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今週のヘッドライン: 2015年03月 4週号

小麦の地産地消・ブランド化 生消タッグで ―― 三重県鈴鹿市・NPO法人「ファームランド鈴鹿」(1面)【2015年3月4週号】

150325_01.jpg 「生産した小麦の消費まで見届けられて、やりがいを感じる」と笑顔を見せるyoshi.jpgさん(61)。三重県鈴鹿市算所のNPO法人「ファームランド鈴鹿」の副理事長を務め、生産者約10人と小麦「あやひかり」約90ヘクタールと「ニシノカオリ」約10ヘクタールを作付け、「鈴鹿小麦」としてブランド化する。地産地消による地域発展を目指すファームランド鈴鹿には、市内のうどん店や農産物直売所の経営者も参加し、鈴鹿小麦のうどんや小麦粉を販売。種まきや収穫、菓子作りなど市民参加の体験イベントを開き、ブランドを浸透させている。

(1面)

〈写真:うどん店「ゑびすや」の前で。左から杉野副理事長、後藤副理事長、森下理事長〉

新たな食料・農業・農村基本計画 閣議決定へ/自給率目標は45%に(1面)【2015年3月4週号】

 農林水産省は17日、食料・農業・農村政策審議会企画部会(部会長・中嶋康博東大大学院教授)を開き、10年先を見通した農政の指針とする新たな食料・農業・農村基本計画の原案を示した。2025年の食料自給率目標はカロリー(供給熱量)ベースで45%とし、10年に策定した現行計画の目標50%を実現可能性の観点から見直した。

(1面)

食べ物を作りたい 会社をやめて農の道へ ―― 千葉県柏市・大岩友紀子さん(3面・暮らし)【2015年3月4週号】

150325_02.jpg「おいこファーム」で年間40種類の野菜栽培
 「自分の試行錯誤したことがちゃんと結果につながる農業はおもしろい」と話す千葉県柏市柏の大岩友紀子さん(28)。「おいこファーム」と名付けた農園で年間40種類の露地野菜を栽培し、個人への宅配やマルシェに出店して販売している。生きる根本にある食べ物を作りたいと会社勤めをやめ、2012年に新規就農した。新規就農者が集まる勉強会に参加し、先輩農家のもとで2週間に1回研修を受けるなど情報交換と栽培技術の習得に積極的だ。「就農の仕方がわからずに足踏みする人も多いから」と新規就農希望者を圃場に招き、一緒に作業しながら助言するなど相談役としても活躍している。

(3面・暮らし)

〈写真:「お客さんに喜んでもらうことがやりがい」と友紀子さん〉

茶共済・災害収入共済方式を推進 自園自製農家の支えに ―― 静岡県のNOSAI団体(5面・NOSAI)【2015年3月4週号】

150325_03.jpg 「天候は先が全く読めない。霜の発生時期が少しずれるだけで甚大な被害につながる可能性がある」と2015年産から茶共済に加入した静岡市葵区内牧の杉本晴一さん(70)は話す。茶共済の災害収入共済方式では、15年産から生産した生葉を荒茶まで加工し、JAなどにほぼ全量を出荷する「自園自製農家」を加入対象に含める事務取扱要領の改正が行われた。加入対象者の最も多いNOSAI静岡県中部(静岡県中部農業共済組合、榎本秀一組合長)は、JAや静岡市と協力して推進し、加入者は580戸と14年産の260戸から倍増した。

(5面・NOSAI)

〈写真:化粧ナラシをする杉本さん(右)と三村さん〉

残留農薬基準値の見直し始まる 農薬の使用基準 確認を(12面・資材)【2015年3月4週号】

 農薬を散布する前に、あらためて使用基準を確認してほしい。食品衛生法に基づく農薬残留基準が見直され、新たに「短期暴露評価」が導入されることとなった。新たな方法による農薬の評価が始まり、メーカーの判断で独自評価による農薬の登録変更も進められている。現在、主に野菜・果樹向けの7成分を含んだ殺虫剤と殺菌剤で適用作物、使用時期、回数など使用基準が変更または変更予定だ。農薬購入後に変更された場合、ラベルの使用基準を守っても、出荷物で新しい残留基準値を超える可能性がある。農林水産省は、農薬製造業者、販売店、農協などに情報の周知を呼びかけている。間違いを起こさないよう事前の情報確認が重要だ。

(12面・資材)

米・小麦・大豆 丁寧な管理で増収 ―― 熊本県嘉島町・大島営農組合(13面・営農技術)【2015年3月4週号】

150325_04.jpg 熊本県嘉島町大島地区の6集落の農地を管理する大島営農組合は、水稲168ヘクタール、小麦260ヘクタール、大豆117ヘクタールを栽培する。小麦は「ミナミノカオリ」がメーンで、2014年産の10アール当たり収量442キロ(県平均333キロ)、全量1等を達成した。ブロックローテーションと機械利用で収穫などの省力化を図る一方、麦踏みと中耕・土入れは、組合員が所有する管理機などで適期に一斉作業する。収益は、個人ごとの収量と品質に応じて分配する仕組みとし、収量と品質の向上につながる丁寧な管理を実現している。

(13面・営農技術)

〈写真:麦の生育を確認する佐藤さん(左)と島田参事〉

日米首脳会談控えTPP急展開に警戒 閣僚協議決着急ぐ甘利担当相(2面・総合)【2015年3月4週号】

 甘利明TPP担当相は17日、閣議後会見で環太平洋連携協定(TPP)交渉に伴う日米協議について、4月下旬からの大型連休中に予定する日米首脳会談の前に「閣僚案件を決着しておきたい」と述べ、早期の合意に意欲を示した。米麦や牛・豚肉など重要品目の関税の扱いで報じられる日本政府の譲歩など交渉の急展開に注視が必要だ。

(2面・総合)

乳牛のMPTと飼料診断 一日で改善点検討まで実施 ―― 愛知県・NOSAI愛知(5面・NOSAI)【2015年3月4週号】

150325_05.jpg NOSAI愛知(愛知県農業共済組合、白井良始組合長)では、酪農経営の乳量・乳質の向上や事故低減につなげようと血液検査を基にした「代謝プロファイルテスト(MPT)」と「飼料給与診断」による牛の健康診断を実施している。東部家畜診療所の外山晴久獣医師(40)が県全域を担当し、ホルスタインを模した白地に黒の検診車で農家に出向く。午前中に牛の状態をみて採血し、午後には血液の診断結果などを基に課題や改善点などを農家とともに検討する。


客観的に状態把握 情報収集の機会に
 「健康診断は、牛の状態を客観的に知る機会となっている。全国平均との比較や情報収集ができるのもありがたい」と、豊川市三上町北中島で経産牛106頭、子牛20頭を飼養する辻村典久さん(58)は話す。配合飼料の切り替えを前に、牛の状態を把握したいと健康診断を依頼した。

(5面・NOSAI)

〈写真:パソコンを使って診断結果を辻村さん(右)に伝える外山獣医師〉

防風林を守る ―― ボランティアで植林・防除を20年以上【香川支局・2015年3月4週号】

150325_06.jpg 【香川支局】海から吹き付ける強風や巻き上げられる潮から、農作物や園芸施設を守ってくれる防風林。観音寺市有明浜沿岸に広がるおよそ39ヘクタールの畑作地帯は、防風林に守られた県内有数の園芸団地だ。防風林がマツクイムシなどで減少を続ける中、「有明出荷組合」(セロリ、トマトなど)と、「新田出荷組合」(「金時人参〈にんじん〉」、イチゴなど)では互いに協力し、20年以上前から毎年、植林や防除などの保全をボランティアで続け、農業被害の軽減に努めている。
 「防風林の存続が農業の存続につながるんや」とは、有明出荷組合の岩田悟司組合長(観音寺市八幡町、61歳)。新田出荷組合の池田英文組合長(同市室本町、68歳)も活動を「季節風や台風から畑を守ってくれる松林への恩返し」と話す。
 保全管理は、1.3キロほどの沿岸部分。毎年2月上旬にウバメガシ約200本を植林し、5、6月にマツクイムシ防除と草刈りを行う。
 15年ほど前から、観音寺市役所も対策に乗り出した。総務部総務課資産経営係の平岡敬次係長は「植林は行政が苗木を用意して、出荷組合の方々にはボランティアでお願いしています。両組合の精力的な活動支援で、自然災害の軽減だけでなく景観も良くなっています」と話す。
 松林が、マツクイムシなどで減少を始めたのは30年ほど前から。セロリ農家の三好洋二さん(60)は「周囲の風向きが変わり、園芸施設被害が増えてきた」と当時を振り返る。
 作業の効果について、組合員たちは「有ると無いとでは風がぜんぜん違う」「成果が木の成長で一目瞭然」と話す。有明浜の観光客や地域住民も「枯れ木が緑に変わってきた」と喜ぶ。今後も市と協力して保全作業を続けていく考えだ。


〈写真:ウバメガシ170本を植樹〉

イタヤカエデの樹液からメープルシロップ ―― 地域の特産化を夢見て【新潟支局・2015年3月4週号】

150325_07+08.jpg 【新潟支局】「メープルシロップを地域の産業にしていくことが夢です」と話す村上市大毎(おおごと)の河面(こうも)専一さん(63)。河面さんがイタヤカエデの樹液で作ったメープルシロップは「とても上品な味わい」と消費者から好評だ。
 採った樹液は、煮詰めて製品にすると、わずか60分の1にしかならない。煮詰める時は、糖度計を見ながら均一になるように注意深く混ぜる。「瓶詰め作業後の滅菌処理では、過熱し過ぎると成分中のミネラルが再結晶してしまうので、温度管理にも繊細な作業が必要です」と製造過程の苦労を話す。
 樹液は2月下旬から3月中旬に、良いものが採れるという。現在、40本ほどのイタヤカエデから、500リットル以上採取する。
 「イタヤカエデのメープルシロップは、市販のカナダ産に全く引けを取りません。ぜひ味比べをしてほしいです」と自信を見せる。
 「今年も良い樹液が採れています。製品も次々と出来上がっています」とPRする。


〈写真上:イタヤカエデの樹液を採取する河面さん〉
〈写真下:河面さんが手掛ける商品〉

パイナップル栽培30年 ―― 独学で糖度20度に【熊本支局・2015年3月4週号】

150325_09.jpg 【熊本支局】常に新しいことにチャレンジする菊池市の田代憲一さん(79)は、ビニールハウスでパイナップルやバナナを栽培し出荷している。
 50歳のころ、パイナップルのヘタ(冠芽〈かんが〉)を植えると新たな実ができることを知った田代さん。ハウスの中の空いている所に植え、栽培。2年半後には花が咲き結実した。そのあとは、収穫後の株の下にできる脇芽をかいて移植。株を増やしていった。
 「パイナップルの栽培方法を知っている人が周りにいなかったので、肥料のやり方や手入れなどはそれまで作ってきたメロンや花の経験を生かしました。また、失敗したら原因を探って、同じ間違いをしないようにしました」と振り返る。30年間、試行錯誤を重ねた結果、5千株のパイナップルを栽培するまでになった。
 「10年ほど前から、出荷できる品質のものを収穫できるようになりました。一つずつ色などを見て収穫し、完熟の状態で出荷するので、糖度は20度前後ととても甘いですよ」と太鼓判を押す。


〈写真:「自信作のパイナップルです」と田代さん〉

「山田錦」でポン菓子 ―― 実演販売の歓声に喜び【兵庫支局・2015年3月4週号】

150325_10.jpg 【兵庫支局】酒造好適米「山田錦」を使ったポン菓子を、直売所やイベントで実演販売するのは小野市の石井美里さん(34)。ファッション関係やアクセサリーのデザイナーとして働いた経歴を持ち、いろいろな経験を生かして、魅力的な包装で販売する。
 農家に生まれた石井さんは、祖父の死や東日本大震災をきっかけに、祖父母や両親が続けてきた農業を絶やしてはいけないと思い、就農を決意。現在、アスパラガス10アールと黒大豆33アール、野菜7アールを栽培する。
 石井さんが販売するポン菓子は、両親が栽培する山田錦を年間約1.2トン仕入れて加工する。「ポン菓子の実演販売時に、機械からの爆発音後、一呼吸おいてから湧き上がるお客さんの歓声がうれしい」と話す。
 13年度には「小野うまいもんブランド」に認定された。石井さんは「今後は山田錦を使う酒蔵でポン菓子を実演販売したい。大吟醸酒に合うポン菓子や超高級贈答用ポン菓子も作りたい」と話している。


〈写真:ポン菓子を手に石井さん〉

アカウミガメ守るNOSAI部長 ――「また戻って来いよ」【宮崎支局・2015年3月4週号】

150325_11.jpg 【宮崎支局】東鵜地区NOSAI部長会会長を務める日南市平山の桑田守(くわたまもる)さん(64歳・水稲276アール)は、日南市野生動物研究会のアカウミガメ保護監視委員として、1998年から産卵のため上陸するアカウミガメの上陸回数調査や、卵の保護活動を行っている。
 アカウミガメの卵は、直径3〜4センチでピンポン玉くらいの大きさ。産卵場所を探し出して、手で丁寧に掘り起こす。掘り出された卵は、同じ浜に設置されたふ化場へ運び、外敵から保護する。
 ふ化したばかりの子ガメは、体長約3センチ。小さな体で必死に大海へと旅立っていく。天敵などをかいくぐり、親ガメになるのはわずかしかいないという。
 桑田さんは「さまざまな困難があると思いますが、立派に成長して、戻ってきてほしい」と目を細める。


〈写真:卵を丁寧に保護する桑田さん〉

自家産小麦のパン ―― 研究重ね納得の味【山梨支局・2015年3月4週号】

150325_12.jpg 【山梨支局】「自家産小麦『ゆめかおり』100%にこだわった安全・安心なパンです。大勢の人に食べてもらいたい」と話すのは、中央市大鳥居の細川誠さん(57)。2013年、自宅に「農家のパン工房HOSOKAWA」を立ち上げた。
 細川さんは現在、水田で小麦70アールと水稲10アール、野菜10アールを栽培。小麦は農薬を使わず有機肥料で栽培する。畝にも除草剤は使用していない。近隣の宅地化が進む中、環境保全と景観の維持向上にも一役買っている。
 「小麦の良さを最大限生かした」というパンは、全粒粉を使用。製粉は地元の米屋と試行錯誤した。製法は妻の敬子さん(57)と県内のパン屋を食べ歩き、研究を重ねた。その結果、小麦粉と天然酵母、きび糖、岩塩だけで作る「農家のパン」が完成した。
 パンは毎週水曜日と土曜日に同市の道の駅で販売している。細川さんは「今後はインターネット販売も考えています。口コミでファンが増えてくれれば」と話している。


〈写真:パンを手に細川さん夫妻〉

米粉の菓子 ―― 自家産、地場産をふんだんに使って【秋田支局・2015年3月4週号】

150325_13.jpg 【秋田支局】仙北市西木町の農事組合法人「サンファーム西木」(藤村隆清代表)が経営する「こめっこ工房輝楽里(きらり)」では、自家産「あきたこまち」の米粉を使った菓子類の製造に取り組んでいる。
 主な商品は、焼きドーナツやクッキー、カップケーキの他、たい焼きやアップルパイやピザなど。いずれもあきたこまちを使用している。
 たい焼きのあんは、専門業者へ委託した特注。「品質へのこだわりを持ちながらも、できるだけ地元の農産物を活用したい」と、ピザに添える野菜は自家産のタマネギやトマトを使う他、ドーナツやたい焼きには地元産のホウレンソウを取り入れる。
 小麦アレルギーのある消費者からも喜ばれ、注文をよく受けるという。店長の藤村和子さん(55)は、「米粉の新商品を考案中。これからも質を落とさず、地元産にこだわってやっていきたい」と話している。


〈写真:自家産あきたこまちを使った菓子類〉

防風林「食料自給率の引き上げで成果を【2015年3月4週号】」

 ▼今後10年を見通した農政の指針となる食料・農業・農村基本計画の原案がまとまった。「農林水産業・地域の活力創造プラン」で掲げた「今後10年間で農業・農村の所得倍増」は、記述を紹介して「農業所得の増大」と「農村地域の関連所得の増大」に向けた施策を推進するとした。
 ▼「農業・農村の所得倍増」について、農林水産省の政策審議会企画部会の議論では「年率7.2%の成長は現実的でない」「農村の定義や積み上げる根拠がなく、検証も困難」と指摘されてきた。カロリー(供給熱量)ベースの食料自給率目標を実現可能な観点で見直したこともあり、明記を避けたと思われた。
 ▼しかし、基本計画と併せて策定する「農業経営等の展望」案では、生産額の増大やコスト削減などで農業所得は2013年度の2.9兆円から25年度は3.5兆円に増加。加工・直売をはじめ6次化などの取り組みで農村地域の関連所得は1.2兆円から4.5兆円に増えると試算した。足し算すれば4.1兆円から8兆円に倍増だ。
 ▼本編からは消えた「所得倍増」が、各種の前提条件を置いた農業所得と農村地域の関連所得の試算を足し算するとぴったりと出る。あらためて日本の官僚の頭脳に感心した。
 ▼初めて基本計画を策定した2000年以降、食料自給率の引き上げは一貫した目標だった。しかし、カロリーベースの実績は40%前後で横ばいし、上向かないままだ。基本計画決定後の政策の進め方こそが重要だ。試算ではなく、結果で「ご名算」としてもらいたい。

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