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今週のヘッドライン: 2015年11月 3週号

一層の支援充実へ NOSAI事業推進大会(1面)【2015年11月3週号】

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 NOSAI全国(全国農業共済協会、髙橋博会長)は18日、東京都千代田区で「NOSAI事業推進大会」を開く。全国のNOSAI関係者約800人が参加し、被災農家の経営再建支援や、多様化する地域農業に対応したNOSAI制度の見直し検討・提案などを決議する。2015年は、九州に上陸した台風15号や9月の関東・東北豪雨など、各地で大きな自然災害が発生した。NOSAIの組合等は、迅速な共済金支払いで農家を支えようと、的確な損害評価に努めている。また、2月には園芸施設共済の補償を大幅に拡充するなど、制度の見直しも行った。NOSAI団体は15年度から「信頼のきずな」未来につなげる運動をスタートさせた。「安心ネットを広げ つなげよう農家・地域の未来」を掲げる。

(1面)

〈図:大会スローガン〉

転用権限移す市町村の基準策定 優良農地確保が大前提(2面・総合)【2015年11月3週号】

 農林水産省は10日、大規模農地の転用許可権限を移譲する市町村の指定基準案をまとめた。(1)優良農地を確保する目標を設定(2)転用許可基準に従った適正な運用が認められる(3)事務処理体制が整っている ―― を要件とする。地方分権の推進が目的で、農地の転用基準は変わらない。さらに同省は、指定市町村が設定する農地の確保目標は、国の目標を踏まえることなどから、優良農地は確保されると説明する。ただ、権限移譲により、市町村間で宅地化などの競争が生じかねないなどと心配する声も根強い。優良農地は、農業生産の維持・発展の土台であり、総量の確保は食料安全保障の観点からも不可欠だ。将来にわたって必要な農地が確実に確保・利用される厳格な運用の徹底が求められる。

(2面・総合)

スイカ・ハクサイ・カブなど/実家に戻り就農2年目 新品目導入や珍しい野菜作りも ―― 山形県村山市・奥山拓さん、波瑠乃さん夫妻(3面・暮らし)【2015年11月3週号】

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 「いろいろな人に支えてもらっているからこそできる農業です」と話す山形県村山市大槙の奥山拓さん(33)。妻の波瑠乃さん(26)とともに米や野菜を生産する実家に昨年戻り、就農した。スイカなど新たな品目を経営に取り入れ、品目別に担当し、野菜の生産から出荷・販売まで一貫して手がけている。取引先の要望に柔軟に応えるため、新品種の試験栽培や葉菜類のスイスチャードなど珍しい野菜作りにも挑戦する。地域の先輩農家や両親に栽培技術を学びながら自分なりの経営を模索中で、2年後の経営委譲を目指す。波瑠乃さんは自家産野菜を使った料理教室を開いたりマルシェへ出店したりするなど消費者と交流し、農業の魅力を伝えていきたい考えだ。

(3面・暮らし)

〈写真:「技術を磨きながら農業と向き合っていきたい」と拓さん(左)、波瑠乃さん〉

農家の声を色濃く反映 「信頼のきずな」未来を拓く運動 受賞組合の活動(4面・特集)【2015年11月3週号】

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 NOSAI事業推進大会では、「信頼のきずな」未来を拓く運動中央推進本部(本部長、髙橋博NOSAI全国会長)が決定した2014年度運動中央表彰最優秀賞2組合の表彰が行われる。2組合の事例を紹介する。

集落座談会で保険ニーズ聴取 園芸施設共済・内作物のセット加入推進
―― 北海道・上川中央NOSAI


農家からの声は全職員で共有 無人ヘリ防除で中心的役割担う
―― 新潟県・NOSAI新潟中央

(4面・特集)

〈写真上:施設内農作物とのセット加入の拡大を図る〉
〈写真下:さまざまなRM活動で農家を後押しする〉

パクチー/強い香りと鮮度を売りに都内飲食店など26カ所と年間契約 ―― 佐賀県武雄市・江口農園(10面・流通)【2015年11月3週号】

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 佐賀県武雄市北方町の「江口農園」で江口達郎さん(58)・竜左(りゅうすけ)さん(27)親子が年間1ヘクタール栽培する「ガツンと来るパクチー」は、強い香りと新鮮さが売りだ。都市部でのパクチー人気も背景に、都内の飲食店など26カ所と年間契約する。食味・食感の良い葉は、季節ごとの適期収穫で実現。香りや鮮度を維持するため、根付きでの出荷を行う。価格が安定し、経営の柱の一つに据える。行政も新たな特産品を広げたいと販路開拓などに協力する。

(10面・流通)

〈写真:「栽培は簡単だけど、品質向上には丁寧な観察が必要」と竜左さん〉

2015年度全国優良畜産経営管理技術発表会 不断の経営改善(11面・営農技術)【2015年11月3週号】

 中央畜産会は12日、東京都千代田区で2015年度「全国優良畜産経営管理技術発表会」を開催した。全国の先進事例から選考された8事例が発表し、最優秀賞4事例、優秀賞4事例が決まった。最優秀賞から酪農と肉用牛繁殖の2事例、優秀賞から肉用牛肥育の1事例の経営概要を紹介する。

〈肉用牛繁殖〉7産後から更新対象1年1産を実現
 黒木松吾さん・小夜子さん/宮崎県串間市

〈肉用牛肥育〉記帳を徹底しコスト意識培う
 安達政弘さん・敏子さん/茨城県笠間市

〈酪農〉良質自給飼料を確保 乳飼比が41.2%に
 株式会社竹信牧場/岡山県笠岡市
(11面・営農技術)

15年産米の概算金をJA全中が報告 前年産を1000~1500円上回る(2面・総合)【2015年11月3週号】

 JA全中は9日、自民党の農業基本政策検討プロジェクトチーム(PT)で2015年産米の需給状況などを説明した。飼料用米の生産拡大などで主食用米の需給は一定の改善が見られ、JA概算金は前年産を60キロ当たりおおむね千~1500円程度上回る水準となっていると報告。さらなる需給改善には、11月末に決める16年産米の生産数量目標を、需給改善・米価回復を実現する観点から適切に設定する必要があると訴えた。

(2面・総合)

NZ〈ニュージーランド〉酪農の最前線(2)(11面・営農技術)【2015年11月3週号】

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 「あそこに立ち木が並んでいるところまでがうちの牧場です」と、ウィン・ブラウンさんはワイカト地方マタマタにある牧場の丘から、はるか遠くを指さす。妻のトレイシーさんと、ほかの1家族と共同で牧場「ティロロア」を経営する。

(11面・営農技術)

〈写真:丘に立つブラウンさん夫妻。娘たちも子牛の体重を量ったり、餌をやったりと手伝う〉

全国最年少の麻農家【栃木県・11月3週号】

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 【栃木支局】全国の麻栽培の9割ほどを占める栃木県で、今年、大麻取扱者免許を取得したのは、大田原市余瀬の阿久津憲人(のりひと)さん(33)だ。10アールの麻畑で、栃木不出の品種「とちぎしろ」を栽培する阿久津さんは、現在全国最年少の麻農家。「自分で栽培した麻で服を作るのが夢」と意気込みを見せる。
 「服、建材、しめ縄や横綱の化粧回しなど、麻はさまざまな分野で使用されている」と話す阿久津さんは、栃木県あさ振興連絡協議会の白澤義司(よしじ)会長や、那須町の渡辺和資(かずよし)さんのもとで1年半ほど栽培方法を学んだ。
 「1年目なので各作業の成功や失敗の全てが勉強」と阿久津さん。「戦前は神事だけでなく、生活必需品として身近なものだった麻を、再び誰もが触れ合えるものに戻したい。そのために、できることは全てやっていきたい」と気持ちを新たにする。

〈写真:「『麻ひき』には微妙な力加減が必要」と阿久津さん〉


ハウスピーマン畝なし栽培【高知県・11月3週号】

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 【高知支局】芸西村西分の藤戸崇さん(41)は、畝なし方式でピーマン栽培に取り組んでいる。
 ハウスの土壌消毒や施肥作業などは、通常の畝あり栽培と変わらないが、「暑い夏に畝作りをしなくていいのが一番のメリット」と笑顔で話す藤戸さん。
 畝がないため、定植作業などは苗の近くででき、通路に灌水(かんすい)した水が浸(し)み出さないことや、ハウス内での移動も簡単で、作業能率が上がり、楽になったという。
 また、畝の幅にとらわれることなく灌水チューブの幅を広げることができるため、根の成長にも良い。主枝を通常より長く伸ばせるため、増収も期待ができるなどデメリットが思いつかないのが大きな特長。「昨年1年間栽培してみて、収量が変わらなかったこともあり、これからも続けていきたい」と藤戸さん。

〈写真:ピーマンハウスで藤戸さん〉


栽培絶やさずヒシをブランドに【福岡県・11月3週号】

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 【福岡支局】「ヒシ農家は年々減少しています。ヒシを柳川ブランドにするため、消費者や農家にヒシの魅力を広めたい」と話す、JA柳川ヒシ部会で会長を務める吉開敏己さん(72)。柳川市でヒシを16アール作付けしている。
 現在、国内では佐賀県と福岡県筑後地区の一部で生産。吉開さんは、「オニビシ」という品種を水田で栽培し、年間千箱以上出荷している。
 以前、生産農家は20戸以上あったが、現在では4戸にまで減少。同市では、ヒシをブランド化するため、収穫体験などでPRしていく予定だという。吉開さんは「ヒシ生産を絶やさないためにも、多くの方にヒシを知ってもらいたい」と話している。

〈写真:ヒシの圃場で吉開さん〉


背負い式動力噴霧器に2本目のノズル【鹿児島県・11月3週号】

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 【鹿児島支局】「農作業を少しでも楽にしたくて改良しました」と話す、鹿屋市南町でサツマイモ6ヘクタールを栽培している榎原辰夫さん(63)。除草作業の時間短縮と軽労化のため、背負い式動力噴霧器のノズル部分を改良した。
 榎原さんの動力噴霧器の特徴は、ホース部にT型ジョイントを取り付けて、ノズルを2本使えるようにしたこと。両手で噴霧できることで除草剤を2列同時に散布できるようになった。また、ノズルパイプを伸縮式にしたり、噴口の角度を微調整できるようにしたりして、今まで薬剤が届きにくかった部分へもしっかり散布できるという。
 その他、パイプは脱着式にして、清掃や整備、修理がしようすいように工夫した。榎原さんは「以前より、時間も短縮できて、体への負担も軽くなりました」と話している。

〈写真:改良点を説明する榎原さん〉


スタンチョンパドック方式で牛飼いが楽に【新潟県・11月3週号】

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 【新潟支局】佐渡市関地区の獣医師・宮下正一さん(64)は、スタンチョンパドック方式を導入した。
 餌を食べる際、スタンチョンから首を出すと、首が固定される仕組みになっているため、牛一頭一頭に均等に餌が行き渡る。放牧の代わりにパドックを設けることで、運動不足が解消、発情適期が分かりやすくなり、受胎率が良くなる。
 牛たちが粗飼料の自由採食ができるよう、屋根付きの餌場をパドックに設けたことで、出張や旅行で留守にすることも可能だという。
 牛舎、パドックの敷料に籾殻(もみがら)などを入れ、乾燥状態を保つことで通気性を良くし、掃除などを毎日しなくてもいいようにした。
 宮下さんは「大勢の方にこの方式の良さを知ってもらいたい」と話している。

〈写真:牛舎内で宮下さん〉


ミカンの代替作物にオリーブ【京都府・11月3週号】

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 【京都支局】「これまでの経験を生かすことができ、将来性があるのが魅力」と話す、宮津市由良地区の由良オリーブを育てる会で会長を務める藤本徳雄さん(65)。2013年に発足した会では、生産が縮小するミカンの代替作物としてオリーブ栽培に着手した。特産化に向けた加工品の製造も始まった。
 7人の有志が始めた栽培は、香川県・小豆島などの先進地研修やアドバイザーの指導によって拡大。現在は会員16人で「ミッション」など7品種700本を管理し、本年度も百数十本を植栽予定だ。
 昨年11月には葉を加工したオリーブ茶を商品化。今年は早摘みの実の塩漬けをイベントなどで販売している。
 藤本さんは「来年からはオイルの商品化も始める。規模や会員を増やし、地域の活性化につなげたい」と意気込む。

〈写真:藤本さん(右)と会員の山下良一さん(68)〉


豪雪を逆手に保冷に活用【宮城県・11月3週号】

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 【宮城支局】県内有数の豪雪地域である七ヶ宿町に昨年完成し、運用が続いている県内初の雪室。米やソバ、野菜などさまざまな農産物を貯蔵するだけでなく、雪室ブランドとして今年から本格的に販売を始めている。
 雪室は、食材を保存する「貯蔵庫」と雪を保管する「貯雪庫」で構築。貯蔵庫は、1階と2階に分かれ、吹き抜けになっている貯雪庫とそれぞれ隣接。庫内の温度と湿度を1階と2階で変え、作物に合った保存が行える。
 貯雪庫にはダンプカー30台分の雪を入れるという。内部は断熱効果が高く、10月下旬でも高さ3メートルほどの雪が残っている。
 雪室を使うことで長期保存が可能な上、カビや夏場の暑さでの劣化を防げる。その他、ソバは寒ざらしのように風味が増す効果が期待され、昨年収穫して保存したソバを「雪室そば」として販売。雪室で保存した食材をブランド化して販売している。

〈写真:雪室の貯蔵庫内〉


防風林「農産物輸出の強化なら、殖産興業時代を見直せ【2015年11月3週号】」

 ▼「泰平の眠りを覚ます上喜撰たった四杯で夜もねむれず」。黒船来航で役人や町民が慌てふためいた情景を風刺した狂歌。上喜撰は当時の茶銘柄、蒸気船との掛け言葉なのは説明するまでもない。日米の通商条約以降、日本の輸出産品として諸外国に人気だったのが生糸とお茶。
 ▼輸出用高級茶は陶製の器に詰め、木製茶箱で輸出、表側には「蘭字(らんじ)」と呼ばれるラベルが貼られていた。高品質な日本茶と色彩豊かなデザインが驚きをもって評価された。欧米の上流階級で流行っていた茶会が一般家庭にも定着し、高い需要の波に乗れたのだ。
 ▼明治初期までの蘭字は、浮世絵風の花鳥画が多かったが、中期以降は欧文と絵をアレンジした近代的な図柄に変化。大正期には着色茶や乱造粗製茶が出回り、米国で不正茶の輸入が禁止になり、ラベルには種類や産地のほか「無着色」との表示がなされたというから、今の偽装防止対策の先駆け。
 ▼第一次大戦後、世界市場を席巻した日本茶輸出はインド産に押され急激に減少したが、蘭字で培われた印刷技術は、後の商業用デザインに生かされて多くの輸出産品ラベルに活用された。
 ▼近年、日本食ブームの波に乗り日本茶輸出が伸びている。政府はTPPを背景に「攻めの農業」を推進する。黒船に震撼(しんかん)とした数年後には、日本は殖産興業の名のもと官民挙げて輸出促進を図った。蘭字の画集から当時の外貨獲得への意気込みが感じられる。政府や現場の取り組みの真価が問われるのはこれからだ。

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