ヘッドライン一覧 購読申込&お問い合わせ 農業共済新聞とは? 情報提供&ご意見・ご感想 コラム防風林

今週のヘッドライン: 2015年07月 1週号

牛や馬に蹴られる、踏まれる、挟まれる 乳牛による人の事故が増加(1面)【2015年7月1週号】

150701_01.jpg

 酪農家が乳牛に蹴られたり、足を踏まれたりする事故の報告数が増加している。北海道農作業安全運動推進本部によると道内の牛が原因となった死傷事故は、2013年度は716件で04年度の570件から25.6%増加している。農研機構・生研センターで農作業安全に関わる評価試験部の志藤博克室長は「事故で長期間、飼養管理から離れると経営に大きな影響を与える。特に夫婦2人など家族経営では継続できなくなる」と強調する。事故を未然に防ぐためには、牛へのストレス低減で突発的な行動を減らすことや、牛のさまざまな行動を予測しながら作業することが重要だ。現状や対策を有識者などに聞いた。

(1面)

〈図:牛による事故発生状況の推移〉

TPP/7月に閣僚会合開催へ 合意ありき認めぬ(2面・総合)【2015年7月1週号】

 環太平洋連携協定(TPP)交渉が一気に合意に向かう恐れが出てきた。米上院は6月24日、大統領に通商交渉権限を一任する「大統領貿易促進権限(TPA)法案」を可決した。下院は通過済みで、オバマ大統領の署名により成立する。米政府と本格交渉できる環境が整うことから、交渉参加12カ国は7月中の閣僚会合を調整する。甘利明TPP担当相は、夏以降に大統領選が本格化する米国の事情などを踏まえ、7月中の妥結を目指して交渉に臨む方針だ。ただ、これまで日米2国間協議で米や牛・豚肉の譲歩が報じられるなど生産現場では重要品目の譲歩への懸念・不安が増幅する一方だ。影響を受ける生産者や国民に必要な情報開示がないままで、重要品目などの聖域確保を求めた国会決議をないがしろにすることは、絶対に認められない。

(2面・総合)

天気の急変 どう身を守る? 局地的大雨や雷、竜巻への対処法 ―― 気象庁予報部予報課天気相談所・松本積所長に聞く(3面・暮らし)【2015年7月1週号】

150701_02.jpg

 これからの季節、農作業など屋外で過ごす時間が多くなりがち。近年、突然の局地的大雨や雷の発生が各地で相次いでいる。大気の状態が不安定になると竜巻などの発生も心配となる。天気の急変に対する注意点などを気象庁予報部予報課天気相談所の松本積(つもる)所長に聞いた。

(3面・暮らし)

〈写真:気象庁予報部予報課天気相談所 松本積所長〉

生産組合・部会の役職兼務 地域守る重責担う ―― 沖縄県・NOSAI沖縄(5面・NOSAI)【2015年7月1週号】

150701_03+04.jpg

 沖縄県は例年、台風などの被害が多い。NOSAI沖縄(沖縄県農業共済組合、比嘉俊昭組合長)では、共済部長(NOSAI部長)がNOSAI制度の理解の醸成や加入推進に果たす役割は大きい。共済部長は、生産組合やJAの部会で役職を持つなど地域営農に深く関わる場合が多い。普段からの呼び掛けのほか、勉強会など生産者が集まる機会に制度の説明を行っている。


 「農家の立場から、共済に入れば確実にプラスになると伝えている」と宜野座村宜野座の照屋勝弘さん(70)=サトウキビ1.3ヘクタール。共済部長と総代を務める。
 照屋さんは、宜野座村さとうきび生産組合の組合長でもある。本年度は生産組合に新たに4人が加わり208人となった。

必要不可欠なNOSAI
 台風は、サトウキビだけでなく水稲にも大きな被害をもたらす。特に水稲の二期作は収穫時期に台風の接近が重なりやすい。「被害の予想がつかない中で、共済はなくてはならないものだ」と名護市屋部の比嘉克也さん(53)=水稲70アール・ハウストマト25アールなど。共済部長と総代を務める。

(5面・NOSAI)

〈写真上:「パンフレットを使い、無事戻しなどの説明もしている」と照屋さん〉
〈写真下:比嘉さんは「今年は今のところ平年並みだ」と部会の水田を観察する〉

モモ/樹上完熟モモと加工品 高糖度果を厳選して直販 ―― 福島県須賀川市・阿部農縁(9面・流通)【2015年7月1週号】

150701_05.jpg

 福島県須賀川市和田の阿部農縁〈あべのうえん〉(寺山佐智子代表)では、25アールでモモを栽培し、規格外を除いた全量を直販する。樹上完熟させたモモと、生産者の顔が見える販売方法が人気を集め、県外への贈答用として引き合いが強い。50%以上を占める規格外品は「桃のコンポート」(シロップ煮)に加工し、市内のスーパーマーケットや県内外の催事で販売するなど無駄なく使う。阿部農縁の近況を伝える「紡ぎ新聞」を毎月発行するほか、お茶会やヨガ教室などを開いて消費者との縁を深め、販売の継続につなげている。2014年は加工品と合わせて約1千万円売り上げた。

(9面・流通)

〈写真:摘果作業をする佐智子さん(左)と正子さん。95%を落とし、残り5%に味を凝縮させる〉

ナシのジョイント仕立て/再育苗して大苗確保 定植本数が3分の1に ―― 福岡県久留米市・中村裕さん(11面・営農技術)【2015年7月1週号】

150701_06.jpg

 ナシ2ヘクタールのうち1.2ヘクタールでジョイント仕立てを導入する福岡県久留米市藤山町の中村裕さん(53)は、2メートル強の苗木を購入して曲げた状態で1年間再育苗し、全長5メートル程度の大苗を独自に確保している。苗木を地表から60度程度に傾けて定植し、直管パイプに誘引する。根を乾燥させないよう根元に稲わらや麦わらを敷く。株間が3.5~4メートルと広くなるため、定植本数が同仕立ての慣行と比べ約3分の1に減り、接ぎ木箇所も少なくて済む。ジョイント仕立ては7年前から導入し、剪定(せんてい)時間が改植前の3本仕立てと比べて約6割になるなど、省力化を実現している。

(11面・営農技術)

〈写真:定植4年目のジョイント仕立ての園地で新梢(しんしょう)管理する中村さん〉

気象庁が3カ月予報/今夏は曇り、雨の日多く 農作物の管理に注意を(2面・総合)【2015年7月1週号】

 気象庁は6月24日、7~9月の3カ月予報を発表した。低気圧や前線の影響を受けやすく、曇りや雨の日が多くなる見通し。農作物の管理には注意が必要だ。
 平均気温は、北・東・西日本でほぼ平年並みの見込み。降水量は、東・西日本で平年並みか多くなる。なお、同庁は、夏場に発生すると日本は低温や多雨、寡照となる傾向がみられるエルニーニョ現象が「強まりつつある」としている。

(2面・総合)

水稲除草剤散布に自作無線ボート【埼玉支局・2015年7月1週号】

150701_07.jpg

 【埼玉支局】「水田ボートで検索すると、インターネットの動画投稿サイトで自作の無線操縦ボートで除草剤を散布する様子が分かるから検索してみて」と話す、さいたま市岩槻区表慈恩寺の大島権男(のりお)さん(80)。3ヘクタールで「ミルキークイーン」や「コシヒカリ」などを栽培し、作業の省力化による米作りに取り組んでいる。
 インターネットで無線操縦ボートを使って除草剤を散布する様子を見て、遊びと実益を兼ねたボート散布に興味を持った大島さん。市販品では導入コストがかかるため、自作することにしたという。
 基となるボートは当初、発泡スチロールで作ろうと思ったが、サイズがちょうど良く、加工する必要もない市販のボディーボードを使用した。エンジンは、プロペラと一体型の模型飛行機のエンジンを使おうと思ったが、燃料が特殊でコストがかかるため、市販の草刈り機の4サイクルエンジンを利用。「煙が出ないため環境に優しく、燃料がレギュラーガソリンでコストも安い」と大島さんは話す。

〈写真:無線操縦ボートで除草剤を散布する大島さん〉

のり面で防草シート使い発電【山口支局・2015年7月1週号】

150701_08.jpg

 【山口支局】農地や農道・水路などののり面の有効活用と、除草作業の軽減へ――山口県農業用水小水力発電推進協議会(吹田愰会長=88歳)では、柳井市柳井の石井ダム管理用道路のり面80平方メートルで、フィルム型の太陽光発電を組み込んだ防草シート(防草発電シート)の実証試験を昨年4月から行っている。
 防草発電シートは、薄膜系アモルファスシリコン太陽電池でできていて、2メートル×4メートルのもの10枚。発電出力2.7キロワットで年間予想発電量は2740キロワット時。設置工事に1日、電気工事に1日、全工程2日間で完了したという。
 シートの利点は設置に架台がいらず、短時間で設置や撤去が可能で工事が簡素。最終処理は、はさみで切り家庭ごみとして廃棄できる。欠点は値段が高いこと。現在、生産量が増えコストが低減されていて、今後は安くなる見通しだ。

〈写真:のり面に設置された防草発電シート〉

メリット多い水稲鉄コーティング直播【茨城支局・2015年7月1週号】

 【茨城支局】水稲鉄コーティング直播栽培に6年前から取り組む桜川市の有限会社木植営農センター(佐谷英雄代表=74歳、構成員5人)。水稲38ヘクタールなどを生産する営農センターは、「コシヒカリ」と「日本晴」「マンゲツモチ」、新規需要米「あさひの夢」を作付けし、今年はあさひの夢7ヘクタールで鉄コーティング直播栽培を行っている。
 佐谷代表は栽培のメリットを四つ上げる。(1)コーティングする作業は農閑期にでき、種子は長期間保存できる(2)育苗の手間やコストがかからず、育苗ハウスも必要としない(3)苗出しなどの作業が無いので人手が少なくて済み、田植え時間も短縮できる(4)稲刈りの時期が移植栽培と比べ、10日ほど遅くなるので作業が分散化できる ―― ことだ。
 反面、圃場を平らにするなどしているが、全てが同じ硬さというわけにはいかず、発芽の途中で種子が腐ってしまったこともあるという。
 佐谷代表は「栽培を始めて1年目は除草、2年目は殺虫など1年ごとに課題をクリアしていく感じで、いまだに試行錯誤している」と話すが、「今年はあさひの夢だけだが、来年は他の品種にも拡大し、面積を徐々に増やしていきたい」と意気込む。

巨大シイタケを独自ブランドへ【新潟支局・2015年7月1週号】

150701_09.jpg

 【新潟支局】「魚沼の地で魅力のある商品を栽培して、自分の名前がブランドとして消費者に認められるような農業を目指しています」と目標を話す南魚沼市の高野将宏さん(31)。
 高野さんは、水稲12.5ヘクタール、八色スイカ1.5ヘクタール、アスパラガス20アールに加え、「八色しいたけ」14万菌床を栽培している。
 昨年から、巨大シイタケの「天恵菇(てんけいこ)」を導入し生産。今秋にはこの品種に全て切り替える予定だ。普通のシイタケに比べ、直径が約15センチと大きく、うま味成分量も3.2倍。特有の苦味は10分の1程度だという。
 「全てを切り替えるのは不安もあるが、期待も大きい。おいしいシイタケを皆さんに食べてもらいたい」と力強く話す高野さん。
 「農業をやりながら、旬の時期に自分で作ったものが食べられることに幸せを感じている。この幸せを一人でも多くの消費者に伝えていきたい」と意気込む。

〈写真:「おいしいシイタケを食べてもらいたい」とPRする高野さん〉

植木鉢使って空中栽培に挑戦【鹿児島支局・2015年7月1週号】

150701_10.jpg

 【鹿児島支局】中種子町納官の光時信さん(67)は、ビニールハウスで自作した栽培キットで試験的にトマトとナスの空中栽培を始めた。
 「ひかり果樹園」を経営し、ハウスなど24アールで60~70種類ほどの温帯・熱帯果樹や野菜を栽培する光さん。今年2月にトマトを空中で栽培する方法を知り、挑戦したいと思ったという。栽培キットも販売されているが、自作できないかと考え、比較的軽量で丈夫な樹脂製植木鉢を利用する栽培法を思いついた。
 「収穫したトマトを食べた人からは、『露地栽培よりも甘味がある』と評価は上々でした」と光さん。上に向いて育つトマトが下向きに植えられた場合、上に向こうとストレスがかかることで糖度が上がり、甘味が増すという。

〈写真:ハウスで自作した栽培キットと光さん〉

受け継がれてきた味をレシピ集に【北海道支局・2015年7月1週号】

150701_11.jpg

 【北海道支局】「食の大切さを知ってほしい」と、北見市常呂町の女性農業者グループ「トコロたべものプロジェクト(那須美由紀代表、約20人)」は、家庭料理や郷土料理を集めたレシピ本を作成。一般に販売する他、食育講座のテキストに利用している。
 那須さんは「地元で昔から食べられてきた料理、その家で受け継がれてきた味を、常呂で育つ子どもたちや嫁いできた若いお母さんたちに伝えたい、残したいという思いから作りました」と話す。
 タイトルは「トコたべレシピ集『しあわせ・ところごはん』」で、厳選した50品を掲載する。昨年春に北見市内を中心に発売。県外などからも問い合わせがあったという。

〈写真:レシピ集を手に那須さん〉

地場農産物のPRにピザを移動販売【宮城支局・2015年7月1週号】

150701_12.jpg

 【宮城支局】登米市迫町の菅原和哉さん(32)、由貴さん(26)夫妻はこのほど、石窯を搭載した移動販売車「石窯工房HAIJI(ハイジ)」で米粉ピザの提供を始めた。
 米粉には、実家の「ひとめぼれ」を使用。「"サクッ"と"もっちり"を共存させながら、厚くならないこと」を重点に、小麦粉との配合割合を試行錯誤した。米粉の一部を炒(い)ることで、香ばしさを増す工夫も凝らす。利用者からは「一般のピザより生地が甘い」と評判だという。
 市内の農産物直売所を拠点に、仙台市などのイベントにも出店。菅原さん夫妻は「移動販売の利点を生かし、登米市の農産物をPRしていきたい」と話す。

〈写真:菅原さん夫妻〉

ブランド米をかわいく包装【静岡支局・2015年7月1週号】

150701_13.jpg

 【静岡支局】ふくろいブランド米開発販売促進協議会(佐野勝馬〈さのかつま〉会長=61歳)は、袋井市産のブランド米「ふくほまれ」を販売している。
 ふくほまれは2008年に、同協議会の会員が「いのちの壱」の水田で突然変異を見つけ、試験栽培を繰り返し、品種名「ふくのいち」として、14年12月24日に登録が完了した。ふくほまれは登録商標。
 同協議会ではキューブタイプの小口包装(300グラム〈約2合〉、500円〈税込み〉)でも提供。包装がかわいく女性に人気だという。同協議会は「キューブタイプの小口包装なので、お土産やお祝い事の贈りものなどにピッタリ」と話している。

〈写真:キューブタイプの包装で女性に人気〉

防風林「研究の遅れた作物は淘汰(とうた)し、技術のみが復活させる【2015年7月1週号】」

 ▼「技術開発や機械化が遅れた作物は、次第に栽培されなくなるものだよ」。30年も前の記憶だが、今でも鮮明に思い出す。記者になりたての2年目、上司の鞄(カメラ)持ちとして旧・農業機械化研究所(現・生研センター)の理事長取材に同行した時の言葉だ。
 ▼「作付面積が急激に減少していった作物、君は何か知っているかね?」と突然、若造に質問の矛先が向けられ、首を左右に振ると「それはナタネだよ」。油糧作物のナタネ作付面積は昭和30年代には26万ヘクタールあり自給率は100%を誇ったが、1980年には2400ヘクタール、96年には590ヘクタールまで減少し、風前の灯だった。
 ▼当時は、栽培面積の減少に歯止めがかからない下り坂の真っ最中。輸入自由化で搾油用の低価格ナタネが流入し、国内農家が生産維持するには、極小粒の種子を効率的にロスなく、軟弱不整な圃場を動き回れる国産収穫機の開発が求められていた。だが当時、実用化には至っていない。
 ▼冒頭の言葉は、開発しなければ国内からナタネ栽培がゼロに転落するとの危惧から出た言葉だった。その後、汎用コンバインが開発され、今や稲・麦・大豆・ソバ・雑穀などに対応した収穫の中核を担い、もちろんナタネも可能だ。
 ▼北海道や青森などでこれまでも、細々と栽培が継続されてきた。近年では、景観維持や放射性物質の吸着、バイオディーゼル燃料として期待されている。無エルシン酸品種の育成、農機開発が相まって14年産では1470ヘクタールまで盛り返した。途切れない技術開発は作物を復活させるのだ。

» ヘッドラインバックナンバー 月別一覧へ戻る