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今週のヘッドライン: 2015年10月 2週号

TPP交渉 大筋で合意/国会決議を逸脱(1面)【2015年10月2週号】

 政府は9日、全閣僚で構成する「TPP総合対策本部」(本部長・安倍晋三首相)を設置した。大筋合意した環太平洋連携協定(TPP)交渉で影響を受ける農業分野などの対策の検討に着手する。TPPの自由化率(関税撤廃の割合)は95%に上り、農産物の関税交渉は、米国などからの市場開放圧力に屈して総崩れ状態となった。米の無税輸入枠設定や牛・豚肉関税の大幅削減なども受け入れ、米や牛・豚肉など重要品目を「除外または再協議」とするよう求めた国会決議は無視された。国内農業への大打撃が避けられない合意内容に、農家からは強い不満や不信、怒りの声が噴出している。政府には、生産現場が納得できる十分な説明と、正確な影響試算などを踏まえた実効性ある万全な対策の早期提示が求められる。

(1面)

農業高校 農や食を担う人材を育成(1面)【2015年10月2週号】

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 「農業高校が地方創生の拠点になる」と全国農業高等学校長協会の德田安伸理事長。近年、各地の農業系高等学校(農業高校)では、特性を生かした競技会・イベント参加や、地域振興に向けた研究などが取り組まれ、農や食を担う人材の育成に期待を集める。
 都市部の農業高校などでは、普段は触れられない体験などを求めて入学希望も増えているという。
 全国の農業系高等学校の生徒たちが加盟する日本学校農業クラブ連盟(農業クラブ)は今月下旬に群馬県で大会を開く。各校の研究成果を報告し合い、互いの農業技術や交流などを深めている。

(1面)

〈写真:授業で初めてコンバインを操作し稲を刈り取る。緊張や喜びの表情も(滋賀県長浜市、長浜農業高校)〉

15年産米/生産数量目標 初の達成が確実に(2面・総合)【2015年10月2週号】

再生産可能な米価確保を
 2015年産主食用米の生産数量目標は、達成が確実な状況となった。農林水産省が2日発表した15年産主食用米の予想収穫量(9月15日現在)は、過剰作付けの解消と、平年並みの作柄見通しから、前年産比41万5千トン減の746万7千トンとなり、目標を4万トン程度下回った。16年6月末民間流通在庫量は、前年同期比23万トン減の207万トンとなる計算だ。すでに各JAの概算金は、前年産比を上回る水準となっている。ただ、2年前の水準には届いておらず、稲作農家の経営は依然厳しい状況にある。さらに大筋合意した環太平洋連携協定(TPP)交渉に伴う無税輸入枠の影響懸念も広がる。再生産可能な米価を確保し、将来に向けて営農継続が見通せる環境整備を急ぐ必要がある。

(2面・総合)

麦共済 高い補償割合で加入を(5面・NOSAI)【2015年10月2週号】

 まもなく麦の播種が始まる。麦作は、収穫時期が梅雨と重なるため作柄が天候に左右されやすく、年ごとに収穫量が大きく変動する。安定経営を図るには、できるだけ高い補償水準で麦共済に加入してほしい。四つの加入方式のうち「災害収入共済方式」は、収穫量の減少だけでなく、穂発芽など品質の低下も補償するため、加入が増えている。麦共済の仕組みについて、共子さんが済太郎くんに聞いた。

(5面・NOSAI)

トマト/3品種を独自に商標登録 贈答用に引き合い ―― 岡山県新見市・株式会社「クニファーム」(11面・流通)【2015年10月2週号】

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 岡山県新見市哲多町の株式会社「クニファーム」では、中玉や大玉トマト3品種を「バンビーノ」「ボーノ」「グランディ」と商標登録して売り出す。「土作りで水をしぼることなく、甘味と酸味のバランスがとれたトマトに仕上がる」と国友正明代表(57)。樹上完熟させ、傷が一切ない果実を木箱に入れて2200円(1.5キロ)からインターネットで直売する。自宅用のほか、中元など贈答用として人気だ。規格外品の有効活用としてトマトジュースやジャム、ドレッシングなどの加工品開発も進めている。

(11面・流通)

〈写真:「完熟の一番おいしい状態のトマトを届けたい」と国友代表〉

改正航空法 産業用無人ヘリ防除も申請許可制に(13面・営農技術)【2015年10月2週号】

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 国土交通省は、無人航空機の飛行禁止空域や飛行方法を定めた航空法の一部改正が9月に成立し12月初旬の施行に向け、細則を定める省令策定に入っている。これを受け農林水産省は2日、無人航空機による農薬散布等が普及する現状から、関係者を集め法律改正内容と今後の利用に関する説明会を開いた。農薬散布で105万ヘクタール(2014年)の実績を持つ産業用無人ヘリコプターも事前の申請・認可が必要になる。「ドローン」「マルチコプター」と称される小型無人機が首相官邸屋上や多くの人が集まる場所での落下事故などが続発、緊急的に基本的ルールを定めたもの。

(13面・営農技術)

〈図:改正航空法で定められた許可を必要とする空域〉

森山新農相が会見 TPP国内対策に重点「政府全体で責任持つ」(2面・総合)【2015年10月2週号】

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 第3次安倍改造内閣が7日発足し、農相には自民党TPP対策委員長の森山裕衆院議員が就任した。会見で、大筋合意した環太平洋連携協定(TPP)交渉の影響を十分精査した上で「将来にわたって意欲ある農林漁業者が、希望を持って経営に取り組めるよう政府全体で責任を持って、万全の国内対策を講じていく」との決意を表明した。

(2面・総合)

〈写真:森山新農相〉

大筋合意の内容 政府資料から概要紹介/TPP軒並み譲歩へ(4面・特集)【2015年10月2週号】

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 環太平洋連携協定(TPP)交渉は5日、大筋合意した。ただ、日本政府は、焦点だった農産物の関税交渉で、重要品目でも関税削減や輸入枠の設定を認めるなど軒並み大幅な譲歩に踏み切り、生産現場では影響への懸念や先行き不安などが広がっている。重要品目を中心に政府が7日までに公表した資料から交渉結果の概要を紹介する。

(4面・特集)

〈図:米および米粉などの国家貿易品目〉

純牧之原産のオリーブオイルが好評【静岡県・10月2週号】

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 【静岡支局】牧之原市片浜の海沿いにある山本勝重オリーブ農園でオリーブを栽培、管理する山本勝重さん(37)。ガーベラ切り花栽培の傍ら、20アールのオリーブ園でオリーブの生産から加工までを手掛け、純牧之原産のオリーブオイルを誕生させた。
 昨年は、オリーブオイル(105グラム)250本を販売した。一粒一粒手摘みで収穫し、その実をそのまま搾った果汁100%のエキストラバージンオリーブオイルは、雑味が少なくフレッシュで果汁のような味わいだと好評だ。
 昨年まで搾油の工程を外部委託していたが、今年からイタリア製搾油機の導入に踏み切った。また、新たな試みとして地元の茶師協力のもと「オリーブのお茶」を完成。爽やかな苦味が心地良く、すっきりとした味わいに仕上がった。山本さんは「オリーブオイルの味は木の成長とともに変化します。牧之原産でしか表現できない味をぜひ試していただきたい」と話す。

〈写真:オリーブ畑で山本さん〉


3月に本格就農 農地集積し水稲12ヘクタール【滋賀県・10月2週号】

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 【滋賀支局】「地元の農業を大事にしていきたい」。今年3月に実家で本格就農した栗東市下戸山の川﨑俊介さん(32)は人・農地プランを活用して水稲の栽培規模を大幅に拡大。家族や地域の協力を得て、収穫の秋を迎えている。
 昨年12月には妻・沙耶未さん、母・弘美さんの3人で家族経営協定を締結。力仕事は自身が、会計や出荷準備などは女性陣が担う。
 「地元の方が気に掛け、協力してくださるから農業を続けていける」と感謝する川﨑さん。農地の集積は地域の協力で、水稲作付面積が昨年の約10倍の12ヘクタールに増えた。減農薬栽培米「下戸山こだわり産直米」を販売する。
 また、川﨑さんを中心に、地元の野菜などを味わう体験型イベント「下戸山マルシェ・はなもも市」を11月1日に開催し、栽培したもち米を使用した赤飯などを振る舞う予定だ。川﨑さんは「3年後には法人化し、将来は地元の若者も受け入れていきたい」と力を込める。

〈写真:川﨑さん夫妻。母と妻が会計や出荷作業を担当する〉


冬ニンジン 播種時のわらふり機械化【長崎県・10月2週号】

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 【長崎支局】県内有数のニンジン産地・諫早市飯盛町では、冬ニンジンの播種時に欠かせないわらふり作業を機械化することで、作業時間の短縮と労力軽減を図っている。
 JAながさき県央ニンジン部会南部支部は研修で岐阜県を訪れ、機械化されたわらふり作業を視察。視察した機械を参考に、飯盛町に適した機械の導入検討が始まった。
 昨年、手押し型のわらふり機が完成。さらに今年はエンジン付きのわらふり機が完成した。わらふり機の導入で収穫量の向上や作付面積の拡大も期待される。
 同市飯盛町の馬場一真さん(22)はニンジン3ヘクタール、ジャガイモ3ヘクタール、水稲2ヘクタールを栽培。「今年から導入しました。作業時間が短くなり、作業効率は昨年と比べものにならないくらい良くなりました。さらに作付面積の拡大も考えています」と話す。

〈写真:エンジン付きわらふり機を使う馬場さん〉


露地キュウリ畑にソルガム植栽し防風対策【香川県・10月2週号】

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 【香川支局】緑肥作物のソルガムを露地野菜の風害対策に取り入れる高松市牟礼町の牟礼和幸さん(67)。露地キュウリ7アールの周囲に植栽し、「風を受けると、しなりながら風を逃がすので、倒れにくい」と話す。
 キュウリを定植する2カ月前から、ポットに播種する。圃場には3方を囲むよう、全長120メートルに20センチ間隔で3列定植。3カ月後に高さ4メートルに成長し緑の壁となる。
 ソルガムの種は、通常1キロ1500円ほど。低温で管理すれば数年は使える。また、用が終わればトラクターですき込み、次作の土作りに利用できるなど、経済的だ。
 「すき込みの時期が遅れると、種が飛散して周りの農地に迷惑がかかってしまう。また、茂り過ぎると日当たりが悪くなり、病害虫が増えるので、密植しないことが重要」と話している。

〈写真:露地キュウリを守るソルガム圃場で牟礼さん〉


草刈り刃を再生 みんなのために【岩手県・10月2週号】

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 【岩手支局】摩耗や欠刃などで使えなくなった草刈り機の替え刃を加工し、新たに刃を作って再利用する奥州市の佐藤仁志さん(81)。遠方からの依頼もあり、頼りにされている。
 農作業の傍ら、草刈り機の替え刃の再利用は20年以上前から続けているという。加工手順は、先端の刃の部分を削り落として研磨しながら刃を作るのが基本的な流れ。独自に改良した卓上グラインダーで角度の違う種類の研磨砥石(といし)を使い分けながら作業する。
 「今では近隣地域や遠方から頼まれることもある」と佐藤さん。1カ月に平均で約20枚の依頼があるが、一度に30枚以上を依頼する顧客もいるという。料金は刃の状態に合わせて1枚当たり200~500円で引き受けている。

〈写真:「状態に合わせて道具を使い分けています」と佐藤さん〉


葉タバコの経験生かし観賞用花トウガラシ【岡山県・10月2週号】

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 【岡山支局】高梁市川面町の片山忠男さん・シズコさん夫妻は、観賞用花トウガラシを栽培して4年目。以前は葉タバコ60アールを2代にわたり50年近く栽培していたが、葉タバコ減反の流れを受けて花木へ転換した。
 葉タバコで培った防除技術や、農機具などがそのまま使え、転換はスムーズだったが、新たなことに挑戦するのは苦労があったという。
 5月に定植し8月下旬から9月中旬に収穫。収穫後に不要な葉や枝を剪定(せんてい)する一手間はいるが、収穫期間が長いため、水稲や他の作物の世話と調整が付けやすい。
 「雨による病気と害虫に気を使うが、花トウガラシの栽培は難しいものではない。また、手先を使うので、ボケ防止の意味も含めて、夫婦二人三脚でこれからも頑張りたい」と片山さん。

〈写真:花トウガラシ「カメレオン」を手に片山さん〉


ブナ林活用しマイタケ【新潟県・10月2週号】

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 【新潟支局】「広大なブナ林を有効活用したい」とマイタケの栽培を始めた旭アグリ研究会事務局の山岸健二さん(上越市大島区田麦、69歳)。同市大島区田麦の約70ヘクタールのブナ林の一角でマイタケの菌床栽培を行う。
 ブナ林を利用した栽培には利点が多く、山の傾斜が降雨の際、菌床への浸水を防ぐ他、ブナの木漏れ日が適度な採光を保ち、腐葉土からは多くの栄養を吸収できるという。
 同会ではマイタケのオーナー制度も実施。1口1500円で5個の菌床オーナーになれる。オーナーは5月の菌種の植え付けと、9~10月の収穫を体験できる。春作業終了後は交流会を開催し、体験活動以外のイベントも楽しめる。「キノコの保存法やマイタケ料理のレシピを冊子で配布しています」と山岸さんは話す。

〈写真:マイタケの菌床の様子を見る山岸さん〉


防風林「稲の言葉を聞くには汗して反復した経験から【2015年10月2週号】」

 ▼「稲のことは稲に聞け」「農学栄えて農業滅ぶ」などの言葉を残した明治期の農学者・横井時敬。現場主義の姿勢を崩さなかったという。
 ▼苗を植え、茎数や穂数を数え、握って着粒を量る。止葉の傾きや葉色から収穫適期を予想する。「何十回と繰り返しても米作りは難しい」と謙虚に話す何人もの水稲農家に出会ってきた。
 ▼学生時代、縁あって山形県のとある水稲農家のもとで約1カ月の実習をさせていただいた。除草剤施用の数日後に、突然の大雨で薬剤が流れヒエが大繁茂。田んぼ作業は初めての経験、裸足で田に入りひたすらヒエを抜いて丸め泥中に突っ込み足先で深く押し込んだ。その繰り返しで1日目にして辟易し、「こんな作業の繰り返し、疲れて頭の中は空っぽ、何も考えられない」と愚痴った。農家は笑って「まっ頑張って」と一言だけ。
 ▼翌日も終日ヒエ抜き作業。ところが単調作業に慣れたのか、頭の中は空腹で夕食のことばかり。「今日は何を考えた?」との問いに「肉がたくさん入ったカレーを食いたいと考えてた」と言う。さらに2日後、「農家がこんなに汗水流して作った米の価格が安すぎる。なのに減反は許せない」と農業問題に発展していた。例の問いに「農政や稲のことを考えてました」
 ▼「百姓は下を向いて汗だけ流してるわけではない。土と雑草と作物と向き合い、生育や販売のこと将来の農業のことを考えてるんだ」と農家。稲のことは稲に......何度も汗して反復してこそ理解できるのかも。

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