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今週のヘッドライン: 2015年09月 2週号

女性の感性フルに/レストラン軸に多角化 年2万人集客 ―― 栃木県鹿沼市・有限会社「花農場あわの」(1面)【2015年9月2週号】

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 女性の社会進出促進が政府の成長戦略に位置付けられ、女性活躍推進法が制定される中、農村でも女性農家の活躍が期待されている。栃木県鹿沼市中粕尾の有限会社「花農場あわの」は、同名の農家レストランを農家女性6人で運営し、自家産のハーブ類や野菜を使ったピザやパスタなどを提供する。レストラン横に整備した農園には、200種類ほどのハーブ類や草花が一年中彩りを見せ、自由に散策できる。草花はドライフラワーに加工して販売するほか、リース作りなどの体験メニューも用意。女性客をターゲットに、レストランを軸にした経営の多角化を進め、年間約2万人が訪れる。経理事務を持ち回りで担当するなど、スタッフ全員が経営者としての意識を持ち、18年間運営を続けてきた。

(1面)

〈写真:販売用のミニブーケを作るメンバーら。「けんかしても一日寝ればみんな忘れちゃいますよ」と笑う〉

改正農協法が成立 現場の意向最優先に(2面・総合)【2015年9月2週号】

 改正農協法が8月28日、成立した。(1)単位農協へ公認会計士監査の義務付け(2)理事の過半数を認定農業者か販売・経営のプロにする(3)JA全中の一般社団法人への移行 ―― などが柱。来年4月に施行される。ただ、政府が改革の目的とする「農業所得の増大」とのつながりは、国会審議でも明確にされず、生産現場や関係者の理解・納得は不十分なままだ。地域での暮らしへの影響が懸念される准組合員の事業利用制限も5年間の実態調査後に検討となり、火種が残った。JAグループは、10月のJA全国大会で今後3カ年の自己改革をまとめる。農協は、農家による民間の相互扶助組織であり、地域インフラとしても重要な役割を担う。市場原理を押し進める政府の改革追従ではなく、生産現場の意思反映を最優先に、組合員が主体的に運営する自立した農協の再構築が求められる。

(2面・総合)

重大な病気・けがの症状を知って 救急車の賢い利用を(3面・暮らし)【2015年9月2週号】

 9月9日は「救(9)急(9)の日」。命に関わる重大な病気やけがでは、ためらわずに救急車を呼ぶことが大切だ。一方、救急車の出動件数は近年、増加傾向にある。救急搬送にかかる時間も遅延傾向にあり、消防庁は救える命を確実に救うために救急車の賢い利用を呼びかけている。消防庁が「ためらわず救急車を呼んでほしい症状」などをまとめた「救急車利用リーフレット」を紹介する。

(3面・暮らし)

2016年度予算概算要求 強い農業の実現に重点(4面・特集)【2015年9月2週号】

 農林水産省が8月31日にまとめた2016年度予算概算要求は、総額で15年度当初予算比14.8%増の2兆6547億円を計上した。新たな食料・農業・農村基本計画などに基づき、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村の実現につながる施策に重点配分した。予算概算要求資料から、主な新規・拡充事業の概要などを紹介する。

(4面・特集)

米粉パン/店舗と移動で顧客広げる ―― 広島県三次市・福田千加子さん(11面・流通)【2015年9月2週号】

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 「姿形が変わってもお米はお米。米粉パンの魅力を伝えて、たくさんの人に味わってほしい」と話すのは、広島県三次市和知町で米の生産販売と農作業受託に取り組む、株式会社福田農場(福田一之代表)の福田千加子さん(46)。米粉用米として栽培する「あきろまん」や自家産野菜を原料にした米粉パンなどを販売する直売所「米粉ハウス・米豊霧〈まいほうむ〉」の店長を務める。一日約20キロの米粉を使用し、あんパンやクリームパンなどの定番商品に加え、季節限定など毎日40~60種類を並べる。公共施設やイベントでの移動販売も行い、一日平均400個を売り上げる。生産した農作物を2次加工することで付加価値を高め、地域内外に顧客創出を図っている。

(11面・流通)


〈写真:100以上のレパートリーの中から厳選して、その日作る米粉パンを決める千加子さん〉

イノシシ、サル被害/作業道整備が効果 ―― 香川県さぬき市・豊田自治会(13面・営農技術)【2015年9月2週号】

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 中山間地域にある香川県さぬき市大川町田面の豊田自治会(28戸)では、山中に設置したイノシシとサルの侵入防止柵に沿って、軽トラックが通れる幅5~10メートルの作業道(緩衝帯)を整備している。見晴らしが良くイノシシやサルが出にくくなったほか、日頃の柵管理が容易だ。集落全戸で年3回実施する草刈りで、機械や資材が運びやすい利点もある。省力的な柵管理に加え、イノシシの捕獲やサルの追い払いを組み合わせ、2011年以降は獣害がほとんどなくなった。休耕地120アールが復田するなど集落に活気が生まれている。

(13面・営農技術)

〈写真:柵に沿って整備した作業道は軽トラが走れる幅を確保している〉

農林水産省/16年度予算概算要求 NOSAI関係予算は890億8千万円(2面・総合)【2015年9月2週号】

 農林水産省は8月31日、2016年度予算概算要求を決定し、財務省に提出した。総額は15年度当初予算比14.8%増の2兆6497億円を計上。農業農村整備事業など公共事業費は18.7%の増額を要求したほか、水田活用の直接支払交付金は14.7%積み増した。畜産・酪農の基盤強化にも重点配分した。年末の予算編成に向けた作業が本格化する。
 NOSAI関係予算は、3億9900万円減の890億8千万円を計上した。このうち概算要求の重点事項に盛り込んだ「収入保険制度検討調査費」は、1億9900万円減の2億5700万円を要求。保険料や保険金の水準設定などに必要な過去の農業収入のデータ収集と、15年産(14年に加入、16年に納税申告)を対象に試行的に実施して制度の実施方法などを検証する事業化調査を行う。

(2面・総合)

大豆共済/収穫前に被害申告を(5面・NOSAI)【2015年9月2週号】

 10月上旬になると早い地域では、大豆収穫が始まる。大豆は湿害など自然災害を受けやすい作物だ。今年は夏の西日本太平洋側を中心とした日照不足など天候不順や、8月の台風15号の大雨や強風による影響が懸念されている。NOSAIが実施する「大豆共済」では風水害や干害など自然災害による減収を補償し、農家経営を支援している。大豆共済の損害評価の仕組みについて共子さんが済太郎くんに聞いた。

(5面・NOSAI)

加工用クリ契約販売 産地に再び活気を【愛媛県・9月2週号】

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 【愛媛支局】JAえひめ南鬼北くり同志会は、国内大手の和菓子製造販売会社「源吉兆庵」との加工用クリ契約販売を開始。これを契機に産地の活性化を目指している。
 同会は、鬼北町・松野町の農家約300人が所属。120ヘクタールで「日向」「筑波」「石鎚」などの品種を栽培している。最盛期は千トン以上のクリを出荷していたが、外国産の増加や高齢化の影響で生産量は減少。現在の出荷量は50トンほどだ。
 2013年、JAえひめ南・宇和島市・鬼北町・松野町は、源吉兆庵と農林水産物の供給や加工などに関する連携協定を結び、加工用クリの契約販売を開始。同社に販売するのはL以上で、水選で選別された比重の高いものだ。
 昨年の販売実績は7.5トンで、今年は昨年以上の販売を計画。同志会は市場販売とともに、加工用クリの安定供給を目指し、生産量の増加に取り組んでいる。伊勢屋重一会長(68)は「契約販売によって需要が増え、農家の生産意欲も高まっている。価格が安定すれば、クリを栽培しようと思う農家も増えるのでは」と期待を込めて話す。

〈写真:園地を見守る伊勢屋会長(左)とJA果樹指導員の小川豊明さん〉

農産物の残留農薬 簡単・迅速に分析【宮崎県・9月2週号】

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 【宮崎支局】宮崎県総合農業試験場、大阪大学、神戸大学、株式会社島津製作所で構成する研究・開発チームが、農産物の残留農薬などの成分分析を全自動で、しかもこれまでの半分以下の時間で処理する装置を開発し、国内外から注目されている。
 同チームは、農産物の残留農薬500種を50分という短時間で分析できる「Nexera(ネクセラ)UC」を共同開発。これまで残留農薬分析は、水溶性成分と油溶性成分に対し、別々の装置で調べていた。ネクセラUCは「超臨界流体二酸化炭素」を用いることで、これらの検査を1台で処理することができる。
 同試験場が開発している残留農薬分析技術でも、検査に必要な前処理や抽出に60分を要する。ネクセラUCでは、15分と大幅に短縮され、成分の測定もこれまでの60分から35分に短縮できる。開発に携わってきた同試験場の安藤孝生産流通部長は「日本から輸出される農産物の安全性に基づく信頼を確保・維持していくため、技術的分野に貢献したい」と話す。

〈写真:「米国の分析機器展示会で金賞も受賞しています」と安藤部長〉

若者が中山間地で伝統野菜を守る【宮城県・9月2週号】

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 【宮城支局】農業を通じて地域の発展に取り組む登米市の鎌田大地さん(22)。東和町米川の母親の実家で一人暮らしをしながら、自らが村長を務める「木漏れ日農園」で伝統野菜を中心に80種の野菜を無農薬で栽培している。
 栽培する伝統野菜は、ささげ豆類や、登米市内の集落名を冠した「荒町菜(登米町)」「長下田うり(石越町)」など。地種(じだね)の採取によって受け継がれてきたが、栽培戸数の減少とともに存続が危ぶまれている。
 東北大学農学部を今春卒業した鎌田さんは、在学中からこの土地に通い、畑や林、住宅を整備しながら栽培していた。「10年ほどほったらかしの土地でしたし、ほぼ斜面なので楽ではありませんでした。でも『目は臆病。手は鬼』って本当ですね」と話し、「若者だって中山間地で生きていけるというモデルケースになりたい」と目を輝かせる。

〈写真:地域経済の活性化を見据える鎌田さん〉

TMRセンターが酪農後継者を育成【北海道・9月2週号】

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 【北海道支局】中頓別町のTMRセンター「株式会社デイリーソウル中頓別」は、所有する牧場で研修生を受け入れ、地域の酪農後継者の育成に積極的に取り組んでいる。
 同社は町内の酪農家10戸で設立され、委託農地510ヘクタールを管理。牧草の収穫や濃厚飼料を調製し、年間1万800トンの飼料を構成員に配送する。昨年、構成員の1戸が離農することになったことから、同社が施設と乳牛全頭を引き継ぎ、研修生を受け入れた。
 研修生の棈松智通(あべまつ・ともゆき)さんは「経験を積み、早期の新規就農を目指しています」と話す。
 同社代表取締役の栗林松三さんは「この牧場から巣立っていった研修生3人の中には町内で就農を希望し、来年就農を予定する人もいます。一人でも多くの研修生が中頓別町で就農してほしい」と期待する。

〈写真:左から研修生の藤本康子さん、棈松さん、従業員の石井翔太さん〉

もちきび 良心市の人気商品に【高知県・9月2週号】

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 【高知支局】中山間地の香美市香北町吉野の畑地3アールで「もちきび」を栽培する渡辺一生さん(73)、文さん(72)夫妻。収穫した野菜は近くの良心市で販売している。
 「子供のころに食べた、もちきびの味が忘れられず、20年ほど前に友達に種を分けてもらった」と文さんは話す。
 「カラスや虫に悩まされるが消毒は行わず、農薬不使用で栽培している」と一生さん。収穫時期が短いため、播種時期をずらすなど工夫する。収穫後は朝早く良心市に出荷。すぐに完売する人気商品だ。
 一生さんは「以前は香北町でも、もちきびを栽培する農家は多くいたが、今は少なくなった。二人が元気なうちは作っていきたい」と話す。

〈写真:もちきび畑で一生さん〉

バウムクーヘンでナシを包み込む【鳥取県・9月2週号】

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 【鳥取支局】「二十世紀」ナシを丸ごとコンポートにしたものを芯にして焼き上げたバウムクーヘン「天女の梨クーヘン」。株式会社プレマスペース(鳥取市田園町)では、2013年からこの商品を販売している。
 果実の形を生かしたスイーツとして好評で、14年度に優良ふるさと食品中央コンクール(一般財団法人食品産業センター主催)で農林水産大臣賞を受賞した。
 県内の店舗「ぱにーに」で商品を製造販売。天女の梨クーヘンは湯梨浜店で焼き上げる。
 芯となるナシは地元の選果場やナシ農家から仕入れる。ナシは新鮮なうちにコンポートに仕上げられ、年間を通しての販売が可能だ。同社の伊澤雄之助専務取締役(43)は「湯梨浜町は二十世紀ナシの本場。地域をイメージできるスイーツとして看板商品にし続けたい」と話す。

〈写真:天女の梨クーヘン〉

トマトのジュレが評判【島根県・9月2週号】

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 【島根支局】「真っ赤な益田SUNトマトジュレ」は、トマト丸ごと1個を、トマトをたっぷり使ったジュレで包んだ逸品。益田市で年間約1万8千個を安定出荷している。
 「おしゃれで味も抜群。丹精込めて作ったトマトをいい商品にしてもらえて、本当にうれしい」と益田トマト部会(32人)の大畑広史部会長(40歳、トマト80アール、メロン25アール、ホウレンソウ25アール)。
 100%益田産トマトで作られた同商品にはS玉トマトを使用している。
 販売元のJAしまね西いわみ地区本部の中村幸大課長代理(41)は「農家さんは、いいトマトを作ろうと頑張っています。そのトマトの付加価値を上げるために開発しました」と話す。

〈写真:真っ赤な益田SUNトマトジュレ〉

防風林「水田の生きもの調査で知った人間社会の在り方【2015年9月2週号】」

 ▼久しぶりにズボンやTシャツが泥まみれになった。参加した水田の生き物調査、カメラとメモ帳を畦際に置き、網を手にザクザクと株元の水底をすくう。ほかの参加者は希少な水生昆虫を次々と捕獲していたが、着衣の汚れほど成果は上がらなかった。
 ▼栃木県有機農業推進公開圃場の見学会が8月末、塩谷町の特栽米農家・杉山修一さん方の水田で開かれた。参加者は消費者など約20人、中には著しく生態に詳しい方もいて希少種の昆虫も捕獲できた。タガメやタイコウチ、ゲンゴロウ、コオイムシ、ヤゴなどを小型の同じ水槽に入れていたはずだが、いつの間にか姿を消した昆虫が何種類かあるのに気がついた。これは、自然界の食物連鎖が原因だ。
 ▼「弱肉強食の最上位に位置する生き物が何かがわかれば、生物多様性の度合いが明確になります」とは、指導した水田環境鑑定士の説明だ。生物には必ず餌となる捕食関係があり共存する。水質が保たれ生物の種類が豊富な水田ほど、昆虫類の生存競争も厳しく命がけになるのだ。
 ▼一方、人間社会にも厳しさはある。夏目漱石が著書『草枕』で「智に働けば角が立つ。情に棹(さお)させば流される」と、この世はとかく住みにくいと嘆いた通り、現代人にとっても煩わしい人間関係が一番のストレス要因。
 ▼最近、いじめや暴力が原因で自ら命を絶ったり、命を奪うなどの痛ましい事件が相次いでいる。人間社会はルールや相互理解で形成されていて、自然界のタガメとヤゴのような捕食関係ではありえない。身近な水田には、人間と水生昆虫の相まみえぬ異質な社会環境があるのだ。

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