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今週のヘッドライン: 2015年08月 4週号

色彩と在来種でニンジン差別化、全量直販 ―― 愛知県碧南市・鈴木啓之さん(1面)【2015年8月4週号】

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 「農業に可能性をすごく感じる。もっと農業を面白くできる」と愛知県碧南市日進町の鈴木啓之さん(31)。代表を務める鈴盛農園では、ニンジン1.2ヘクタールなどを栽培し、全量直販する。色鮮やかな7色のニンジンを作付けるほか、在来種も食味が良く在圃性に優れるため、主力品種で導入する。商品名には、就農を後押ししてくれた祖母・りりさんへの感謝を込めて「スウィートキャロットリリィ」と名付けた。販売先には、客層に合わせた自作POPを提供し、ブランド化を徹底する。就農4年目の今年は、前年の売り上げを半期で達成した。伝統を引き継ぎつつ、若者の感性で工夫を凝らして経営拡大している。

(1面)

〈写真:サツマイモを収穫する啓之さん(右)と林さん〉

ジャガイモシロシストセンチュウ/国内で初確認 根絶へ防疫体制の強化を(2面・総合)【2015年8月4週号】

 農林水産省は19日、北海道網走市内の一部圃場で、ジャガイモ生産に甚大な被害をもたらす難防除病害虫・ジャガイモシロシストセンチュウ(Gp)を国内で初めて確認したと発表した。発生範囲の特定調査を開始するとともに、土壌の移動防止などまん延防止対策を徹底する。新たな病害虫の侵入・まん延により、農業生産が深刻な打撃を受けた例は少なくない。近年でもウメやモモなどの核果類を侵すウメ輪紋ウイルスなど国内未発生病害虫が侵入し、産地に大きな影響を与えている。Gpは、土壌を介して移動するため、同省は「対策を徹底すれば、急速にまん延する恐れはない」(植物防疫課)とするが、早期根絶へ万全の対応が求められる。

(2面・総合)

畜産農家対象に獣医師の「無料相談」 電話で経営をサポート ―― 静岡県・NOSAI静岡(5面・NOSAI)【2015年8月4週号】

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 NOSAI静岡(静岡県農業共済組合連合会)は、8月から畜産農家を対象とした獣医師による「無料相談」の農家支援サービスをスタートした。飼養管理の基本的な疑問から飼料メニューの見直しまでさまざまな相談を電話で受け付け、必要に応じて獣医師が農場に出向き話を聞く。担当の庄司知憲獣医師は「まずは雑談などどんな話でもいいので電話していただきたい。農家の方と一緒になって問題点を探し、改善していきたい」と話す。

(5面・NOSAI)

〈写真:畜舎内を案内する熊ヶ谷さん(右)と庄司獣医師〉

箱わな40基を無償設置 イノシシ・シカ害減少へ ―― 奈良県・宇陀NOSAI(5面・NOSAI)【2015年8月4週号】

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 奈良県の宇陀NOSAI(宇陀農業共済組合、小松儀平組合長)は、箱わな40基を無償で設置し、多発する有害獣の被害減少に貢献する。2014年度はイノシシ53頭、シカ47頭を捕獲した。NOSAI職員がわな猟免許を取得し、業務の傍ら管理や野生獣の処理を行う。

(5面・NOSAI)

〈写真:わなの仕掛けを設置する植森さん(右)とNOSAI職員〉

「ブロック式」ローテーションで殺虫剤の抵抗性管理へ(10面・資材)【2015年8月4週号】

作用機構ごとに分類コード設定 害虫の世代に応じて散布
 近年、薬剤抵抗性をつけた害虫の発生が後を絶たない。薬剤抵抗性の発達を抑えるため、同一薬剤の連用を避け複数の薬剤を組み合わせるローテーション散布が呼び掛けられている。農薬メーカー有志で構成する「殺虫剤抵抗性管理委員会(IRAC〈アイラック〉)」では、殺虫剤を作用機構ごとのグループに分けた分類コードを作成し、害虫の世代に応じた「ブロック式」ローテーション散布を推奨している。

(10面・資材)

肥育牛/胸囲と腹囲から手軽に体重を推定 ―― 熊本県農業研究センター畜産研究所が開発(11面・営農技術)【2015年8月4週号】

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出荷時期確認にも
 「牛の体重を客観的に把握して、目標通りに増体しているか確認するのに役立ててもらいたい」と話す熊本県農業研究センター畜産研究所の守田智研究参事。肥育牛の胸囲と腹囲の合計値から体重を推定する計算式を開発した。合計値から推定体重が一目で分かる早見表も提供する。

(11面・営農技術)

〈図:肥育牛では胸囲と腹囲を測定〉

明日のNOSAIの私の期待(5) 獣医師と一緒に考えながら経営 ―― 宮崎県新富町・鈴木孝則さん(1面)【2015年8月4週号】

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 農家経営のさらなる安定に向けて、政府は収入保険制度検討調査事業を実施する。併せてNOSAI制度の改正も予定される。農業のセーフティーネットへの期待や意見、要望を、NOSAI部長などに聞く。(不定期連載)

 (宮崎県新富町新田、繁殖牛120頭、肥育牛100頭、53歳)

(1面)

〈写真:鈴木孝則さん〉

農水省が全国の電気柵を点検 7千カ所で不適切な事例(2面・総合)【2015年8月4週号】

安全確保徹底へ通知発出
 農林水産省は19日、全国の鳥獣被害防止にかかる電気柵9万9696カ所を点検したところ、全体の7.1%に当たる7090カ所で不適切な事例が見つかったと発表した。安全対策が不十分な電気柵が多数確認されたことから、同省は、地方農政局や農業関係団体などに電気柵施設の安全確保の徹底を求める通知を発出した。

(2面・総合)

レモンの魅力広めたい【広島県・8月4週号】

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 【広島支局】「生販一体で瀬戸田レモンの魅力を広めたい」という目標を掲げ、かんきつ農家としてスタートした井上裕文さん(31)。昨年11月に尾道市瀬戸田町に移り住み、先輩農家の指導を受けながら、250アールの園地でレモンや温州ミカン、「不知火(しらぬひ)」、ハッサクなど7種類のかんきつ栽培に精を出す。
 自身が瀬戸田レモンの魅力を広めたいと思っていたこと、県がレモンのPRに力を入れていることなどから、瀬戸田町でのかんきつ栽培にチャレンジする決意をした。
 かんきつ栽培の経験は全くなかったため、地元の農家に師事し技術を身に付けている。「瀬戸田はレモンの生産量が日本一の産地であり、かんきつの歴史がある。先人が試行錯誤し、代々受け継がれてきた技術や知恵を吸収したい」と話す。
 「素材そのもので勝負するには外観だけでなく味や作物の安全・安心が大事」と、有機JASの認証だけでなく、G-GAP(グローバルギャップ、国際的な適正農業規範)の取得も視野に入れる。作り手がいなくなった畑の管理を徹底し、5年後には有機レモンの面積を1ヘクタールまで増やす計画だ。
 「有機JASの認証を受けたら、生食だけでなくオリジナルの加工品に挑戦したい」と井上さんは意欲を燃やす。

〈写真:大谷さん(右)に教わりながら摘果する井上さん〉

完熟マンゴーを販売しファン増やす【静岡県・8月4週号】

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 【静岡支局】三島市玉川の鈴木農園、鈴木貴之(すずきたかゆき)さん(40)は、ビニールハウス2棟(15アール)でボックス栽培を取り入れたマンゴー作りに取り組んでいる。
 ボックス栽培とは、通気、排水に優れた専用鉢を使用する栽培法で、根の成長を抑制してストレスを与えることで、高糖度のマンゴーを実らせることができる。また、鉢単位で管理するため、確実な施肥管理や微妙な水分量のコントロールが可能という。
 鈴木農園では早取りはせず、完熟しネットに自然落下したマンゴーを収穫する「完熟収穫」を徹底しているため、手元に届いたらすぐに食べることができる。
 「購入されたお客さまがリピーターとなり、マンゴーがあまり好きでなかった人も『鈴木農園のマンゴーを食べたら好きになりました』と言う声をきくと農業をやっていてよかったと思います」と鈴木さんは話す。

〈写真:マンゴー農園で鈴木さん〉

ベリーなどの色素で塩に彩り【青森県・8月4週号】

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 【青森支局】むつ市緑ヶ丘で「ベリーオーチャド下北」を経営する大平貞仲さん(64)、南さん(32)親子は2003年からベリー類を栽培している。現在は主力のブラックベリーやボイズンベリーの増殖に力を注ぎ、食塩やフルーツソースなどの加工・販売にも取り組んでいる。
 収穫されたベリーは冷凍保存される他、加工品に姿を変える。商品開発・製造は主に南さんが手掛けている。中でも人気商品は「コレクション・天然色塩」として販売されている食塩。ベリーの他、カボチャ、ホウレンソウ、レモンなど天然成分の色素での発色が特徴だ。一本一本手作業で瓶詰めし、市内外をはじめ、東京都内にも出荷している。
 南さんは「私たちが作るユニークなお塩でお客さまが生活を楽しんでいただければ幸せです」と笑顔で話す。

〈写真:人気商品を手に南さん〉

イノシシよけ防護柵 安価でも効果抜群【福島県・8月4週号】

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 【福島支局】白河市の金子満さん(68)とイチ子さん(69)夫妻は、廃材などを使ってイノシシよけ防護柵を手作りした。空き缶をつるして音をたてるようにしたところがポイントだという。
 自宅付近にある農地は約300アールと広いため、電気柵を設置すると相当な費用がかかる。「低コストで効果のある防護柵が設置できないか」「音が出るような柵であればイノシシよけになるのでは」と考え、製作した。
 金子さんの柵は、廃パイプを5メートル間隔で地面に立て、コンバイン用結束ひもを張り、所々に空き缶を2個ずつつるしている。缶は飲み口部を切り取り、底に穴を開けてひもを通してある。
 今年3月、農地の外周約450メートルに設置したところ、8月4日現在まで、イノシシ被害はなく、柵内に入られた形跡もない。「非常に安価で作成できるのでお薦めです」と金子さんは話している。

〈写真:農地の外周約450メートルに設置〉

米貯蔵庫に木炭 結露や虫の発生ゼロに【宮崎県・8月4週号】

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 【宮崎支局】日向市平岩の黒木忠雄(くろぎただお)さん(73)は、米を貯蔵する際に炭の吸湿効果に着目し、貯蔵庫内に木炭を入れることで、長期間の貯蔵でも米の品質が維持できるようになった。
 早期水稲50アールを栽培する黒木さんは、これまで収穫した米を米穀貯蔵缶に入れて保管。内部が結露し虫が発生するなど、品質の低下に悩んでいた。そこで、使わなくなったドアや家庭用エアコンなどを再利用し、30キロ入り玄米約50袋の収納が可能な米貯蔵庫を製作した。 
 しかし、思ったような効果が得られず、試行錯誤を重ね、吸湿効果のある木炭に注目。地元の木炭生産者から購入して貯蔵庫に入れてみたところ、エアコンを使わなくても結露や虫の発生がなくなった。「木炭はこまめに天日で干せば、何度でも使用できる」と黒木さん。
 「さらに効果的な貯蔵ができるよう、今後も改良を重ねていきます」と意欲的だ。

〈写真:木炭の優れた吸湿性を利用し米を貯蔵〉

鶏にオリーブの葉の粉末を給餌【香川県・8月4週号】

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 【香川支局】県産オリーブ葉の粉末を飼料に混ぜて親鶏に与えた「オリーブエッグ」を、三木町の農事組合法人「東山産業」(志渡節雄組合長、採卵鶏30万羽飼養)が販売。「黄身の味わいが濃厚」と、2013年の発売から根強い人気を誇っている。
 卵の外観は褐色で、黄身には女性の妊娠初期に必要な葉酸を一般的な卵と比べて1.7倍含んでいるのが特長だ。葉酸には体内でビタミンB12の吸収を助ける働きもあるという。
 営業担当の志渡聡一郎さん(39)は、「オリーブハマチやオリーブ牛と比べて、まだまだ知名度が低いので、多くの人に知ってほしい」と話す。

〈写真:オリーブエッグを手に志渡さん〉

杜仲の葉でアイスクリーム【福井県・8月4週号】

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 【福井支局】地元産の野菜や農産物・水産物加工品などを販売する、若狭高浜駅横にある「高浜市場きなーれ」では、高浜町の町木である杜仲の葉を材料にした杜仲茶アイスの製造・販売に取り組んでいる。
 アイス作りは「地元で生産したものを地元で活用したい」という思いをきっかけに始まった。試行錯誤を重ね、杜仲の葉を練りこんだクッキーを入れるなどして爽やかな口当たりに仕上げた。また、スイカやモモなど季節限定の商品もあり、地元の生産者が持ち込んだものを加工して販売している。

〈写真:「高浜食べごろアイス」〉

防風林「後世に残したい原風景はみんなの手で維持保全を【2015年8月4週号】」

 ▼夕日が海に沈む日本海。新潟浜とそれに続く松林は少年期に夕暮れまで駆け回った原風景。公園整備で景観は当時と一変したが、赤く結実するグミとハマナスの群生は今もわずかに残っている。
 ▼太宰治と並ぶ「無頼派」作家・坂口安吾は、中学校の授業を抜け出しては、この浜辺に寝転び荒海と大空を眺め続けていたという。「ふるさとは語ることなし」と刻まれた歌碑が、松林の一角に座し日本海と真向かっている。
 ▼江戸後期、幕府は水運の要衝である長岡藩領の新潟港周辺を天領とし新潟奉行所を設置、初代奉行に任じられたのが川村修就(ながたか)だ。海風に舞う大量の飛砂が街や畑を侵食する被害を食い止める目的で、数キロに連なる砂山に約3万本の松苗を川村も自ら植え、防風林の造成に心血を注いだのだ。
 ▼明治後期から昭和初期に活躍した詩人・北原白秋は大正11年、新潟浜を散策し帰京後まもなく一編の詩を創作した。「海は荒海 向こうは佐渡よ」で始まる「砂山」。この詩に山田耕筰(こうさく)と中山晋平が曲をつけた。歌詞の3番に「帰ろ帰ろよ ぐみはらわけて」の一節からでも、当時の砂浜は、真っ赤な小さい実を付けたグミが野原のように広がっていたことが想像できる。
 ▼川村が築いた防風林は今も残る。だが今、マツクイムシ被害などで茶色く枯れた木々も多い。都会や農村にかかわらず、後世に残したい風景が誰の心の中にもあるはず。誰の物でもない共有財産は、住民や望郷する全ての人が維持保全を考えるべきだ。

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