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今週のヘッドライン: 2015年05月 3週号

移住希望者を住民と一緒に支援 来て・見て・体験を ―― 千葉県大多喜町・NPO法人「大多喜みらい塾」(1面)【2015年5月3週号】

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季節ごとにイベント開催 住居や生活などの相談も
 千葉県大多喜町で移住・定住促進を図るNPO法人「大多喜みらい塾」は、地元住民とともに、裏作にレンゲを育てる「レンゲ米」の田植え、伝統文化の木炭作り、廃校でのキャンプなど年間約20回の体験イベントを企画する。「地元で当たり前のことが外からの人には魅力になる。実際に来て知ってもらうことで移住者を増やす足がかりとなる」と理事長の上治信(じょうじまこと)さん(63)。移住希望者には、事前に住まいや生活などについて相談や情報提供で支援する。3年間の活動で16人が新たに生活している。


(1面)


〈写真:「もっとレンゲの花を咲かせたい」「排水対策が大事」などと圃場で話し合う上治さん(右)と小倉さん〉


農水省/新たな機械化政策の検討開始 開発・安全は現場の声を(2面・総合)【2015年5月3週号】

 農林水産省は14日、農業資材審議会農業機械化分科会(委員長・芋生憲司東大大学院教授)を開き、新たな農業機械化政策の検討を開始した。3月末に閣議決定した「食料・農業・農村基本計画」で掲げたロボット技術やICT(情報通信技術)を活用して超省力・高品質生産を図る「スマート農業」の推進をはじめ、機械化一貫体系の導入や海外仕向け低価格モデル農業機械の普及、農作業安全対策などの具体策を議論する。来年3月をめどに取りまとめを行う方針だ。高齢化の進展や農家の減少、経営規模拡大など農業構造が変化する中、生産力の維持・効率化に農業機械が果たす役割は大きくなっている。一向に減少しない農作業死亡事故への対策強化を大前提に、生産現場のニーズに的確に対応した農業機械の開発・普及が求められている。

(2面・総合)

農水省/飼料用米生産コスト半減へ 10年後の目標設定(2面・総合)【2015年5月3週号】

 林芳正農相は12日、政府の産業競争力会議の会合で、新たに2025年までに飼料用米の生産コストを13年比で5割程度低減するとの達成すべき成果目標(KPI)を設定する方針を明らかにした。年央に改訂する政府の「日本再興戦略」に盛り込む。  3月末に閣議決定した食料・農業・農村基本計画で掲げた、飼料用米の10アール当たり収量5割向上と、担い手の米生産コスト4割低減により実現を目指す。基本計画では、多収性専用品種の開発・導入や新たな栽培技術の実証、施設の再編整備、流通の合理化などを進める方針を掲げている。

(2面・総合)

牧場で笑顔のふれあい 工房併設し手作りチーズケーキなど販売 ―― 栃木県那須町・摩庭牧場(3面・暮らし)【2015年5月3週号】

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店舗の目の前は牛の放牧地 利用客が「地産地消を実感」
 「お客さんの"おいしかった"の一言がやりがいにつながっている」と栃木県那須町豊原丙で摩庭牧場を営む摩庭正さん(58)。長男の洋介さん(32)とともに経産牛40頭、未経産牛6頭、育成牛5頭を約3ヘクタールの放牧地で飼養する。牧場に併設する「MANIWA FARMチーズケーキ工房」では、妻の令子さん(59)らが牧場産の生乳を100%使った手作りのチーズケーキや牛乳、ソフトクリームなどを販売する。店を訪れる利用客とのふれあいや、家族との語らいが仕事の励みになっている。

(3面・暮らし)

〈写真上:「牛にも人にも無理をさせないことが一番だ」と正さん〉
〈写真下:「チーズ特有の臭みが少なく、子供でも安心して食べられるのでよく買いに来ます」と令子さん(右)からチーズケーキを受け取るリピーター〉

機能性表示食品/科学的根拠示す資料の作成例 事業者の申請負担を軽減 ―― 農林水産技術会議事務局(8面・流通)【2015年5月3週号】

温州ミカンと緑茶でとりまとめ 農作物の高付加価値化に期待  農林水産省の農林水産技術会議事務局はこのほど、β(ベータ)―クリプトキサンチンを含む温州ミカンとメチル化カテキンを含む緑茶について「機能性表示食品」制度に必要な届け出書のうち、機能性の科学的根拠を説明する資料(研究レビュー)の作成例を示した。消費者庁への申請負担を一部軽減できる。機能性表示食品制度は野菜や果物を含む食品の成分の健康効果を表示できる制度で、届け出には事業者の責任で機能性の科学的根拠の提示が求められるなどハードルが高かった。これによって届け出数の増加が見込まれ、農産物の高付加価値化が期待される。

(8面・流通)

早生・小粒品種「すずおとめ」/排水対策を徹底 異なる品種で作業分散 ―― 福岡県筑前町・栗田営農生産組合(9面・営農技術)【2015年5月3週号】

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平年反収250キロを実現 高畝と明・暗渠敷設
 「いかに大豆収穫を早く終え、麦の播種を間に合わせるかが大事」と栗田営農生産組合の桑野光雄顧問(69)は力を込める。福岡県筑前町の圃場91ヘクタールで、水稲、小麦、大豆、大麦をブロックローテーションし、農地利用率180%を達成する。生産組合のオペレーター約15人が一斉に播種・収穫する大豆は、「フクユタカ」(11ヘクタール)と納豆用小粒早生品種「すずおとめ」(22ヘクタール)。収穫期の違いから作業労力が分散でき、適期作業に努める。弾丸暗渠(あんきょ)などによる排水対策の徹底で、豊作年の10アール当たり収量は、フクユタカとすずおとめでそれぞれ約320キロ、約280キロと高収量を確保する。

(9面・営農技術)

〈写真:生産組合のコンバインを背に並ぶメンバー〉

アスパラガス・春夏秋の三季採り ―― 太く甘く高品質に【山形支局・2015年5月3週号】

150520_05.jpg 【山形支局】「『おいしい』という評価をいただくことが何よりの励みですね」と話す酒田市北平沢(きたへいざわ)の阿部徳義さん(60)は、アスパラガス栽培歴約15年。自身で考案した雨よけハウスなどを利用して、春夏秋の三季採りに取り組んでいる。
 阿部さんはアスパラガス栽培を始めた当初、促成栽培に取り組んでいたが、2004年に一度植えた株から毎年収穫できる「定植栽培」に切り替えた。春の収穫後、親茎を伸長(立茎)させ、夏から秋に出る若芽を収穫する春夏秋の三季採りを実現させた。
 「太くて甘いものを長年生産するためには土の管理が重要」と話す阿部さん。3月中旬から5月中旬までの春収穫が終わると、土壌検査を基に土壌改良材や欠乏成分を施す。その後、畝間を耕起し、牛堆肥と自家製くん炭を一面に敷き詰め、夏秋の収穫に備える。
 この時期、立茎させて葉を茂らせ、光合成を促す。根に栄養を蓄え、高品質の夏秋採りアスパラガスを生産するためだ。ただし、葉が混み、風通しが悪くなると斑点病が発生し、翌年の収穫に影響を及ぼす。かといって必要以上に葉を欠くと光合成を弱め、その年の減収につながるため、生育の変化に目を光らせ、適切な管理に努めている。
 地元JAや生協などに出荷。高い評価を得ているが、「作物は手を掛けた分だけ返ってきます。手抜きせず、楽をせず、技術を高めていきたい」と阿部さんは向上心を持ち続ける。


〈写真:「10アール当たり3トンが収穫目標」と阿部さん〉

東日本大震災後、初の田植え ―― 若者呼べる経営目指す【福島支局・2015年5月3週号】

150520_06.jpg 【福島支局】震災の津波被害から復旧した圃場や、農機具などを流失し耕作継続を断念した地権者から請け負った圃場で水稲栽培に取り組んでいるのは、相馬市磯部地区の農事組合法人「グリーンファーム」。同法人は、唯野哲夫代表(67)を含むメンバー6人で構成され、今年4月1日に設立された。唯野代表は「先祖代々からの米作りを絶やすことはできない」と力強く話す。
 磯部地区は、津波で高台にあった10戸ほどの農家を残し、田畑約210ヘクタールが耕作不能となった。唯野代表は2011年10月に同地区で設立された復興組合の組合長も兼任。当時は、地権者を中心に約50人体制でがれき撤去や草刈り作業を行っていたが、現在は、地区外へ新居を求める地権者が増え、作業に従事する人も半減したという。
 今年、復旧作業を終えた直播7.5ヘクタールを含む約35ヘクタールの圃場で、震災後初となる田植えを行った。代かき作業などにはメンバー所有のトラクターも使用。また、メンバーの所有地に育苗用ハウスを設置し、苗管理は作業員などを雇わず、メンバーとその家族で作業を分担して行うなど、効率化と経費節減に努めた。
 今後は、メンバーの高齢化の問題もあり、後継者の育成が急務だという。唯野代表は「黒字経営を続けていけば、次世代の若者に勧めることができる。将来的に安定経営で魅力のある法人にしていきたいですね」と意欲的に話している。


〈写真:大型トラクターで代かき作業〉

農高生が企業と連携し菓子パン作り ―― 地場食材たくさん使って【秋田支局・2015年5月3週号】

150520_07+08.jpg 【秋田支局】秋田市の秋田県立金足農業高等学校(鈴木誠孝校長・生徒数524人)では、生徒がローソン、たけや製パンとプロジェクトチームを組み、「金農パンケーキ」を共同開発している。今年で4回目を迎え、期間限定で発売される金農パンケーキのネームバリューが徐々に定着しつつある。
 生地には県産「あきたこまち」の米粉を使用するなど食材は地場産で、もちもちの食感と生地のボリュームアップを実現した。中身の材料にも県内産の農産物を積極的に取り入れている。
 商品名とパッケージのデザインも生徒たちが考案。初年度から毎年約10万個をたけや製パンが製造し、ローソンで販売。いずれも完売している。
 プロジェクトのメンバーの佐藤千穂さん(17)は「幅広い年齢層の方々においしく食べていただける商品です。昨年との味の違いも楽しんでもらいたいです」と話している。


〈写真上:金農パンケーキを手掛けるメンバー〉
〈写真下:2種類の金農パンケーキ〉

サトイモ・行政や生産者がスクラム ―― 知名度向上へ積極的にPR【大分支局・2015年5月3週号】

150520_09.jpg 【大分支局】県内最大のサトイモ産地である豊後大野市では、行政や生産者が優良品種への更新など品質向上と生産拡大に力を入れる。同市のサトイモは「里丸くん」の名称で販売され、地域を挙げてブランド化を推進している。
 同市では消費拡大とブランド化に向けPRにも力を入れる。市内産のサトイモを「里丸くん」の名称で販売。市場やイベントでの試食宣伝などを通じて知名度アップを図る。また、「里丸くん」のホームページを開設し、料理レシピ、保存方法の他、サトイモの歴史などを紹介する。JAおおいた豊後大野水田さといも生産振興部会長を務める甲斐文義さん(64)は、「総販売高が3億円を超えるときもありました。若い人たちにサトイモ生産に興味を持ってもらい、後継者育成にもつなげたい」と期待を寄せる。
 「丸芋率が高まり、品質の向上と価格も安定している」(同市農業振興課)と取り組みの成果も出ていることから、生産者と関係機関が一体となったサトイモのブランド化は引き続き進められる。


〈写真:種芋の収穫作業(今年4月)〉

コンピューター制御の閉鎖型植物工場 ―― LEDで通年栽培【新潟支局・2015年5月3週号】

150520_10.jpg 【新潟支局】廃校となった校舎を活用し、イチゴの通年栽培を実現させた胎内市鼓岡の「いちごカンパニー株式会社」(小野貴史代表=44歳、従業員7人)。発光ダイオード(LED)とコンピューター制御管理による閉鎖型植物工場でのイチゴの通年栽培システムを確立させた。
 これまで、LEDを使用したイチゴ栽培は難しいとされていた。「あえて誰も成功したことがないことに挑戦してみたかった」と担当の松田祐樹さん(41)は振り返る。
 実証実験を繰り返し、無農薬で病害虫の発生を抑制することに成功。LEDの光量や波長、二酸化炭素濃度などをコントロールする技術を確立させ、イチゴの大きさを管理することも可能にした。
 「今までに収穫した最大重量は1粒59グラム。今後100グラム超えも夢ではない」と自信をのぞかせる松田さん。
 このシステムを活用することで、供給力の落ち込む夏秋間も安定的にイチゴを栽培することができる。「将来的にはさまざまな作物にも応用できるのでは」と今後の技術開発にも意欲的だ。
 ※同社では、一般の人の施設内への立ち入りや、工場見学には対応していません。


〈写真:栽培棚を管理する従業員〉

クロモジを茶でおいしく【島根支局・2015年5月3週号】

150520_11.jpg 【島根支局】海士町のNPO法人では、住民に「ふくぎ」と呼ばれているクスノキ科の落葉低木クロモジを茶に加工、「ふくぎ茶」として商品化した。現在、販売に生産が追いつかないほどの人気だ。
 販売当初は枝を煮出すタイプだけだったが、葉と枝のブレンド茶や、ティーバッグタイプの商品も開発。現在は春に咲くクロモジの花を使用した「ふくぎ花茶」を含め、4種類を製造している。
 独特の香りから島のハーブティーとも呼ばれる、ふくぎ茶は、5〜9月ごろにかけて町内の山に自生するクロモジの新枝を収穫し天日で干すことから始まる。収穫から加工、製品完成まで約1カ月かかる作業は、すべて手作業だ。
 製品は、町内外の物産店やカフェの他、インターネットなどで県外にも販売される。
 NPO法人では「検品作業などを地域の人たちに請け負ってもらえる体制にできれば、受注に応えられるのでは」と話している。


〈写真:ふくぎ茶の商品〉

防風林「日本産農産物の輸出に港を活用しよう【2015年5月3週号】」

 ▼昨年の富岡製糸工場に続き、八幡製鉄所や端島炭鉱など「明治日本の産業革命遺産」が世界遺産として認定される見通し。維新後の殖産興業推進のため、貿易による外貨獲得・再生産の役割が大きく寄与した。
 ▼現代では輸出入や人的交流における空と海の玄関口は、東京港と成田国際空港。二つの開港日が奇しくも5月20日だ。
 ▼明治以前の江戸湊(みなと)は、消費物資の流通拠点として繁栄したが、以降は横浜港が国際貿易の中核となる。だが、関東大震災で陸上交通網が崩壊したため、東京港の重要性が問われ国内初の近代埠頭(ふとう)である日の出・芝浦・竹芝を建設、1941年開港と案外新しい。現在、埠頭数も増え貿易量は国内1位だ。
 ▼成田国際空港の開港は78年。地元農民と学生組織との反対運動で工期が遅れ、開港後37年を経たが今なお未完成。拡張工事停滞や都心とのアクセスの不便さなど課題は多い。だが貨物取扱量は5千万㌧を上回り空輸による貿易量は国内1位になった。
 ▼農業の国際競争力強化が叫ばれて久しいが、スケールメリットで大量生産される他国産に勝てる国内農産物は少ない。日本の優位性は、食味・新鮮さなど"クオリティーメリット"だ。裏付ける品種や栽培法、流通技術の知的財産の保全も重要であり、世界各国に向けクールジャパンの普及を急ぎたい。海と空の港が、海外輸出の基点として羽ばたくことに活路がある。

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