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今週のヘッドライン: 2015年04月 3週号

人口400人の4割がIターン者 住民主体で定住支援 ―― 和歌山県那智勝浦町色川(1面)【2015年4月3週号】

150415_01.jpg 「あしたから元気に通ってね」と声をかけられ、はにかみながらも笑顔を見せる児童ら。和歌山県南部の中山間、那智勝浦町色川にある大野保育所は4日、4人の新入児を迎えた。住民が組織する「新規定住促進班」が、定住希望者を連れて各集落を回り、住民から直接話を聞く"お見合い"制度を運営するなど住民主体の定住支援に力を入れる。積極的な受け入れで、住民約400人のうち4割ほどをIターン者が占める。特に50歳以下では移住者が多く、保育所園児の親のほとんどはIターンだ。消防団、盆踊りなど地域活動の中心となっている。

(1面)

〈写真:大野保育所の入所式で新入児(手前2人)に紙製の冠を贈る園児〉

TPP/日米首脳会談控え急転の懸念 決議の反古は許さぬ(2面・総合)【2015年4月3週号】

 日米首脳会談を4月下旬に控え、環太平洋連携協定(TPP)交渉の日米2国間協議が急展開する懸念が高まっている。甘利明TPP担当相は3日、閣議後会見で「解決できる部分はできるだけ解決したい」と述べ、安倍晋三首相の訪米前の事務レベル協議進展と日米閣僚協議の開催に意欲を示した。日米の2国間協議では1月以降、米や牛・豚肉など日本の重要品目で譲歩が報じられ、生産現場に不安・動揺が広がっている。重要品目の譲歩は、国内農業に大打撃となり、農業所得の増大と農村の活性化を掲げて3月末に閣議決定した新たな「食料・農業・農村基本計画」も頓挫しかねない。オバマ米大統領への"手土産"に農業を差し出すようなことは許されない。

(2面・総合)

地理的表示法6月に施行 地域ブランドGIマークで保護(2面・総合)【2015年4月3週号】

 農林水産省は10日、6月から施行する「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律」(地理的表示法)に基づき登録された農林水産物・食品などに付ける登録標章(GIマーク)を公表した。農産物・食品の輸出拡大への対応も念頭に、"日本らしさ"を強調したデザインを採用。大きな日輪を背負った富士山と水面をモチーフとし、日本国旗の日輪の色である赤や伝統・格式を感じさせる金色を使用した。

(2面・総合)

お茶の香広がるスイーツ作り 茶農家女性が地元産「やぶきた」の魅力PR ―― 高知県仁淀川町・株式会社池川茶園(3面・暮らし)【2015年4月3週号】

150415_02.jpg 60〜70代の茶農家女性らで運営する高知県仁淀川町土居甲の株式会社池川茶園は、地元産「やぶきた」の一番茶を使ったプリンや水餅、ケーキなどを販売する。「高知県にもおいしいお茶があると知ってほしい」と話す代表の山中由貴さん(60)を中心に、手作りの和洋菓子を通じて茶に親しんでもらおうと活動する。茶の香りとうまみを生かした「プレミアム茶畑プリン」は、1日100個以上売れる人気商品だ。"茶畑生まれのスイーツ"を目当てに、県内外から多くの人が足を運ぶほか、出会いが生まれる交流の場として地域住民にも親しまれている。

(3面・暮らし)

〈写真:「池川茶園の定年は80歳」と笑い合う茶農家女性たち〉

栽培履歴を確認・抜き打ちの残留農薬検査 品質厳格に地元産限定 ―― 山口県田布施町・田布施地域交流館(8面・流通)【2015年4月3週号】

150415_03.jpg 農家など330人が出荷する山口県田布施町中央南の農産物直売所「田布施地域交流館」では、設立から13年連続で売り上げを伸ばし、2014年度は3億7千万円を売り上げた。協同組合田布施地域交流館が運営する。町内産だけを扱い、定年帰農者でも、うまく野菜が作れるよう勉強会を開き、品ぞろえの充実と品質向上を図る。栽培履歴を確認したものに限り、販売できるシステムを構築したほか、抜き打ちの残留農薬検査も毎月行う。硝酸塩含有量の少ない野菜栽培も推進し、高品質で安心感を生む取り組みが支持され、連日にぎわいをみせている。

(8面・流通)

〈写真:売り物を手に守田さん。全ての青果物や穀物に安全・安心シールを貼っている〉

雑草データベースを本格運用開始 ―― 農研機構(9面・営農技術)【2015年4月3週号】

150415_04.jpgホームページで検索システム公開
 農研機構は7日、研究者と生産現場が相互に情報を発信・共有できる「雑草生物情報データベース」の運用を本格的に開始したと発表した。一般的な雑草種の防除管理情報をはじめ、新たな難防除雑草として大きな問題となっている除草剤抵抗性雑草や外来(帰化)雑草に関する最新の分布状況や防除事例などを蓄積・公開していく仕組み。生産現場などから寄せられた最新情報も含めて内容を更新し、正確な情報に基づく「総合的雑草防除技術(IWM)」の構築・実践など適切・的確な防除管理への活用を目指す。

(9面・営農技術)

〈写真:「生産現場からも積極的に情報を提供してほしい」と呼びかける黒川主任研究員〉

緑肥で土壌改良、センチュウ抑制 ―― 野菜の食味が向上【島根支局・2015年4月3週号】

150415_05.jpg 【島根支局】栽培に不利な土壌の改良に、緑肥栽培や生分解性マルチを敷くことで、野菜本来のおいしさを引き出す農法を実践している、奥出雲町八川の田部義美(よしみ)さん(56)。生産物の品質の良さで、市場や直接販売する店舗でも一目置かれている。
 「ここの土壌は真砂土で、初期生育が悪く、生産物が腐りやすいので、野菜栽培には向いていません」と田部さん。それを克服するため、土壌に分解され、収穫後にそのまますき込むことができる生分解性マルチを使用している。これにより、水分と肥料分が安定し、初期生育も良くなった。収穫物はやや小さくなるが、柔らかく、あくが少なく甘味が増した野菜ができるようになったという。
 現在、化学肥料・農薬の使用量を基準の半分以下にする、環境にやさしい「エコロジー農産物」として2ヘクタールでキャベツ、ダイコン、ニンジンを輪作し、ハクサイ10アールとタラの芽65アールを栽培している。
 中でも重要なポイントは、菌や害虫の密度を下げることと、肥料を目的とした緑肥栽培だ。
 まず畑にライ麦を播種し、葉物野菜の移植の1カ前にすき込む。収穫後、根菜を播種するために「根腐れセンチュウ」の密度を抑制するエンバクを播種し、同様にすき込み、根菜を播種する。ダイコンは出荷作物でありながら、葉物野菜で問題となる「根コブ病菌」を減らす役割もある。
 害虫対策は、農薬の使用量を抑えるため、フェロモン剤を使用。その他にも殺虫剤として、環境負荷の少ないバチルス菌の散布など、本来いる昆虫などが活発に活動できる土壌作りを目指している。


〈写真:「地域の魅力を発信できれば」と田部さん〉

菌床シイタケ独自ブランド「キングマッシュ」―― 鮮度長持ち 納得の品【香川支局・2015年4月3週号】

150415_06.jpg 【香川支局】「菌床の製造から栽培まで一括管理することで、納得のいく物ができます」と話すのは、菌床シイタケの独自ブランド「キングマッシュ」を生産する「株式会社寿産業」代表取締役社長の兜寿雄(かぶとひさお)さん(綾川町山田、47歳)。栽培18年目の現在、6棟のハウス1440平方メートルで、年間115トン出荷する。消費者からは、日持ちの良さと、滑らかな食感が受け、需要の高まりとともに規模を拡大している。
 「粒子の大きいチップの割合を多くすることで、空気の通りを良くしています。菌床製造から空調や水分量の調整を勉強し、鮮度が長持ちするシイタケができました」
 菌床ブロックは、空調管理した部屋で約4カ月培養した後、栽培部屋に移す。7〜10日で収穫が始まる。「茶色のイメージが強いシイタケですが、収穫する時は薄い金色です」
 出荷は市場が中心で、県内外のホテルや飲食店など得意先も広がっている。その他、一口サイズのシイタケは、からし漬けやわさび漬けなどにし、地元の産直や道の駅で販売。コリコリとした食感が好評で固定客も多い。
 兜さんは「新しく始めたい人の視察受け入れや技術指導などを積極的に行い、農業全般の生産者を育てたい」と目標を話す。


〈写真:栽培部屋で兜さん〉

大玉キンカン栽培に意欲 ―― 目標の単収は3トン【鹿児島支局・2015年4月3週号】

150415_07.jpg 【鹿児島支局】「目指したようなキンカンが収穫できたときは本当にうれしい」と話すのは、薩摩川内市入来町の紺屋裕之(こんやひろゆき)さん(33)。家族とともに、ハウスキンカン43アールと、年間18万羽の鶏の飼育に汗を流している。
 キンカンは通常、11月下旬〜3月下旬にかけて収穫するが、紺屋さんの農園では収穫を1月中旬には終える。「年内出荷の方が年明けに出荷するより単価が高いので、今後は年内出荷量をさらに上げていきたい」と話す紺屋さん。加温して早期開花を促し、マルチ被覆するなどして品質向上に取り組んでいる。
 地域農家で組織したグループに参加し、キンカンを香港に出荷。グループで毎年2.6トン出荷する。厳しい基準を設け、「きんかんぼうや」というブランドで販売している。
 さらに、紺屋さんは若手キンカン農家11人で「GFTグループ」をつくり、その会長も担う。県内外でのPR活動や市場との協議、管理勉強会を開くなど精力的だ。「現在2.5トンあるキンカンの単収を3トンに増やしたい。大玉のキンカンを作る必要があるので、摘果などの管理を徹底したい」と意欲的だ。


〈写真:「年内出荷量を上げていきたい」と紺屋さん〉

福島県浪江町で米の実証栽培 ―― 出荷再開を目指して【福島支局・2015年4月3週号】

150415_08.jpg 【福島支局】浪江町酒田地区で、営農再開に向けた水稲の実証栽培が今年も行われる。町では安全性を確認して出荷も考えていて、栽培に携わる農家も農作業の準備に力を入れている。
 実証栽培は、町と酒田農事復興組合(鈴木義雄組合長)が実施主体で、組合員の2人が実証田を提供し管理を行う。そのうちの一人、松本清人さん(76)は、避難先の川俣町から町内の自宅に通い、農作業開始に向けて農機具の手入れに余念が無い。「昨年は震災後初めて70アールの作付けを行い、無事に実りの秋を迎え、気持ちが晴ればれした」と笑顔で話す。
 昨年の実証栽培で作付けした「コシヒカリ」と「天のつぶ」は、玄米の放射性物質濃度が食品衛生法の基準値(1キログラム当たり100以下)を大きく下回った。町の担当者は「実証栽培は、データによる安全性の確認や、町の営農再開の可能性を見極めるために行います。2015年産米は、安全が確認されれば出荷も検討したい」と話す。


〈写真:トラクターの整備をする松本さん〉

開拓農家の歴史後世へつなぐ ―― 前島英資さんが記録まとめ一冊の本に【北海道支局・2015年4月3週号】

150415_09.jpg 【北海道支局】開拓農家の3代目にあたる遠軽町の前島英資(まえしまえいすけ)さん(77)は、家族と農業の100年の記録に取り組み、2013年12月、家族史「風雪に耐えて」を自費出版。作品は第19回林白言文学賞の特別賞を受賞した。
 前島さんの作品は前島家の北海道開拓100年の歴史を記録したもので、遠軽町の農業史という面もある。
 執筆のきっかけは10年ほど前、家族から前島家の歴史について話を聞いたこと。前島家が北海道開拓後100年を迎えることを知り記録に残したいと思ったという。
 「史実を記録するだけでなく読者に分かりやすく親しみやすい記録を残そうと思いました。10年早く書き始めていれば人から直接生きた話を聞くことができました。本や資料に頼るしかないところは大変でした」と執筆する上での思いや苦労を振り返る。
 12年前に後継者の英樹さんに経営を移譲し、現在は読書や野菜作りを楽しんでいる前島さん。「賞は頂いても農家の親父ですから」と気さくに話している。


〈写真:家族史「風雪に耐えて」と第19回林白言文学賞「特別賞」の楯を手に前島さん〉

野菜やハーブの乾燥食品 ―― 手軽さが受け販路拡大【新潟支局・2015年4月3週号】

150415_10.jpg 【新潟支局】切り干し大根やニンジンにキノコやハーブ類まで、30種類以上の乾燥食品を製造販売する長岡市岩田の農業生産法人(株)「たべたがり」(小林薫代表取締役=43歳)。
 お湯で戻すだけの簡単食材として、県内のスーパーの他、ネットや百貨店など、首都圏で販路を拡大している。
 主原料の野菜は自社耕地で栽培。小林代表は「山間部の限られた土地なので、大量生産できない分、農薬や添加物を使わずに品質と安全性で勝負しています」と話す。
 商品は、乾燥させることで価格が安定し、生鮮品との差別化が図られている。
 少量ずつ使え、生ごみも出ないことから、人数の少ない都市部の家庭で「使いやすい」と好評だ。複数の野菜が入ったカレーの具やみそ汁の具シリーズも人気が高い。
 「普段から食べてもらえ、手頃だから家庭に備えてもらえるものにしたいです」と小林代表は力強く話す。


〈写真:(株)たべたがりが手掛ける乾燥野菜〉

紫波もっちりハムカツ ―― B級グルメで特産もち米PR【岩手支局・2015年4月3週号】

150415_11.jpg 【岩手支局】特産のもち米(品種=「ヒメノモチ」)をPRしようと、紫波町の株式会社紫波まちづくり企画(代表・熊谷泉紫波町長)が開発した「紫波もっちりハムカツ」が注目を集めている。
 同商品は、餅をハムで挟んで揚げたもので、揚げたては餅がチーズのようにとろけ、冷めても、もちもちの食感が楽しめるのが特長だ。食べ応えも十分だという。
 餅は、同町産ヒメノモチをきねつき製法でついた厚さ2ミリのしゃぶしゃぶ用スライス餅を使用。ハムは県産豚の薄切りロースハムを2枚使用している。
 同社の古澤直亮紫波ブランド課長代理は「紫波町の『B級グルメ』として全国に広めることができたらうれしいです。もち米の消費拡大にも貢献したい」と意欲を見せる。


〈写真:「紫波もっちりハムカツ」〉

防風林「食料安全保障問題 ―― 議論喚起の工夫がたりない【2015年4月3週号】」

 ▼中長期的な食料需給の逼迫(ひっぱく)懸念が繰り返し指摘されながら、日本ではなかなか国民的な理解が広がらない。現状では不安要素が少なく、反応がないのは仕方ないのか。
 ▼現実に、年間1700万㌧発生する食品廃棄物のうち、食べられるのに捨てられる「食品ロス」は推計500万〜800万㌧に上る。世界の穀物需給の指標となる期末在庫率は20%台で推移し、安全水準とされる17〜18%を超える。
 ▼新たな食料・農業・農村基本計画では、食料安全保障に関する国民的議論を深めようと、初めて「食料自給力」指標を示した。しかし、輸入が止まればご飯に代わりイモ中心の食事になると話題にする程度で、一般紙の扱いは小さい。
 ▼ただ、潤沢な食料供給を支えてきた土台は揺らぎ始めている。食料生産を担う農家の高齢化とリタイアが進むほか、地球温暖化の進展に伴い豪雨など局地的な災害の増加予測もある。過半を依存する輸入も、経済成長著しい新興国との競合が激しくなる見通しだ。
 ▼無理やりに不安をあおりたい訳ではない。将来に備えた議論喚起の工夫が足りない。

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