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今週のヘッドライン: 2015年11月 2週号

端境期にニンジン、ハクサイ、トマト 標高900メートルの地の利をフル活用 ―― 徳島県三好市・グリナリー腕山(1面)【2015年11月2週号】

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 徳島県三好市井川町の有限会社グリナリー腕山(かいなやま)は、圃場が標高900メートルに位置し、冷涼な気候を生かして夏季に出荷量の少ないニンジンとハクサイを、ハウスでは中玉トマトを栽培。スーパー70店舗の産直コーナーで全量を直販する。「価格競争せず、独自に適正価格を付けられるのが利点だ」と取締役の近藤裕一さん(38)。ハクサイは、1玉を使い切れない消費者のニーズに応えるためカット売りが基本で、野菜の包装や値札ラベルの貼り方にも気を配る。地の利を生かした有利販売を追求し、農業経営を軌道に乗せている。

(1面)

〈写真:大区画圃場でハクサイを収穫する裕一さん(右)と八重野さん〉

NZ〈ニュージーランド〉酪農の最前線(1)(1面)【2015年11月2週号】

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 世界のバターや全脂粉乳の輸出出回り量の6割以上を輸出するニュージーランド(NZ)酪農は"世界最強"の酪農と言われる。環太平洋連携協定(TPP)の大筋合意は、乳製品についても関税削減や輸入枠の設定など、日本が大幅に譲歩する結果となった。農林水産省は、バターや脱脂粉乳では国家貿易の追加輸入の範囲内で関税割当を設定し、熟成チーズやクリームチーズでは長期の関税撤廃期間を確保したとし「牛乳も含めた乳製品全体の国内需給への悪影響は回避」されたと説明するが、厳しい環境で生乳生産を続ける農家からは懸念や先行き不安などの声が上がる。

(1面)

〈写真:牧草地で笑顔を見せるフィッシュ夫妻〉

財政審 転作作物の助成単価引き下げ求める(2面・総合)【2015年11月2週号】

 財務省の財政制度等審議会の分科会は4日、水田農業の構造改革に向け、飼料用米など転作作物の助成単価引き下げを求める提言をまとめた。「高い助成単価は競争力強化に逆行する」と指摘するとともに、供給過剰となっている米の需給調整への予算の重点化は「強い農業づくりに適合しているのか」と明記。行政による生産数量目標の配分を廃止する2018年産に向け、輸出拡大や高収益作物への転換など農家の経営判断に基づく生産を促す政策への転換を求めた。ただ、農林水産省は現行の支援を基本に飼料用米などへの転換を強力に推進してきており、政府内での相反する対応に生産現場の農政不信は避けられない。

(2面・総合)

「亀の尾」全量直販 信頼第一の米作り ―― 岩手県遠野市・菊池陽佑さん、裕美さん夫妻(3面・暮らし)【2015年11月2週号】

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メッセージカードや手作り新聞を同封
 「地域の人やお客さまに対して正直さと誠実さを大事にしていきたい」と菊池陽佑さん(31)。実家がある岩手県遠野市小友町で、妻の裕美さん(30)とともに水稲「亀の尾」を栽培・販売する農園「勘六縁(かんろくえん)」を運営する。地元の水田を守り、地域を元気にしたいとの思いで就農して、5回目の収穫を終えた。約3ヘクタールの水田を借りて農薬や肥料を使わず栽培し、個人消費者を中心に全量直販する。田んぼの様子や農業への思いをしたためた新聞や手書きのメッセージを米と一緒に送るなど、顧客との信頼関係を築いてきた。来年からは本格的に体験事業に取り組み、地域に人を呼び込み、直接交流できる機会をつくっていく予定だ。

(3面・暮らし)

〈写真:「いろいろな人のおかげで農業ができているよね」と陽佑さん、裕美さん〉

高糖度サツマイモ 食味重視で商機つかむ ―― 鹿児島県曽於市・吉川農園 吉川和敏さん(9面・流通)【2015年11月2週号】

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 「品質の高いサツマイモを生産すれば、それに応えてくれる消費者が必ずいる。お客さんの声は、品質向上とやりがいにつながる」と、鹿児島県曽於市大隈町荒谷の吉川和敏さん(51)は話す。サツマイモ10ヘクタールを栽培し、出荷・販売する吉川農園の代表だ。焼き芋屋を経営する製造販売業者と契約取引して、年間約200トンを出荷。主力の「べにはるか」は、4ヘクタールで栽培。糖度20度以上という甘味が人気を集め、全国から引き合いが強い。個人向けに販売する冷凍焼き芋「わたしのお芋さま」では、今までにない新しい食べ方を提案するなど新商品開発にも力を注ぐ。業務用を軸に、個人向け商品でニーズの把握に努めるなど、消費者の信頼に応えながら売り上げを伸ばしている。

(9面・流通)

〈写真:「人間で例えればじゃじゃ馬娘。手を掛けた分だけ応えてくれる」と、つるはしで掘った洞窟でべにはるかの熟成を確認する吉川さん〉

園芸用ハウス 大雪に備え強度確認を(13面・営農技術)【2015年11月2週号】

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 大雪が降る前に、園芸用ハウスの倒壊防止対策を進めておきたい。昨年、全国的に記録的な降雪量となった「平成26年豪雪」では、特に山梨県・長野県などで雪の重さに対し園芸用ハウスの強度が足りず倒壊する事例が多発した。想定外の大雪からハウスを守るには、耐雪強度を理解した上での補強や、効果的な除雪・融雪が肝心だ。

(13面・営農技術)

〈表:降雪前のチェックリスト〉

TPP影響分析追加発表 畜産物も価格下落の懸念(2面・総合)【2015年11月2週号】

 農林水産省は4日、環太平洋連携協定(TPP)で想定される畜産・林野・水産分野の影響分析結果を公表した。牛肉や豚肉、乳製品は「輸入急増は見込み難い」と評価し、すでに公表済みの米・麦や園芸分野などに比べ、より大きな打撃を示唆。一方で、国産価格の下落は「懸念される」との表記にとどまり、生産者が納得できる具体的な影響は今回も示されなかった。政府は、25日にもまとめる対策大綱について「損失補てんではなく、"攻めの農業"を中心」(甘利明TPP担当相)とする方針を示す。ただ、輸出拡大や高付加価値化など競争力強化ばかりを押し進めても、農家の先行き不安は払しょくできない。TPPの対応を誤れば、国内農業への深刻な影響は避けられない。生産現場の声を十分に聞き、経営継続が見通せる万全の措置の検討が求められている。

(2面・総合)

建物共済 加入は最高補償額で大切な財産を守る(5面・NOSAI)【2015年11月2週号】

 冬が到来すると暖房や鍋物などで石油やガスを利用する機会が増え、火災の発生には十分な注意が必要だ。NOSAI団体が実施する建物共済は、火災などによる建物や家具類の損害を補償する。共済金額(加入金額)の満額での加入により補償を手厚くすることが重要だ。また、罹災(りさい)した際に掛かる仮住まいや近所への謝礼などの費用も特約を付帯することで補償の対象にできる。建物共済の概要について、共子さんが済太郎くんに聞いた。

(5面・NOSAI)

無人ヘリ飛行競技全国大会/磨き上げた技を披露 NOSAI団体からも参加(5面・NOSAI)【2015年11月2週号】

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 農林水産航空協会と全国農林航空事業推進協議会は10月30日、農林水産研修所つくば館水戸ほ場(水戸市)で第24回全国産業用無人ヘリコプター飛行技術競技大会を開いた。全国各地の予選などを勝ち上がってきた81組(128人)が集まった。防除協議会の事務局や実施主体として無人ヘリを使った損害防止活動に取り組むNOSAI団体からも参加し、日頃の作業で磨いた技術を競い合った。

(5面・NOSAI)

〈写真:高いレベルの技術で競い合った〉

サトイモ「津志田芋」 産地を守りつなぐ【岩手県・11月2週号】

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 【岩手支局】「おいしい『津志田芋』をたくさんの人に食べてほしい」と盛岡市津志田の吉田忠良さん(64)は同市特産のサトイモ「津志田芋」の生産に励んでいる。焼酎も開発され、特産品としてのさらなる発展に期待は高まる。
 畑約15アールで栽培する吉田さんは、4月上旬に芽出しを行い5月初旬に定植。9月下旬ころから収穫を開始する。
 市場に流通するのは子芋や孫芋だが、津志田芋は親芋も食味が良いことから、盛岡商工会議所は親芋を使った焼酎を発案。2008年から「里芋焼酎 津志田」を発売している。親芋は「かしら」と呼ばれる。同商工会議所都南支所の鈴木義博支所長は「かしらを有効活用し、津志田芋の風味がしっかり感じられるよう改良を重ねた」と話す。
 「若い後継者が出てきてほしい」と吉田さん。「もっと栽培面積を増やして、盛岡市の特産品として広めたい。良質なサトイモが取れるこの産地を次代につなげていきたい」と話す。

〈写真上:「今年もおいしい津志田芋ができました」と吉田さん〉
〈写真下:「里芋焼酎 津志田」。720ミリリットル」1369円(税込み)〉

農家民宿で養蜂の魅力発信【新潟県・11月2週号】

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 【新潟支局】自然に囲まれた生活に憧れ、「将来は農家民宿を経営したい」と思っていたという佐藤清さん(63)、範子さん(60)夫妻。清さんは会社を早期退職し2007年に範子さんと糸魚川市越地区に移住し、古民家を修繕して09年4月、農家民宿「はちみつの木」をオープンさせた。オリジナルの巣箱を開発。巣箱24箱48万匹のニホンミツバチを飼育する。
 民宿にはミツバチを飼いたい人や健康志向で蜂蜜に興味を持つ人たちが多く訪れる。清さんは全国各地で養蜂の技術指導も行う。巣箱を置く方向や日当たりなど細かく教え、ほぼ全員が採蜜に成功。うまくいかない場合は、その人の家まで行き、指導したこともあるという。
 「北海道から沖縄まで全国からお客さんを迎えています。糸魚川の山の幸、海の幸と自家産の蜂蜜を使った料理で、もてなしています」と清さん。料理も夫妻で協力して提供している。

〈写真上:佐藤さん夫妻。24箱48万匹を飼育する〉
〈写真下:逸品の「幻のはちみつ」〉

加賀れんこん 氷温熟成し通年出荷【石川県・11月2週号】

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 【石川支局】金沢市の農事組合法人蓮だより(川端崇文〈たかのり〉代表理事、37歳)では、河北潟干拓地で「加賀れんこん」を3ヘクタール栽培。昨年秋に全国2例目の氷温庫を導入し、氷温熟成に取り組む。
 収穫は8月から翌年5月。3月以降は変色しやすく、直売先の首都圏のレストランからの通年出荷の要望に応えられなかった。川端代表は冬の間、かまくらを使って野菜を貯蔵していた先人の知恵から氷温熟成を思いついたという。
 「氷温庫に入れて保存することで長期保存でき、通年出荷が可能になる」。また氷温で寝かせることで糖度とGABA(ギャバ)の値が上がり、粘り気も増すことが分かった。川端代表は試験を重ね、真空で保存すると2カ月半たっても鮮度が落ちないことを確認している。

〈写真:氷温庫内で保存している加賀れんこんを確認する川端代表〉

北の大地で省力稲作 水稲湛水直播試験【北海道県・11月2週号】

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 【北海道支局】「水稲の生産コスト低減と育苗作業を省力化できる直播栽培は必要」と厚真町の畑嶋賢蔵さん(55)は、水稲30ヘクタール、大豆4ヘクタールを作付ける傍ら、JAや普及センターなどと連携し、水稲湛水(たんすい)直播栽培を試験実施している。
 直播栽培試験は、2013年に始まり現在は4戸で実施。畑嶋さんは14年から参加し、昨年は「ななつぼし」の10アール当たり収穫量がふるい目1.9ミリベースで535.5キロと予想を上回った。15年産は、ななつぼし、「ほしまる」「空育181号」で実施し、10アール当たり収穫量(1.9ミリベース)は、ななつぼし516.0キロ、ほしまる507.0キロ、空育181号604.0キロだった。
 畑嶋さんは「試験結果は思っていたより高い数値でした。直播栽培は育苗時の防除を省略でき、農薬使用量の低減にもつながるので、今後も継続していきたい」と話している。

〈写真:直播試験耕地(左)で生育状況を確認する畑嶋さん〉

徳佐りんごの魅力 試食でPR【山口県・11月2週号】

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 【山口支局】「徳佐りんご園の後継者として、一生懸命頑張りたい」。山口市阿東の村本佳寿(よしひさ)さん(45)は、昨年4月、妻の千尋(ちひろ)さん(31)と阿東徳佐地区で「村本りんご園」をスタートさせた。徳佐のリンゴをPRしながら、「いろいろな品種を多くの方に食べてもらいたい」と、栽培に励む。
 約60アールで「まとう」「新世界」「ぐんま名月」など15品種・135本栽培。他に、果肉が赤い「なかの真紅」や「ムーンルージュ」なども苗木から育てているという。また、県内外で徳佐りんごを試食してもらいながらアピールし、販路拡大に努める。昨年、試食会や各地の直売所などに出荷し販売促進をしたため、今年は直接注文するリピーターもいる。
 「今後は6次産業化を目指し、リンゴ栽培の先進県と情報交換し、新品種の栽培にも積極的にチャレンジしていきたいです」と意欲的だ。

〈写真:出荷の準備をする村本さん夫妻〉

廃用ホースで首輪カバー 乳牛のストレス軽減【千葉県・11月2週号】

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 【千葉支局】乳牛15頭を飼養する芝山町の小川裕さんは、使わなくなった農業用ホースを牛をつなぐ首輪のカバーとして利用し、牛のストレス軽減に取り組んでいる。
 小川さんは、牛を一頭ごとにつないでいる。しかし牛の首がロープや鎖でこすれて、傷となって細菌感染を起こし、うんでしまうこともある。首の後ろが痛がゆくなっていた。そこで、そんな牛のストレスをアイデアで軽減。牛をつなぐ鎖を、使わなくなった15センチ幅の農業用ホースに通して首にかける。金属の鎖が直接牛の皮膚に触れず、首にかかる面積が広くなるので、こすれたり、傷を作ることがない。
 主に、体格の大きい牛に利用している小川さん。「廃棄物になるはずのものに利用価値が生まれ、牛のストレスも軽減し一石二鳥」と話す。

〈写真:鎖を使わなくなった農業用ホースに通して首にかける〉

防風林「伝統野菜を守り後世につなげることも大切だ【2015年11月2週号】」

 ▼「亀戸大根」「滝野川牛蒡(ごぼう)」「小松菜」「練馬大根」。みな江戸・東京の伝統野菜。とかくこの話題を持ち出すと「?」といぶかしげな表情をする方が多いが、大都会・東京にも誇りを持ち伝統野菜を継承する農家は存在する。
 ▼小松菜は今や一般野菜として通用するが、東京都江戸川区小松川で育成されたことから命名された。葉が上に伸長する立性だが、江戸期の栽培品種は、横に伸びる平性の「後関晩成」という品種に近かったようだ。亀戸大根は江東区亀戸で栽培され、細く短いのが特徴。太陽光と高温に極端に弱いことから栽培が難しい。以前訪ねた農家は、太陽の傾きに合わせ簾(すだれ)の角度を調整するため、朝畑に向うと夕方まで帰宅しないと話していた。
 ▼江戸の町に独特な多種の伝統野菜が派生したのは、参勤交代の江戸詰め藩主(殿様)が、領内の野菜を求めたのが由縁らしい。藩邸の空き地で栽培したり近郷農家に委託や譲渡したりして採種・改良されてきたらしい。
 ▼江戸から地方に伸びる五街道沿いに、多くの種苗屋が店を構えていた。藩主に従い上京した武士が江戸下りする際や、行商人の江戸土産が種子だったのだ。種子は地方から都会に、そしてまた全国へと散らばった。
 ▼娘が嫁ぐ際に、嫁入り道具の一つとして、野菜種子を持たせる風習のあった農村は全国的にも多い。種子には命を繋ぎ、子々孫々の繁栄を祈る縁起物だったのかも。今、伝統野菜を復活させる活動が広がっている。練馬大根の発祥地・練馬では毎年、大根引っこ抜き競技大会が開かれる。こうして地域活性化の種子は後世につながる。

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