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今週のヘッドライン: 2016年05月 2週号

獣医師は名コンサルタント "経営の治療"に本領発揮 ―― 宮崎県のNOSAI(1面)【2016年5月2週号】

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 「疾病の治療や共済金支払いといった枠を超え、地域の畜産を活性化するのがNOSAI獣医師の役割だ」と、NOSAI連宮崎(宮崎県農業共済組合連合会)生産獣医療センターの有川彰信所長は強調する。宮崎県のNOSAIは、定期的な農場チェックや疾病モニタリング、検診などを駆使し、農家の生産性を向上させる「生産獣医療体制」を構築。2015年度から本格実施している。県内のNOSAI獣医師約90人が、連合会・組合の垣根を越え、「乳牛」「肉用牛肥育」「肉用牛繁殖」「養豚」「ET(受精卵移植)」の5チームに所属。研修会などで知識・技能を磨き、専門性を生かして農家を全面的にサポートする。経営に潜む問題点をプロの目で発見し、農家と二人三脚で徹底的な改善を行う。養豚農家では年間、数千万円単位で収益が向上するなど、大きな成果を上げている。

(1面)

〈写真上:横山さん(右)に乳牛の状態などを説明する上松獣医師(左)と柳祐介獣医師〉
〈写真下:黒岩場長(右)と母豚の一覧を見ながら議論する吉原獣医師〉

熊本地震/農林水産被害は1千億円超(1面)【2016年5月2週号】

 熊本地震の発生から1カ月。被災地ではいまだ余震が続き、被害の全容を把握しきれていない状況にある。一方、生産現場では余震や先行きなどに大きな不安を感じながらも、復旧・復興に向けた懸命の取り組みが始まっている。農林水産関係を中心に11日現在の被害状況を整理するとともに、4月16日の地震で震度6弱を観測した熊本県菊陽町の畜産農家・那須眞理子さん(65)に心境を聞いた。

(1面)

自民党畜酪委が中間まとめ 生産基盤強化へ分業化推進(2面・総合)【2016年5月2週号】

労働軽減し増頭につなげる
 自民党の畜産・酪農対策小委員会は12日、環太平洋連携協定(TPP)発効をにらんだ中長期的な肉用牛・酪農の生産基盤強化対策の策定に向け、中間取りまとめを行った。生産者の労働負担軽減や生産性向上を実現するため、地域内での分業体制の構築などを盛り込んだ。今秋の決定に向けて今後具体策を詰めるとともに、2017年度予算概算要求への反映を目指す。

(2面・総合)

宮崎県のNOSAI「生産獣医療体制」/獣医師が定期的に巡回 チームで経営を支える(5面・NOSAI)【2016年5月2週号】

農家とともに改善
 宮崎県のNOSAIは、畜産農家の収益アップを獣医師がサポートする生産獣医療に取り組んでいる。チームに分かれた獣医師が農家と契約を結び、有償でコンサルティングを行う。農場を定期的に訪問し、獣医師の目で課題などを洗い出し、農家と話し合って対策を練り上げる。獣医療以外の幅広い知識も求められるため、チームごとに定期的に勉強会を開き、知識・技能の研さんに努めている。

(5面・NOSAI)

臭み少ないジビエを販売 ―― 高知県大豊町・猪鹿工房おおとよ(9面・流通)【2016年5月2週号】

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 高知県大豊町大久保の猪鹿工房おおとよは、都内のフランスレストランなどにジビエ(野生鳥獣肉)を専門に販売している。捕獲したシカを生きたまま食肉処理場へ搬入し、止め刺しから冷蔵までの処理を1~2時間に短縮することで、臭みが少なく高品質な精肉を確保できる。シカの捕獲では近隣の猟師18人と連携し、年間160頭以上を販売する。販路が拡大する中、収益確保を目指して血液や内臓を使った加工品も開発している。

(9面・流通)

〈写真:「この2時間で売り物になるかどうかが決まる」と解体を行う北窪さん〉

黄色点滅光でヤガ類防除 ―― 広島県立総合技術研究所 農業技術センター(13面・営農技術)【2016年5月2週号】

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 広島県立総合技術研究所農業技術センターは、発光ダイオード(LED)光を利用してヤガ(夜蛾)類を「物理的に防除」できる照明技術を開発した。夜間に黄色光を一定間隔で点滅させ、光に対する農作物の生育への影響を最小限に抑えつつ、オオタバコガやハスモンヨトウの被害抑制効果は無照明と比べ85%以上を確保。消費電力が低く、維持費は黄色蛍光灯と比べ13分の1に抑えられる。共同で開発に参画した大手家電メーカーが4月から防ガ用LEDランプの販売を始めた。光に敏感なキク栽培で考案され、トマトやアスパラガス、イチゴなど他作物にも利用できるという。

(13面・営農技術)

〈写真:「太陽光や水力を活用し、電源がなくても使える技術にしたい」とLEDランプを手にする石倉副部長〉

減らない農作業死亡事故 安全確保へ抜本的な対策を(2面・総合)【2016年5月2週号】

 農林水産省はこのほど、2014年に発生した農作業死亡事故件数は前年と同じ350件だったと発表した。3年連続の横ばいで、政府は毎年、農作業安全確認運動などを展開しているものの、約7割が農業機械作業中に発生し、65歳以上の高齢層が8割強を占めるなど事故内容にも変化が見られない。さらに政府・与党は農業機械を含む資材価格の引き下げ議論を進める一方、安全対策の強化は重視されているとは言い難い。生産基盤の要は人であり、作業環境の安全確保は、地域営農の担い手確保にも欠かせない。工事現場などの労働安全衛生管理手法の導入や、自動車や建設機械産業の技術を農業機械に応用するなど、死亡事故撲滅へ行政や関係業界の実効性ある対策が求められている。

(2面・総合)

就農1年目 6次産業化に広がる夢【山形支局・2016年5月2週号】

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 【山形支局】「おいしい」と地元産直の買い物客の間で評判を呼んでいるモチモチ感たっぷりのおこわや、ピリッとからしの利いたナスの漬物。鶴岡市民田の瀬尾蘭さん(21)は、就農1年目から、自ら栽培したもち米や在来作物で加工品を作り、6次産業に取り組んでいる。
 実家が農家の瀬尾さんは、2015年に就農。昨年、原料のもち米「でわのもち」を60アール作付けた。12月に加工所「らん工房」が完成。蒸し器や餅つき機などをそろえ、餅作りを始めた。繁忙期以外は1カ月に米30キロ分の餅を作る。
 現在、もち米を使ったおこわに力を入れ、毎朝4時から「五目おこわ」と「枝豆おこわ」を作り、地元産直に配達する。「もち米は減農薬(5割減)栽培なので安心で安全。お客さまの声がやる気につながっています」と話す。
 実家で栽培する在来作物「民田ナス」にも着目。祖母にからし漬けを習い、商品化した。今年は畑30アールでナス2300株を栽培し「『和からし漬』は500キロ分作る予定。夏には浅漬けにも挑戦したい」と意気込みを話す。

〈写真上:らん工房で「お客さまからの『おいしかった』という言葉が励みとやる気につながります」と瀬尾さん。左は餅つき機〉
〈写真下:五目おこわと枝豆おこわ、和からし漬〉

水稲「たかたのゆめ」 農業復興のシンボルに【岩手支局・2016年5月2週号】

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 【岩手支局】東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた陸前高田市では、同市のオリジナル水稲品種「たかたのゆめ」を農業復興のシンボルとし、地域ブランド化を目指している。特別栽培米として昨年は52ヘクタール作付けし、202トンを収穫。今後も収量の向上、栽培面積の拡大に取り組む。
 たかたのゆめは、日本たばこ産業(JT)が保有していた新品種「いわた13号」を農業復興支援として、権利も含めて同市に寄贈したもの。耐倒伏性に優れ、いもち病にも抵抗性があり、低農薬での栽培が可能だ。
 2014年には「たかたのゆめブランド化研究会」(佐藤信一会長=67歳)を発足。同市と一体で栽培面積拡大やPRに取り組んだ。佐藤会長は「たかたのゆめをきっかけに地元の農業・漁業・林業を連携、活性化させ、陸前高田産食材のブランド化を目指したい」と話す。

〈写真:戸羽太陸前高田市長(中央)も参加した稲刈り式〉

桑がつなぐ農への思い 茶や麺など開発【新潟支局・2016年5月2週号】

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 【新潟支局】東日本大震災後、福島県からの避難者と共に、2013年6月に「株式会社ふるさと福島」(胎内市中条)を設立した泉田昭さん(67)。桑の葉の生産、加工を中心に野菜の生産や農家レストランの経営など、幅広い事業で活躍している。
 泉田さんは福島県南相馬市出身。同県で水稲や野菜を栽培していた。桑の栄養価に着目し、加工を手掛けようとしていたところ、東日本大震災が発生し、新潟県内の避難先を転々。現在、胎内市で約40アールの桑を栽培している。
 同社は野菜30種類ほども作付けし、同社が経営する農家レストランで使用。12年からは栽培したダイコンを、南相馬市と胎内市内の学校や社会福祉協議会に無償提供している。
 「会社を一緒に立ち上げた避難者も、それぞれ別の道に進みました。震災から立ち上がる場を提供できて良かったと思います。これからも前を向いて一生懸命頑張りたい」と意欲的だ。

〈写真:「おつまみ切干大根『イカサマ大根』」などを手に泉田さん〉

良食味・多収の鳥取イチゴ「とっておき」【鳥取支局・2016年5月2週号】

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 【鳥取支局】鳥取県園芸試験場(北栄町由良宿)はこのほど、鳥取県の気候に適したイチゴの新品種「とっておき」の開発に成功した。
 2016年2月に品種登録を申請。4月には23軒の県内農家と栽培契約を結び、親株を提供することとなった。
 イチゴ品種の主流は、鳥取県の気象条件では収量性や品質面で問題があった。そこで同試験場では多収・高品質な品種の育成を目指し、県の主要品種「章姫」を親とした系統を用いて交配、約10年かけて選抜。その結果、冬期間の草勢が強く、章姫と同等の収量で、食味も良く果実硬度の高い「とっておき」を育成した。
 開発に携わってきた同試験場の白岩主任研究員は、「『とっておき』を鳥取県のオリジナル品種として、県の皆さんに定着させたいです。県外出荷も視野に入れています」と話す。

〈写真:鳥取県の気候に適したイチゴ「とっておき」〉

苗箱運搬車を自作 労力軽減に一工夫【青森支局・2016年5月2週号】

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 【青森支局】「折衷苗代(せっちゅうなわしろ)作りは人海戦術。苗箱を運ぶ労力を少しでも減らしたかった」と、自作の運搬車を披露する弘前市五代の福士章逸さん(64)。水稲3ヘクタール、リンゴ50アールを栽培する。
 人力車をヒントに考案した運搬車は、スノーダンプを持ち手として生かし、自転車の廃タイヤをもらい製作した。3ヘクタールの田植えに用意する苗は約660枚。毎年10人ほどで水田に苗箱を並べてトンネルをかける。
 「泥の中でも一度に10枚ちょっとの苗箱を運ぶことができて、体にかかる負担が軽減され、作業時間も短縮できた」と福士さん。「来年は、苗箱20枚を一度に運べるよう車輪の取り付け部分の強化をしていきたい」と課題も話す。

〈写真:人力車にも似た運搬車を製作した福士さん〉

果皮を無駄なく みかんうどん【和歌山支局・2016年5月2週号】

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 【和歌山支局】「ミカンとうどんの組み合わせは珍しいですが、皮の香りが爽やかでとてもおいしいですよ」と話すのは、有田市の株式会社早和果樹園の秋竹俊伸取締役専務(40)。ミカンを生産し、ジュースなどの加工品を販売する同園は、龍谷大学の学生の提案を受けて、うどんの生地にミカンの皮を練り込んだ「みかんうどん」の販売を始めた。
 同園ではジュースなどを生産する過程で出る大量のミカンの皮の処理に困っていた。そんなとき、龍谷大学経営学部の藤岡章子教授からゼミの課題として、ミカンの皮の有効活用策の提案をしたいと相談され、開発を進めていくことになり、「うどん」が商品化された。
 「学生が頑張ってくれたこともあり、トントン拍子で進んでいきましたよ」と秋竹専務。「みかんパスタやみかん蕎麦(そば)、みかんラーメンなどにも挑戦していけたら」と展望を話す。

〈写真:みかんうどんは1袋2人前で、税込み価格680円〉

防風林「連休中の都市住民移動を田園回帰の契機に【2016年5月2週号】」

 ▼連休中の農村では近年、田植えや苗運びの風景を見かけなくなり人影もまばら。5月初旬の移植は、夏の猛暑期に登熟を迎えるため、不稔(ふねん)や乳白など品質低下になる恐れがあり遅らせる産地が増えたのだ。
 ▼都会から帰省する息子夫妻や孫の歓声に囲まれての田植えを楽しみにしていた農家は多いはず。帰省する側も、苗箱運搬などの手伝いで腰痛に悩まされずいい骨休みになる。考えてみれば、作業に携わる人が減ってしまう影響は少なくない。
 ▼それぞれの生活に戻る人々を見送ったあと、寂しさに浸る間もなく、田植え作業に追われる農家に戻るのだ。帰省者による補助作業は「猫の手」程度としても、農繁期には貴重な労働力。残された高齢農家にのしかかる負担は計り知れない。
 ▼実家の父親が病気で倒れ、連休が明けた休日になると妻子を自宅に残し、田植えだけのために高速道を往復する友人がいる。徐々に、親せきや近隣農家間の交換耕作も途絶えてしまい、水田の管理や維持への不安がつのるのは、収穫期とこの時期が多いかもしれない。
 ▼農地中間管理機構に水田を任せねばと、判断を迫られている農家も多いに違いない。高温登熟障害に極めて強い品種の育成・導入が、都市部からの「連休労働力」を再び呼び込める手だてにならないだろうか。農作業を手伝う子どもや孫たちが、農村部の新たな定住者となる契機になればいい。連休中の静かな水田には、「田園回帰」へのヒントが眠っていそうに思われるのだが。

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