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今週のヘッドライン: 2016年01月 4週号

加工・業務用野菜の契約取引 事業安定化に一役 ―― 和歌山県紀の川市・株式会社七色畑ファーム(1面)【2016年1月4週号】

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ニーズを的確につかむ
 市況に左右されない安定経営を目指し、加工・業務用野菜の契約取引が各地で広がっている。和歌山県紀の川市粉河の株式会社七色畑ファームは、延べ15ヘクタールでハクサイやキャベツ、タマネギなどを栽培。ほぼ全量をJAを通じてカット野菜業者や漬物加工業者などに卸す。10アール当たり売上高30万円以上を目標とし、播種前に提示される出荷規格とキロ単価を検討して作付け計画を作成。病害虫に強い品種を選び、生育をそろえて一斉に収穫し、高収量と低コストを追求する。加工・業務用需要の約3割は輸入野菜とされ、国産品によるシェアの奪還が求められている。

(1面)

〈写真:ハクサイを鉄製コンテナに詰める。段ボール出荷と比べ大幅な省力化が可能だ〉

農水省/都市農業振興基本計画で素案 都市農地は「あるべきもの」(2面・総合)【2016年1月4週号】

 農林水産省は19日、自民党の都市農業振興に関する小委員会で、都市農業振興基本計画の素案を示した。都市農地の位置付けを現状の「宅地化すべきもの」から「あるべきもの」へと転換し、計画的に保全する方針を打ち出した。新鮮な農産物の供給はもとより、防災空間や景観形成など多様な機能を持つ都市農業への評価の高まりや、人口減少社会での都市づくりへの対応などを踏まえた。振興策の柱には、多様な担い手の確保・育成や税負担の軽減措置の検討などを明記した。すでに都市農地は減り続け、実効性のある維持・振興策は急務だ。都市住民への農業理解の醸成や国産農産物への支持拡大を図る観点からも、都市農業の機能が最大限発揮される環境整備が求められる。

(2面・総合)

300年守る伝統の味 在来品種「久五郎豆」で風味豊かなみそ造り ―― 山形県最上町・佐藤真由美さん(3面・暮らし)【2016年1月4週号】

160127_02.jpg 「真心込めて造ったわが家自慢のみそをたくさんの人に味わってもらいたい」と話す、山形県最上町本城の佐藤真由美さん(51)。佐藤さん方の9代目として、姑(しゅうとめ)から嫁へ、母から娘へと300年にわたって代々受け継がれてきた在来品種「久五郎(きゅうごろう)豆」を使ったみそ造りに取り組む。添加物を一切使わず、自家産米の麹(こうじ)と塩だけで仕込む「九代目久五郎秘伝みそ」は、「風味豊かでコクがある」と消費者から評判を集めている。佐藤さん方だけが栽培する在来品種の魅力を、家族で守り、加工品として多くの人に伝えている。

(3面・暮らし)

〈写真:「お客さんからもらう応援が、受け継いできた味への自信につながる」と真由美さん〉

家畜診療の最前線担うNOSAI獣医師 組織挙げ安定確保へ(7面・NOSAI)【2016年1月4週号】

 政府は2016年度予算では産業動物分野に就業する獣医師の育成や確保を目的に、獣医療提供体制整備推進総合対策事業を拡充する。修学資金の貸与のほか、獣医学生や臨床獣医師への実習研修、女性獣医師などに就業支援などを行う。NOSAI団体においても、診療や損害防止活動で農家経営を支える獣医師の確保が求められている。夏期臨床実習による学生の受け入れや、大学での学生説明会などを通じて情報を発信している。獣医師をめぐる情勢について共子さんが済太郎くんに聞いた。

(7面・NOSAI)

土の若返り資材 転炉スラグに期待(12面・資材)【2016年1月4週号】

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畑地→酸性土壌を矯正 水田→硫化水素の発生軽減
 病害の被害抑制や微量要素の供給が可能な土壌改良資材として、製鉄工程での副産物「転炉スラグ」が注目されている。畑地では、生育障害の要因となる酸性土壌を矯正でき、アブラナ科野菜の根コブ病やトマト青枯れ病などの抑制効果も見られるという。水田では、土作り資材として利用されるケイ酸カルシウムに加え鉄を供給し、根の生育を阻害する硫化水素の発生を抑える。利用には土壌消毒や土壌診断に基づいた施肥改善、有機物の施用などの組み合わせが有効だ。普及への課題は、散布時の労力やコストの低減だ。農研機構がまとめた転炉スラグの研究成果集を参考に、施用に関する技術の要点を紹介する。

(12面・資材)

〈写真:「肥料と違い、造粒するとセメント状になり地中で崩れない」と説明する後藤名誉教授〉

もみ殻培地を活用 根腐れ知らず ―― 岩手県・田原農園(13面・営農技術)【2016年1月4週号】

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表面乾きやすく中は水持ち良好
 岩手県雫石町の田原農園は、イチゴの自作高設栽培装置に、1年間野積みし親水性を高めたもみ殻を培地として用いる。培地はもみ殻と赤玉土を7:3の割合で混合する。水はけがよく、根腐れなどを起こしにくいのが特徴だ。「土作りの知識がなくても栽培できた」と代表の田原浩志さんは話す。脱サラして未経験のイチゴ栽培を2014年から本格的に始めた。また、同町の「花工房らら倶楽部〈くらぶ〉」は、価格が安く、軽量というもみ殻培地のメリットに注目。年間40万ポット出荷する花の苗をもみ殻培地にして、大幅なコスト削減につなげる。

(13面・営農技術)

〈写真上:イチゴの高設ベッドを確認する田原さん〉
〈写真下:倉庫横のもみ殻保管場所に立つ桜糀社長〉

15年度補正予算が成立 農林水産関係は4008億円(2面・総合)【2016年1月4週号】

TPP関連対策に3122億円
 環太平洋連携協定(TPP)に伴う農業の体質強化対策や、低所得高齢者への給付金支給などを柱とする2015年度補正予算が20日、参院本会議で与党の賛成多数で可決、成立した。総額3兆3212億円で、農林水産関係は4008億円を措置する。

(2面・総合)

NOSAIにお任せください(9)―― 福島県・NOSAI安達(7面・NOSAI)【2016年1月4週号】

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自走式動力噴霧機貸し出し 水稲の病害虫防除に成果
 福島県のNOSAI安達(安達地方農業共済組合、今福松司組合長)は、イモチ病やカメムシといった水稲の病害虫防除を目的に、自走式動力噴霧機を組合員に無償で貸し出している。2015年は80戸に貸し出し、約60ヘクタールを防除した。希望者が多いことから、昨年6月には新たに1台を追加導入し、より多くの組合員が利用できるように努めている。

(7面・NOSAI)

〈写真:追加で導入した動噴。初めて利用する農家には職員が丁寧に説明する〉

水稲の冬越し直播栽培で労力軽減【新潟県・1月4週号】

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 【新潟支局】新発田市米倉の農事組合法人米倉村(嶋津一男代表理事=65歳)では、水稲栽培作業の効率化を図るため、仕事量が減る冬季に無人ヘリによる直播作業を行った。冬季に無人ヘリを利用した直播作業は、県内で初めての取り組みとなる。
 農事組合法人米倉村では、水稲65.8ヘクタール、ホールクロップサイレージ(WCS)用稲27ヘクタール、大豆6.1ヘクタールを栽培している。
 昨年、直播の際に残った種籾(たねもみ)を有効活用できないかと考えていた。検討を重ね、集落に冬季に背負動力散布機で直播作業を行った経験がある者がいることから、大規模圃場で無人ヘリを利用した直播を行うことを決めた。
 新潟市西区にあるヤンマーアグリジャパン株式会社に相談したところ、農閑期の無人ヘリの有効利用にもつながることから全面協力の承諾を受けた。昨年12月8日、1.2ヘクタールの圃場で「こしいぶき」の直播作業が行われた。
 同法人では水稲栽培面積が大きく、春作業が集中していた。この栽培技術が確立できれば、春作業の労働時間の軽減に加え、育苗・田植え作業を省略できるという。1.2ヘクタールの圃場への田植えは2時間かかるが、無人ヘリでの播種作業は約15分で終わる。
 嶋津さんは「育苗の必要もないので、低コストでの生産が求められるホールクロップサイレージ稲の栽培に、この方法が確立できれば経費15%カットも夢ではない。初期の発芽率を高め、冬越し直播栽培技術を確立させたい」と意欲を見せる。

〈写真:種籾を播種する無人ヘリコプター〉


特産の干し柿づくり 受け継いで【山形県・1月4週号】

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 【山形支局】上山市本庄地区で特産の干し柿づくりに取り組む北澤正樹(きたざわまさき)さん(42)。120アールの畑で柿を栽培し、およそ15万個の干し柿を加工、販売している。
 北澤さんの干し柿づくりは10月下旬から始まる。収穫された柿は軸をT字に切りそろえ、選果機で5段階の大きさに分けられる。専用の機械で柿を回転させながら1個ずつ皮をむいた柿は、20個ずつ1本の"より紐(ひも)"に軸をはさみ込み、ハセ(屋外にある屋根だけついた干し場)に掛ける。
 約2週間ハセに天日干しされた柿は、室内の室(むろ)に移され、練炭などを使いさらに1週間乾燥させた後、1個ずつブラシがけを行う。この磨きの作業を行うことで、甘味がたっぷり含まれている白粉(糖分の結晶)が柿の表面に現れ、干し柿は完成する。
 北澤さんは「この地域に根付いた干し柿の伝統を継承し、上山の干し柿をより多くの方に知ってもらいたいですね」と話す。

〈写真:ハセにつるされた柿と北澤さん。およそ15万個が作られる〉


上位等級の香り米 安定出荷へ【宮城県・1月4週号】

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 【宮城支局】「香りを喜んでもらえるよう品質を均一にしたい」と話す、登米市石越町の稲邊崇志さん(39)。香り米品種「はぎのかおり」15アールを手掛け、直売所などで販売して好評を得ている。
 はぎのかおりは、安定した多収を目標に育成された香り米品種で、1991年に県の奨励品種となった。普通品種並みの収量は香り米としては多収で、耐寒性もある。「ひとめぼれ」と比較すると倒伏しやすいが、稲邊さんは様子を見ながら追肥を施す。未成熟な小粒や被害米などに対応し品質をそろえるため、色彩選別機を2回通すなど上位等級米を出荷しているという。
 稲邊さんは「固定客がいるので、安定して生産できるよう努力していきたい」と意欲的に話す。

〈写真:「均一した品質を提供したい」と稲邊さん〉


狩猟エコツアーで担い手獲得へ【千葉県・1月4週号】

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 【千葉支局】鋸南町では「イノシシによる現状を多くの方に知ってもらおう」と白石治和町長の提案で、狩猟エコツアーを開催。ツアーでは、「捕る」「捌く」「食する」のテーマに分けて開催され、獣害と共生する町の姿を紹介する。
 このツアーは同町の新たな取り組みとして、農村の魅力をはじめ、狩猟の社会的役割、狩猟方法などを多くの人に紹介していくというもの。また、鳥獣被害対策の担い手を獲得するきっかけになればと開催されている。
 昨年、第1弾となる「けもの道トレッキング」では、参加者はイノシシの生態について学んだ後、同町の横根ワナ組合メンバーの案内で入山。獣道をたどり、イノシシ捕獲わなや監視カメラの設置状況を見回り、猟に関する技や知識を学んだ。参加した女子大生は「わな猟や狩猟の免許を取りたくて参加しました。狩猟に携わる現場の苦労話などを聞けて良かった」と話す。
 今後、「解体ワークショップ」や「ジビエ料理ワークショップ」を開催予定だという。

〈写真:横根ワナ組合メンバーが箱わなについて参加者に説明〉


まきストーブの燃料に廃材利用【熊本県・1月4週号】

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 【熊本支局】2年前からまきストーブを利用したイチゴ栽培に取り組んでいる阿蘇市小野田の西田満士(にしだみつし)さん(59)。「1月から2月に氷点下になる阿蘇市では、イチゴ栽培に暖房機は欠かせません」と話す。
 数年前まではイチゴ40アールを栽培していたが、重油代の高騰で10アールまで減らした。暖房のコストを下げるために試行錯誤する中、農業関係の雑誌でまきストーブの記事を見つけ、記事を参考に自作。現在は改良した2台目を使っている。
 午後11時に火を入れて、午前7時まで燃焼する。年間に使用するまきは2トン。家を解体した時に出る廃材を利用しているため、燃料費はかからない。廃材は乾燥しているため、着火しやすく、火力も強い。排煙によるイチゴやハチへの悪影響はないという。
 まきストーブの使用で、2014年は重油代を3分の1コストカットすることができた。西田さんは「コストカットしても、イチゴの品質や収量が落ちたら収益も減って意味がありません。品質や収量に影響しない環境を維持した上でのコストカットでなければいけません」と話す。

〈写真:イチゴの生育状況を確認する西田さん〉


エアドーム式農業ハウスを開発中【岐阜県・1月4週号】

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 【岐阜支局】農業生産法人株式会社LSふぁーむ(小坂井雅次代表取締役=54歳)では現在、瑞穂市只越に日本初の「エアドーム式農業ハウス」の開発を進めている。
 このハウスの主な特徴は、パイプや柱を使わず300坪から千坪までの自由な広さで施工が可能で、農地のまま土地を利用することができ、建築確認申請が不要なこと。パイプや柱がなくても気圧式を用いることで風や雪に強く、光拡散フィルムを使用することで多段栽培も可能だ。収穫量・回転率ともに従来の施設栽培より、格段に上げることができるという。
 小坂井さんは「今までの農業のあり方を大きく変えるスタイルになっていってほしい」と、今回のプロジェクトの成功を願う。

〈写真:ハウスの内部。多くの人が視察に訪れるという〉


品種特性生かしたヤマブドウのピューレ【岩手県・1月4週号】

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 【岩手支局】野田村がヤマブドウの産地であることから、株式会社のだむら(社長=小田祐士村長)が運営する「観光物産館ぱあぷる」では、同村産だけを使って無添加・無加糖で「山ぶどうピューレ」3種を商品化した。
 同社では、3系統の品種の特徴を生かした「酸味」「甘味」「香り」の3種を開発。酸味にはヤマブドウ本来の酸味の強い「葛巻系」を使用。甘味には糖度が高い「野村系」、香りにはヤマブドウの香りの高い「在来系」を使用している。
 「酸味は肉料理のソースに、甘味はヨーグルトなどのデザートに、香りは海産物のドレッシングに合います」と同社の古舘美惠子(ふるだてみえこ)総務課長(55)。使い方でいろいろな味わいを楽しめるという。

〈写真:「山ぶどうピューレ」。ネットでも販売〉


防風林「雪の恐ろしさ、江戸時代の『北越雪譜』がもの語る【2016年1月4週号】」

 ▼最大級のエルニーニョ現象のせいか、気象は人知の及ばない動きをする。積雪の多い地域に雪が少ないと、暖冬傾向に首を傾げていた矢先の大雪、関東でも交通機関は混乱、転倒によるケガ人がでるなど油断は禁物。
 ▼「細(ささめ)雪」「沫(あわ)雪」など情緒的な別名をもつ雪。ひらひら舞う「雪花」は軽そうでも、しんしんと降る「牡丹(ぼたん)雪」は「どか雪」となり屋根を押し潰し、時には人の生命を奪うこともある。
 ▼江戸後期、越後魚沼の文人・鈴木牧之(ぼくし)が著した『北越雪譜』は、雪国の風習や逸話、耐雪・利雪の知恵を挿絵とともに書き記した書籍。当時、江戸庶民には北国の生活が異国の印象さえ感じたようだ。雪の日、十数年前に買った解説本『北越雪譜物語』(田村賢一訳著)を書棚から開いてみた。
 ▼わら沓(くつ)や蓑(みの)などの歩行具の説明、吹雪で行き倒れた女の幽霊伝承など興味深い。中でも、雪荒れの日には鮭が大漁になるからと夕刻、再び漁にでた漁師が、妻の用意した松明で命綱が焼き切れ溺死した話に胸が詰まる。
 ▼水量豊富な小川が積雪でせき止められ、一気に低い集落を襲う「水揚げ」と呼ばれる雪中洪水は、溺死者をだす災害として描く。過去の記録は貴重だ。名残雪のように恋を演出する雪も、人命を奪う表情を持つことを北越雪譜は語っている。

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