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今週のヘッドライン: 2015年06月 1週号

幾度でも立ち上がる 豪雨災害多発の水田維持 ―― 島根県江津市・農事組合法人「川平みどり」(1面)【2015年6月1週号】

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豪雨災害多発の水田維持
住民が力合わせ復旧間近 経営安定へ大麦若葉導入

 "過疎化の最前線"とも呼ばれる島根県江津市川平町の松平地区で水稲24ヘクタールを中心に経営する農事組合法人「川平みどり」。豪雨災害の多発地帯で、何度も経営の窮地に追い込まれながら、耕作放棄地を出さず農地を守り続けてきた。米価下落など苦難が続くが、立ち止まることなく規模拡大や新たな品目の栽培などにも挑戦する。「水田を残すことで住む人の気力も保たれる。災害があっても組合員で協力して存続してきた」と代表の天野明さん(67)。毎年5月に水田で住民などとともに伝統行事「花田植(はなたうえ)」を開催し、住民が集落を維持する活力を養っている。

(1面)

〈写真:「水田が生活環境の中心だ。耕作放棄のないように努めていく」と天野さん〉




農水省/バター1万トンの追加輸入を発表 酪農基盤の立て直し急務(2面・総合)【2015年6月1週号】

後継者が育つ環境づくりを  国産バターの不足が見込まれる中、農林水産省は5月27日、バター1万トン(生乳換算12万3400トン)を追加輸入すると発表した。年末の需要期の安定供給を確保するのが目的。国際約束に基づくカレントアクセス(現行輸入機会)の別枠輸入は2年連続で、1回の輸入量としては過去最大規模となる。国内酪農は農家戸数・飼養頭数ともに減少傾向にあり、生乳不足による乳製品需給のひっ迫傾向が顕在化しつつある。ただ、世界の乳製品需給も、新興国の需要拡大などで中長期的には価格上昇などが予測されており、輸入品の安定的な調達は見通せない。牛乳・乳製品の安定供給に向け、酪農家が展望を持って営農継続できる環境整備を基本にした国内の生乳生産基盤の立て直しに全力を挙げる必要がある。

(2面・総合)


本の隣に地元の野菜や畜産物 客数2.5倍に増加 ―― 宮崎県日南市・書店が直売所開設(4面・流通)【2015年6月1週号】

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 宮崎県日南市戸高の書店「見聞読タナカ日南2号店」は、店内の空きスペースに3月末、地元の野菜や畜産物などを販売する直売所「ほんのえき田中屋」を開設した。車を運転できない高齢者が多い地域で、新鮮な野菜が手軽に買えると販売は好調、出荷する農家の所得向上にもつながっている。書店を訪れる客は開店前と比べて倍増し、トマトを買ったついでにトマト料理本も購入するなど、書店と直売所の相乗効果が出ている。

(4面・流通)

〈写真:店頭に並べるトマトを持つ山本さん(左)と、トマトの料理本を持つ田中さん〉




広報紙配布や任意共済推進 農業振興の思い強く ―― 新潟県・NOSAI下越(5面・NOSAI)【2015年6月1週号】

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 NOSAI部長は、加入推進や申告票の取りまとめのほか、広報紙の配布などNOSAI制度の円滑な運営を支えている。災害発生時の適切な被害申告を呼び掛け、共済金早期支払いに尽力する。新潟県のNOSAI下越(下越農業共済組合、尾田修一組合長)では、毎年7月にNOSAI部長会議を開いて、各共済事業の実施計画や制度の周知徹底、年間スケジュールなどを確認する。NOSAI部長の仕事内容や組合行事を知らせる会報「NOSAI部長だより」(年6回)を発行し、農作業の合間も活動しやすいよう環境づくりに努めている。地域のまとめ役としても活躍するNOSAI部長2人に話を聞いた。

(5面・NOSAI)

〈写真上:ブルーベリーの生育を確認する徳吉さん、のぶ子さん夫妻〉
〈写真下:NOSAI職員から広報紙を受け取る髙橋さん(左)〉




有機ニンジン/緑肥と輪作し土作り 雑草抑え秀品率も向上 ―― 青森県おいらせ町・有限会社「ナチュラルファーム」(9面・営農技術)【2015年6月1週号】

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 根菜類中心に露地野菜70ヘクタールを栽培する青森県おいらせ町青葉の有限会社「ナチュラルファーム」は、夏ニンジン18ヘクタールのうち1.3ヘクタールで有機栽培に取り組み、取引先から「甘味があり、おいしい」と高評価を得ている。豚ぷん堆肥など有機質肥料を施用するほか、緑肥と輪作して土作りする。積雪する地域で春までに確実に有機物を分解させるため、生育が早いスーダングラスを播種。40〜45日で1.5メートルまで成長させてハンマーモアーで粉砕し、1週間乾燥させる。2〜3回浅耕して秋肥を投入し、プラウで起こす。次作の雑草抑制や秀品率の歩留まり向上にも効果を上げている。

(9面・営農技術)

〈写真:有機栽培する圃場で、雑草を手除草する政義さん〉




ナシ/ジョイント仕立て新樹形「JV-トレリス」 作業時間を大幅削減 ―― 神奈川県農業技術センター(9面・営農技術)【2015年6月1週号】

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 神奈川県農業技術センター(平塚市)は5月22日、試験研究成績発表会を開き、ナシ樹体ジョイント仕立ての新樹形「JV-トレリス」を考案したと発表した。棚を設置せず、側枝をV字型に誘引して垣根状にする。

(9面・営農技術)

〈写真:JV-トレリスの特徴を説明する柴田主任研究員〉




TPP首席交渉官会合が閉幕 閣僚会合の日程立たず(2面・総合)【2015年6月1週号】

TPA法案の動向注視  環太平洋連携協定(TPP)交渉参加12カ国が米グアムで開いていた首席交渉官会合が5月27日、閉幕した。引き続き開く予定だった閣僚会合は、交渉妥結の条件とされる米国の大統領貿易促進権限(TPA)法案の成立見通しが立たないことから見送られ、次回の閣僚会合の日程も設定されなかった。ただ、交渉参加国は早期合意を目指 す方針を堅持。TPA法案も上院で可決し、下院での審議が始まる。法案の動向次第では、6月下旬にも閣僚会合を開く可能性もあり、注視が必要だ。

(2面・総合)


お年寄りの山菜、野菜を庭先集荷 ―― やりがいをサポート【新潟支局・2015年6月1週号】

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 【新潟支局】自家栽培の野菜や、山で収穫した山菜を庭先で集荷しているのは、2006年11月に設立された、魚沼市守門のNPO法人笑顔の里(大島雪子理事長=64歳、従業員5人)。集荷した山菜や農作物は、一括してその日のうちに県内外のスーパーや飲食店に出荷している。
 「地元のおじいちゃん、おばあちゃんが取った新鮮な農作物を売ることでやりがいができて、お年寄りが笑顔になってほしいとの思いで、この事業を始めました」と話す大島理事長。
 魚沼市では、自分の家で消費するために山菜を収穫したり、農作物を育てているお年寄りがいる。しかし、消費しきれずに、お裾分けや捨てている場合が多かったという。庭先集荷は、そんな余っていた山菜や農作物を庭先に置いてもらい、一軒一軒庭先まで集荷を行う。また、出荷者には量に応じた現金が支払われる仕組みだ。
 同法人は採れたての山菜を出荷している他、専用調理場で漬物などに加工し、インターネットで通販も行っている。現在は10種類の加工品があり、その中でもウドの味噌(みそ)漬は特に人気だ。
 また、ウドの味噌漬けは2年連続で国際線の機内食に採用された。「機内食に採用された時は、とてもうれしかったです。今年も加工した商品が採用されることが決まりました。魚沼産農産物のPRにつながればと思います」と大島理事長は自信を見せる。



〈写真上:庭先で集荷する従業員(左)〉
〈写真下:加工品を作る従業員〉



深谷もやし・絵本監修、栽培キット販売など ―― 価値向上へ楽しく【埼玉支局・2015年6月1週号】

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 【埼玉支局】深谷市内で初のモヤシ製造業として1959年に創業した「(有)飯塚商店」(飯塚雅俊代表=51歳)では、「本当のモヤシの風味」を提供するため、創業当時と同じ手作業で「深谷もやし」を生産している。
 深谷もやしは、ミャンマー産のブラックマッペ種(ケツルアズキ)を栽培。収穫から洗浄、包装まですべて手作業で行う。
 一般的な太いモヤシに使われるエチレンガスの濃度を極力抑えて栽培することで、見た目は細いが、モヤシ本来の力強さやハーブのような香り、濃厚な味が特徴だ。1日に出荷できるのは500キロほど。200グラム160円程度で販売されている。
 消費者から「モヤシってこんな味なんですね。おいしい」と言われ、「自分が栽培するモヤシは間違いではない」と確信。「『モヤシは安いもの』という価値観を面白い活動で変えたい」と考えた。
 09年にモヤシの絵本「も〜やん・もんちゃんのキラキラ成長記(作画=ことな)」を監修し、モヤシができるまでをまとめた本を発売。絵本の作製を機に新聞や業界紙などに掲載され、テレビでも紹介されるようになった。
 11年には種と栽培マニュアルをセットにしたもやし栽培キットを販売。学校教材として好評だという。モヤシ関連商品をはじめ、町おこしのイベントなどでモヤシのつかみ取りや収穫体験など珍しい企画も実施する。
 飯塚さんは「面白い活動をこつこつ続けて思いを伝え、モヤシの価値を高めていきたい」と意気込む。



〈写真上:モヤシの出来を確認する飯塚さん。「細長く、濃厚な味がする」と深谷もやしの特徴を話す〉
〈写真下:とんとん市場深谷店で販売している500グラム入り〉



環境改善、作業着作り、情報交換会 ―― 農業女子増やしたい【広島支局・2015年6月1週号】

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 【広島支局】水稲80アール、野菜20アール(29種類)を栽培する、廿日市市友田の前川農園。姉の前川すずみさん(50)が代表を務め、妹の池田淳子さん(49)と力を合わせて、生産・加工・販売まで手掛けている。アパレル業、保育士という異業種から転職した二人は、「私たちの活動が、農業をする女性のためになり、地域の発展につながれば」と話す。
 「父の農地とノウハウを生かしたい」と前川さんと池田さんは、3年前に就農。「小規模農家は6次産業までやっていかないと」と、加工品作りにも力を入れる。
 二人は農林水産省が進める「農業女子プロジェクト」のメンバーで、女性が農業をする環境の改善やより良い道具などの開発に協力。さらに前川さんは、プロジェクトに参加する以前から県内のメーカーと作業着作りにも取り組む。「元気におしゃれに農作業できたら、若い子たちの職業として農業という選択肢も広がるのでは」と話す。
 また、地元の女性農業者らが疑問やちょっとした出来事を話し、情報交換する「廿日市農業女子会」でも交流を深めている。廿日市市役所の農林水産課・二宮理さんは「農業女子は担い手の一つの分野として重要。二人には、地域の農業女子のリーダーになり引っ張っていってもらいたい」と期待する。



〈写真:乾燥野菜を手に前川さん(右)と池田さん〉



もち麦のおいしさとヘルシーさをPR【香川支局・2015年6月1週号】

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 【香川支局】「もち麦は食物繊維が豊富で、食べたとき、もっちりとおいしいのが特徴です」とは、さぬき市鴨部の「株式会社農業工房かべっこ」(米・麦経営、六車孝雄代表)で、もち麦50アールを栽培している六車拓哉さん(31)。
 5年前、愛媛県の人から栽培を勧められたのがきっかけ。粘性が強いもち麦は、麦飯独特の「ぼそぼそ感」がなく、「もちもちした食感」を持つ。また、食物繊維の含有率が高く白米の約10倍。健康ブームと相まって、ヘルシー食品として注目され始めている。
 食べ方は、白米に混ぜて炊く他、リゾットやコーンスープに混ぜても良い。加熱調理すれば冷めても硬くなりにくく、食味も変わらない。「今後は、もち麦を多くの人に知られるようPRしていきたい」と拓哉さんは話す。



〈写真:「ぜひ一度食べてみてください」と商品を手に、もち麦の圃場で拓哉さん〉



リンゴの果実酒 ―― 地元で製造開始 町おこしに期待【北海道支局・2015年6月1週号】

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 【北海道支局】深川市の深川振興公社では、地元産リンゴを使った果実酒「ふかがわシードル」を販売している。
 果実酒造りは2010年に醸造会社に委託して始まった。昨年7月、市内に農産物加工施設が完成したことから、地元での製造をスタート。コストが抑えられ、安い価格での販売が可能となった。
 原材料には深川産の「つがる」「ハックナイン」の他20種ほどを使用。アルコール分は5%だという。
 リンゴを供給する同市音江町の田川大輔さん(38)は「町おこしにつながる一品になりました。観光や道の駅などで深川のリンゴをPRして消費拡大につなげたい」と話す。
 初回は700本を道の駅など市内4カ所で販売。道の駅の試飲コーナーでの反応は上々で、試飲後に購入した男性客からは「香りも良く、飲みやすい」と好評だった。
 各販売所とも初日から売れ行きは好調で、道の駅では用意されたおよそ300本が初日で完売した。



〈写真:ふかがわシードル。200ミリリットル入り378円、375ミリリットル入り685円(いずれも税込み)〉



特産ナシで飲むゼリー【群馬支局・2015年6月1週号】

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 【群馬支局】明和町のエバーグリーンファーム株式会社(新井尚登取締役、61歳)は、同町特産品のナシを活用した飲むゼリー「梨の雫(しずく)飲むゼリー」(税抜き200円)を製造、販売している。ストローで飲むタイプのゼリーで、「甘すぎず、スッキリと飲みやすく、お年寄りから若い方まで、特に女性に人気です」と新井取締役は話す。
 同社は地域振興を目的に、県の6次産業化事業計画の認定を受けて法人化。自家産小麦を使ったうどんを製造販売している中で、同町特産のナシの使用を思いついたという。
 新井取締役は「現在は、試験的な販売のため地域限定だが、これから生産量や販路を増やしていき、地域活性化のきっかけになるとうれしい」と話してくれた。



〈写真:梨の雫(しずく)飲むゼリー〉



防風林「大豆生産への技術と意欲、維持してほしい【2015年6月1週号】」

 

▼日本国内の大豆単収が年々わずかずつ減少傾向にある。水田転換畑の多い都府県平均で2001年産の平均184キロをピークに、13年産にいたっては136キロ。特に湿害を受けやすい作目だが、過去に本作化を目指したにしては生産基盤が脆弱(ぜいじゃく)と言えまいか。
 ▼農研機構・中央農業総合研究センターが、過去15年間の30道県における単収推移を調査した結果、多くが平均単収を下げる中、北海道のほか4県で増加傾向だった。「転換畑での大豆栽培は収量確保が難しい」との言い訳が必ずしも通るとは限らない。
 ▼単収が増加した県は、いずれも1ヘクタール以上の団地化率が高い転換畑産地だ。団地化圃場でのブロックローテーション効果について、同センターは(1)灌漑(かんがい)区域の設定で排水性が向上(2)播種・収穫・除草などの適期作業が容易(3)広範な一斉防除が可能――などを挙げる。
 ▼圃場ごとに異なる収量低下要因を把握し基本技術を細やかに行うべきだが、実践となると労力や時間もかかる。品種選定でも、大粒・外観・加工適性が重視される中で、出芽・苗立ちが優れた小粒品種は実需者からの要望が少なく作付けも多くない。
 ▼農林水産省の大型研究「大豆300A」(単収300キロ、品質A)で得た「耕うん同時畝立て」「狭畦密植」など有望技術を安定生産に生かし、日本伝統食の重要な食材として供給してほしいもの。飼料用米重視の政策変更により、水稲農家から大豆生産技術と意欲が、忘れ去られるようであってはならない。



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