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今週のヘッドライン: 2016年02月 4週号

老若男女 働きやすく ―― 岩手県花巻市・農事組合法人HHA泉畑(1面)【2016年2月4週号】

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 「労働環境を良くして、ゆくゆくは後継者の雇用につなげたい」――岩手県花巻市の農事組合法人「HHA泉畑」(11戸)の戸来邦次代表(66)は、将来を見据えた経営に取り組んでいる。同法人の経営規模は水稲や大豆、ピーマンなど26ヘクタール。ピーマン栽培では地域に雇用の場を提供。座りながら作業ができる台車を自作するなど、高齢者や女性が働きやすいように努める。また、経営の黒字化を追求、積極的に労賃向上を図り働き手の意欲向上につなげている。今後は、圃場整備や大型機械の導入などによる後継者確保が目標だ。

(1面)

〈写真:「地域にとって魅力ある集落営農にしたい」と戸来代表(右)と佐藤理事〉

特区での企業の農地取得へ議論加速も(2面・総合)【2016年2月4週号】

 自民党の小泉進次郎農林部会長は16日、「(農地を)持ちたい会社が持てる環境を整えるかどうか。選択肢を増やすのは政治の役割のひとつだ」と述べ、政府が検討する国家戦略特別区域(以下、特区)での企業の農地取得を容認する考えを示唆した。政府は、特区内での農業生産法人に対する企業の出資制限を「2分の1以上」に引き上げる意向で、今国会に関連法の改正案提出を目指す。ただ、企業の出資制限は、改正農地法が施行される4月に、現行の「4分の1以下」から「2分の1未満」へと大幅に引き上げられる。

(2面・総合)

畦塗り機や溝掘り機など貸与 圃場管理徹底で被害低減 ―― 栃木県・NOSAI芳賀地方(5面・NOSAI)【2016年2月4週号】

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 栃木県のNOSAI芳賀地方(芳賀地方農業共済組合、槌谷寛組合長)は、水稲や麦などを栽培する組合員を対象に畦塗(あぜぬ)り機や溝掘り機などの農機具を貸し出している。圃場整備の徹底により、自然災害によるリスクを低減することが目的だ。2014年度は延べ450台を貸し出すなど、農家からの需要も高い。

(5面・NOSAI)

〈写真:組合の職員からブームスプレーヤーの使用方法の説明を受ける小林さん(中央)〉

大学生へ技伝え 楽しく舌鼓 ―― 埼玉県入間市・埼玉を日本一の「うどん県」にする会(7面・青年)【2016年2月4週号】

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 全国2位のうどん生産量を誇る埼玉県で地元うどんの魅力発信を図る「埼玉を日本一の『うどん県』にする会」。13日、東京大学の学生たちを招き、うどん打ち体験を開いた。メンバーの若手農家がうどん打ちを教え、交流した。地元の冠婚葬祭などで振る舞われてきたうどんのほか、特産のお茶を生地に練り込んだ新メニューにも挑戦した。

(7面・青年)

コンポストバーン牛舎 快適性高く乳房炎減 ―― 熊本県菊池市・株式会社スコヤカファームが導入(9面・資材)【2016年2月4週号】

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 乳牛の快適性が高く、生産性向上につながるコンポストバーン牛舎が話題だ。放し飼い方式のフリーバーン牛舎の一種で、休息エリアにコンポスト(堆肥)を1メートル近く積み上げ、水分調整材のおが粉を足しながら朝夕2回、ロータリーで攪拌(かくはん)して牛舎内でふん尿を堆肥化させる。牛床のクッション性に優れて蹄への負担が減り、牛体をきれいに保ち乳房炎の減少にもつながる。熊本県菊池市旭志弁利の株式会社スコヤカファームでは、コンポストバーンを導入して経産牛1頭当たり年間乳量が1万1千キロ超に達するなど、酪農経営が向上している。

(9面・資材)

〈写真:ロータリーでコンポストを攪拌する善久さん。トラクターの自重で沈み、より深く攪拌できる〉

稲作 低コスト生産へ(13面・営農技術)【2016年2月4週号】

 全国農業改良普及支援協会は17日、東京都千代田区で「稲作コスト低減革新技術ワークショップ」を開き、普及指導員など約200人が参加した。政府が、日本再興戦略で担い手の米生産費4割減などを掲げる中、農林水産省では「担い手農家の経営革新に資する稲作技術カタログ」を公開。農地集積や規模拡大に対応した省力栽培技術などの普及を進めている。ワークショップでは、農業法人代表3人が、直播栽培の導入や大型農機の活用、農地集積による効率的な営農の展開など、低コスト生産を実現する事例を紹介した。

(13面・営農技術)

「田園回帰」の動き広がる 希望地1位は長野県(2面・総合)【2016年2月4週号】

 地方暮らしを希望する都市住民と、自治体とのマッチングを担う認定特定非営利活動法人・ふるさと回帰支援センターは16日、2015年の移住相談件数が前年比73.6%(9154件)増の2万1584件で、過去最高となったと発表した。特に若者で大きく増加しており、若い世代を中心とした"田園回帰"の動きが広がっていることが示された。
 移住希望地の意向調査では、第1位が長野県で、山梨県、島根県、静岡県、岡山県、広島県、高知県、秋田県、大分県と続く。

(2面・総合)

江戸時代から続く石垣の景観守る ―― 愛媛県宇和島市・NPO法人「段畑を守ろう会」(3面・暮らし)【2016年2月4週号】

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 「先祖が築いてくれたこの土地の景観を守っていきたい」と話すNPO法人「段畑(だんばた)を守ろう会」の山下憲穂(のりお)さん(70)。愛媛県宇和島市の市街地から車で40分ほど、遊子水荷浦(ゆすみずがうら)には、リアス式海岸の急斜面を切り開いた"段畑"が広がる。最盛期にはほかの地区も含めて全体で10キロ以上広がっていたが、高齢化などで徐々に縮小してきた。現在も残る段畑では、石垣が崩れるたびに一つ一つ人手で修復しながらジャガイモを作り続ける。農家や住民が結束し、守ろう会のもと、保存に努めている。

(3面・暮らし)

〈写真:集落から見上げるような段畑を前に山下さん〉

亡き父のファイルを基に米作り【兵庫県・2月4週号】

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 【兵庫支局】豊岡市にあるユメファームの代表を務める青山直也(あおやまなおや)さん(39)=水稲3.2ヘクタール=は、標高が高く、冬には雪深い神鍋高原で初めて水稲のコウノトリ育む農法に取り組んでいる。「コシヒカリ」で同農法を行い、良食味米生産を実現している。
 兼業農家だった青山さんが専業農家になったのは今から5年前。家族から大反対をされたが、最終的に背中を押してくれたのは亡き父が残した米作りファイルだった。
 稲作の年間スケジュールや圃場ごとの食味データ、施肥量などの管理方法がまとめられたファイルを基に試行錯誤し、市内ではあまり例のない額縁明渠(めいきょ)の設置などをし、収穫直前の落水を効率的に行って食味向上を追求した。
 青山さんは「妻と母の3人では規模拡大はできませんが、高い食味値で手間のかからない無農薬農法を確立し、農業がしやすく、したいと思える環境を整えて次世代につなげていきたい」と目標を話す。

〈写真:「コウノトリ育むお米」の栽培圃場。迂回水路を設けて雑草の発生を抑制している〉


学給へ20品目以上を安定供給【秋田県・2月4週号】

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 【秋田支局】子どもたちに地域農業への関心を持ってもらおうと、横手市内の学校給食センターでは、地元農家らが生産した野菜を使った献立を提供。学校給食という大規模な消費量を、横手市学校給食野菜出荷農家会(会員25人)が支えている。
 同会は転作作物として市内で野菜を生産する農家を中心に構成され、ジャガイモ、ニンジン、ネギ、リンゴなど、供給する品目は20以上。髙橋利光会長(59)は「会が結成された2001年に比べ、提供できる品目が大幅に増え、献立の材料に占める地場産の割合を高めることができている。子どもたちに地域の農業を身近に感じてもらえるのではないか」と話す。
 これまでの課題として、タマネギは給食での使用頻度が高く需要があったにもかかわらず、供給実績が少なかったことが挙げられた。「タマネギの供給量を増やすため、一昨年から春定植栽培に取り組んでいる。このことで収穫時期が延長できた」と髙橋会長は振り返る。

〈写真:収穫した野菜を手に髙橋会長〉


「水田ごぼう」を加工し通年提供【熊本県・2月4週号】

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 【熊本支局】菊池市袈裟尾の村上活芳(むらかみかつよし)さん(51)・智美(ともみ)さん(45)夫妻は、米の裏作として菊池地域の名産品となっている「水田ごぼう」230アール(うちJAS認定180アール)を栽培している。
 水田ごぼうは、畑で栽培するゴボウに比べ色白で、繊維も柔らかく、豊かな香りと甘味があるのが特徴だ。近年では、栽培技術が向上し、春ゴボウに加え冬ゴボウも栽培されるようになった。
 村上さん夫妻は、二十数年前から無農薬・無化学肥料で水稲と水田ごぼうに取り組んでいる。連作障害対策として、3年前からはサトイモとタマネギを水稲と水田ごぼうのローテーションに加えている。
 村上さんは安全・安心な水田ごぼうを一年中、食卓に届けたいと、有機JAS認定を受けた水田ごぼうで「乾燥ごぼう」を製造。皮ごと、調理しやすい大きさにカットし乾燥させた。
 「これからも、おいしい農作物をみなさんにお届けします」と村上さん夫妻は笑顔で話してくれた。

〈写真:「水で戻してすぐに使える乾燥ごぼうです! 便利ですよ」と村上さん夫妻〉


ウルイ 3年かけて根株を育成【山形県・2月4週号】

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 【山形支局】「高品質のウルイを作るには、良い根株を作ることが重要です」と話すのは、昔からの株を引き継ぎながら「小笹(おざさ)うるい」の促成栽培に取り組んでいる上山市東地区の粟野信善さん(62)。
 粟野さんは、根株の力をしっかりと蓄えさせるため、3年かけて養成する。春に収穫後の株を分割して1年間、露養成(露地畑で養成すること)し、大きく、成長の良いものを選んで別の畑に植え替え、さらに2年間育成する。
 粟野さんは「品質の良いものを出して、多くの方に知ってもらい、たくさん食べていただきたいですね」と需要拡大に期待を寄せる。

〈写真:ウルイを手に粟野さん〉


イチゴ まきストーブの燃料に雑木を利用【香川県・2月4週号】

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 【香川支局】「休耕地の保全管理も兼ね、雑木をまきに使っている。ハウスの燃料代は15%ほど削減できた」と話す、藤崎盛清さん(68)。土庄町豊島唐櫃でハウスイチゴ19.8アールを栽培する。
 島の後継者不足は深刻で、田畑だった場所は急激に山へと変貌。「豊島では、まきに困らない」と、農業共済新聞の広告欄に掲載されていた「ゴロン太」を、2014年に購入した。
 まきストーブは、筒の部分が直径約50センチで、高さは120センチ。休耕地に生える雑木は、丸太のまま長さをそろえれば入るため、まきを作る時間と労力はさほどかからない。
 最初は点火で失敗し、ハウスの中に煙を充満させたこともあったという。現在は、温まった空気をハウス内に拡散させるため、送風機を置いて試している。藤崎さんは「もう少し効率的に空気を動かす方法を模索している」と話す。

〈写真:まきストーブと藤崎さん〉


温州ミカンの長期保存が可能に【神奈川県・2月4週号】

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 【神奈川支局】東部地区柑橘(かんきつ)運営委員会では植物成長調整剤を使い、長期保存を可能にした温州ミカンを「あしがら金太郎みかん」と名付け、JAかながわ西湘を通じて販売する。
 農研機構・果樹研究所などが開発したこの保存技術は、ジベレリンとジャスモメート液剤(プロヒドロジャスモン)の混合薬液を9月中下旬に散布するというもの。果皮の老化を抑えて浮き皮を軽減できるため、長期保存が可能になる。県農業技術センターは「気温の低い山間地に合った栽培方法で、地域活性化の起爆剤にしたい」との考えだ。
 処理したミカンは着色が遅くなり、緑色のまま12月に収穫するため、従来のものと比べて鮮度を保つことができる。試験栽培に協力する農家の一人、中井町の森稔さんは「今年は肥えた土地で浮き皮がよく出ました。この技術に期待したい」と話す。

〈写真:薬剤処理した温州ミカン(右)〉


「会津地鶏」の卵にリピーター【福島県・2月4週号】

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 【福島支局】希少種「会津地鶏」の飼育・採卵を行う下郷町の阿久津農園(阿久津有信代表・64歳)では、「もっとおいしい卵を」と試行錯誤を重ねる。
 3500羽ほど飼育していて、卵の特徴として阿久津代表は、「産卵率は一般的な採卵鶏の半分程度ですが、うま味が凝縮された濃厚な黄身とプリプリの白身の食感など豊かな味わいです」と話す。
 下郷町は観光名所が多く、土産に買っていく人もいて、「味が濃い」「昔の卵の味がする」などの声があり、口コミで広まり、他県からのリピーターも多いという。
 今後について「冬場は観光客が少なく、卵の需要も下がるので、卵を使った菓子やプリンの加工をやってみたい。加工品ができれば経営規模も拡大できる」と抱負を話す。

〈写真:給餌する妻の常子さん(62)。鶏は平飼いしている〉


防風林「聖徳太子と四半世紀前の出来事は同じ伝説になるかも【2016年2月4週号】」

 ▼古本屋でふと一冊の歴史小説に目が止まった。『悪行の聖者 聖徳太子』(篠崎紘一著)だ。太子・厩戸皇子(うまやどのみこ)は天皇継承権を持ちながら摂政の位に甘んじ、仏教による国家の安寧を導くが、物語では父・用明帝の敵討ちを敢行、殺生と出生の秘密に苦悩する。仏は心の中に存在すると悟り物語は終わる。
 ▼若者の多くは福澤諭吉の1万円札しか知らず、十七条憲法や冠位十二階を制定し、わが国の中央集権国家体制を築いた偉業もおぼろだ。聖徳太子の有り難みは高年齢層の者だけに残る。
 ▼「十数人の異なる訴えを理解し適切に回答した」「神馬で空を駆けた」などの伝説が残り多くの謎を秘める歴史上の人物だ。平安期に太子信仰が広まり神としても祀(まつ)られた。その真偽のほどは千数百年遡(さかのぼら)ねばならない。
 ▼巻末の解説文まで読み進め驚いた。作者は、農業簿記など国内で最も普及するパソコンソフトを扱う会社の社長を歴任、二十数年前にお会いした記憶がある。当時、農業へのパソコン活用は、「先進農家の玩具」程度の認識しかされない時代だった。
 ▼今や複数の難問も携帯端末でネット検索すれば、聖徳太子も顔負けだ。ファクスもなかった時代の話を、文明の利器を使いこなす若者に話しても、たかだか四半世紀前のことなのに、聖徳太子と同じ伝説上の話のように思えるのだろう。

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