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今週のヘッドライン: 2016年03月 3週号

〈震災・原発事故から5年 希望へ 確実な歩み〉前向く営農 集落再生へ ―― 仙台市若林区・農事組合法人「せんだいあらはま」(1面)【2016年3月3週号】

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 東日本大震災で甚大な津波被害を受けた仙台市若林区荒浜地区では、水田180ヘクタールのうち約5割で圃場整備工事が終了。農事組合法人「せんだいあらはま」では、今年の稲作に向けて畦(あぜ)塗り作業を進めている。昨年は水稲45ヘクタールのうち10ヘクタールで直播栽培を導入し、移植栽培並みの収量を確保できた。今年は直播栽培を増やして一層の省力化に努める考えだ。一方、育苗ハウスではこの冬初めて「ちぢみユキナ」を栽培。高齢者の仕事を創出し、集団移転で失われた集落コミュニティーの再生も図る。法人化2年目、土地利用型と園芸作物の複合経営による収益性向上を目指す。

(1面)

〈写真:ちぢみユキナを収穫する。左から社員の酒井啓好さん(22)、理事の二瓶健司さん(53)、代表の佐藤善一さん(68)〉

中山間直接支払、高齢化で面積大幅減 支援策結集し集落守れ(2面・総合)【2016年3月3週号】

人材呼び込む抜本的対策を
 農林水産省は9日、中山間地域等直接支払制度に関する第三者委員会を開き、第4期対策の初年度となる2015年度の実施状況を報告した。取り組み面積(1月末現在)は、前年度比4.8%(3万3千ヘクタール)減の65万4千ヘクタールとなり、減少幅は制度発足以来最大を記録。高齢化の進展などで、脆弱(ぜいじゃく)化が進む集落機能の実情があらためて浮き彫りになった。平地に比べて生産条件が不利な中山間地域の農地は、いったん荒廃すると再生は困難だ。制度の活用を促す仕組みづくりを含め制度の拡充・強化を図るとともに、営農や暮らしを支え、集落の維持・活性化につながる抜本的な対策が急務となっている。

(2面・総合)

TPP承認案と関連法案を閣議決定 問われる国会の責務(2面・総合)【2016年3月3週号】

 政府は8日、環太平洋連携協定(TPP)の承認案と、発効に伴う関連11法案の改正事項を一括した「TPPの締結に伴う関連法律の整備に関する法律案」を閣議決定し、国会に提出した。政府は早期発効に向けた気運を高めるなどとして、今国会での承認を目指す方針を明示しているが、国会は承認ありきの対応ではなく、国民の懸念・不安に応え、生産現場が納得できる十分な審議・検証を徹底する必要がある。

(2面・総合)

ソバ/3ヘクタール借り受けそば好き仲間で栽培 ―― 埼玉県横瀬町・横瀬そばの会(3面・暮らし)【2016年3月3週号】

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遊休農地解消に一役
 「自分たちで播種して育てたソバを食べてもらう。うそのないそばだと自信を持っている」と話す田端信一さん(65)。埼玉県横瀬町などのそば好きが集う「横瀬そばの会」の会長を務める。もともと農家ではないメンバーが、趣味が高じて自らソバ3ヘクタールの栽培に乗り出した。収穫後に自前で製粉してそばを打ち、メンバーの田端伸夫さん(68)が経営する飲食店で提供。香り高いそばでファンを獲得している。また、月に1度、勉強会を行ってメンバーの交流を深める。趣味で始めた活動が、中山間の遊休農地活用につながっている。

(3面・暮らし)

〈写真:そばをゆであげる田端伸夫さん〉

〈震災・原発事故から5年 希望へ 確実な歩み〉被災者の生活支えた直売所 ―― 岩手県陸前高田市・小さなやさいやさん(8面・流通)【2016年3月3週号】

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継続が地域の力に
 津波で甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市に、いち早く営業を再開し、被災者の日常生活の安定を支援してきた農産物直売所「小さなやさいやさん」がある。女性農業者が栽培した農産物や加工品が棚を飾り、地域住民をはじめ多くの人に親しまれてきた。経営するのは、自らも被災者である同市竹駒町の小田日出子さん(67)。復旧が進むにつれて、直売所周辺には競合するスーパーマーケットやコンビニエンスストア、仮設店舗が立ち並ぶ場所に変わった。客数や売り上げも頭打ち傾向にあり、復興のシンボルから直売所経営の転換期にある中、「マイペースでもここで続けることに意味がある」と営業を続けている。

(8面・流通)

〈写真:買い物客に商品を手渡す小田さん(左)。「お客さんの笑顔にいつも救われている」と感謝を忘れない〉

月6休の酪農 シフト管理徹底し従業員14人が負担軽く ―― 岡山県笠岡市・株式会社竹信牧場(9面・営農技術)【2016年3月3週号】

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長所も生かし担当を配置
 岡山県笠岡市カブト中央町で乳牛約600頭の大規模酪農を営む株式会社竹信牧場では、搾乳や牛舎の管理などに従事する14人に対し、毎日の作業内容や時間帯を計画的に入れ替え、月6日以上の休日が確保できる勤務体系が構築できている。1日3回の搾乳に人員が不足しないよう配慮して負担軽減を図ると同時に、機械の操作など各人の長所が生かせる作業の日数をできる限り多く設定する。未経験者を含め20~30代の従業員が多い中、就業年数は最長で17年以上と労務改善で長期化を実現している。

(9面・営農技術)

〈写真:個人別に管理するシフト表を説明する茂治さん〉

父と娘で築くイチゴ観光農園【埼玉支局・3月3週号】

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 【埼玉支局】越谷市恩間新田の山﨑康成さん(48)、優花さん(22)親子が二人三脚で「やまちゃんファーム『いちご畑』」を運営している。
 ハウス約940平方メートルを建設し、2014年10月に「紅ほっぺ」「章姫」「彩のかおり」の苗6500株を定植。15年1月に「やまちゃんファーム『いちご畑』」を開園した。高設栽培でプラント間を約110センチ幅と広く取り、ベビーカーや車椅子でも楽に通行可能だ。
 ポニーやヤギ、フェレット、ウサギ10羽、アヒル6羽が動き回る園内は、イチゴの摘み取りに来た子どもだけでなく、地元の小学生が社会科見学に来るという。
 市の広報紙やポスター、チラシ配布の他、ブログや会員制交流サイト(SNS)を通して世界にもPRする。海外からも人が訪れ、中にはリピーターもいる。市内を中心に平日1日10人ほど、土日は80人ほどが来園する。
 優花さんの仕事ぶりを「20歳そこそこで汚れながら力仕事し、情熱を注ぐ娘の姿には感心します」と康成さん。優花さんは「臨機応変に対応する父を尊敬しています。見習いたいです」と話してくれた。

〈写真:ハウスの中でイチゴを手に山﨑さん親子〉

復興ハウスでチンゲンサイ 売り上げ回復に手応え【宮城支局・3月3週号】

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 【宮城支局】仙台空港の敷地近くで特産のチンゲンサイを生産する、名取市の杉ヶ袋南野菜出荷組合(組合員22人)。組合員が一丸となり、東日本大震災から5年で以前の姿を取り戻した。
 冬はチンゲンサイやコマツナ、ホウレンソウ、夏にはトマトと露地でブロッコリーを栽培する。仙台市場へ出荷し、特にチンゲンサイは市場一の産地として高い評価を得ている。
 「震災の時は夢も希望もなかった」と話す、相原和夫組合長(66)。杉ヶ袋南地区は震災の津波でハウスが全壊し、相原さんの自宅も床上浸水の被害を受けた。
 復旧支援などで200棟のハウスが再建された。2015年の組合全体の売り上げは年間約1億2千万円で、これは震災前と同等に当たる。相原さんは「支援していただいた方々へは感謝の気持ちでいっぱいだ」と話してくれた。

〈写真:「5年でよくここまで復興できた」と振り返る相原組合長と妻の忍さん〉

米農家と料理人の二刀流【栃木支局・3月3週号】

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 【栃木支局】水稲80アールを栽培している栃木市岩舟町小野寺の江田佑樹さん(37)は、弁当屋「ファーマーズキッチン佑」の経営にも取り組み、自身が栽培する地域のブランド米「小野寺米」を使った弁当を提供している。
 「小野寺は寒暖差があり、食味、甘味も増します」と小野寺米について話す江田さん。栽培では、化学合成肥料は一切使わず、発酵鶏ふんや内城菌などを使用。除草剤散布は一度だけで減農薬にも努める。
 使用頻度の高いジャガイモなどの野菜を市場から仕入れる他は、小野寺産のもの使うことを心掛けるとともに、栄養面、彩りにも気を配る。
 江田さんは「お客さまの笑顔を直接見られる喜びがあります。そのためにも、おいしいものを作り続けます」とほほ笑む。

〈写真:農家と料理人の二足のわらじの江田さん。メニューにはオムライスをはじめ、カレー、特製味噌(みそ)からあげがある〉

生菌剤入り飼料で成乳牛のHBSが低減【北海道支局・3月3週号】

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 【北海道支局】成乳牛の出血性腸症候群(HBS)予防を目的に、中標津町でTMRセンターを経営する株式会社開陽D.A.I(代表取締役社長=千葉清正さん・67歳)は、生菌剤入り混合飼料を導入し、成果を挙げている。
 14年に同町開陽地区でHBSが多発し、同年5月から11月までの半年間でセンターを利用する酪農家の成乳牛11頭が死亡・廃用となった。
 同社は農業資材会社の協力で、15年1月から生菌剤入り混合飼料の添加を始めた。
 月額およそ10万円のコスト増となったが、成果は数週間で現れ、HBSが疑われる症状は激減した。
 導入当初は生菌剤の必要性について疑問視する酪農家もいたが、獣医師の粘り強い指導のもと、疾病のコントロールに取り組み、HBSの低減につなげている。

〈写真:千葉さんは「混合飼料『PM・ブチリカム』の整腸作用が発揮された」と話す〉

葉もの水耕 ハウスもベンチも手作り【山形支局・3月3週号】

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 【山形支局】会社勤めをしていた際に身に付けた技術で、ビニールハウスと栽培設備を自作し、リーフレタス栽培を行っているのは、酒田市下青沢の遠田裕己(ゆうき)さん(36)。総数1700株が栽培可能な施設を完成させ、「業者に依頼すると900万円ほど掛かる経費が、約100万円で済んだ。水耕栽培で安全なものを安定生産していきたい」と話す。
 もともと「ものづくり」が好きだったこともあり、ハウスを建てる敷地の整地から、ハウスの組み立てまで父と協力して行った。また、栽培設備はインターネットで調べるなどして設計。塩ビ管や直管パイプを組み合わせて高設ベンチを作り上げた。
 今春、水耕栽培施設を1棟増設する予定で、「水と光で、安心なものを安定生産できる『植物工場』を目指す」と意欲を見せる。

〈写真:自作のハウスで遠田さん〉

ハバネロを風味生かしたオイルに【滋賀支局・3月3週号】

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 【滋賀支局】高島市の若山修さん(69)は、激辛トウガラシ「ハバネロ」をオリーブオイルに漬け込んだ「ハバネロオイル」を生産し、販売している。
 現在、5アールに約350本を栽培し、約2万個を収穫している。そのまま食べるには辛く、傷みも早いため、オリーブオイル漬けにすることを思いついた。「ろ過作業が難しく、不純物が入らないよう時間をかけて作業しています」と若山さん。サラダなど生食用にと、エキストラバージンオリーブオイルとハバネロの風味を生かした仕上がりだ。

〈写真:ハバネロオイル〉

防風林「映画も食も日本文化を誇れてこそ国際化【2016年3月3週号】」

 ▼庭のツバキが花を落とし、黒澤明監督の映画「椿三十郎」のワンシーンを思い浮かべた。武士は花の盛期に花ごと落とす姿を忌み嫌ったとされる。
 ▼映画では、隣の屋敷から通じる小川にツバキの花が流れ来るのを合図として使った。モノクロ映像ながら、なぜか赤い花弁が頭の中で再生する。同一脚本で製作のカラー作品では見たままだ。「世界のクロサワ」の色彩をイメージさせる技巧なのだ。
 ▼「七人の侍」では、泥まみれの戦闘シーンに映画ファンは驚いた。雨脚を映像化するため墨汁入りの水をまく。「天国と地獄」では身代金を列車から鉄橋の下に投下する場面で、民家が邪魔だと撤去させた逸話は有名。
 ▼そのため「黒澤天皇」だと関係者から敬遠され、「どですかでん」以降、国内で映画が作れず、「影武者」まで10年の空白期間があった。一方、小津安二郎監督は、日本人の日常の心の機微を映像化し世界で称賛された。
 ▼両映画監督とユネスコ無形文化遺産「日本食」との共通点は、世界で認められて初めて国民が認識したところだ。藤原正彦氏は『国家の品格』で、海外において母国文化を誇れる知識が真のグローバル化とした。伝統野菜や風習など埋もれる誇りは農村にも多い。

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