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今週のヘッドライン: 2015年11月 1週号

高収量・高品質の大豆で収益確保 水田140ヘクタールの価値守る ―― 福岡県久留米市・Farm Zen(1面)【2015年11月1週号】

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 水田約140ヘクタールを支える福岡県久留米市善導寺の集落営農組織「Farm Zen(ファーム ゼン)」は、収量・品質の高い大豆の生産で、米価低迷の中でも収益を確保する。大豆は、基盤整備の進んだ条件の良い土地だけで作付け、排水対策や土壌改良を徹底するとともに、作業員の技術向上などにも力を注ぐ。2014年産は10アール当たり平均収量284キロ、上位等級比率85.6%を達成。基盤整備の進んでいない湿地の水田では、特別栽培米の生産に挑戦。緑肥を作付け、景観を生かしたイベント開催で米の付加価値を高めるなど、水田の価値を守る営農体制を確立している。

(1面)

〈写真:「今年は良い大豆が取れそうだ」と篠原代表。周辺は基盤整備が進み、圃場が直線的に並ぶ〉

農水省/TPPの分析結果を公表も 具体的な影響は不透明(2面・総合)【2015年11月1週号】

 農林水産省は10月29日、米や麦、果実や野菜など21品目について、環太平洋連携協定(TPP)で想定される影響分析結果を明らかにした。米や麦は「価格下落が懸念される」として競争力強化の必要性などを提起。果実や野菜などは「影響は限定的」と評価しつつも「長期的には価格下落が懸念される」として、体質強化対策などの必要性を強調した。政府は、今月25日にも農業対策を含めた国内対策の大綱をまとめる。ただ、今回の分析は、近年の輸入動向などをもとに整理したもので、地域別の影響や特定品目の関税撤廃が他品目の消費に与える影響などは考慮されていない。TPPが及ぼす経済効果なども明確になっていない中、強引に対策を打ち出すのではなく、生産現場の不安や懸念に向き合い、きめ細かな対応こそ求められている。

(2面・総合)

世界の伝統菓子ヒントに商品開発 夫妻で作るピオーネに思い込め ―― 岡山県吉備中央町・太田佳美さん(3面・暮らし)【2015年11月1週号】

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 岡山県吉備中央町案田の太田佳美さん(32)は、夫の勝豊(かつたか)さん(41)とともに、ブドウ品種「ピオーネ」を栽培する佳豊庵(かほうあん)を経営する。和歌山県から岡山県に移住し、新規就農して3年目。「加工ありきの農業」を軸に、生果のほか、ピオーネのドライフルーツを使った菓子などを販売する。フルーツカッティング教室や農業体験希望者の受け入れなど、一大産地の中で、生産から加工、販売に、果物の魅力を伝える取り組みをプラスした新しい農業スタイルの確立を目指している。

(3面・暮らし)

〈写真:収穫時期には二人で1年間の成果を確認する〉

伝統野菜「佐土原ナス」 復活の物語を訴求力に ―― 宮崎市・佐土原ナス研究会(5面・流通)【2015年11月1週号】

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 伝統野菜「佐土原(さどわら)ナス」を復活させ、地域特産物としてブランド化に取り組むのは、宮崎市の農家13戸で構成する「佐土原ナス研究会」。「たった4粒の種からよみがえった奇跡のナス」をキャッチコピーに、市内の直売イベントなど対面販売で知名度を向上。物語性を商品パッケージに込めて消費者への訴求力としてきた。卸会社の宮崎中央青果を通じて、スーパーや居酒屋チェーンなどに出荷する。管理を定めた栽培指針と優良系統の選抜で、収量と品質を高め、宮崎市を代表する伝統野菜となっている。

(5面・流通)

〈写真:佐土原ナスを収穫する加藤さん。「歴代の会長が築き上げてきたものを受け継いで、次の世代につなげていきたい」と話す〉

大雪やゲリラ豪雨 加入の大切さ伝える ―― 北海道・道南NOSAI(5面・NOSAI)【2015年11月1週号】

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 北海道南西部を管内とする道南NOSAI(道南農業共済組合、橋本清一組合長)では、NOSAIと組合員農家との橋渡し役として、NOSAI部長が活躍する。年6回発行する広報紙の配布のほか、水稲共済細目書の取りまとめや被害申告の呼び掛けなどを行う。近年は、大雪やゲリラ豪雨など極端な天候が頻発する中、NOSAI部長が制度加入の重要性を地域に伝え、管内の水稲や施設園芸、酪農の産地を支えている。

(5面・NOSAI)

〈写真上:阿部一人業務主査から広報紙を受け取る南さん(左)〉
〈写真下:「酪農は繁殖を制する人がもうかる。損防指導室の利用を勧めたい」と舟田さん〉

飼料用米の適正給与へ 生産・給与技術マニュアルから(9面・営農技術)【2015年11月1週号】

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 飼料用米の栽培面積が約8万ヘクタールと大幅な拡大が進んでいる中、飼料用米を給与する際の畜種ごとの最適な調製方法や配合割合が現場から求められている。飼料用米が配合飼料中に含まれる輸入トウモロコシとの代替割合が課題だ。もみ米や玄米、サイレージ化など調製状態でも消化率や栄養価に差が出ることから、給与する側も綿密な飼料設計が求められる。農研機構・畜産草地研究所(つくば市)はこのほど、給与の参考として、生産・給与技術マニュアル(2015年度版)を公開、それを基に要点をまとめた。

(9面・営農技術)


〈図:一般的に利用可能と思われる飼料用米の配合水準〉

明日のNOSAI 私の期待(7) 作物ごとではない総合的な補償を ―― 宮城県登米市・二階堂純さん(1面)【2015年11月1週号】

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 農家経営のさらなる安定に向けて、政府は収入保険制度検討調査事業を実施する。併せてNOSAI制度の改正も予定される。農業のセーフティーネットへの期待や意見、要望を、NOSAI部長などに聞く。(不定期連載)

(宮城県登米市石越町、水稲18ヘクタール、大豆22ヘクタール、38歳)

(1面)

〈写真:二階堂純さん〉

コウノトリが生息できる環境に【埼玉県・11月1週号】

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 【埼玉支局】鴻巣という地名の由来ともいわれているコウノトリがすんでくれるような自然豊かな環境を取り戻そうと、鴻巣市で「鴻巣コウノトリを育むモデル水田づくり」が2012年に始まった。この事業に参加する同市小谷地区の森田喬(たかし)さん(71)と福田悟さん(68)は、小さな生き物を育むため、無農薬で有機肥料を使った水稲栽培に取り組む。
 モデル水田の特徴は深水管理による水田雑草の抑制、田んぼと排水路をつなぐ魚道とビオトープを設置したこと。圃場に併設したビオトープは2アールで、土用干しの際に田んぼにいるオタマジャクシやドジョウなどの小さな生き物の生育場所を確保するとともに、冷たい井戸水をビオトープ内に通すことで田んぼの水温を上昇させ、稲の生育を促す役目を果たす。
 福田さんは「子どもたちに豊かな水辺環境を残し、小さな生き物と直接触れ合ってほしいと思った。環境を整えれば、いつかコウノトリが来てくれる」と期待を寄せる。

〈写真:モデル水田の前で森田さん(左)と福田さん〉

もみ殻の搬入出を軽労化【宮城県・11月1週号】

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 【宮城支局】水稲約5ヘクタールを作付けする、大郷町大松沢の高橋孝義さん(64)は、もみ殻処理を効率的にするため、集積庫を考案した。
 集積庫は厚さ2センチほどの合板で製作し、幅2.7メートル、奥行き1.8メートル、高さ2.7メートル。もみすり機から排出されたもみ殻を、下部に設けた2カ所の鉄製排出口から効率良く取り出すことができる。
 もみ殻が偏らず、バランス良く集積できるように排出用のパイプに穴を開けている他、側面の上下2カ所に扉を設置。通気性を良くすると同時に、手作業でのもみ殻の排出作業を容易にしている。また、庫内でたまったもみ殻をかくはんさせる金属棒を側面下部に備えるなど、さまざまな工夫が凝らされている。
 総工費は材料の購入にかかった約5万円。8月上旬に着手して、1カ月ほどで完成させた。高橋さんは「もみ殻の搬出作業にかかる時間と労力が大幅に短縮した」と説明する。

〈写真:高橋さんが考案した集積庫〉

食卓に野菜の彩り届ける【香川県・11月1週号】

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 【香川支局】「人に雇われる農業は面白くない。小規模でも、やればやるだけ結果に直結するのが楽しい」と話す、高松市多肥下町の「いろどりファーム」代表・有馬純一さん(33)。今年4月に就農し、ハウスでパプリカ、ミニトマトなど計6アールを栽培する。
 パプリカとミニトマトは赤、黄、オレンジの3色を栽培。1パックに色の違う3種類を混ぜて販売する。「ミニトマトは糖度が9から10で、フルーツトマトと同じくらい甘いですよ」と有馬さん。顧客の評判は良く、作れば売れる状態。「『トマト嫌いの子が食べてくれた』と聞いたときはうれしかった」と話す。
 有馬さんは「収穫が一段落する10月以降に収量が上がる作物を植えて経営安定を目指したい。今後も家庭にないものを提供して、食卓に彩りを与えたい」と意欲を見せる。

〈写真:パプリカを手に有馬さん〉

かぼすサポート隊結成し産地守る【大分県・11月1週号】

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 【大分支局】「高齢化や労働力不足でカボス農家が減少するのを何とか食い止めたい」と話すのは「竹田市カボス生産出荷組合(組合員155人)」の阿南忠彦(あなんただひこ)組合長(70)。同組合では先ごろ、「竹田かぼすサポート隊」を結成。高齢化が進むカボス農家の生産支援に取り組んでいる。
 カボス生産が盛んな竹田市や豊後大野市では生産者の高齢化に伴って管理が行き届かなくなる園地が増加、生産量も年々減少している。そこで、若い生産者を中心にサポート隊を結成した。現在、9人が隊員登録。収穫や剪定(せんてい)など作業内容により、料金が設定されていて、組合員からの依頼に応じて隊員を派遣する。
 竹田市城原の20アールで生産する大津信一(おおつしんいち)さん(87)は、「毎年雇っていた人たちが来られなくなり、足の調子も悪く、今年はどうしようかと思っていた。サポート隊のことを聞いて、収穫作業を依頼し、大変助かった」と話す。

〈写真:「サポート隊のおかげで今年も収穫ができた」と喜ぶ大津さん〉

火を噴く辛さにリピーター【北海道・11月1週号】

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 【北海道支局】由仁町の農業生産法人「有限会社豊作会農園」(前田直樹代表取締役、9人)では、非常に辛いことで知られるトウガラシ属「ハバネロ」の栽培に取り組み、商品「ハバネロ一味(赤)」を直売所で販売し、注目を集めている。
 ハバネロの栽培を担当するメンバーの窪田新作さん(40)。窪田さんは、乾燥野菜の製造・販売を手掛けていて、4年前、小型乾燥機を購入したとき、テレビで激辛料理の番組を見て一味唐辛子を思い付き、ハバネロの作付けを始めたという。
 ハバネロ一味は、収穫した実をフードプロセッサーで細かく切り刻み、その後、乾燥機におよそ1日かけて仕上げる。10グラムずつ小瓶に分け、町内数カ所の直売所で販売している。
 購入客の中には、ハバネロの辛さに魅了されたリピーターもいるという。
 「今後も現状の作付け規模を維持して良質なハバネロの生産に取り組み、消費者の期待に応えていきたい」と窪田さんは話している。

〈写真:ハバネロ一味(赤)。1瓶300円で販売〉

すす竹細工で昆虫の標本作りたい【山口県・11月1週号】

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 【山口支局】「自分なりの工夫で、リアルな表現を追求したいです」と、すす竹細工に取り組む美祢市西厚保町の森岡靖男さん(71)。
 仕事や農作業の合間に独学で青竹細工を作っていたが、約20年前にすす竹をもらい使ってみたところ、煙の当たり具合による色の濃淡や深い色合いに魅了された。それ以来、すす竹で作品を作っている。
 「すす竹は、水洗いで表面のほこりを落とし、乾燥させたカワハギの皮で磨くと、傷つかず、つやが出ます」と森岡さん。完全に乾燥していて非常に堅いので、作業にはとても神経を使うという。
 「材料が入手しにくいのが悩みです。目標は、すす竹細工でいろんな昆虫の標本を作ることです」と話している。

〈写真:森岡さんの作品〉

防風林「知略なくして背水の陣を戦えず【2015年11月1週号】」

 ▼わが国の弥生後期(紀元前2~3世紀)は、中国の戦国時代。楚の項羽と劉邦(後の漢・太祖)が覇権を争い鎬(しのぎ)を削っていた。幾度もの戦いから「背水の陣」という故事が生まれ、絶体絶命の状況で最後の手を打つ場面で用いる。
 ▼劉邦の軍師・韓信は、項羽に寝返った趙軍の城を攻撃するため、手勢の一部を別動隊として迂回させ、残る兵力で敵城の前に流れる川を渡り、水を背に布陣する。数倍の圧倒的兵数を擁する敵将は、半分にも満たない敵軍を見て侮り城門から全軍を出動させるのだ。
 ▼その矢先、埋伏し隠れていた韓信軍の別働隊が、手薄な敵城を一気に攻撃し鮮やかに城を奪って勝利する。孫子の『兵法』でも、水を背にした布陣は最も愚策としている。なのに韓信が川を背にしたのは、不利を逆手に敵将に侮りの心を起こさせる戦略だったのだ。
 ▼実はこの戦い以前、項羽は秦との攻防戦で、渡河後に舟や兵糧を川底に沈め退路を断ち、川を背にした兵が死にもの狂いで戦うことにより大勝した。こちらが故事の由縁との説もある。
 ▼環太平洋連携協定(TPP)交渉は、将来的に日本農産物の多くを関税撤廃とし、海外産品と戦うことで大筋合意。まさに川を背に布陣したようなもの。戦略なき背水の陣に勝ち目はない、と『史記』(司馬遷)は示唆する。農水省は農産物の多くを「特段の影響は見込み難い」と予測するが、相手国は日本向けの戦略を練る。日本も韓信や項羽のような知略で、一発逆転をねらえればいいのだが。

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