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今週のヘッドライン: 2016年05月 1週号

住民合意が獣害解決の要/イノシシ、シカ、サル対策に8キロの柵 ―― 三重県津市・上ノ村自治会獣害対策協議会(1面)【2016年5月1週号】

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 三重県津市白山町の上ノ村自治会獣害対策協議会は、非農家を含めた集落全戸でイノシシやシカ、サルの侵入防止柵の施工と点検保守に取り組み、農作物被害が8割減少している。4段階での柵管理をルール化し、集落全体で行う年3回の草刈りのほか、地区別に2週間ごとの点検、事務局による毎月の見回りを実施する。支柱全てに番号を付ける工夫で、侵入場所の把握や補修箇所の指示がしやすい。柵の施工前に、マイナス面も含め丁寧に説明し、合意形成した成果という。わな免許を取得した大学生や民間企業との連携も進め、地域活性化につなげたい考えだ。

(1面)

〈写真:「イノシシに掘り起こされた箇所を補修した」と木村さん(左)と山口さん〉

熊本地震/激甚災害に指定 農林被害額は236億円超 ―― さらに拡大の見通し(2面・総合)【2016年5月1週号】

 熊本県は4月26日、最大震度7を観測した熊本地震による県内の農林業被害額が236億円を超えたと発表した。甚大な被害が発生している益城町、南阿蘇村、西原村などは調査ができておらず、被害はさらに拡大する見通し。
 農業関係は78億円で、農作物被害は選果機の不具合によるナスやトマトの廃棄やメロンの落果、家畜の死廃などが発生。農業施設被害は、ハウスの損壊や畜舎の損傷などが確認されている。農地・農業用施設関連でものり面の崩壊や田畑の亀裂、液状化、ため池の損傷などが発生しており、特に田植え時期を迎える中で、営農への影響が心配される。
 政府は25日の持ち回り閣議で、今回の熊本地震を激甚災害に指定した。公共土木施設や農地・農林水産業共同利用施設などの災害復旧事業などに対する国の補助率かさ上げなどを措置する。内閣府の災害復旧事業費の査定見込み額(20日時点)は、公共土木施設などで2811億円に上り、農地などは50億円(うち熊本県48億円)など。

(2面・総合)

本紙調査/4月の強風被害 園芸施設は全国で5600棟 ―― 共済金早期支払いへ総力(2面・総合)【2016年5月1週号】

 日本海を北東に進んだ低気圧により、全国的に荒れた天候となった4月17日ごろ、強い風の影響で、各地の園芸施設などに被害が相次いだ。
 本紙が全国のNOSAIに調査したところ、被害は34都道府県で見込まれ、園芸施設は全国で約5600棟、建物は約600棟に上る(27日現在)。

(2面・総合)

第二の人生 農でイキイキ ―― 静岡県富士宮市・定年帰農集団「新鮮組」(3面・暮らし)【2016年5月1週号】

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耕作放棄地を開墾し仲間と野菜作り
 健康づくりやいきがいとして農業を楽しむ、静岡県富士宮市の定年帰農集団「新鮮組」(中川治久代表、75歳)。20人のメンバーのほとんどが企業などで定年退職を迎えた60歳以上だ。耕作放棄地を開墾し、野菜を中心に年間80品目以上を栽培する。作業は週3回で、収穫した野菜は地元の直売所に出荷するほか、イベントに出店し、メンバー自ら販売している。また、農業体験やスイカ割り大会などを企画する「畑の学校」を毎年開催。地元の親子連れに人気で、土に触れながらメンバーだけでなく、住民同士の交流の場となっている。中川代表は「活動を通して耕作放棄地の有効活用や、農業に関心を持つ人が増えていけばいい」と話す。

(3面・暮らし)

〈写真:体を動かした後のお茶歓談も楽しみの一つだ。右から3人目が中川代表〉

農家組織 ナチュラルスタンスクラブ ―― 秋田県大仙市(6面・流通)【2016年5月1週号】

"小さな流通"で売り上げ確保
 秋田県大仙市内小友の農家ネットワーク組織「ナチュラルスタンスクラブ」(佐々木彰代表)では、県内のスーパーマーケット2社と連携し、21店舗に及ぶ青果売り場の一角に独自売り場(インショップ)を運営する。拠点を置く大仙市を中心に、9市町村の会員160人が農作物や加工品などを出荷。県内3カ所の集荷場から各店舗へ配送も行い、出荷状況や在庫量などを確認しながら品ぞろえを調整する。「21世紀に生き残れる新しい農家集団」をコンセプトに、生産から販売、消費を地域内で回す"小さな流通"で、生産者とスーパー、消費者をつなげ農業所得の向上に取り組んでいる。

(6面・流通)

パイプハウス 屋根に灌水チューブ/安価で簡単に冷却 ―― 群馬県農業技術センター(9面・営農技術)【2016年5月1週号】

 群馬県農業技術センターでは、夏場のパイプハウスの温度管理として、屋根に市販の灌水(かんすい)チューブを設置し、被覆資材と組み合わせて冷却する技術を開発した。小雨程度の散水が天井部の鉄パイプの熱を奪い、室温を最大5度下げることができる。イチゴの育苗ハウスでの花芽分化促進など収量増や品質向上に効果があり、作業の負担軽減にも期待されている。従来使用されてきたスプリンクラーなどに比べて資材費が安く、自分で簡単に着脱が可能だ。技術センターでは、散水量などに改良を加えながら現場での普及を進めている。

(9面・営農技術)

TPP"熟議"先送り ―― 生産現場に不安・懸念続く(2面・総合)【2016年5月1週号】

 政府・与党は4月26日、今国会での環太平洋連携協定(TPP)の承認案と関連法案の成立見送りを正式に決めた。与党幹部が野党側に伝達した。衆院の特別委員会での審議停滞や熊本地震の発生などを受け、十分な審議時間の確保が困難になったため。衆院での継続審議扱いとするが、実質的には参院選挙後に仕切り直しとなる。ただ、政府は供守秘義務僑を盾に情報開示に消極的な姿勢を維持したまま、早期の承認・成立を目指す方針を変えてはおらず、生産現場の不安・懸念を払しょくするための供熟議僑は見えない。国民の理解・納得を最優先に対応する政治が求められている。

(2面・総合)

4月から県内1組合に 職員との連携を強化 ―― NOSAI山梨(5面・NOSAI)【2016年5月1週号】

 NOSAI山梨(山梨県農業共済組合)のNOSAI部長は、加入申込書の配布や回収、RM(損害防止)活動の受け付けなど、基幹的業務を担う重要なパートナーだ。地域の実情に精通し近年、災害が多発するモモでは、幅広い自然災害を補償する方式への切り替えを勧めるなどきめ細かい提案を行う。合併により4月1日、県1組合となったNOSAI山梨。事業の広域化、効率化が進む中、NOSAI部長がNOSAI制度を支える。

(5面・NOSAI)

自慢の牛肉を移動販売【愛知支局・2016年5月1週号】

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 【愛知支局】「何事もチャレンジしてみようとの思いで直売を始めた。これからもいろいろなことに挑戦していきたい」と話すのは、南知多町内海で交雑種50頭を飼養している大岩智さん(50)。2015年4月に「知多牛工房 牛小屋」をオープンさせ、妻のマサミさんと二人で自慢の肉を販売している。
 肥育農家を始めて25年目。安心・安全な肉を作っている自負のあった大岩さんだが、2001年に発生したBSE(牛海綿状脳症)の風評被害により販売価格が暴落し、一時は廃業も考えた。そんな時に趣味を通じて知り合った仲間に励まされ、まずはネット販売を始めた。その後、地域ブランド牛「あいち知多牛」の立ち上げに携わり、ブランド牛として出荷。「おいしい肉を消費者に届けたい」との思いがさらに強くなったという。
 2013年に、工房をオープンすることを決意し、地元の過疎化を憂い、車で移動販売を行うことも決めた。
 大岩さんの肉は、天然酵母を牛に与え、餌の配合を工夫したため、脂の融点が低いのが特徴だ。脂身が黄色いのは融点が低い証拠で、口当たりがよく、うま味も増すという。
 地元の観光施設やJAの直売所、高齢者サロンにも出向き、精肉や総菜を販売している。名古屋市内のイベントへの出店や飲食店への卸も増えてきている。
 最近では6次産業化の認定も受け、地域の6次産業化した農家と一緒に新たな活動をすることも企画している。「直売を始めて、今まで出会う機会のなかった人や知らなかった世界を知れた。これからも肉の販売を通じて、内海を楽しいまちにしていけるように頑張りたい」と笑顔で話してくれた。

〈写真:自慢の移動販売車の前で大岩さん夫妻〉

えぐ味なく強い甘味 菜の花「キラリボシ」が好評【山形支局・2016年5月1週号】

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 【山形支局】地域特産品の食用菜の花「キラリボシ」が、道の駅「庄内みかわ」(三川町横山)の敷地内にある物産館「マイデル」に並び、目当てに訪れた買い物客でにぎわっている。
 キラリボシは、町の花に菜の花を掲げる三川町が導入した品種で、在来種に比べ、えぐ味がない上に甘味が強く、おひたしや炒め物、かき揚げなど、幅広い料理に用いられている。
 2010年には「キラリボシなばな生産者グループ」が発足し、本格的に栽培が始まった。現在は15人の会員がキラリボシを栽培。8月末に播種し、大きくなった苗をハウス内と露地畑に移植し育てている。ハウスものは翌年の2月から、露地ものは4月から収穫が始まり、5月中旬まで出荷が続く。
 同グループの齋藤みつ会長は「ハウスものは、歯ざわりが柔らかく、早い時期に消費者に届けることができる。露地ものは、冬期間を雪の下で過ごすため、より甘くなります」と話す。

〈写真:「えぐ味がなくて甘く、体にやさしいキラリボシ」と齋藤会長(左)とマイデルの須藤みかさん〉

GPS基地局を設置 農機の正確な作業を支援【島根支局・2016年5月1週号】

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 【島根支局】出雲市斐川町で今年1月、JAしまね斐川地区本部(周藤昌夫本部長)が、西日本で初となる農業機械向けのGPS固定基地局1機を設置。半径5キロにGPSの補正信号を発信し、農機の正確な位置情報を把握でき、農作業の効率化が期待できる。
 GPS対応のモニターとアンテナをトラクターなどに取り付ければ、車のカーナビと同様に、正確な位置を把握できる。モニターに表示される案内に沿って走行すると、圃場内で作業の重複や漏れがなくなり効率が上がる。専用ソフトを用いれば、圃場の高低差を把握でき、数センチ単位の精度で均平作業も可能だ。
 導入経費の3分の1をJAが補助し、法人と個人農家合わせ七つの経営体でGPSを導入。トラクターで利用している錦織健治さん(43)は、「感覚で行っていた作業が、目で見て行えるので楽になりました」と話し、今後トラクター以外への利用も検討中だ。
 同JAでは、本年度中に電波状態の悪い区域もカバーするために、移動基地局を設置予定。今後、PRを行って利用農家を増やし、斐川地区全域での活用を目指している。

〈写真:「作業の効率化に役立っています」と話す錦織さん〉

思い出詰まった往年のコンバイン【宮城支局・2016年5月1週号】

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 【宮城支局】「わが家の農業の歴史を伝えるものとして大切に残していきたい」と話す、大崎市の只野直治さん(67)。農業過渡期に大きな存在を示した汎用(はんよう)コンバインを大切に保管している。
 コンバインは、只野さんが学生だった1968年に、国の事業を活用して祖父が導入した。カナダのインターナショナル・ハーベスター社製で、ガソリンエンジンは40馬力。鉄製のクローラを装着し、価格は600万円と高額なものだった。
 当時は刈り取りから脱穀までが手作業。「省力化にコンバインは大きな役割となった」と只野さんは話す。
 収穫は、刈り取り幅3メートルで1日4ヘクタールほどが可能となり、「祖父は『農業にも大型機械が取り入れられ、人手が省けて、作業が楽になる時代がきた』と感慨深げだった」と只野さんは振り返る。
 5年間ほど使用した後は更新され、現在まで格納してきた。只野さんは「譲ってほしいという声は何度かあった。今は動かないが、先代と一時代を歩んだものなので、これからも残していきたい」と話す。

〈写真:コンバインの前で直治さん(左)と息子の直仁さん〉

のし餅プレス機を自作【埼玉支局・2016年5月1週号】

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 【埼玉支局】春日部市で水稲約12ヘクタールを作付ける駒﨑孝さん(68)は、のし餅プレス機を自作。のし餅作りを省力化した。
 毎年もち米「喜寿糯」を60アール栽培する駒﨑さん。プレス機は、昔、鉄工所を営んでいた経験を生かして製作したもので、空気で圧力をかけて餅を延ばす。
 孝さんはこれまでに、餅プレス機2台の開発に着手。1号機はシリンダーの太さや、圧力のかかり具合がうまくいかず断念した。その後、2号機の開発に取り掛かったが、1号機で問題となったシリンダーの調整は、工夫を凝らして克服した。「これができて餅を延ばすのが、本当に楽になったのよ」と妻の恵美子さん(67)は笑顔で話す。
 のし餅は一部を近所の人や知人に無償で配るほか、要望に応じて1升千円で販売する。年間で300個ほど売れるという。

〈写真:駒﨑さんと自作ののし餅プレス機〉

ソバ栽培に力 乾麺で地元をPR【秋田支局・2016年5月1週号】

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 【秋田支局】鹿角市八幡平の農事組合法人大里ファーム(安保春喜代表理事・構成員51戸)では、ソバ栽培に力を入れる。耕作放棄地を圃場に活用したり、地元の舞楽にちなんだ乾麺の販売やそば祭りを開いたりしながら、地域を盛り上げている。
 「集落内の耕作放棄地を見て、何とかしないといけないと思った」と浅石昌敏副理事(59)は話す。2009年、浅石副理事が1人で6.5ヘクタールで作付けを始め、翌年に任意組織「大里集落ソバの里」を発足。その後、12年4月に現在の法人の設立に至った。
 10年から3年間で、田8.65ヘクタール、畑地2.26ヘクタールの耕作放棄地を解消している。全体の作付面積も増えていて、今年は145ヘクタールを予定。「階上早生」と「虹ゆたか」の2品種を栽培する。
 7年前、市の「大日堂舞楽」がユネスコの無形文化遺産に登録されたのを機に、法人ではPRも兼ねた「大日堂そば」を地元の業者に製造依頼している。乾麺タイプのそばの味は5種類あり、ゴマや古代米をすり込んだ、歯応えと喉越しのあるものに仕上がった。パッケージには舞楽の演目名と、舞楽の写真を載せている。
 浅石副理事は「法人としては利益を出すことも大切だが、農地を守っていくことを一番に考えて活動をしていきたい」と話す。

〈写真:大日堂舞楽がパッケージされた大日堂そば〉

防風林「増える外来植物 どうつきあうか検討必要【2016年5月1週号】」

 ▼道端や空き地にポピーに似たオレンジ色の愛らしい花を咲かす植物の群落があり、心和ませる毎日だった。通勤途中、茶畑と道路との境界で自生する姿に足を止め写真を撮った。
 ▼植物好きの人に画像を観てもらったところ「ナガミヒナゲシ」という外来植物の一種とわかった。環境省の「特定外来生物」に指定されてはいないが、繁殖力が強く、根と葉からは周辺の植物を成長阻害する他感作用物質(アレロパシー)が放出されるなど、特定外来生物の他植物と同等か、それ以上の環境影響リスクが指摘されている。
 ▼実からは1500粒以上の種子が作られ、未熟粒でも発芽力を有し、翌春には発芽する。そのため、開花前、葉の状態での除草が望ましいらしい。あらためて、茶畑横で清楚(せいそ)そうな花を咲かすそナガミヒナゲシを観察した。発芽から数年も経過しているせいか、葉は著しく繁茂し株は分けつ肥大し、土壌面が覆われていた。
 ▼輸入飼料などと共に日本に上陸、初めて東京で発見されたのが1961年。今や関東から九州にかけて分布し、東北・北海道でも報告される広がりようだ。長距離輸送のタイヤに付着した種子が勢力を広めたよう。
 ▼路傍の多くの雑草の中でも1、2番を競う愛らしい花をつけるこの植物を、「外来種だから」と駆除にためらいを感じる人も多いはず。人の情が広域分布の要因かも。成長阻害物質を雑草駆除に応用するなど、外来植物を有効活用する途があればいい。在来種との共存について真剣に考えるべきだ。

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