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今週のヘッドライン: 2016年02月 2週号

ユズで幸せな村づくり 低コスト・高収入の実現へ「3世代が暮らせる」目標に ―― 高知県三原村(1面)【2016年2月2週号】

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 「ユズは高齢者でも扱いやすく、収益確保も見込める。親、子、孫3世代で暮らせる村にしたい」と話す高知県三原村の高添信行参事。村と農業公社などは連携し、ユズ園地の整備を進める。3月に完成する大規模な自動選果施設を活用し、「日本一の高収入・低コスト」産地を目標に、1個数百円の高級青果を販売する戦略をとる。産地化で雇用を創出し、移住者の獲得につなげたい考えだ。人口1700人弱、農家平均年齢67歳の中山間の村は、ユズを地域活性化の切り札に据えている。

(1面)

〈写真:ユズを確認する岡村さん〉

TPP署名で国内手続き本格化へ 国会で審議・検証尽くせ(2面・総合)【2016年2月2週号】

国民理解は依然不十分
 環太平洋連携協定(TPP)参加12カ国は4日、ニュージーランドで協定文に署名した。昨年10月に大筋合意した内容が確定し、早期発効へ各国とも本格的な国内手続きを開始する。日本政府は、3月にも承認案と関連法案を今国会に提出する方針で、打撃が想定される国内農業の体質強化に向けた具体策の検討も本格化させる。ただ、国会決議との整合性をはじめ、国会審議は深まっておらず、協定内容への国民理解も不十分なままだ。さらに協定には農産物関税にかかる「再協議」規定など将来問題となりかねない事項も盛り込まれている。11月に米大統領選を控え、TPP発効は早くても2年後とされる。TPPは国内農業のみならず、国民生活にも影響を及ぼす懸念がある。国会には慎重・丁寧な議論を尽くす責務完遂が求められる。

(2面・総合)

乾燥野菜/約30種を製造・販売 手軽においしく ―― 北海道美唄市・つむぎ屋(3面・暮らし)【2016年2月2週号】

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食味と色を重視して栽培
 北海道美唄市内の農業女性ら5人で運営する「つむぎ屋」は、自家産の野菜を使った乾燥野菜を製造・販売する。ダイコンやタマネギなど単一品目のほか、多品目の野菜を1袋に入れ、鍋に入れて味付けすれば豚汁やスープが簡単にできるセット商品も用意し、約30種類をそろえる。野菜を買っても食べきれない一人暮らしや高齢者世帯に特に人気だ。農閑期は、乾燥野菜を使ったレシピ開発や直売所へ対面販売に出向き、野菜の戻し方や食べ方を提案しながら消費者との交流を深めてきた。「加工場に集まって作業することが日課になり楽しい」とメンバー。農業の合間に取り組む1日数時間の加工作業が憩いの場となり、充実した生活の糧となっている。

(3面・暮らし)

〈写真:「活動は毎日の活力です」。メンバーは左から忍さん、聖子さん、志津子さん、美美さんのほか、田中美保さん(48)〉

世界農業遺産/地域振興の次なる一歩へ 産地継続へ気運高まる ―― 和歌山県みなべ町・田辺地域(7面・特集)【2016年2月2週号】

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森林やため池が育むウメ産地 見慣れた環境に価値
 国連食糧農業機関(FAO)が国際的に認定する「世界農業遺産(GIAHS〈ジアス〉」は、住民が農業や環境の価値を再認識し、農業振興や地域活性化へ次の一歩を踏み出す契機となっている。昨年末に認定を受けた和歌山県みなべ町と田辺地域では、活用に向けた協議会を農家や行政、観光業などで結成。地域産業を支えるウメ生産の付加価値向上や、観光客の呼び込みなどの検討が始まっている。認定から3年後、5年後を迎えた各地域では地域振興の具体策が進んでいる。遺産の価値を高めるため、認定サイト間で連携し認知度向上や活動の充実に努めている。

(7面・特集)

〈写真:「作業で気にかけていなかった景色を、じっくり眺める機会にもなった」と稲見さん。梅園の周辺に薪炭林が広がる(和歌山県みなべ町・田辺地域)〉

合併進め「1県1組合」が21都府県 円滑な事業運営目指す(5面・NOSAI)【2016年2月2週号】

 1月17日から急速に発達した低気圧に伴い、北海道や本州のほか、四国、九州地方などでも大雪となり、園芸施設や果樹などの被害が各地で報告されている。NOSAIの組合等は、加入農家へ早急に共済金を届けようと、適正・迅速な損害評価に全力を挙げる。NOSAIは、農業のセーフティーネットとして十分に機能を発揮できるよう、組織体制強化や事業運営の効率化に努める。制度を支えるNOSAI部長など基礎組織構成員との連携を深め、円滑な事業運営を目指している。

(5面・NOSAI)

水稲高密度育苗で苗箱6割減 移植時の補給労力も軽く ―― 石川県農林総合研究センター農業試験場が開発(11面・営農技術)【2016年2月2週号】

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 石川県農林総合研究センター農業試験場(金沢市)は、水稲育苗箱当たりの乾もみ播種量を250~300グラムと密播し、専用田植機を使い1株当たり苗3~4本で高精度に移植する高密度育苗技術を開発した。苗箱使用数が10アール当たり5~7箱と慣行の4割程度に抑えられ、大幅な省力・低コスト化が可能だ。苗は、稚苗と比べ短い2~3週間で葉齢2・0~2・3葉、草丈10~12センチに育てる。米の収量や外観品質、食味に慣行栽培と差はない。専用田植機は、2017年産からの実用化を目指している。

(11面・営農技術)

〈図:移植時の苗質と植え付け状況〉

農林水産物・食品の輸出額 3年連続で最高を更新(2面・総合)【2016年2月2週号】

前年比21.8%増の7452億円
 農林水産省は、2015年農林水産物・食品の輸出額が前年比21.8%増の7452億円となり、3年連続で過去最高を更新したと発表した。円安や海外での日本食ブームなどが後押しとなり、「16年に7千億円」の政府目標を1年前倒しで達成した。森山農相は会見で、「日本の農林水産物・食品は、安心・安全なものと世界的に評価をいただけるようになった」と強調、「官民一体で輸出の拡大を図り、(20年に)輸出額1兆円目標の前倒しを目指したい」と述べた。

(2面・総合)

原料原産地表示の対象品目拡大へ検討会 国産消費拡大の追い風に(8面・流通)【2016年2月2週号】

価格上昇や誤表示の懸念も 実行可能性を慎重に議論
 環太平洋連携協定(TPP)の大筋合意を受け、今後さらに農林水産物や加工食品の輸出・入が増えると見込まれる。現行制度では、国内で製造された加工品の一部に限られている原料原産地表示の対象品目を拡大し、国産農作物を原料とした商品を消費者がより選択しやすくすることで、国産需要促進や自給率向上につながると期待されている。しかし、加工食品事業者団体からは原料原産地表示は「膨大なコストが掛かる」と懸念する声も強い。消費者庁と農林水産省は先ごろ、「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」の初会合を開き、対象品目拡大に向けた具体的な方策を検討、今秋をめどに中間的に取りまとめる方針だ。

(8面・流通)

青パパイアを特産に【広島支局・2016年2月2週号】

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 【広島支局】耕作放棄地を活用したパパイアの栽培と、商品開発を進める尾道市御調町の株式会社尾道熱帯植物研究センター(後藤公作代表取締役=65歳)。熟す前の青パパイアを地域の新しい作物として広めようと生産を始め、町内の道の駅や学校など地域に後押しされ、地域創生の実現に向けて取り組んでいる。
 昨年4月上旬、同社の内海千晴さん(35)を中心に、農地を提供した農事組合法人の構成員ら10人ほどで、町内や島しょ部の約3.5ヘクタールに苗を定植。9月中旬に初めての収穫を迎えた。道の駅や県内のスーパーで食べ方を説明しながら販売。さらに、パパイアを使ったドレッシング、料理用の酢を発売した。
 また、地元の小学校や高校が授業の一環としてパパイアの栽培から収穫まで取り組んだり、町内の飲食店で使われたりしている。内海さんは「パパイアの魅力をもっと発信して販路を広げ、町内の耕作放棄地で多くの人に栽培してもらいたい」と話す。

〈写真上:パパイアを手に内海さん(前列右)と栽培スタッフ〉
〈写真中:道の駅に並ぶパパイアの加工品〉
〈写真下:ハウスは冬場もパパイアが実っている〉


凍みイモ ―― 郷土食を守りたい【岩手支局・2016年2月2週号】

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 【岩手支局】冬の寒さを利用した保存食「凍(し)みイモ」作りの作業適期を迎え、作業に励む田野畑村明戸の菊地英光さん(57)。同村の郷土料理「いもだんす」には凍みイモの粉を使うが、作り手は少なく、「次代につないでいきたい」と凍みイモ作りに力を注ぐ。
 凍みイモ作りは1月(小寒~大寒)に行われる。戸外で凍らせた後、自然解凍したジャガイモをぬるま湯に浸して皮をむき、30~40個ひもに通したものを川の流水に約10日間浸してアクを抜く。雨雪が当たらない場所で1カ月以上乾燥させ製粉。イモは直径5センチほどで、手作業で皮をむく。菊地さんは「手間はかかるが、手作業の方が良品に仕上がる」と話す。
 「冬場の貴重な保存食・収入源になる。郷土食として伝わってきたものを無くしたくない」と、菊地さんは今後の生産に意欲を燃やす。

〈写真:凍みイモの乾き具合を確認する菊地さん〉


米農家のおにぎり専門店 主食米の消費拡大へ【千葉支局・2016年2月2週号】

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 【千葉支局】水稲1.5ヘクタールを栽培する多古町島の宇井伸征さん(38)は、おにぎりの専門店「多古はちろう商店」(鎌ヶ谷市富岡)の経営にも取り組んでいる。都市部に販売拠点を置くことで、多くの人に「おいしいお米」をアピールするとともに、販路拡大を目指す。
 宇井さんは、地域の若手農家で組織する農事組合法人ユナイテッドファーム21を設立。町の後押しを受け、15年5月におにぎりの専門店を開店させた。使用する米は、多古町で生産されるブランド米「多古米コシヒカリ」。自主流通米品評会で「食味日本一」になったこともあり、人気だ。組合で生産したものだけでなく、町内の農家からも買い入れている。
 「主食米としての消費を拡大し、魅力的な農業経営を目指したい。成田空港に近いので、海外にも出店したい」と宇井さんは夢を話す。

〈写真上:「魅力的な経営を目指したい」と宇井さん〉
〈写真下:多古はちろう商店で販売するおにぎり〉


ランの花びらに模様 付加価値高める【宮崎支局・2016年2月2週号】

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 【宮崎支局】「生産はもとより、販売にも力を入れたい」と話す、ラン直営店Flover(フラバー)代表の眞鍋哲(まなべさとし)さん(36)。デンファレ、ミディ系のコチョウランを中心に約20アールのハウス経営をしている。
 宮崎市でランを栽培する眞鍋さんは「E.C.D.C(以心伝心)」というブランドを立ち上げ「美手蘭(びしゅらん)」という商品名で、ランの花びらにメヘンディというインドの伝統的な絵柄を描いて販売する取り組みを行っている。
 昨年は東京インターナショナルギフトショーにも出品。県内外から注文を受けている。また、月に1度、宮崎市で開催される「街市」に出店し、美手蘭の宣伝も兼ねて切り花などを販売している。眞鍋さんは「記念日や冠婚葬祭などさまざまなシーンで、大切な方に特別な思いを伝えるお手伝いができればいいですね」と話す。

〈写真上:梱包、発送には気を使います」眞鍋さん〉
〈写真下:美手蘭〉


塩台使って哺乳瓶ホルダー 哺乳の手間いらず【北海道支局・2016年2月2週号】

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 【北海道支局】子牛の哺乳作業の効率アップをねらって別海町の有限会社寺井牧場では、塩台を使って哺乳瓶ホルダーを手作りした。牧場代表の寺井隆二さん(56)は、「成牛用の固形塩を置く塩台を流用したホルダーのアイデアは以前からありますが、最も自然に哺乳できて、瓶に乳が残らない角度に設置するように工夫しています」と話す。
 寺井さん方が発案した哺乳瓶ホルダーは、使わなくなった塩台の一部を切り取り、哺乳瓶の乳首の大きさに合う丸い穴を開けたもの。子牛ハッチに木の座板を設置して加工した塩台を角度を調整しながらボルトで固定している。
 「手を添えなくても子牛の突き上げに対応できる」と寺井さん。ホルダーに慣れない子牛もいるが、「哺乳瓶ホルダーを設置してから哺乳効率は格段に上がりました」と話している。

〈写真:哺乳を担当する妻の紀世さん。「仕事が楽になりました」と話す〉


自家産ベリーでジャム リピーターが励み【青森支局・2016年2月2週号】

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 【青森支局】むつ市近川の佐々木郁美さん(52)は、夫の翔兵衛さん(70)と果物ジャムの専門店「チャーリーズジャム」を営んでいる。
 ジャム作りは郁美さん、ラベル制作は翔兵衛さんが担当する。翔兵衛さんは「来店した際は味見をして、自分好みのジャムを見つけてください」と話す。お薦めは「チャーリーズミックスジャム」。ラズベリーとスグリのミックスで、特に酸っぱい味が好きな消費者に好評だ。
 郁美さんは「手作業で大変ですが、お客さまが『おいしかったからまた来た』と言ってくれることがうれしくて励みになります」と話す。
 同店は2月17日から23日にかけて東京の松屋浅草で催される「青森物産フェア」に出店予定だ。

〈写真:自慢のジャムを手に郁美さん(左)と翔兵衛さん〉

防風林「伝統ある都市農業の維持は地元の課題【2016年2月2週号】」

 ▼立春後の風の強い日、地元の空は薄茶色に染まり、住宅の窓枠に土が付着し主婦たちは洗濯物の汚れに眉をひそめる。近隣市町村の畑地の表土が風で巻き上げられ空を舞うのだ。
 ▼元禄期、徳川綱吉の側近・柳沢吉保は、武蔵国(現在の埼玉県)川越藩主に登用され、秣(まぐさ)場として農民間の係争が絶えない領内の雑木林を開墾し、着任後約3年という早さで190戸の入植者を受け入れた。一区画(5ヘクタール)が短冊状の地割りで、雑木林と屋敷(林)の間に畑を交互に配置した。雑木林は防風林として砂の流亡を防ぎ、落葉は燃料や堆肥、さらにサツマイモの苗床や伏せ込みに活用する農法も確立し循環型農業を配慮した。
 ▼埼玉県西部の三富地域には、今も短冊区画や雑木林の風景が残る。都心に近く宅地化の波を潜(くぐ)り抜けて野菜栽培が続いている。地元自治体は世界農業遺産への登録を目指していたがくしくも国内選定でかなわなかった。
 ▼伝統的な循環農法は継続されているが、高齢化や担い手不足などの影響は深刻だ。地元農家の熱意はもちろん、近隣市町村との協調・支援の輪が広まらなければ、江戸期から続く伝統の灯は強風とともに消えかねない。
 ▼この三富地域を含め、周辺では狭山茶銘柄の茶畑も多く、営農継続が土壌流亡の防止に一役買う。営農が途切れれば深刻化するはずだ。都市農業は「あるべきもの」への転換が検討されているが、暮らす住民が地元農業とどう付き合うか? もはや農業問題ではなく、地域計画の描き方なのだ。

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