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今週のヘッドライン: 2016年01月 2週号

地元酒米・水で醸す ―― 秋田県横手市・平鹿町酒米研究会(1面)【2016年1月2週】

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 秋田県横手市平鹿町浅舞、横手盆地の中央にある「浅舞酒造」では、酒米を蒸した湯気が早朝から立ちこめる。「JA秋田ふるさと 平鹿町酒米研究会」(19人)が蔵から半径5キロ以内で生産した酒米と、敷地内の湧き水だけで日本酒「天の戸(あまのと)」を仕込む。豪雪地帯の寒さを利用する地域に根ざした酒造りは最盛期を迎えている。研究会は、農薬と化学肥料を平均の半分以下に減らし、県の「特別栽培農産物」認証を受けた酒米作りを続けてきた。しかし、秋田市の「太平物産」が成分を偽装した肥料を使用していたため、認証から外れてしまった。特別栽培米使用をうたう酒瓶ラベルを貼り替えざるを得なくなるなど降って沸いた災難だが、研究会では、使用する農薬や肥料を見直す機会と捉え、前に進もうとしている。

(1面)

〈写真:蒸し上がった酒米に麹菌を振りかける杜氏の森谷さん(左)〉

16年度の農林水産予算は2兆3091億円 農政改革を着実に推進(2面・総合)【2016年1月2週】

 環太平洋連携協定(TPP)発効を見据え、政府は2016年を「農政新時代」元年と位置付け、競争力強化や輸出拡大など農業の成長産業化に向けた農政改革を強力に推進する方針だ。12月24日に閣議決定した16年度予算案では、農林水産関係に2兆3091億円(15年度当初予算比1億円増)を計上。15年度補正予算とあわせて農産物の市場開放に備えた体質強化対策などを措置する。ただ、TPP大筋合意に伴い生産現場の先行き不安は依然強い。担い手ばかりが強調される状況は、高齢化や担い手不足などが深刻化する地域に、離農拡大や営農意欲減退などを招く恐れがある。多様な農家が農業・農村で暮らせるきめ細かで柔軟な施策の運用・実行が求められる。
 16年度農林水産関係予算のうち、NOSAI関係予算は、15年度当初予算比6億7300万円減の888億600万円となった。

(2面・総合)

政府がTPPの影響試算 農産品は最大1516億円減(2面・総合)【2016年1月2週】

 政府は、12月24日の環太平洋連携協定(TPP)の影響試算を公表した。関税撤廃・削減に伴う農林水産物の生産減少額は、約1300億~2100億円で、最も減少額が大きいのは牛肉で最大625億円と試算した。ただ、体質強化対策や経営安定対策など国内対策により全品目で「国内生産量は維持される」とし、輸入増加に伴う価格下落分しか見込んでいない。生産現場からは「政府の希望値だ」「見通しが甘すぎる」などの声も出ている。

(2面・総合)

地域の宝を多くの人へ ―― 福井県敦賀市・杉箸アカカンバ生産組合(3面・暮らし)【2016年1月2週】

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 福井県敦賀市の杉箸集落で100年以上前から食べられてきた赤カブ「杉箸アカカンバ」を30アールで栽培し、ぬか漬けなど4種の漬物に加工して販売するのは「杉箸アカカンバ生産組合」だ。カブを割ると赤いさしが入り、酢に漬けると鮮やかな赤い漬物に仕上がるのが特徴。印象に残るマスコットキャラクターを制作し、市内のほか東京のレストランや県のアンテナショップでも販売する。最も大変な間引き作業では、ボランティアを募り交流も楽しむ。地元が誇る伝統野菜の魅力を発信し、過疎が進む集落の活性化を目指している。

(3面・暮らし)

〈写真:杉箸アカカンバを収穫する菅野さん(左)と山口さん〉

産地力向上へ「地理的表示保護制度」 地域ブランドを守る(8面・流通)【2016年1月2週】

 地域特有の農林水産物や食品のブランドを保護する「地理的表示保護制度(GI)」に7産品が第1弾として登録された。制度は、地域特有の自然環境や独自製法で生産され、品質などの特性が産地と結びつく農林水産物・食品に対し、国が"お墨付き"を与え、まがい物などを取り締まる仕組み。世界100カ国以上で導入されており、地理的表示産品を証明する登録標章(GIマーク)を付けることで、地域ブランドの付加価値向上につながると期待されている。

(8面・流通)

黒ボク土、赤土の水田で良質「コシ」 土作りに重点 ―― 栃木県那須塩原市・永井憲一さん(11面・営農技術)【2016年1月2週】

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 養分が不足しやすく水稲栽培が難しい土質の水田で、良食味の「コシヒカリ」(16ヘクタール)を安定生産する栃木県那須塩原市越堀の永井憲一さん(68)。足りない成分を補給する土作り肥料や、牛ふん堆肥など有機物の施用で土壌改良を続け、地域の目標値を上回る食味値と一定の収量を維持。土壌診断に加え、葉色などのこまめな観察で施肥量や水管理などを調整し、倒伏や食味低下の原因となるチッ素過多を避けるよう心掛ける。都市部の食堂などに販売し評価されている。

(11面・営農技術)

〈写真:「どのくらいの効果か時間がたたないとわからないのが土作りだ」と永井さん〉

果樹の樹体共済 制度見直し補償拡充(7面・NOSAI)【2016年1月2週】

 冬を迎えたものの、各地では暖冬傾向が続いている。この先の気候についても、気象庁の3カ月予報(1~3月)ではおおむね平均気温は高く、降雪量は少ないと見込まれているが、万が一の大雪に備えた対策は忘れてはならない。NOSAIの実施する果樹の樹体共済では、大雪による枝折れなどを補償する。2015年4月からは共済金の支払対象となる損傷割合引き下げや、共済金額(契約補償額)の算定に関わる樹齢区分別換算係数の全体的な引き上げが行われ、補償の充実が図られた。仕組みを共子さんが済太郎くんに聞いた。

(7面・NOSAI)

農政新時代元年スタート 2016年度予算と15年度補正予算の主な新規・拡充事業の概要(10面・特集)【2016年1月2週】

 政府は昨年末、2016年度予算案と15年度補正予算案をまとめた。農林水産関係は、合計で2兆7100億円を計上。特に「総合的なTPP(環太平洋連携協定)関連政策大綱」に基づく体質強化対策を補正予算で措置し、16年度予算では「農林水産業・地域の活力創造プラン」の着実な実行に必要な予算を盛り込んだ。農林水産省の公表資料から主な新規・拡充予算の概要を紹介する。

(10面・特集)

光る技 産地を先導 2015年度地域特産物マイスター(12面・特集)【2016年1月2週】

 日本特産農産物協会(髙hashi.jpg德一理事長)はこのほど、2015年度の地域特産物マイスターを認定した。地域特産物マイスター制度は、地域特産物の栽培、加工で長年の経験と卓越した技術を持ち、伝承や商品開発、産地育成などで指導的役割を果たしている人を認定・登録する。2月22日に東京都港区の石垣記念ホール(三会堂ビル)で開く「地域特産物マイスターの集い」で認定証を授与する。創設15年を迎えた本年度のマイスター認定決定者24人の概要を紹介する。

(12面・特集)

防風林「変わりゆく風土、次世代に向けた転換を【2016年1月2週】」

 ▼昨年の晩秋も終わりごろ、北陸新幹線開業後、初めての飯山駅に降り立った。目前に広がる風景と十数年前に訪れた際の記憶が重ならず違和感を覚えた。在来線の旧駅から少々離れた位置に新駅が完成したためだが、駅周辺整備や近隣観光地へのターミナル化などで往来客も増え、肌で感じる街の空気が以前と微妙に変化したかのよう。
 ▼この地では春になると、菜の花で埋めつくされる丘から蛇行する千曲川が眺望できる。前回も今回の訪問も紅葉が落葉した時期で、季節には恵まれない。この川は長野県から新潟県境に入ると信濃川に名を変え日本海に注ぐ。その河口付近で育った者には、異なる流域環境や「風土」でありながら、河川の水流でつながる近しさを感じてきた。
 ▼地域によって異なる自然や人の暮らし向きが、固有の風土を形づくり、新たな開発などで微妙に変化していく。風土を辞書で引くと「人間の文化形成などに影響を及ぼす精神的な環境」と説明する。『古寺巡礼』の著者・和辻哲郎は論文で、風土が人間の深層心理や行動に大きく影響を与えるという。
 ▼自然災害の発生後に被災者が「60数年も住んできて初めての経験」とのコメントを耳にするが、悠久の歴史の中では100年さえも瞬(まばた)きにも満たない時の流れでしかない。伝承や地名の一端にしか刻まれない過去の出来事は多い。土地の気候や地勢、歴史を知りはぐくまれた風土で自然災害回避が可能なのかも。
 ▼交通や情報網の発展で金・物・心の価値観は画一化し地域的な差異はほとんどない。だからこそ伝統野菜や農法、生活様式、祭礼、文化などを地域資源として掘り起こし、次世代に向けた〝新たな風土〟に転換する活動が大切なのだと思う。

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