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今週のヘッドライン: 2015年06月 2週号

地域通貨で信頼むすぶ お米とも交換できる「おむすび通貨」 ―― 愛知県豊田市など5市(1面)【2015年6月2週号】

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 愛知県豊田市周辺で使われる「おむすび通貨」は、米を基準とした「米本位制」の地域通貨だ。レストラン・スーパー・自動車整備工場など中小事業者への代金支払いに利用でき、有効期限後に中山間地で栽培される提携農家の米と交換できる。発行元の一般社団法人「物々交換局」で理事を務める米農家の鈴木啓佑さん(35)は「利用を広げることが重要だ。みんなが食べる米と替われば通貨の信頼も増す」と説明する。通貨を使って子どもたちが販売などを体験するイベントを開き、働く楽しさやお金の価値などを学ぶ機会としている。お互いが使い合うことでお金や人材の流出を防ぎ、個人商店など多様な産業の振興を図っている。

●地域通貨●
 地域活性化や環境保全などを目的に発行され、特定の地域や共同体だけで使える通貨。形式は、紙幣型のほか通帳型や小切手型などもある。米国や欧州などでは広く利用される通貨もあり、国内でも千葉県の「ピーナッツ」などの導入事例がある。

(1面)

〈写真:「農家も中小企業の一員。みんなが支援し合う仕組みに貢献したい」と、こども商店街で通貨を手に鈴木さん〉
〈図:おむすび通貨(むすび)の用途〉



改正鳥獣保護法が施行「保護」から「管理」に 適正個体数へ捕獲を強化(2面・総合)【2015年6月2週号】

 改正鳥獣保護法が5月29日、施行された。農業分野の野生鳥獣被害が深刻化する中、同法の目的に鳥獣の適正な「管理」を追加。生息数が著しく増加する鳥獣について、都道府県は管理計画を策定し、捕獲事業を実施できる。同時に、捕獲事業者の認定制度を創設、わな猟・網猟の免許取得年齢を引き下げた。施行とあわせて、農林水産省は同日、鳥獣被害防止特別措置法に基づく基本指針を改正。捕獲対策の強化の必要性を明記し、市町村と都道府県の連携を推進して捕獲体制を強化する。野生鳥獣被害は農産物への損害はもとより、営農意欲の低下による離農や耕作放棄地の拡大など地域営農にも深刻なダメージを与えている。捕獲者の安全確保を前提に、ジビエ(野生鳥獣肉)の振興なども含めた総合的な対策を着実に実行していく必要がある。

(2面・総合)


喜びも分け合って 共同で耕作する体験農園 「トコトコ農園」―― 埼玉県所沢市・NPO法人がんばれ農業人(3面・暮らし)【2015年6月2週号】

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 「野菜作りを通じた人との出会いやコミュニケーションを大切にしている。農業の楽しさ、大切さを伝えていきたい」と話す、「NPO法人がんばれ農業人」の代表を務める竹下保さん(76)。同法人は、埼玉県所沢市下富に「共同耕作・均等配分」型の体験農園「トコトコ農園」を開設し、管理・運営する。地域住民を中心とした会員(39人、家族と合わせ約50人)が約54アールで40種類以上の野菜などを共同で栽培し、収穫物は公平に分け合っている。今後も現状の規模を維持し、多くの人が楽しみながら参加できる農園を続けていく考えだ。

(3面・暮らし)

〈写真:休憩時間は会員が手作りした休憩所でとる。左から2人目が竹下さん〉



大豆共済/13年産は加入面積4割で被害 自然災害に備えて(5面・NOSAI)【2015年6月2週号】

 国産大豆の需要が高まっている。政府は3月末に閣議決定した「食料・農業・農村基本計画」で戦略作物の一つとして本作化を推進する。増産が期待される一方、大豆は収穫期の長雨など天候不順の影響を受けやすい作物でもある。イノシシやシカなどによる被害も中山間などを中心に依然、深刻だ。大豆生産の規模拡大が進む中、自然災害に対して大豆共済でしっかり備え、経営安定を図ることが重要だ。生産の現状や共済の仕組みを共子さんが済太郎君に聞いた。

(5面・NOSAI)



梅干し、ジャム、ピューレ、ふりかけ... 完熟ウメで加工し差別化 ―― 福井県おおい町・企業組合「うめっぽ」(13面・流通)【2015年6月2週号】

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 ウメ農家13人で組織する福井県おおい町岡安の企業組合「うめっぽ」は、70アールで「紅映〈べにさし〉」などを栽培し、主に梅干しやピューレを製造して販売する。原料には、樹上完熟させた「木成り完熟梅」を使い、差別化を図る。梅干しを漬けたときに出る梅酢で梅じおを作ったり、生理障害果のしこり部分を除いて梅肉やふりかけにするなど無駄なく使う。ピューレやジャムは業務用も対応し、製菓店などに卸す。どら焼きやようかんは製造業者から買い戻して梅干しと一緒に販売するなど、加工品を充実させている。

(13面・流通)

〈写真:梅干しを選別してパック詰めする〉



革新技術実用化へ 緊急展開事業実証研究の中間成果発表から ―― 農研機構・生研センター(15面・営農技術)【2015年6月2週号】

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 農研機構・生研センターは5月24日、東京都内で「農業の革新的技術に関する実証研究の中間成果発表会」を開いた。農林水産省の2013年度補正予算で100億円を措置した緊急展開事業(研究期間は14年から2年間)に取り組む64課題から、成果が顕著な11課題が報告された。民間や大学、独立行政法人などの研究成果を結集し、攻めの農林水産業を実現する革新的な技術体系の早期実用化を図るのが目的。その中から全国で普及が期待される2課題を紹介する。


《獣害対策》三重県農業研究所/ICTを用いたシカ、イノシシ、サルの防除、捕獲、処理の一貫体系技術の実証

《果樹生産》栃木県農業試験場/移植翌年に収穫可能なニホンナシ根圏制御栽培法による省力多収技術体系の実証


(15面・営農技術)


〈写真上:発表した同研究所の山端直人主幹研究員〉
〈写真下:発表した栃木県農業試験場の大谷義夫果樹研究室長〉




農水省/15年産飼料用米の中間状況 前年度実績から倍増も「一層の転換必要」(2面・総合)【2015年6月2週号】

 農林水産省は5月29日、2015年産飼料用米の中間的な取り組み状況(5月15日現在)を発表した。主食用米からの転換が進み、全国の生産数量は前年度実績比約2倍の35万トンに拡大した。ただ、米の需給安定には「一層の転換が必要」(農産部穀物課)。同省では、飼料用米などへの交付金申請に必要な「新規需要米取組計画書」の提出期限を7月末に1カ月延長し、JAなど関係機関と連携して伸びしろがある地域を中心にさらなる転換を促す方針だ。  都道府県や地域の農業再生協議会への聞き取りをまとめた。全国の作付面積は、3万ヘクタール増の6.4万ヘクタールとなった。都道府県別の生産数量は、栃木県が5万トン(9300ヘクタール)で最も多く、青森県3万4400トン(6千ヘクタール)、茨城県2万4300トン(4600ヘクタール)、宮城県2万3500トン(4400ヘクタール)と続く。  新規需要米取組計画書の提出期限延長は、すでに主食用として植え付けた水稲の用途を変更できるようにするのが目的。6月末までを提出期限とする営農計画書に変更が生じた場合は、修正申請が必要となる。また、水稲共済の加入内容(共済細目書)に変更が生じた場合は、NOSAIの組合等に連絡し、加入内容(共済細目書)を修正する必要がある。

(2面・総合)



図表で見る農業白書のポイント(12面・特集)【2015年6月2週号】

 先ごろ閣議決定された2014年度農業白書(食料・農業・農村の動向)は、特集で若者を中心に都市と農村を行き来する「田園回帰」の動きなどを紹介した「人口減少社会における農村の活性化」と、今後の施策の方向を示す「新たな食料・農業・農村基本計画」を取り上げた。地域資源を活用した農村づくりで農業者の所得を向上させ、農村のにぎわいを取り戻していく必要性を訴えた。主な図表から白書のポイントを紹介する。また、東京農工大学大学院助教の成田拓未氏に農業白書を読み終えての講評を寄稿してもらった。

(12面・特集)



ブランド豚 「味豊セレブゥ」―― 地ワイン飲ませ柔らかな肉に【香川支局・2015年6月2週号】

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 【香川支局】「愛する豚に、私の大好きなワインを飲ませてみました」と話す「増田畜産有限会社」社長の増田孝さん(三豊市高瀬町、38歳)。2013年から、オリジナルブランド豚「味豊(みとよ)セレブゥ」を、県内の飲食店に契約出荷している。さらっとした脂身と、ジューシーで柔らかな肉質が評判だ。
 味豊セレブゥは、讃岐三畜の讃岐夢豚にワインを与えた豚。出荷1カ月前から朝晩の餌やり前に、1頭当たり500ミリリットル飲ませる。「アルコールによって血行と食欲が増進され、他の肉豚よりも大きく育っています」と、増田さんはワインの効果を分析する。
 肉豚へのアルコール類の投与は前例が無く、効果も不明だった。しかし、肉豚の肥育期間と出荷間隔の短さによる復旧能力を武器に、すぐに企画の実現へ取り組んだ。
 種豚の飼育から肉豚の肥育までを行う一貫経営が主軸の増田畜産。年間およそ3600頭の肉豚を出荷している。都内の三ツ星レストランからも発注を受けるほど、肉質に高い評価を得ている。
 増田さんは県内外のイベントの際、ゲストやスタッフに豚肉料理を提供しており、特に音楽イベントでは定着している。「今後は味豊セレブゥを積極的にアピールし、周知に努めていきたい」と意気込む。


〈写真上:「ワインで育った味豊セレブゥ。もちろんワインとの相性は抜群」と増田さん〉
〈写真下:豚にワインを給与する増田さん〉





村復興へエゴマ ―― 加工・販売、種子を無料配布【福島支局・2015年6月2週号】

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 【福島支局】エゴマの栽培や商品開発を行う、鮫川村赤坂中野の「特産さめがわ合同会社」(前田勝之代表=57歳)。商工会員が出資して設立された同社では、生産者からエゴマを一律の価格で買い取り、県内外のスーパーなどに卸すほか、エゴマ油をはじめ、ドレッシングやサプリメントなど、加工品の製造販売にも力を入れている。
 原発事故後は売れ残りが発生し、農家からの買い取りを一部控えざるを得なかったが、2015年産の耕作面積は5月末現在、昨年に比べ80アールほど増え約5ヘクタール。
 村では本年度、エゴマに助成制度を設けて生産拡大を目指している。同社の買い取り価格に1キロ当たり300円を上乗せするというものだ。また、同社では耕作希望者に種子を無料で配布し、増産を目指している。
 商工会の高坂修一事務局長(65)は、「今年に入り若い世代の生産者が増えたのは喜ばしいこと。今後もエゴマの作付けを促していきたい」と新規耕作者開拓を目指す。
 前田代表は「鮫川のエゴマは生産者の方が丁寧に育てているので、香り高く味も濃いです。供給を安定させて、村復興の良いPRになれれば」と期待を寄せる。


〈写真:「種子の無料配布は継続したい」と、前田代表(左)と高坂事務局長〉





水稲布マルチ直播栽培 ―― 除草の労力軽減に威力【高知支局・2015年6月2週号】

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 【高知支局】「何年やっても難しいですね」と話す、室戸市佐喜浜町の西河誠司さん(54)。栽培する水稲約330アールのうち6アールで無農薬マルチ栽培を行っている。
 西河さんが行う水稲布マルチ直播有機栽培は、水を抜いて乾燥させた田に、不織布シート(1.1メートル幅)を2枚重ねて間に種もみを20センチ間隔で挟み込んだものを一面に張り、シートの下に深さ5~10センチの水を張る。シートを約2週間水に浮かせた状態で、根が出て葉が3枚出たら水を抜いて根を着土させると地中に根が張る仕組み(水田が凸凹だと不安定になるので注意が必要)。シートにより大部分の雑草が成長できないため、除草の労力軽減になる。
 「雑草対策になり、田植えの機械もいらないことが利点ですが、風の強い日などの作業はシートがあおられ、敷くのに手間がかかります。管理が大変ですが、今後も続けていきたいと思っています」と西河さんは笑顔で話してくれた。


〈写真:水稲布マルチ直播有機栽培のシート張り作業を行う西河さん〉





バラ「コンキュサーレ」―― 鮮やかな緑色が評判【愛知支局・2015年6月2週号】

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 【愛知支局】「咲く過程で花の形が大きく変化する。スプレー咲きなので、一本で段階の違う花を一度に楽しむことができます」と話す豊川市の榊原康之さん(58)は、58アールの園芸施設で一輪咲きやスプレーの数種類のバラを生産している。
 榊原さんが所属するJAひまわりバラ部会(39人)では、新品種の開発も行い、高品質で市場でも高い評価を得ている。
 昨年9月に出荷が始まった部会登録品種「コンキュサーレ」は鮮やかな緑色のバラで、丸みを帯びた珍しい形。名前の由来は「娘が、コンキュサーレという名前のバラが市場で売れている夢を見たことで付けました」と話す。
 アレンジフラワーでは葉の代わりにバラで緑色を加えることができると評判だ。
 市場では通常品種の3~4割増の価格で取引され、JAを通して全国の大手市場へと出荷される。「部会員とともにJAひまわり独自の品種を栽培していきたい」と話す。


〈写真:キャベツのような形をしたコンキュサーレを栽培する榊原さん〉





水温一定に保つ子牛の「水飲み装置」自作【長崎支局・2015年6月2週号】

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 【長崎支局】五島市田ノ浦町の木村秀和さん(33)は、子牛が飲む水の水温を一定に保つ「水飲み装置」を自作。冬場の水温低下で、あまり飲まない時期に役立てている。
 親と共同で繁殖和牛43頭を飼養する木村さん。冬場の子牛が濃厚飼料の食い込みが悪いのは、飲み水が冷たく飲む量が少ないのが原因ではと推測し、手作り水飲み装置を設置した。「飼料の食い込みが良くなり、以前より体重の乗りが良くなったように思える。下痢などの病気も減ったように思う」と手応えを感じる。
 材料は、熱帯魚飼育用ヒーター(110ワット)、おけやトイレ用フロートなど安易に手に入る物を使用。1万円前後で製作できるという。「牛に対し何をしたらどのように良いのか、また経営がさらに良くなるように常に考えている」と木村さんは話す。


〈写真:子牛が飲む水の水温を一定に保つ「水飲み装置」を紹介する木村さん〉





芝地鶏 ―― 天然記念物の保存に力【新潟支局・2015年6月2週号】

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 【新潟支局】旧栄町(現三条市)の原産で、鮮やかなオレンジ色に近い「芝地鶏」。三条市岩淵の岡村守さん(67)は、同市から天然記念物に指定されているこの地鶏の保存に取り組んでいる。
 芝地鶏は、江戸時代の北前船の流通経路をたどってやってきたといわれている。その後、新潟の地で交配を重ね、一品種として確立した。「岡村さんが会長を務める三条市日本鶏保存会では、毎年審査会を開催し、優良個体を認定するなどの活動を行っている。しかし、個人繁殖には限界があるため、飼育家が少ない。さらに、近親交配を繰り返すため、白毛が混じった個体が出ることもあるという。
 「地元原産で古くから愛されている鶏なので、ぜひ守っていきたい。大勢の人に見てもらい、皆さんから愛されるような環境が整えば」と岡村さんは強調する。


〈写真:岡村さんが育てた三条市指定天然記念物「芝地鶏」〉





防風林「整備計画は災害対策や景観にも配慮を【2015年6月2週号】」

 ▼5年後の東京五輪開催に向け、競技場や関連施設・都市開発の槌音(つちおと)が方々で響く。1964年の前回大会では、堀や運河を首都高速道路で覆い都心の景観は一変した。五街道の起点・日本橋からは日陰の川面と橋脚以外に青空も見えない。地図に残るだけに拙速な計画は後世に禍根を残す。
 ▼江戸期、日本橋の脇に魚河岸、京橋には青物河岸があり活気に満ちていた。船荷を降ろし、さらに小舟で市中に運搬、水辺と暮らしが密着した水運都市だった。
 ▼『東京時代MAP』(光村推古書院刊)は寛永期の古地図の上に、現代地図を描いた半透明紙が重ねられ見比べると興味深い。海を埋めたて高層ビルが、堀も車が往来する道路に変貌した。昔の風景は今や、池波正太郎氏などの時代小説に登場する場面でしのぶだけ。
 ▼関東大震災後、帝都復興院総裁に就いた後藤新平は、大区画再編など震災に強い都市計画を示すが巨額予算で実現せず、二十数年後の大空襲により東京は灰燼(かいじん)に帰す。
 ▼東日本大震災を機に、後藤の計画は高く評価されている。未来の地図には、大震災に備えた安全性や水辺のある景観のほか、住民が「連携・共助」できるシステムも描かれていてほしい。



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