安定技術の普及や新品種導入、契約栽培など安定供給に取り組んでいる。

(9面・流通)

水稲「短期苗」育苗法/播種量を慣行の倍に 苗箱を約4割削減 ―― 佐賀県農業試験研究センターが開発(11面・営農技術)【2015年3月3週号】

150318_03.jpg 2週間程度で機械移植可能な苗丈と稚苗並みの苗マットにする水稲の「短期苗」育苗法を、佐賀県農業試験研究センター(佐賀市川副町)が開発した。1箱当たりの播種量を280グラムと慣行の稚苗の約2倍とし、黒色不織布を二重被覆して保温性を高めて、苗丈15センチ程度に育てる。苗箱使用数は、10アール当たり12箱と慣行の6割程度に抑えられ、収量や品質には差がない。佐賀県をはじめ、九州など西南暖地の普通期栽培で利用できる。既存の施設や機械を生かして省力・低コスト化が図れる方法として、県はマニュアルを作成するなど普及を進めている。

(11面・営農技術)

〈写真:播種機の最大播種量は1箱当たり250グラム程度だが、微調整ダイヤルで1割ほど増やす。「播種量を試しに計ってから、短期苗を導入してほしい」と浅川特別研究員〉

生分解性マルチ普及へセミナー 作業性良く除去が不要 ―― 農業用生分解性資材普及会(11面・営農技術)【2015年3月3週号】

 農業用生分解性資材普及会は11日、東京都江戸川区でセミナーを開き、生分解性マルチの普及に向けた課題などを研究者らが講演した。ニンジンの生分解性マルチの導入試験で作業性の改善などメリットを確認した一方で、コスト面を課題に挙げた千葉県東葛飾農業事務所改良普及課の大﨑望将氏の発表概要を紹介する。

(11面・営農技術)

豚肉差額関税「堅持を」 TPPで日本養豚協会が要請(2面・総合)【2015年3月3週号】

 日本養豚協会(JPPA)は9日、東京都内で会見を開き、環太平洋連携協定(TPP)交渉で豚肉の差額関税制度堅持を強く求めていくと表明した。TPP交渉に伴う日米協議で豚肉関税の大幅引き下げが検討されているとの報道を受け、志澤勝会長は「もし報道の通りになれば国内養豚は壊滅する」と述べ、あらためて決意を示した。

(2面・総合)

酪農の後継者 ―― チャレンジ精神 経営に生かす【山形支局・2015年3月3週号】

150318_04.jpg 【山形支局】9年前に家業の酪農を継いだ河北町谷地の槙純一(まきじゅんいち)さん(29)は、家畜人工授精師の免許を取得し、計画的な交配や高比率での雌牛出産などでコスト削減を図っている。
 酪農家の長男ということもあって、勤めていた会社を退職し、家業を継いだのが2007年。現在は、両親と一緒に成牛26頭、育成牛17頭を飼育している。
 以前、槇さん方では人工授精を外部に依頼していたが、コスト削減のために純一さんが09年に家畜人工授精師の免許を取得。自分で授精を行い、品種や血統を考えながら交配することで、計画的に成牛を入れ替えたり、交雑種を産出し、生乳以外の副収入を得ている。
 その一つが、ホルスタインの雌雄判別精液を利用した後継牛の育成だ。
 雌雄判別精液とは、値段が通常の精液の4〜5倍と高いものの、特殊な処理を行うことでほとんどが雌の遺伝子を持ち、90%以上の確率で雌が生まれてくる精液。当初は経産牛に使用したが、受胎率は3〜4割程度と低かったことから、自家育成した未経産牛に使用することで受胎率の向上を図っている。
 また、ホルスタインの母牛に和牛の精液を授精させ交雑種(F1)を生ませることで、肉用として比較的高い子牛価格の副収入を確保している。
 「新しいことにチャレンジしてうまくいったときは、達成感よりもホッとする気持ちのほうが大きいですね」と話す純一さん。失敗がそのまま収入減につながる責任の重さを受け止めた上で、より効率的な経営のため新技術の導入に意欲を燃やす。

〈写真:「ミスが無いように確認は大切です」と話す純一さん〉

濃厚飼料の代替に焼酎粕 ―― 栄養が豊富 コスト削減も【宮崎支局・2015年3月3週号】

150318_05.jpg 【宮崎支局】JA高千穂地区管内の繁殖農家80戸からなる「高千穂酒造エコフィード利用組合」は、焼酎粕(かす)を飼料に使うことで、コストの削減に取り組んでいる。飼料高騰が懸念される中、豊富な栄養価も見込まれていて、期待が寄せられている。
 川南町の県畜産試験場での試験結果をもとに、明確な給与の基準を設定して、関係機関の指導の下で、適正な給与が行われている。給与方法は、濃厚飼料400グラムの代わりに5リットルの焼酎粕を粗飼料に加え、母牛の維持期に給与することで、飼料代を1日に1頭当たり、約25円削減できる。
 繁殖成績に問題はなく、佐土原町にある宮崎県食品開発センターで定期的に成分検査を行っていて、安定した品質の飼料が提供されている。生産者からは、毛づやが良くなる、コスト削減できたなどと好評だ。
 「焼酎粕は、濃厚飼料の代用品として栄養価も十分。コストも削減できるため、繁殖農家としては大変ありがたい」と富高組合長は期待を寄せている。


〈写真:焼酎粕を給餌する富高組合長〉

スイカ・食用ギク ―― 前向きに一歩ずつ【秋田支局・2015年3月3週号】

150318_06.jpg 【秋田支局】横手市十文字町十五野新田の齊藤ともえさん(26)は、両親と共に農業に従事し、自身はスイカ60アールと、ビニールハウス13棟で食用ギクの栽培に取り組んでいる。
 農事組合法人を経営する父・龍平さん(55)の元で勉強しながら、就農して6年目。専業農家に生まれ、親の手伝いをするうちに自然に農業へ興味を持っていった。「最近農業をする若手女性が増えてきたことで、とても刺激になる」と話し、県内で開催される研修にも積極的に参加する。
 ともえさんが特に力を入れるのは、食用ギクの栽培。年に1度、スーパーの店頭で実演販売することもある。「お客さんの反応がじかにわかるので参考になる」と意欲的だ。
 「困ったときは両親や法人の皆さんに相談している。周りに先輩方がいることは心強い」と感謝する。
「今年からは直売にも挑戦する予定で、今から楽しみ」と目を輝かす。


〈写真:カキ菜について龍平さん(左)に教わるともえさん〉

葉面散布用の小型電動噴霧器を開発 ―― 少量で大きな効果 秀品率も向上【高知支局・2015年3月3週号】

150318_07.jpg 【高知支局】散布される霧の粒径は平均30ミクロンと超極小で、空気中に浮遊しながら約40メートル先まで飛ばすことができる、小型電動噴霧器「モーターフォグ」を土佐市蓮池の株式会社土佐農機が開発した。
 噴霧器をビニールハウス内で使用する場合、積み上げたコンテナの上に載せて単独散布するのが一般的。しかし、モーターフォグは、小型で約6キロと軽量なため、持ち運びながらの散布も可能だ。
 薬剤散布コストも大幅に削減され、既に導入した農家は年間使用量が約300リットルから約6リットルと50分の1になったという。少量散布のため、作物が従来持っている免疫性が高まり、病気に強くなる効果も期待される。実際に秀品率が向上し、収量が約50%アップした事例もある。
 薬剤タンクは用途に合わせて2リットル、12リットル、20リットルの3種類。操作は一般家庭用のコンセントにコードを差して、スイッチを入れるだけで、メンテナンスも容易だ。


〈写真:散布の様子。音は掃除機と同程度〉

漬物作りに夢中【北海道支局・2015年3月3週号】

150318_08.jpg 【北海道支局】「おいしい漬物を作りたい」と話す浦河町の木幡(きばた)サザエさんは、全国規模の漬物コンクール「T-1グランプリ」での入賞を目標に、味の探求に余念がない。
 木幡さんが漬物作りに夢中になったきっかけは、地元・NOSAI日高が開いたイベントに出品し、最優秀賞に輝いたこと。木幡さんが作ったニシンの飯寿司〈いずし〉(なれずし)は、審査にあたった料理研究家から「商品になる」と評価されたという。
 今年のT-1グランプリに出品したタコの飯寿司は、地元の漁師からタコをもらった時に「飯寿司にしてもおいしい」と聞き、作り方を教わったもので、多くの人に試食してもらいその感想を参考にしたほか、自家産の無農薬野菜を使って改良を重ねるなどして納得する味に仕上げた。
 北海道代表として出場し、入賞はできなかったものの、「出場できたことで、新たな出会いなどがあり、楽しめました。他県の漬物を食べて味の違いに驚いたり、レシピを教わったりして勉強になりました」と木幡さん。「おいしいものに出合ったら、その場で作り方を聞く」と話し、研究に熱心だ。
 「今、5種類の漬物を検討しています。1年かけて改良し、納得した味になったら、またT-1グランプリを目指したいですね」と話している。


〈写真:「T-1グランプリは勉強になった」と木幡さん〉

自社産米粉のパスタを商品化【新潟支局・2015年3月3週号】

150318_09.jpg 【新潟支局】自社産の米で米粉100%の生麺と乾麺を商品化した刈羽村赤田北方の株式会社「孫作」(水品栄人〈ひでと〉代表取締役=30歳、従業員3人、水稲約10ヘクタール)。もちもちとした食感とツルッとしたのど越しが特徴で「米のうま味が感じられる」と好評だ。
 今回商品化した生麺はパスタの他にラーメン、きしめんの3タイプ。乾麺はねじれ状のものとハート形のショートパスタを製造した。「野菜嫌いな子どもにも食べてほしい」と、ホウレンソウやパプリカ、ニンジン、レンコンなど、さまざまな野菜を練り込み、彩りにも創意工夫した。
 「合成着色料などは使いたくないので、野菜の持つ自然な色を生かしました」と水品代表は思いを話す。
 「大勢の方に食べてほしいです。小麦で作った麺とは、食感から味まで全然違いますから」と自信を見せる。


〈写真:「食感から味まで全然違います」と話す水品代表〉

防風林「人との出会いが糧になる【2015年3月3週号】」

 ▼農業分野の研究開発で、ロボット技術や情報通信技術(ICT)を活用した「スマート農業」の実現が期待されている。政府も2015年度予算と14年度補正の合計で49億円を措置し、開発と導入の促進を図る方針だ。
 ▼重労働で事故などの危険と隣り合わせの農業を負担が少なく安全・快適な環境に転換するほか、圃場などのデータやセンサー技術の利用では生産の効率化や品質・収量の向上が見込める。産地と実需者、消費者との情報共有など、農林水産省の研究会中間とりまとめは多くの可能性を挙げる。
 ▼人が運転しない車の自動走行システムも、実用試験の段階まできているという。家に黒電話が来た日を覚えている世代には、子どものころに雑誌で読んだ未来予測が実現していくように感じられる。
 ▼篤農家の経験や勘をデータ化し、若者の育成に役立てる研究も始まっているそうだ。新聞の仕事に携わり、最初は各地で開く農家の研究会を取材した。何も知らない若造を皆歓迎してくれ、一から教わった。
 ▼ICTも必要だろうが、人と直接会って話す経験は他に代えがたいものだ。

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