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今週のヘッドライン: 2015年12月 2週号

リンゴジュース 高品質で価値創出 ―― 青森県弘前市・「あっぷりんご園」水木たけるさん(1面)【2015年12月2週号】

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 「農家の発想で、顧客も思いつかない新たな価値を提供したい」。青森県弘前市小友の「あっぷりんご園」で、栽培するリンゴをジュースに加工する水木たけるさん(40)は、原料の果実を厳選し付加価値販売に取り組む。品種を組み合わせ、甘みと酸味のバランスを調整。食味への影響を考慮し酸化防止剤を使わないなど製造の工程管理を徹底する。販売先の要望に対応したデザインなども自ら行う。素材の味を生かしたジュースは、全国の2800品以上の食品を掲載するサイトで高い評価を受け、利用者などによる審査で3回の受賞を果たした。顧客満足度の高い商品展開で、独自に6次産業化の道を行く姿を取材した。

(1面)

〈写真:「農家がおいしいと思えるリンゴだけをジュースに使う」とたけるさん〉

2016年産米の生産数量目標 8万トン減の743万トン(2面・総合)【2015年12月2週号】

 農林水産省は11月30日、2016年産米の全国の生産数量目標を15年産比8万トン減の743万トンに設定した。毎年約8万トン程度減少する需要を踏まえた。"深掘り"の目標である「自主的取組参考値」は、17年6月末民間流通在庫量を近年で最も少なくする水準として4万トン減の735万トンとし、ともに都道府県別に配分した。15年産米は、生産現場の努力で生産数量目標の配分以来、初めて目標を達成し、需給は一定の改善が図られている。ただ、米価は前年産を上回っているが、2年前の水準には届いておらず、さらなる需給の引き締めには16年産も生産数量目標の達成が必須となる。飼料用米など戦略作物への支援の継続と米の消費拡大対策の強化など、国を挙げて主食用米の需給と価格の安定を後押しする必要がある。

(2面・総合)

原発事故後、進まぬ捕獲・・・損防事業で獣害軽減に ―― 福島県・NOSAIいわき、NOSAI双葉(5面・NOSAI)【2015年12月2週号】

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 福島県のNOSAI団体では、鳥獣害に関する損害防止事業に力を入れている。NOSAIいわき(いわき市農業共済組合、 木田傳右エ門組合長)は、組合員などの所属する営農組織や団体に乗用草刈り機を貸し出し、遊休農地の除草を通じて被害の軽減を目指す。また、NOSAI双葉(双葉地方農業共済組合、山田四郎組合長)は、獣害防止用の電気牧柵を貸し出すほか、導入費用の助成を行い、被害の未然防止を図る。福島第1原発事故などの影響でイノシシなどの捕獲が難しい状況にある中、農家を支える両組合の取り組みを取材した。

(5面・NOSAI)

〈写真:乗用草刈り機を使用した圃場を確認する鈴木さん(右)とNOSAIいわきの矢吹参事〉

図表で見る2015年農林業センサス 厳しい現状浮き彫りに(7面・特集)【2015年12月2週号】

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 農林水産省が11月27日に公表した2015年農林業センサス(2月1日現在、概数値)では、農業就業人口は5年間で約51万人減少し、209万人となり、65歳以上層の割合が過去最高を更新するなど高齢化や農家減少、後継者不足が進む日本農業の厳しい現状があらためて浮き彫りになった。また、個人では守りきれなくなりつつある農地や水路などの地域資源を、集落全体で保全する割合が増加していることも分かった。生産基盤の維持・強化に向け、農家の確保・育成とともに、集落活動を下支えする施策の充実が必要となる。センサス結果の概要を紹介する。

(7面・特集)

〈図:年齢別農業就業人口の構成(全国)〉

2015年産大豆取引始まる 高まる国産志向も価格は2割低下(8面・流通)【2015年12月2週号】

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 2015年産国産大豆の取引が始まった。日本特産農産物協会が11月25日に行った入札取引では、普通大豆は60キロ当たり1万447円となり、上場数量1334トン全量が落札された。15年産は、最大産地の北海道では小豆などからの転換が進み、北海道・東日本の生育はおおむね順調に推移した。西日本が不作だった14年産(平均落札価格1万3380円)や、全国的に不作だった13年産(1万4168円)は高値水準で推移したが、15年4月をピークに価格は下げ基調にある。消費者の国産志向は続いており、豆腐や納豆メーカーからは国産大豆の一層の安定供給を求める声が上がる。

(8面・流通)

〈図:入札取引での落札価格の動向〉

高付加価値米を直販 ―― 埼玉県杉戸町・株式会社「農業舎」(11面・営農技術)【2015年12月2週号】

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 埼玉県杉戸町の株式会社「農業舎」(網本欣一代表、43歳)では、水稲25ヘクタールで農薬や化学肥料に頼らない米作りを実践し、高付加価値販売につなげている。特に無農薬・無化学肥料で栽培する「コシヒカリ」5ヘクタール分については、水田を活用してポット育苗での成苗で植えている。移植後の根張りが良く、倒伏に強い稲にするのが目的だ。また、深水管理や水田の生物多様性を生かすなど、病害虫や雑草が発生しにくい環境づくりに取り組む。地域の慣行栽培と遜色ない収量を確保する圃場もある。電話やファクス注文などで全量を直販。田植えや稲刈り体験、生きもの調査などのイベントを積極的に企画し、顧客との信頼関係を築きながら販路を広げてきた。

(11面・営農技術)

〈写真:「いろいろな工夫を組み合わせて雑草や病害虫を防いでいる」と網本代表〉

果樹共済と畑作物共済の掛金標準率改定へ 多くの品目で引き下げ見込み(2面・総合)【2015年12月2週号】

 農林水産省は11月30日、食料・農業・農村政策審議会農業共済部会を開催し、果樹と畑作物共済に適用する共済掛金標準率の算定方式の考え方を了承した。多くの品目で直近20年間の金額被害率が低下し、告示される新たな掛金標準率は引き下げられる見込みだ。農家が負担する共済掛金も低下する場合が多い。

(2面・総合)

関東・東北豪雨/栃木県内の水稲共済金 過去10年で最多の2億6859万円(2面・総合)【2015年12月2週号】

 9月に発生した関東・東北豪雨で大きな被害を受けた栃木県内の2015年産水稲の共済金が過去10年で最も多い2億6859万円に上ったことが分かった。NOSAIとちぎ(栃木県農業共済組合連合会)が11月30日までにまとめた。前年産比では約5倍。被害戸数は1937戸で、被害面積は1141ヘクタールに及ぶ。組合では12月上旬までに農家に共済金を支払う方針だ。

(2面・総合)

自家産5種の大豆で7色の味【山形県・12月2週号】

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 【山形支局】「大豆そのままの味を楽しみながら食べてほしい」と、高畠町糠野目の萩原拓重(はぎはら・たくじゅう)さん(35)は、自ら栽培する5種類の大豆を使って作る七つの「大豆菓子」を考案。シンプルで絶妙に味付けした商品それぞれのパッケージに、相性の良い飲み物を書き入れて販売したところ評判を呼び、地元をはじめ九州まで販売先が広っている。
 主に5種類の大豆(黒豆、赤大豆、白大豆、くらかけ豆、秘伝豆など)を7ヘクタールで栽培。その大豆を業者に委託して加工し、塩や砂糖、黒糖で素朴な味に仕上げた七つの商品を「萩原農園の大豆菓子」として販売している。
 塩味にした黒豆は緑茶と、黒糖がけした白大豆はコーヒーと、特有の香りを放つくらかけ豆は日本酒との相性が良いことなどをパッケージに分かりやすく書き入れている。萩原さんは「大豆を使ったみそや豆腐、納豆といった加工品の味の良さも見直され、最終的には、米の消費拡大にもつながれば」と思いを広げている。

〈写真上:「大豆のお菓子を食べてください」と笑顔の萩原さん〉
〈写真下:商品は山形エクセレントデザイン2015で入賞〉


薬草産地へ始動 ―― 県立植物園と契約【高知県・12月2週号】

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 【高知支局】「土佐清水市薬草生産組合」が、高知県立牧野植物園との委託契約による薬草栽培をスタートさせた。同組合では「薬草栽培を計画的に進め、地域の活性化を目指したい」と活動に取り組んでいる。
 同組合の上野雄一組合長(60)が地元で協力者を募り、8月末に有志18人で同組合を設立した。休耕地を活用し、植物園によって栽培候補地の土壌採取と土壌分析が行われ、圃場(10アール)が決定。約3千株の薬草の植え付けを行い、本格的な栽培がスタートした。
 栽培するのはホソバオケラとシャクヤクの2種。ホソバオケラは2年後、シャクヤクは3年後の収穫を目指す。上野組合長は「地域の他産業とも連携し、薬草で地域に人が呼べるよう取り組みを進めていきたい」と話してくれた。

〈写真:牧野植物園・岩本主任(左端)から植え付けの指導を受けるメンバー〉


伝統野菜「平良カブ」 自家採種で守り続ける【秋田県・12月2週号】

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 【秋田支局】明治時代から東成瀬村平良地区だけで栽培されてきた青首の長カブ「平良(たいら)カブ」。同地区の佐藤絹子さん(80)は毎年、自家採種した種子から生産を続け、栽培歴は半世紀を超える。「うなぎ屋が秘伝のタレを切らさないように、この種を切らしたくない」と、伝統野菜の保存に熱意を見せる。
 平良カブは無化学肥料、無農薬で栽培され、独特の食感とピリッとした辛味が特徴。地区内10戸ほどの生産者が、村内の農事組合法人「なるせ加工研究会」へ出荷し、同研究会が加工、販売する。佐藤さんは100キロほどを出荷する他、地区全体では1トンほどの実績だ。
 約5アールの耕地を計画的にローテーションし、根コブ病の発生を防ぐ。「行政やJAの指導で自家製EMボカシ肥料を基肥に使ってからは、根コブ病を見ない」と胸を張る。

〈写真:平良カブの栽培歴が50年以上になるという佐藤さん〉


自家産柿で「ころ柿」作り50年【宮城県・12月2週号】

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 【宮城支局】特産品のころ柿作りを50年以上続ける、丸森町耕野地区の高橋隆衛さん(71)は「今年は豊作で、色づきも良い」と喜ぶ。1.6ヘクタールの園地で、大ぶりで長だ円形の「蜂屋柿」を中心に、小粒で甘味が強い「平核無(ひらたねなし)」を一部栽培している。
 栽培管理で最も苦労するのが病害対策。特に炭そ病対策が不可欠で、6月から数回に分けて防除しているが、天候によって思うようにいかないことがあるという。
 収穫した柿を1週間ほど熟成させた後、皮をむいて硫黄で薫蒸。風通しの良い場所につるし、1カ月ほど乾燥させれば、ころ柿が出来上がる。高橋さんは「柿農家も高齢化している。若い人を加えて、組合での出荷をこれからも続けていきたい」と話す。

〈写真:「今年は豊作で、色づきも良い」と高橋さん〉


クラフトビール醸造 ―― ホップ産地確立へ【京都府・12月2週号】

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 【京都支局】「初めての栽培で戸惑いもありました」と話す、与謝野町の京都与謝野ホップ生産者組合で組合長を務める和田徳雄(とくお)さん(63)。
 組合は2015年に町が立ち上げた「与謝野クラフトビール醸造事業」の生産母体として、和田さんと有限会社あっぷるふぁーむ(山本雅己代表取締役)で構成し、ホップの試験栽培に取り組む。今年は米国や英国産の29品種を35アールで作付け。約100キロを収穫した。先月20日には、同町金屋のリフレかやの里で生産者やアドバイザーなど関係者を集め、クラフトビールのお披露目会も行われた。
 和田さんは「あと2年試験栽培をして、町の気候に適した品種や栽培方法を確立したい。ホップの産地化とクラフトビールの醸造で6次産業化を図り、町の活性化につながれば」と話す。

〈写真:出来上がったビールで乾杯する和田さん(左)と山本代表〉


カラマツでツリーハウス 憩いの場に【北海道・12月2週号】

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 【北海道支局】自宅敷地にある2本のカラマツ(樹齢約40年)を利用してツリーハウス=写真=を完成させた、帯広市の畑作農家・仁田(にった)義勝さんは「一般開放して、地域の人や多くの人に楽しんでもらいたい」と話す。
 子どものころから親しんできたおよそ25メートルのカラマツを利用して「何か造れないか」と考え、ツリーハウス建設を思い付いたという。春から構想を練り、近所の大工などの力を借りて、8月下旬におよそ2週間で完成させた。
 ハウスやテラスは木造で、床部分の高さは地上から5メートル。天気が良い日は十勝幌尻岳を一望できる。「ここでコーヒーを飲みながら景色を眺めるのは最高の気分。1階の未整備部分にピザ窯や、露天風呂などを建設したい。多くの方の憩いの場にしたい」と話す。


防風林「こころを忘れたものづくりに将来はない【2015年12月2週号】」

 ▼純国産ジェット機「MRJ」(三菱リージョナルジェット)の初試験飛行が成功した。旅客機としては引退した半世紀も前の「YS-11」以来だという。「ものづくり日本、いまだ健在」との感を新たにした人も多かったのでは。
 ▼他方、マンションの杭(くい)打ちデータ改ざん事件や、JA全農が販売した普通肥料に記載表示と異なる成分が含まれていたなどの問題は、日本製の工業や農業製品の評価を失墜させかねない。
 ▼過去にも、建物構造強度の改ざんや牛肉偽装......など消費者を欺いた事件が発覚し、会社解散やトップ交代などの厳しい社会的制裁を受けたのは遠い昔ではなく、過去の経験が生かされていなかった。工業製品だけでなく食品や農産物を供給する側も含め、安全・安心が業者の生命線との認識を持ち合わせていたはず。
 ▼日本の食文化が世界無形遺産に登録され、環太平洋連携協定(TPP)対策で輸出促進による「攻めの農業」を展開しようとする矢先、施用される肥料成分が偽装されていた事実は農業生産基盤の信頼性さえも問われるだろう。根底には生産農家の汗や努力への軽視があるのでは。
 ▼有機栽培や特別栽培農家に使用者責任を問えるはずもなく、認証取り消しなど農家の経営的な損失は計り知れない。適切な経済的補償や消費者への信頼回復支援も検討すべきなのだ。「こころ」を忘れた利益追求至上主義は、ものづくりの精神を崩壊させかねない。農業資材など関連業者は、再発防止に企業生命をかけてほしい。

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