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今週のヘッドライン: 2015年08月 3週号

中山間地域/トウモロコシ3種、ブドウ40種 品種の個性で勝負 ―― 岡山県吉備中央町・吉備高原ファーム(1面)【2015年8月3週号】

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「条件不利」でも経営拡大へ
店舗と宅配で全量販売

 「中山間地などの条件不利地でも、継続可能な農業のビジネスモデルを確立したい」と話す山本陽子さん(57)。代表を務める岡山県吉備中央町田土の有限会社吉備高原ファームでは、中山間地域で14ヘクタールの農地を集積してトウモロコシやブドウなどを栽培し、自営の直売所と宅配でほぼ全量を直販する。トウモロコシは生でも食べられる3品種、ブドウは40品種以上を作付ける。品種の個性や希少性で差別化を図り、詰め合わせは人気商品だ。高齢化が進み離農が増える中、水田を畑地化して土地利用型作物を作付けて規模拡大を図り、農地保全に努めている。

(1面)

〈写真:今年1月から正社員として働く小田晴己さん(19歳、右)にブドウの摘芯作業を教える山本さん〉

TPP閣僚会合/合意見送りも妥結間近か(1面)【2015年8月3週号】

 米・ハワイ州で開かれた環太平洋連携協定(TPP)閣僚会合は7月31日、目標としていた大筋合意を見送り、閉幕した。焦点の知的財産分野と乳製品の扱いなどで各国の利害対立が先鋭化し、溝が埋まらなかった。一方、その他の多くの分野は収れんした模様で、同日発表した共同声明では「妥結間近」を強調。早期妥結に向けた努力の継続を確認した。妥結ありきで突き進む日本政府は、すでに米や麦、牛・豚肉、乳製品など重要品目で軒並み譲歩を示唆。国内対策の検討にまで言及している。しかし、重要品目は地域の基幹作物で、安易な譲歩は国内農業・農村に深刻な打撃を与えかねない。重要品目など聖域確保を求めた国会決議の順守は国民との約束であり、政府には生産現場が「決議は守られた」と評価できる対応が求められている。

(1面)

農水省/15年産米の過剰作付け「ほぼ解消」 需給改善へ大きく前進(2面・総合)【2015年8月3週号】

 農林水産省は7月31日、食料・農業・農村政策審議会食糧部会(部会長・中嶋康博東大大学院教授)を開き、平年作なら2015年産米の生産数量目標は「ほぼ達成される」との見通しを示した。飼料用米などへの転換が大幅に進んだためで、過剰作付けは千ヘクタール程度に大幅圧縮される見込み。需給改善への期待から米価は回復の兆しも表れ始めた。ただ、目標が達成されても民間流通在庫量は過去の平均水準(200万トン)より多く、今後の作柄次第では需給緩和の可能性も残る。また、14年産の低米価でも米の消費減退には歯止めがかからなかった。今後の需給安定の鍵を握る飼料用米も国庫財源への依存度が高く、継続性に対する生産現場の不安感が強い。米の需給状況などを話し合った。

(2面・総合)

甘く肉質も良い「慶徳タマネギ」復活へ始動 ―― 福島県喜多方市・会津伝統野菜「慶徳タマネギ」栽培・普及の会(3面・暮らし)【2015年8月3週号】

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17戸で1万玉を作付け予定
 「喜多方市のオリジナル品種をなくすのはもったいない。栽培を通じて地域を活性化していきたい」と福島県喜多方市慶徳町の山内健一さん(66歳、アスパラガス80アール、水稲24ヘクタール、林業など)は話す。4月に設立した「会津伝統野菜『慶徳タマネギ』栽培・普及の会」(会員17戸)の会長を務め、生産者が少なくなった「慶徳中甲高黄(慶徳タマネギ)」の復活を目指している。今年から試験的に栽培を始め、会員全体で1万玉を作付ける予定だ。栽培方法の確立や品種改良を進めて増産を実現した後は、6次産業化による地域活性化を構想する。

(3面・暮らし)

〈写真:「採種用タマネギの生育は順調で200玉から6~8リットルを収穫する」と山内さん〉

冷凍真空パック「ソフトポーク」 生の豚肉をチン! ―― 鹿児島県南大隅町(10面・流通)【2015年8月3週号】

火をつかわず高齢者も安心 ギフト用の販売が中心
 「レンジで温めるだけ。いつでも手軽に食べられる豚肉です」と話す岬グループの石塚康秀代表。グループの「岬養豚」は、九州本島の最南端・鹿児島県南大隅町でブランド豚「本土最南豚(さいなんとん)」を生産する。「高齢者でも火を使わずに手軽に調理できるように」と、パックに入った生肉を電子レンジで1~2分加熱すれば食べられる「ソフトポーク」を開発した。塩たれ味とみそたれ味の2種類があり柔らかい食感が特徴だ。

(10面・流通)

電気柵/設置と運用の知識を身につけ 適正利用し効果向上(11面・営農技術)【2015年8月3週号】

漏電死傷事故の再発防止へ
 静岡県内で発生した鳥獣被害防止を目的とした電気柵の不適切な使用に伴う死傷事故を受け、行政や業界団体は電気柵の正しい設置・使用を呼びかけている。電気柵を扱う業者で組織する「日本電気さく協議会」の宮脇豊会長は「法律で定められた電気柵を正しく使用すれば事故が起こることはまずあり得ない」と断言する。電気柵は農家が丹精込めて育てる農作物を野生鳥獣から守る重要な資材の一つ。電気柵の仕組みや適正な活用方法をあらためて確認したい。

(11面・営農技術)

14年度の食料自給率(カロリーベース) 5年連続の39%(2面・総合)【2015年8月3週号】

 農林水産省は7日、2014年度のカロリー(供給熱量)ベースの食料自給率は、13年度と同率で5年連続の39%となったと公表した。米の需要量が減少したが、小麦と大豆の生産量が好天による単収増加と作付面積の拡大で増え、横ばいとなった。
 生産額ベースの自給率は1ポイント減の64%で、2年連続で減少した。需給緩和などに伴い国産米の価格が低下した。

(2面・総合)

酒蔵の要請で水稲「亀の尾」【京都府・8月3週号】

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 【京都支局】京丹後市弥栄町の藤原薫さん(89)は、町内の酒蔵から、明治に誕生した水稲品種「亀の尾」の栽培要請を受け、仲間と共に生産に取り組む。
 藤原さんは農業に従事しながら、農閑期は地元の酒蔵で杜氏(とうじ)を補佐する蔵頭として働く。農地は山に囲まれた野間地区にあり、およそ75アールで水稲を栽培。このうち10アールで作付けているのが亀の尾だ。
 田植えは5月上旬に行い、9月初旬には収穫する。「草丈が非常に長く、背丈くらいになるので、コンバインが詰まって刈り取りが大変。その上、穂発芽しやすく、刈り取る時期が非常に短いのも難点です」と栽培の苦労を話す藤原さん。異品種混入の防止も考え、10年以上同じ耕地で栽培を続けている。
 今年、野間地区で亀の尾を生産するのは藤原さんを含め3人。収穫した米は他の仲間の生産分と合わせて、藤原さんが働く竹野酒造有限会社で醸造。純米酒「亀の尾蔵舞(くらぶ)」の銘柄で販売される。
 同社の行待佳平代表取締役(60)は「亀の尾で搾られた酒は、甘口でキレの良いうま味が特徴です。14年前に3キロの亀の尾の種もみに出合ってから、酒造りは12回。多くの人と出会い、この品種の力強さにほれ込んだ生産者の皆さんの気持ちも込めて仕込んでいます」と話す。

〈写真:亀の尾の生育を確認する藤原さん〉


移動養蜂を続けて60年【島根県・8月3週号】

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 【島根支局】50年ほど前に浜田市金城町波佐に住まいを構え、浜田市と鹿児島県の2カ所を拠点に養蜂業を営む鹿児島県出身、加治木養蜂場の加治木魁(いさお)さん(76)。季節に応じ移動しながら養蜂業を60年間続けている。
 加治木さんは、4月上旬から鹿児島県でのレンゲの花や菜の花の採蜜が終わると、5月中旬から同町に咲くトチの花の採蜜が可能となるため、約500箱のセイヨウミツバチのうち蜂箱約180箱をトラックに積み込み金城町へ。季節に応じた移動で効率的な養蜂ができる。
 加治木さんは「島根の恵まれた自然と、多くの人の助けで養蜂を60年間続けられました。皆さんの支援に感謝して、これからも良質な蜂蜜を作り、恩返しをしていきたいですね」と笑顔で話す。

〈写真:「スズメバチ対策が必要」と加治木さん〉


ハヤトウリの新芽を出荷【福岡県・8月3週号】

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 【福岡支局】「野菜一つとってもさまざまな活用方法があります」と話す、宗像市池田の網脇幸代さん(53)。水稲10アール、ミカン30アールの他、ハヤトウリなどの野菜を60アール栽培している。
 綱脇さんは、日本ではあまり出回っていないハヤトウリの新芽を6~10月にかけて収穫。道の駅などに出荷する。
 「もともと、ハヤトウリの実だけを収穫していました」と綱脇さん。知人から、台湾ではハヤトウリの新芽の部分も収穫して料理に使っているという話を聞き、自らも取り入れたという。
 「これからも、野菜そのものだけでなくさまざまな視点から隠れた魅力を発見して、みなさんにお届けしたいです」と話している。

〈写真:ハヤトウリの圃場で網脇さん〉


「はこだて和牛」で飼料用米の給与試験【北海道・8月3週号】

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 【北海道支局】「はこだて和牛」のブランド名であか牛(褐毛和種)を肥育する木古内町の4生産者は、飼料用米の給与試験を始め、飼養改善とブランド定着を目指している。
 試験内容は朝夕の2回、配合飼料に重量比およそ6%の細かく砕いた飼料用米を混ぜて給餌し、配合飼料だけで育てた時の肉質と比較検討するというもの。飼料用米を与えた期間を3カ月、6カ月、9カ月、1年と区切り、段階ごとに細かく分析することにしている。
 生産者の一人、東出雅史さんは「サシの入りや最も大事な食味にどのような影響が現れるのか心配ですが、良い結果が出ることを期待しています。キロ単価は配合飼料と比べ飼料用米の方が安価なので、試験結果が良ければ飼料用米の重量比を10%ほどまで段階的に増やしていきたい」と話している。

〈写真:試験給餌する細かく砕いた飼料用米〉


ゴーヤーをソラマメの後作に【高知県・8月3週号】

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 【高知支局】大月町の谷忠男さん(56)は、ハウス3棟(20アール、19アール、22アール)でナスやオクラ、ソラマメを栽培。昨年からは夏場の空いた時期を利用して、ゴーヤーの栽培に取り組んでいる。
 「5月で栽培が終わるソラマメを収穫している時に植え付け、そのまま支柱をゴーヤーに利用できるので効率的です」と話す。
 今年は22アールのハウスで450本の「エラブ」という品種を栽培。出荷先はJAだけでなく、地元の産直市や道の駅でも販売している。
 谷さんは「昨年は苗を購入して栽培を始めましたが、今年はナスを加温している時期に暖房機の傍で種から発芽させるなど試行中です。今後も工夫しながらずっと続けていきたい」と意欲的だ。

〈写真:ゴーヤーを手に谷さん〉


地域の歴史を本や紙芝居に【新潟県・8月3週号】

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 【新潟支局】新潟市南区沖新保で農業を営んでいる田村義三郎さん(73)。休みのときは地元集落の歴史を基にした本や紙芝居を作っている。
 「地域の歴史を残し、伝えていくこと。自分の住む故郷に誇りを持ってほしい」と田村さんは強調する。
 2013年には、地名の由来などが記された「庄瀬地域の地名を読み解く」を発行。14年には庄瀬地域の地蔵建立にまつわるいわれを記した「庄瀬お地蔵さま」を発行した。作品は小学校や図書館などに寄贈している。
 今は地元地区にある名字の由来を綴(つづ)るため研究していて、「地域へのひたむきな思いをこれからも持ち続け、地元の歴史を紡いでいきます」と意気込む。

〈写真:発行された書籍を手に田村さん〉


高校生が米粉のレシピ開発へ意欲【栃木県・8月3週号】

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 【栃木支局】オリジナルの米粉加工食品を3年生の課題研究で作る、宇都宮白楊高等学校の米粉研究チームの4人。藤田政弘食品科学科長は「2人一組で来年1月の課題研究発表に向け、米粉マカロンと米粉蒸しパンをそれぞれ研究・製造しています」と話す。
 米粉マカロンを作る竹澤愛莉さん(18)は「つやが出にくく、ピエができにくい。お店で焼き方のこつなどを勉強しています」と意気込む。
 米粉蒸しパンを研究する大栗杏華さん(18)は「焼き上がりは米粉特有のもっちり、ふわふわした食感でとてもおいしいですが、時間がたつと、それが無くなってしまうので水分量などを調整しています」と課題点を話す。
 藤田科長は「手軽にできる米粉の加工食品のレシピを考えていきたい」と若い力に期待を寄せている。

〈写真:オリジナルの米粉加工食品作りをする生徒ら〉


珍しい品種の野菜栽培楽しむ【香川県・8月3週号】

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 【香川支局】「野菜の珍しい品種を見つけて育てるのが楽しみです」と話すのは、まんのう町真野の石﨑洋一さん(73)。水稲35アールの他、ナバナやオクラ25アールを栽培する傍ら、自家用として多種多様な作物を周年栽培している。
 通信販売を利用して、食味や色、形の異なる品種を探し、種を取り寄せて栽培。「香川県の気候では育てにくい品種があり、失敗することもありますが、家族が『おいしい』と喜んでくれるのが励みになります」
 5人の孫たちは「おじいちゃんのピーマンは、苦くないから大丈夫」と、好き嫌いはほとんどなくなった。家族の評判が高い野菜は、近所の人にも食べてもらっている。
 石﨑さんは「さまざまな品種にトライしたい」と目を輝かせながら話す。

〈写真:UFOピーマン2号(右)と、一般的なピーマン〉


防風林「戦後70年、経済高度成長期下の農業には大きな変化が【2015年8月3週号】」

 ▼今年は戦後70年。日本人は焼け跡から復興に立ち上がり、重化学工業などの発展を契機に高度経済成長へと押し上げた。都市開発と農村経済を支えたのは、出稼ぎの男たち。営農は「3ちゃん農業」に委ねられ、農薬・化学肥料・農機の普及で収量確保と軽労化が実現した。
 ▼かつて、福島県で循環型栽培に取り組む50代の水稲農家を訪ねた帰り際、彼は「父親から、『農薬と化学肥料を減らして米が作れるのか。絶対に反対だ』と怒鳴られた」と回想する。
 ▼彼は高校卒業後、工場で働きながら父親の米作りを手伝っていた。雑誌で紹介された有機農業の記事に興味を抱く。だが、真っ向から否定された。「親父の米作りは、農協指定の防除暦とNPKの施肥設計がすべてだった」。
 ▼冷害を契機に土壌疲弊が指摘され、求められたのは堆肥や深耕による地力増進だ。父親から「自由にやれよ」と許されたのはその直後。減農薬は近隣農家との軋轢(あつれき)を生んだが、今や安全・安心が求められる時代。
 ▼増産から減反へ、転作から飼料米へと変遷するが、猫の目農政だけは不変。集約化や米価低迷など、戦後70年以降の米作りに不安は多い。息子世代へ安心してバトンを渡していいのか岐路に立っている。

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