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今週のヘッドライン: 2016年03月 2週号

〈震災・原発事故から5年 希望へ 確実な歩み〉未来につなぐ ―― 福島県飯舘村・菅野宗夫さん、山田猛史さん(1面)【2016年3月2週号】

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 東日本大震災から間もなく5年。津波被災地では、74%の農地が復旧して営農再開し、効率的な水田営農に向けて圃場の大区画化が進む。一方、福島第1原発事故に伴う放射能汚染では、福島県で放射性物質の吸収抑制対策や米の全量全袋検査など高いレベルの対策を実施しているものの、県産農畜産物の価格低迷は今も続く。1面では、全村避難中の福島県飯舘村で、来年3月までに予定される避難指示解除を前に、着実に営農再開の道筋を描く農家2人を取材した。7面では、震災からの復旧・復興の現状を紹介する。

(1面)

〈写真上:試験栽培するホウレンソウを収穫する菅野さん〉
〈写真下:「水田放牧を行い、繁殖和牛50頭を目指したい」と山田さん〉

加工原料乳補給金の見直し検討開始 乳製品全体に統一単価(2面・総合)【2016年3月2週号】

所得向上確実にする仕組みを
 農林水産省は1日、加工原料乳生産者補給金制度の単価見直しにかかる有識者検討会の初会合を開いた。政府の「総合的なTPP(環太平洋連携協定)関連政策大綱」で、補給金制度の対象に生クリームなど液状乳製品を追加するとともに、補給金単価の一本化が明記されたことを受けての検討だ。同省は、2017年度からの新制度移行を目指しており、単価の算定方式などを具体化する。国内酪農は離農の拡大や飼養頭数の減少などに歯止めがかからず、生産基盤の強化による生乳生産の拡大は喫緊の課題となっている。酪農家の所得向上や経営安定に確実につながる新制度の構築が求められる。

(2面・総合)

水稲共済/高い補償水準を 風水害・鳥獣害など幅広く(5面・NOSAI)【2016年3月2週号】

 局地的な集中豪雨など"異常"といわれる災害が毎年のように各地で発生している。イノシシやシカなどによる鳥獣被害も依然として深刻だ。水稲共済は、移植期から収穫まで、幅広い自然災害による被害を補償する。まさかの時に備えて、なるべく高い補償水準で水稲共済に加入したい。共子さんが済太郎くんに聞いた。

(5面・NOSAI)

〈震災・原発事故から5年 希望へ 確実な歩み〉東日本大震災と原発事故 復旧・復興着々と(7面・特集)【2016年3月2週号】

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 農林水産省は1日、津波被害農地の復旧状況が74%など、東日本大震災からの復旧状況を示した。福島県では第1原発事故の影響が色濃く残るなど山積する課題も併せて説明した。また、福島県では、風評被害による農産物価格の下落の状況や、安全性確保に向けたモニタリング検査の概要などを公表している。福島大学経済経営学類の小山良太教授に必要とされる対策などを聞くとともに、復旧・復興の状況について資料から紹介する。

(7面・特集)

〈図:米の全量・全袋検査〉

野菜・果物/スーパー5店舗の産直コーナーに出荷 価格を自ら決め収益確保 ―― 広島県福山市・農事組合法人「むべやまの里」(8面・流通)【2016年3月2週号】

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 広島県福山市駅家町の農事組合法人「むべやまの里」は、大区画で灌漑〈かんがい〉設備の整った野菜団地で野菜・果樹など6ヘクタールを栽培し、地元スーパー5店舗の産直コーナーや自社経営の直売所など売り上げの9割が直販だ。自ら価格設定できるメリットを生かし収益確保を図る。常時10品目以上を作付け、キュウリの長期出荷やイチジクの多量栽培などで安定した販売を実現する。地域で、キャベツなど少品目に栽培を集中させた大規模農家が次々と撤退する中、販路の多角化で経営を維持している。

(8面・流通)

〈写真:「広大な農地を維持するため、収益を増やす工夫が必要だ」と小畠代表〉

シカの侵入阻止/隙間つくらず目隠し 河川開口部に防草シートのれん ―― 長野県(11面・営農技術)【2016年3月2週号】

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 長野県では、野生動物の侵入阻止が難しい河川開口部に、防草シートをのれん状に垂らすことでシカの目隠しにする方法を開発。シカの侵入防止が期待できることから現地での普及に取り組んでいる。河川の護岸にパイプを渡し、1メートル幅の防草シートをのれんのように垂らす仕組みで、隙間をつくらないよう20~30センチ重ねることがポイントだ。ホームセンターなどで入手できる材料を使い、比較的安価で簡単に設置できる。河川で柵が設置できない県内2カ所で調査した結果、防草シート設置後は、いずれの場所でもシカの侵入は確認されなかった。

(11面・営農技術)

〈図:防草シートのれんの設置方法〉

企業の特区内農地取得 条件付きで解禁へ(2面・総合)【2016年3月2週号】

原状回復の責任自治体にも
 政府は2日、国家戦略特別区域諮問会議を開き、特区内での企業による農地取得について、一定の条件下で解禁する特例措置の実施を正式に決定した。同日、自民党で承認されたことを踏まえた。政府は今後、同特区法改正案を閣議決定し、今国会に提出する。

自家産ナシで「新高梨シャーベット」【山口支局・2016年3月2週号】

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 【山口支局】親子4代にわたり、ナシ栽培に取り組んでいる美祢市の永嶺農園(永嶺克博代表=64歳)。永嶺代表の妻・ひろこさん(59)が考案した「永嶺農園の新高(にいたか)梨シャーベット」が、2015年度「Mine Collection(通称ミネコレ)」に認定された。市の農産物やその加工品の中で特に優れた商品を地元ブランドとして認定し売り出している。
 新高梨シャーベットの製造は、県外の業者に委託。1回に千個製造するため、約60キロのナシ「新高」が必要だ。シャーベットは、口あたりが優しくさわやかな後味に仕上がった。
 永嶺農園では約2.7ヘクタールの園地で9種類のナシを栽培。新高は初代から栽培する一つで、収穫の際は一つ一つ香りをかいで収穫時期を確認し、完熟ぎりぎりで収穫するという。
 現在、同市別府の直売所と自宅だけでの販売。「直売所まで買いに来てもらいたいです。『ここにしかない』というものにしていきたいです。それが今の目標」とひろこさんは話す。

〈写真:「完熟収穫にこだわった新高梨シャーベットです。ぜひ、一度食べてみてくださいね」とひろこさん〉


ふるい下米使いコーヒー風飲料 米の消費拡大へ【福井支局・2016年3月2週号】

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 【福井支局】坂井市下兵庫の冨田美和さん(38)は、県産食材の県外への発信や、玄米を焙煎(ばいせん)しコーヒー風にアレンジした商品化などに取り組んでいる。
 「農家が捨ててしまうぬかを、町の人はお金を払って手に入れている。都会と田舎のズレを感じた」と美和さん。米価の下落や、ふるい下米が多く出るのを目の当たりにして「米の消費が減る中、何かに活用できないか」と考えた。
 商品は「玄米ブラック」。弱火で16時間かけて、ゆっくり芯まで焙煎して作った。これによって抗酸化効果が玄米の約9倍になる。コーヒーのような酸味がなく、すっきりした後味。ノンカフェインで子どもや妊婦も安心して飲める。「コーヒーと麦茶との中間の飲み物です」と美和さんは話す。

〈写真上:「ドリップで癒やしの時間の提供を」と美和さん〉
〈写真下:美和さんがデザインしたパッケージの「玄米ブラック」〉


パッションフルーツ 樹上完熟、濃厚な甘味【千葉支局・2016年3月2週号】

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 【千葉支局】「他では味わえない濃厚な甘さが売りです」と話す館山市薗の梁(りょう)寛樹さん(30)。パッションフルーツを栽培する「RYO'S FARM」を経営し、都内のマルシェやオンラインショップで販売している。
 使われなくなったビニールハウス15アールを借り、約200本のパッションフルーツを栽培。夏と冬の2度収穫する。完熟するまで実が落ちないように果実を一つ一つクリップで留めている。そうすることで、大粒で濃厚な甘さの果実になるという。収穫後は「森のルビー」と名付け販売する。
 農園のパッションフルーツを使った、バタージャム「リリコイバター」の製造販売も行う。
 「加工することで客層が広がり、商品を通年販売できるようになりました」と話す。

〈写真:ぜひ一度食べてほしい」と話す梁さん〉


リンゴ剪定枝や果皮で染め物【秋田支局・2016年3月2週号】

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 【秋田支局】「色鮮やかなリンゴ染めを、増田の新たな特産品として多くの方に知ってほしい」と、横手市増田地域の女性グループ「プリティアップル」の佐々木初子代表(65)。剪定(せんてい)作業で出た枝や、果実の皮を使った草木染「リンゴ染め」を行い、廃材活用から地域の特産品を生み出すことに成功した。
 リンゴ染めは、リンゴの皮や細かく折った枝を煮たところへ、チタンや鉄、スズなどで作る媒染液を入れ、色の出た煮汁を作る。そこに絹や綿をつけて時間を計り、染まれば取り出して水で洗い、干してアイロンをかける。自分たちで考案したパッケージに包んで完成だ。
 商品はスカーフ、ハンカチ、コースター、巾着の4種類。「対面販売をしたときに、観光客の方に値段が安すぎると言われたこともあった。商品の価値に気付くことができた」と話す。

〈写真:リンゴ染めに取り組むプリティアップルのメンバー〉


学校産米使い乳酸発酵甘酒を開発【宮城支局・2016年3月2週号】

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 【宮城支局】県登米総合産業高等学校は、登米市の有限会社伊豆沼農産と共同で乳酸発酵甘酒「初恋さくら」を開発。同校の売店や伊豆沼農産の直売所、地域パートナーとして連携を結ぶウジエスーパー12店舗などで販売する。
 原料には、同校で生産した環境保全米「ひとめぼれ」を使用。伊豆沼農産の「伊豆沼めぐみ乳酸菌」を加え、甘味を抑えてすっきりとした酸味に仕上がっている。開発の中心となった普通科3年生の5人は、試飲やアンケートを行い改良に携わった。阿部大樹さんは「規模の大きさにびっくりしている」と話す。
 初恋さくらは、伊豆沼農産が特色ある教育活動の地域パートナーとして、同校設立から携わっていることから誕生。同社の伊藤秀雄代表取締役は「一番の地域資源である米を生かし、新商品を開発できてほっとしている」と話す。

〈写真:初恋さくらの発表会。中央が阿部さん、左が伊豆沼農産の伊藤代表取締役〉


出雲神庭米 ―― 神話にあやかりPR【島根支局・2016年3月2週号】

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 【島根支局】出雲市斐川町神庭(かんば)地区の(株)勝部農産(勝部喜政代表取締役=50歳、水稲35ヘクタール、麦35ヘクタール、大豆35ヘクタール)では「出雲神庭米」を生産。地域に伝わる神話と農業を絡め、出雲大社近隣の土産物店で販売するなど、PRに奮闘する。
 同社は、同地区の出雲神話に伝わる女神「ウヤツベノミコト」が開拓・耕作の女神でもあることから、神話を活用する道を見いだした。商品は、同社が農業を営む神庭地区で栽培した「きぬむすめ」を使用した。ウヤツベノミコトのイラストがパッケージに印刷され、袋入り1合と立方体型の2合入り2種類を展開する。
 勝部代表は「この商品はあくまで勝部農産を知ってもらうためのもの。社名を覚えてもらって次への購買へとつなげたい」と期待を込める。

〈写真:「ウヤツベノミコト」がデザインされた「出雲神庭米」〉


防風林「復興の道程を伝承者として記憶にとどめよ【2016年3月2週号】」

 ▼地面が上下に波打ち隣家の家屋が大きく左右に振れ、足元に稲妻のような地割れが走る。五十数年前の新潟地震。一日中が4歳の少年の記憶に刷り込まれた。松林への避難、石油施設の火災、津波避難者への炊き出しで騒然とするわが家だ。
 ▼東日本大震災から今年で5年。多くの尊い命を失い、農地が住居が職場が流れ灰じんと帰した。被災者はこの5年間、失意の闇から眉を開き、暮らしを立て直し、道路・施設などの環境インフラを稼働させ、営農再開に向けて言語を絶するような苦労や努力をしてきたに違いない。
 ▼震災後、被災地の模様を写した何枚かの写真が忘れられない。瓦礫(がれき)を前に号泣する少女、バケツを持ち給水の列に並ぶ少年の姿。5年を経てなお心に傷を負ってはいまいかと心を巡らす。
 ▼津波による被災農地で営農再開できている面積は7割強。原発事故後、帰還困難区域や居住制限区域が歴然として残り、避難指示解除区域も帰村への躊躇(ちゅうちょ)、除染後のあまたな難問を抱え営農再開が進まない地区もある。
 ▼50年を過ぎた記憶さえ消去は難しい。ならば今、子どもたちに復興や営農再開に取り組む農家の姿を記憶にとどめてほしい。農地造成でずさんな工事をする業者もあると聞く。これらを語り継ぐことが新たな伝承者としての責務だ。

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