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今週のヘッドライン: 2015年12月 1週号

国の天然記念物「ツシマヤマネコ」 水田は共生の懸け橋 ―― 長崎県対馬市・佐護ヤマネコ稲作研究会(1面)【2015年12月1週号】

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 「水田がツシマヤマネコの餌場となり、保護に貢献できれば」と話す「佐護ヤマネコ稲作研究会」の春日亀(かすがめ)隆義会長(59)。長崎県対馬にだけ生息する天然記念物ツシマヤマネコは「最も絶滅のおそれが高い種」とされる。対馬市佐護地区の水稲農家や地域住民などが参加する研究会は農薬や化学肥料を減らし、ビオトープを設置するなどツシマヤマネコと共生する米作りに取り組む。環境省などが設置する「対馬野生生物保護センター」とも連携して活動し、収穫した米は「佐護ツシマヤマネコ米」として販売する。

(1面)

〈写真:水田わきに設けたビオトープを指す春日亀会長。冬季湛水にも取り組む〉

農林業センサス/農業人口5年で51人万減少 農家の確保・育成急務(2面・総合)【2015年12月1週号】

 農林水産省は11月27日、2015年農林業センサスの結果(概数値)を発表した。販売農家の農業就業人口は、5年間で51万6千人(19.8%)減少し、209万人となった。平均年齢や65歳以上の割合は過去最高を更新し、販売農家数は30万4千戸(18.7%)減の132万7千戸となり、過半は後継者がいないことなども判明。深刻化する農家の減少や高齢化、後継者不足などがあらためて浮き彫りになった。環太平洋連携協定(TPP)大筋合意を受け、政府は輸出拡大など攻めの農業への転換を掲げた政策大綱をまとめ、具体的な施策は来秋をめどに詰める方針を示す。農業・農村の振興は"人"が要であり、農家の確保・育成につながる環境整備に全力を挙げる必要がある。

(2面・総合)

にぎわう食堂 地域の拠点に ―― 富山県高岡市・「Jun Blend Kitchen」大坪順子さん(3面・暮らし)【2015年12月1週号】

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自家産野菜の料理を提供
 「農業は自分たちだけでは成り立たない。支えてくれる家族や地域に恩返ししながら取り組んでいきたい」と話す、富山県高岡市二塚の大坪順子さん(34)。夫の洋介さん(34)ら家族とともに水稲7ヘクタールと西洋野菜80アールを栽培する「Jun Blend Farm(ジュンブレンドファーム)」を営むほか、自家産野菜を使った料理を提供する食堂「Jun Blend Kitchen(ジュンブレンドキッチン)」を運営する。毎日の農作業に汗を流し、8カ月になる徳太朗くんを育てながら、誰もが気軽に立ち寄れる地域の拠点として、にぎわう食堂を切り盛りしている。

(3面・暮らし)

〈写真:コウシンダイコンを収穫する順子さん。「形や色など少しの違いがお客さんを引きつける」と話す〉

6次産業化推進シンポジウム/地域住民や異業種 交流、連携が鍵(4面・流通)【2015年12月1週号】

 6次産業化の取り組みが増加する中でブランドの確立や収益確保で足踏みする例も多い。「6次産業化推進シンポジウム」が11月25日、東京都港区で開かれ、農林水産物のブランド化に向けて地域住民や異業種とのネットワークづくりと連携強化、消費者ニーズに合った加工品開発の重要性が指摘された。農林水産省の6次産業化ネットワーク活動全国推進事業の一環で、民間調査・分析会社が主催した。当日、農林水産大臣賞を受賞した山口県周防大島町の株式会社瀬戸内ジャムズガーデンの活動事例とパネルディスカッションから成功のポイントを紹介する。

(4面・流通)

続発する災害 果樹共済推進に全力 ―― 青森県・NOSAI津軽広域、NOSAIひろさき広域(5面・NOSAI)【2015年12月1週号】

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産地の未来 見据え
 青森県のリンゴ産地であるNOSAI津軽広域(津軽広域農業共済組合、天坂廣司組合長)やNOSAIひろさき広域(ひろさき広域農業共済組合、浅利昭一組合長)の管内では近年、台風や降ひょうなど自然災害が続く。NOSAI部長は、普段は制度の周知に努め、被災時は相談役となる地域になくてはならない存在だ。各NOSAI組合では、多様な災害に対応した加入方式を推進すると同時に、地域ごとにNOSAI部長などで構成する事業推進組織が研修会などを実施し制度に理解を深めている。

(5面・NOSAI)

〈写真上:「毎年、おかしな天候が続く。相談や要望も増えている」と田村さん〉
〈写真下:「共済に入ることで安心できる。災害は個人だけでは立ち直れない」と小野寺さん〉

ハウスナス/アザミウマ防除にタバコカスミカメ 土着天敵で農薬7割減 ―― 岡山県総社市・宮﨑昭雄さん(9面・営農技術)【2015年12月1週号】

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 ハウス6棟でナス18アールを栽培する岡山県総社市黒尾の宮﨑昭雄さん(73)は、難防除害虫のミナミキイロアザミウマ対策に土着天敵のタバコカスミカメを活用。市販天敵のスワルスキーカブリダニを併用し、農薬使用量を慣行比7割減らしている。タバコカスミカメが好むゴマを5月末から露地栽培し、寄生・増殖させる。ナス定植10日後の8月20日ごろ、ゴマを切りハウス内に入れる。暑い時期に放飼し、初期の増殖を促すのがポイントだ。ハウス内で育てるクレオメなども食べさせて、ナスの収穫が終わる翌年6月末まで温存させている。

(9面・営農技術)

〈写真:ナスを収穫する宮﨑さん〉

TPP大綱/与党提言を踏襲 農業予算「責任持つ」(2面・総合)【2015年12月1週号】

 政府は11月25日、安倍晋三首相を本部長とするTPP(環太平洋連携協定)総合対策本部を開き、「総合的なTPP関連政策大綱」を正式決定した。TPPをアベノミクスの「成長戦略の切り札」と明記し、農業分野は「農政新時代」を掲げ、担い手育成や輸出強化など体質強化対策と、経営安定対策の拡充など重要5品目対策を柱とした。早急に対応が必要な対策は、今後編成する2015年度補正予算案や16年度当初予算に盛り込む方針。関連法案の来年の通常国会成立も目指す。

(2面・総合)

羊肉の魅力届ける【山形県・12月1週号】

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 【山形支局】小高い丘の上に手作りしたログハウスで、ジンギスカンレストラン「ひつじや」を経営している村山市富並の西塚洋平さん(38)と妻の久美子さん。自家飼育した羊肉だけを使用し、「肉が柔らかくて臭みもなくとてもおいしい」と県内外から多くのファンが訪れる。
 羊の肉は一般的に柔らかく、クセがないラムと呼ばれる1歳未満の肉が好まれるが、西塚さんは「2、3歳くらいのものが脂肪の質もよく、羊本来の味が楽しめる。その味につくりあげるには、十分な育成期間をとることが重要で、与える飼料によっても肉の味が変わる」と話す。
 餌となる粗飼料には、地元の稲作農家との契約で15ヘクタール分の稲わらを調達し、自分の草地4ヘクタールで自らが栽培した牧草を給与。飼料用米やトウモロコシなどの濃厚飼料も与えるが、飼料について全て、西塚さんが吟味、納得したものだけを使用している。
 「自分が育てた羊の肉を、うま味が増した一番おいしい時期に食べてもらうことが、羊肉のイメージアップにつながる」と西塚さんは話している。

〈写真:レストランの前で西塚さん夫妻〉


増体に優れた「愛媛あかね和牛」【愛媛県・12月1週号】

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 【愛媛支局】安全・安心、脂肪分の少ないヘルシー肉として開発された愛媛ブランド牛「愛媛あかね和牛」の販売が始まった。
 愛媛あかね和牛は、消費者ニーズ調査に基づき、2011年から愛媛県農林水産研究所畜産研究センターが開発を始めたもの。赤身と脂肪のバランスが良く、あっさりとした味に仕上がっている。
 増体に優れているため、通常30カ月の飼養期間が27カ月に短縮。飼料費の低減にもつながった。
 飼料には、愛媛らしさを出すためにかんきつジュースの搾りかすを、また、あっさりとした味を作るために亜麻仁油を用いた。搾りかすを与えることで脂肪の色がわずかに黄色くなり、亜麻仁油であっさりとした脂肪の質に変えることができた。
 現在、県内で4戸の肥育農家が飼育し、出荷時には800キロにもなる。飼料給与量などを定めたマニュアルに基づき品質の安定を図っている。
 岡田栄一センター長は「飼養期間が3カ月短いので飼料代が削減され、枝肉重量も多いことで、所得向上につながる」と期待する。

〈写真下:出荷間近の愛媛あかね和牛。木下室長(右)と佐竹主任研究員〉


大粒房付きの干しブドウを提供【岩手県・12月1週号】

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 【岩手支局】生食用大粒種ブドウの栽培に励む花巻市高木の佐藤農園の佐藤秀明さん(63)、徹さん(30)親子は、ブドウの付加価値を高めようと、房のまま乾燥させた無添加の干しブドウを商品化し、販売している。
 同園では、185アールで大粒種「紅伊豆」など7品種を栽培。干しブドウは、「安芸クイーン」「黄玉」「シャインマスカット」を使用する。
 今年、食や商品に厳しい目を持つ大手百貨店や出版関係者らが審査する「世界にも通用する究極のお土産~『東北10品』」に干しブドウを出品。高評価を得て、選考された。
 秀明さんは「消費者に干しブドウを食べてみて、生食用も食べてみたいと思わせたい」と意欲的だ。

〈写真:商品を手に佐藤さん親子〉


設置楽な防鳥線張り機を考案【大分県・12月1週号】

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 【大分支局】中津市三光でミカンを栽培する小原誠さん(58)は、鳥よけのための糸(防鳥線)を簡単に張れる道具を考案。試作器を近隣のミカン園で試していて、早ければ来年にも製品化を予定している。
 鳥よけの糸は樹(き)全体に張り巡らせるもので、小原さんの試作器では1200メートルの糸を1時間程度で張れる。「ヒヨドリは防鳥線では完全には防止できないが、被害の軽減は十分可能」と小原さんは話す。
 試作器は、釣りざお、ペットボトル、ポリエステル製のミシン糸を組み合わせたもの。ペットボトルを輪切りにして糸巻きを入れ、口から出した糸を釣りざおの中に通し、穂先から伸ばすという構造だ。「材料さえそろえれば、一つ15分程度で作れます」と紹介する。

〈写真:ペットボトルを糸巻き入れにして、口から出した糸を釣りざおに通している〉


牧場入出時の消毒を徹底【北海道・12月1週号】

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 【北海道支局】根室市で酪農を営む坂井敏明さん(52)は、牧場や施設を出入りするとき、徹底して消毒するよう設備を整え、伝染病対策に余念がない。
 牧場の出入り口には、車両のタイヤを消毒する噴霧器を2台備えている。そのうち1台は、ホームセンターで購入したスプレー式消毒器と小型エアコンプレッサーを組み合わせて坂井さんが自作。「2台備えることで、1台が故障しても使えるようにしました。用意すれば全員が協力してくれます」と説明する。
 牛舎や施設の出入り口にはすべて消毒槽を設置。病原体侵入予防の効果をあげるため、施設の外に置いている。
 坂井さんは「消毒には費用をかけています。伝染病発生で失う利益に比べれば、価値はあります」と話している。

〈写真:坂井さんと生乳処理室入り口の消毒システム〉


農作業の傍ら音楽活動【福岡県・12月1週号】

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 【福岡支局】「音楽を通して、多くの人と交流を深めていきたい」と話す、田川市の鶴島稔さん(71)。水稲50アール、コショウやハバネロなど3アールを栽培しながら、地元の音楽団体に参加して、地元の祭りや老人施設などで音楽活動を行っている。
 「農繁期になると、暇がなく、なかなか練習も難しくなります」と鶴島さん。バンドではギターを担当し、作詞も行う。ジャンボタニシの気持ちを歌った「ジャンボ谷氏の一人言」という曲など、農家ならではの観点から書いたユニークな曲も制作している。
 「音楽仲間との交流や、施設でお年寄りに喜んでもらえることにやりがいを感じています」と鶴島さん。「今後も、農業も音楽活動も楽しんでいきたい」と笑顔で話す。

〈写真:ギターを手に鶴島さん。作曲も手掛ける〉


防風林「日本語に込められた日本刀にまつわる思い【2015年12月1週号】」

 ▼ふと立ち寄った小さな町の歴史館、所蔵の刀剣展が開かれていた。「武器である日本刀由来のことわざって多いんですよ」。館員との会話が弾んだ。
 ▼例えば、約束時間に間に合いそうもなくて「切羽詰まった」進退窮まる状態を「土壇場」という。切羽は刀の鍔(つば)に添えられた金具で、これが詰まると刀を「抜き差し」できなくなる。獄舎から引き出された罪人で、刀を試し切りする際に土盛りしたのが土壇場。普段使わない最後の切り札を出すのを「伝家の宝刀を抜く」という。
 ▼気心が通じ合わない人を示す「反りが合わない」は、日本刀背面の曲がり(反り)と鞘が合わない場合をさし、その人が能力的に秀でて勝ち目がないのを「太刀打ちできない」。短時間で技量を磨くのが「付け焼き刃」、なまくら刀に鋼の焼き刃を足したものだ。
 ▼そんな相手と勝負して善戦するのは「鎬(しのぎ)を削る」。鎬は刃と棟の中間の稜線部で互いに刀を合わせ火花を散らす。敗れて「単刀直入」に謝罪しても「一刀両断」される、など。人を殺めるための武器を日常語に入れて話したら、現代では危険人物視されるのが関の山だ。
 ▼武家社会が長く続き、特に江戸は武士が多かった。武家への畏敬があったのだろう。日本刀の切れ味や刃紋の美しさ以外に、礼節や忠義を重んじる武士道精神を、長らく戦(いくさ)の途絶えた平和な江戸期の庶民が言葉に残した。今度、農業由来の熟語やことわざを探そう、「晴耕雨読」「我田引水」とかなり多い。

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