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今週のヘッドライン: 2016年01月 3週号

自社産もち米を加工、直売店で提供 土作りが基盤6次産業化 ―― 石川県小松市・有限会社のむら農産(1面)【2016年1月3週号】

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 水稲17ヘクタールを耕作する石川県小松市中海町の有限会社「のむら農産」(野村佳史代表、41歳)は、生産するもち米の加工・販売を軸に6次産業的な経営を軌道に乗せている。かきもちや切り餅、大福など100種類以上そろえ、加工所を併設した直売店で販売する。11ヘクタール分のもち米の全量を加工にまわし、売り上げの8割を加工品が占める。田植えなどの体験や試食販売会などのイベント「あんやとサンデー」を毎月開催し、直売店に地元消費者を呼び込み、交流とファン作りにつなげてきた。イベントの告知や割引券がついた便りを毎月2300人に発送するほか、商談会などへ積極的に出向き販路拡大を図っている。

(1面)

〈写真:「新商品の開発やイベントの開催で店に活力が生まれる」と野村代表〉

農林水産物・食品の輸出額6690億円 3年連続で最高を更新(2面・総合)【2016年1月3週号】

 2015年の農林水産物・食品の輸出額が11月末までで6690億円と過去最高となったことを受け、森山農相は8日、政府が掲げる20年に輸出額1兆円目標の前倒し達成を目指し、官民一体で輸出拡大に取り組む方針を強調した。特に環太平洋連携協定(TPP)発効を念頭に、輸出相手国の関税撤廃・削減を追い風ととらえ、国別・品目別の輸出戦略などを踏まえた輸出促進対策を強化・拡充する。人口減少や高齢化など国内需要の縮小が見込まれる中、輸出拡大の取り組み強化は重要だ。ただ、農林水産物・食品の輸出額のうち、穀物と野菜・果実、畜産品の合計は1千億円程度に過ぎない。さらに原発事故に伴う輸入規制などを含め、輸出は相手国の検疫事情や為替変動など国際的な情勢の影響を受けるリスクを抱える。輸出をめぐる状況を話し合った。

(2面・総合)

韓国で口蹄疫発生 防疫強化呼び掛け(2面・総合)【2016年1月3週号】

農水省が都道府県に通知
 韓国で口蹄疫の発生が確認されたことを受け、農林水産省は12日、各都道府県に口蹄疫の発生予防対策など防疫措置の強化を求める通知を発出した。

(2面・総合)

TPPの影響 東大の鈴木教授らが独自に試算(2面・総合)【2016年1月3週号】

国内対策なしの場合 農産物は1兆2614億円減
 東京大学大学院の鈴木宣弘教授らの研究グループは14日、環太平洋連携協定(TPP)に伴い農林水産業の生産減少額は1兆5594億円に及ぶとの試算結果を発表した。政府の試算は、最大2100億円程度の減少だが、国内対策による生産量の維持が前提となっており、鈴木教授は「(関税撤廃などで価格が下がっても)国内対策より生産量と所得への影響は全くないというのは無理がある」と指摘。政府の影響試算を踏まえつつ、国内対策を打たずに生産量が減少した場合をおり込んで独自に推計した。

(2面・総合)

農水省が「第10次卸売市場整備基本方針」 産地に選ばれる市場へ(8面・流通)【2016年1月3週号】

 農林水産省は14日、2016年度から5年間の卸売市場の整備・運営の指針となる「第10次卸売市場整備基本方針」を公表した。「川上から川下をつなぐ懸け橋として求められる機能・役割の強化・高度化」に向け、特に卸売市場の経営戦略の確立を重視する。市場ごとに立地条件などを踏まえ、目指すべきビジネスモデルの構築を強く求めた。また、市場間連携による効率的な流通ネットワークづくりは引き続き推進するが、第9次方針で打ち出した中央拠点市場は、実績の低迷などから事実上廃止する。卸売市場は、公正・透明な価格形成を含め、円滑な生鮮食料品などの供給に重要な役割を担う。現在、市場経由率は全国的に低下傾向にあり、実需者が求める低温管理や効率化の遅れなどの課題を抱える。産地に選ばれる卸売市場の再構築が急務となっている。

(8面・流通)

和牛一貫/早期離乳で繁殖機能の回復早く 安定して一年一産 ―― 広島県神石高原町・合同会社向牧場(9面・営農技術)【2016年1月3週号】

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 和牛一貫経営で繁殖牛60頭、育成牛35頭、肥育牛130頭を飼養する広島県神石高原町時安の合同会社向牧場では、繁殖牛用に放牧地(3ヘクタール)を確保するなどストレスを与えない工夫で、発情がきやすい環境を整備し、分娩(ぶんべん)間隔11.3カ月を達成している。子牛は生後1週間で早期離乳させて人工哺育し、分娩後の繁殖機能回復を早める。発情予定日をホワイトボードに記帳し、毎日確認して発情を見逃さない。27カ月齢まで肥育し、食肉卸に出荷する。家族4人で作業分担を図り、高騰する素牛(もとうし)相場に左右されない安定経営に努めている。

(9面・営農技術)

〈写真上:「頭に入っていても、毎日必ず見る」と発情予定日を確認する隆司さん〉
〈写真下:「自家産の牛は飼養環境が変わらないため、増体がいい」と靖弘さん〉

イチゴの選果場はガラス張り【香川県・1月3週号】

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 【香川支局】四方がガラス張りで、室内が丸見えのイチゴ選果場。中で作業をするのは、2010年にUターン就農し、現在はハウス33アールで「さぬきひめ」を栽培する空浮ストロベリーガーデン代表社員の大山隆さん(東かがわ市馬篠、36歳)。大山さんは「自分たちが手を抜かず真面目に作業する姿をオープンにしている。かっこ良さも出したかった」と話す。
 「見られるということで、自分自身の背筋が伸びる。怠け心を起こさない戒めになっている」。地域に溶け込む手段の一つとして、見える選果場を取り入れた。奇抜さが目を引き、通りすがりに「売ってくれるん」と立ち寄る人もいるという。
 「嗜好(しこう)品のイチゴは、心を豊かにするという大切な役割があると思う。多くの人に身近な暮らしの楽しみを感じてもらえるよう、毎日一生懸命イチゴと向き合いたい」と話す。

〈写真:ガラス張りの選果場(photo:yohsuke furuta)〉


新技術利用したトマト栽培(1)【京都県・1月3週号】

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 【京都支局】「トマトは一生かけて作る価値がある」と話すのは、京都市右京区で中村農園を経営する中村尚司(なかむらひさじ)さん(61)。
 中村農園では、2013年から環境制御装置を備えた鉄骨ハウスでトマトのたる栽培に取り組む。たるの中には土の代わりに「ココピート」を使う。「水はけが良く酸素が行き渡るので、味の濃い高糖度のトマトができる」
 コナジラミ対策には天敵のを利用し、化学農薬の使用を抑える。また、ナノバブルを発生させた液肥を施用し、根に酸素を満遍なく供給。さらに、緑色の発光ダイオード(LED)を深夜2時間照射し、栄養分やうま味、病害抵抗性を高めるなど新たな栽培方法を試みる。
 「作り手の考えが反映できる野菜を作りたい」と中村さんは笑顔で話す。

〈写真:「トマト作りは奥が深い」と中村さん〉


新技術利用したトマト栽培(2)【栃木県・1月3週号】

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 【栃木支局】温度、照度、二酸化炭素量などのハウス内環境の情報を常時スマートフォンで確認し、トマトの品質向上や収量増に努めるのは、鹿沼市上日向にある丸福農園の福田茂輝(しげあき)さん(38)。「日々、新しい栽培技術が生み出されるところにやりがいを感じます」と笑顔を見せる。
 福田さんは日々の温度管理のため、15分ごとのハウス内環境の情報を、ハウス内設備とスマートフォンを連携させることでデータ管理を行う。「目標の温度管理ができているかの確認に役立っています。栽培後に、自分の管理方法とデータを見比べ、次の栽培につなげています」と話す。
 今後について福田さんは「トマトを通年提供し、データ管理による品質向上に努めていきたい」と抱負を話してくれた。

〈写真:ハウスで「サンマルツァーノ」を手に福田さん〉

国産を売りに西洋野菜の販路拡大【山形県・1月3週号】

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 【山形支局】「料理人が求めているものは、新鮮な国産品だった」と話す、鶴岡市千石町の五十嵐和泉(いずみ)さん(39)は、露地畑20アールと園芸施設1棟で、一年を通して約20種類の西洋野菜を生産している。
 ケールやセルバチコ、ロロロッサなど、希少価値のある多種多品目を栽培。「国内で生産すれば『安心』という付加価値が生まれ、需要が伸びるのではないか」と、レストランで取り扱うものを調べて作付け品目を増やし、地元の産直施設で販売してきた。
 東京都で開催されたイベントに同行したとき、レストランの関係者の目に留まり販路が拡大。今ではシェフの要望に応えた野菜を栽培し、毎月2回ほど発送を続けている。また、地元でも口コミで販路が広がり、飲食店からはサラダ用のセルバチコやクレソンなど、カクテルバーからはミントなどの注文が相次ぐ。
 五十嵐さんは「根セロリなど需要のあるものを仕掛けていきたい」と新たな品目を模索する。

〈写真:「将来は西洋野菜を経営のメーンにしたい」と五十嵐さん〉


自家産豚を骨付き生ハムに【宮城県・1月3週号】

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 【宮城支局】「農産加工物の裾野を広げたい」と話す、大崎市田尻の高橋精一さん(66)。「大崎産田尻生ハム工房」を運営し、自家産放牧豚を使った骨付き生ハム「大崎プロシュート」を製造販売する。
 「品質のいいものを作るには、肉質の良さが重要」と高橋さん。材料には、5ヘクタールの牧場で放し飼いした豚を使用する。生後3カ月齢で導入した豚は、約4カ月間野外で飼育。その間、配合飼料の他に草や土を食べてストレスなく伸び伸びと育ち、きめが細かく脂にうま味のある肉質になる。
 生ハムは、完成までに約2年要する。1~1年半かけて長期熟成することで、肉質は硬くなり過ぎず、うま味成分が凝縮された仕上がりになるという。高橋さんは「おつまみに最適で、アボガドやチーズとの相性は抜群」と話す。

〈写真:「肉質と長期熟成が重要」と高橋さん〉


トマト 品種食べ比べで自家産アピール【島根県・1月3週号】

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 【島根支局】栽培だけでなく野菜の魅力を伝えたいとの思いで、昨年からミニトマトの栽培を始めた出雲市多久町の清水正詩さん(39歳、ハウス1棟=3.7アール)。試食販売を行うなど消費者への宣伝活動に奮闘する。
 清水さんが栽培するミニトマトは糖度が10度ほどあるという。トマトのPRとして昨年10月から店頭で試食販売を開始。月1回のペースで品種ごとに味の違いを体験してもらっている。試食した吾郷道雄さん(67)は「ミニトマトにはないフルーツのような甘さがあり、おいしかった」と甘さに驚いていた。
 清水さんは「消費者に直接訴えかけることが、今後農業を続けていく上で必要なこと」と話している。

〈写真:試食販売を行う清水さん〉


兄が育てた牛 弟の店で提供【新潟県・1月3週号】

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 【新潟支局】今年でオープン22年目を迎える焼き肉店「肉処(どころ) バッファロー」(南魚沼市茗荷沢)は、牛肉生産から加工販売まで家族で営んでいる。
 オーナーの桜井和志さん(42)は「兄が肥育した牛を私が加工し、提供しています。生産から販売まで、全て『顔が見える』というのは、安全・安心を提供する上で、大きな強みですね」と6次産業型経営のメリットを話す。
 桜井オーナーの兄で、生産者の桜井和浩さん(52歳・肥育牛80頭)は「オープン当初は不安がありました。こういった自己完結型の経営に以前から興味がありましたので『やってやろう!』という思いの方が強かったですね」と当時の思いを話す。同店では、牛肉の他、米や野菜なども極力自家産を使用している。
 「この1月から地鶏の提供も開始しました。おいの扇君が生産した地鶏です。自家産で提供できる素材が増えることは本当にうれしい」と和志さんは力を込める。

〈写真:店内でオーナーの和志さん(右)とおいの扇さん〉


防風林「中山間地農業を活性化させる機械化は施策が大事【2016年1月3週号】」

 ▼農地集積や大規模化が重視される「攻めの農業」では、中山間地域活性化への青写真は描ききれてないように見える。
 ▼農業専門紙記者などが選定する「2015年農林水産研究成果10大トピックス」が農林水産省から発表され、「中山間地対応栽培管理ビークル」(中山間ビークル)が高く評価された。
 ▼田植機をベースに後輪の上下駆動を可能にし、傾斜地や軟弱不整地でも姿勢を保ちながら走行し各種管理作業ができる。昨年1年間に報道された試験研究の中から話題性のある課題を投票し集計したものだが、以下は果樹や野菜の授粉省力化、遺伝子研究が多い。この中山間ビークルはICT(情報通信技術)やGPS(衛星利用測位システム)など耳障りのいい先進技術に頼らず実用的な農機に仕上げた。
 ▼高齢化や担い手不足にあえぐ地域で、中山間ビークルが傾斜地農業を再生させる起爆剤になるか?は、今後の中山間の活性化施策にかかる。他紙の記者も同じ思いで投票したに違いない。
 ▼効率化優先の農業施策では、失いかけている生産基盤や集落機能が蘇るなどとは誰も思っていない。山村の田畑で今、汗を流す農家の労力軽減や営農継続につながればいい。評価は台数ではなく、対象となる地域や農家に「必要」を感じさせる事ができるかだ。

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