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今週のヘッドライン: 2016年05月 3週号

農福連携/共生農業を構築 ―― 岡山県岡山市・NPO法人ドリーム・プラネット(1面)【2016年5月3週号】

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 農業従事者の減少と高齢化が進む中、就労の場を求める障害者を農業法人などで雇用する「農福連携」に注目が集まる。求める作業と能力がマッチングできれば貴重な働き手として期待できる。農作物栽培や動物とのふれあいには心身の癒やしや症状を軽減する「園芸療法」の考え方も定着しつつあり、社会復帰への後押しも可能だ。就労継続支援A型事業所の指定を受けて障害者17人を雇用し、花苗を栽培するNPO法人ドリーム・プラネット(岡山市東区谷尻)を取材し、農福連携の可能性を探った。

(1面)

〈写真:メランポジウムを定植する尾﨑さん(左)〉

農地集積バンク 2015年度実績 3倍増も目標届かず(2面・総合)【2016年5月3週号】

 農林水産省は19日、導入2年度となる農地中間管理機構(農地集積バンク)の2015年度実績(3月末現在)を公表した。機構を通じて新たに担い手に集積された面積は前年度比約3.6倍の2万7千ヘクタールとなり、機構を介さないものも含めた担い手の集積面積は8万ヘクタール増加した。ただ、政府目標(約14万ヘクタール)との比較では6割にとどまるため、農林水産省は機構の利用拡大に向けた措置を強化する。農地集積・集約化は、生産性向上や担い手の育成・確保の面で重要だ。ただ、営農や農地の状況などは地域ごとに大きく異なる。政策目標や機構の成果ばかりを重視するのではなく、地域の実態を精査し、持続可能な営農形態を目指す取り組みを丁寧に後押ししていくことが大切だ。

(2面・総合)

2016年産米の生産数量目標 34都道府県が達成見込み(2面・総合)【2016年5月3週号】

 農林水産省は15日、2016年産米の生産数量目標に対する都道府県の中間的な取り組み状況(4月末現在)を公表した。目標達成が見込まれるのは34都道府県で、うち21都府県は、17年6月末民間在庫量を適正水準(約180万トン)にする自主的取組参考値までの「深掘り」が見込まれる。一方、12府県は「目標達成に向けてさらなる取り組みが必要」で、同省は引き続き、主食用米から飼料用米や麦・大豆などへの転換を進め、需要に応じた生産を推進する方針を示す。

(2面・総合)

ハーブ栽培に夢のせて ―― 愛知県南知多町・ハーブ農園Ricco(3面・暮らし)【2016年5月3週号】

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 「ハーブを通して豊かな気分になってほしい」と話す、愛知県南知多町豊丘の剛谷哲司さん(50)。妻の久美さん(46)と共に、約1ヘクタールでハーブ類を栽培する「ハーブ農園Ricco(リッコ)」を運営する。バジルやミントなど約70種類を作付け、ハーブティーやバジルペーストに加工して直売所などで販売。人が集まり、交流できる場所にしたいと、4月にハーブ畑を観光農園としてオープンした。摘み取りやリース作りなどの体験も用意し、のんびりできると好評だ。耕作放棄地を開墾し、Iターンで新規就農して5年目。「農業は工夫次第でいろいろな可能性があっておもしろいね」と二人は目を合わせる。農園を拠点にした農家レストランの開店など夢は広がっている。

(3面・暮らし)

〈写真:「農園を人が集まる拠点にしたい」と哲司さんと久美さん〉

政府の輸出力強化WGが新戦略を策定/輸出の主役は生産事業者(8面・流通)【2016年5月3週号】

 農林水産物・食品の輸出額を2020年までに1兆円とする目標の前倒し達成に向けて、政府の農林水産業の輸出力強化ワーキンググループ(WG、座長・石原伸晃経済再生担当相)は、新たな農林水産業の輸出力強化戦略をまとめた。日本農林規格(JAS)の仕組みを活用した日本産品の品質・特色を担保する新たな制度や、海外での販売拠点となる農林水産物産直市場の設置など、輸出を担う農林漁業者・食品事業者を主役とし、チャレンジや創意工夫を政府が側面から支援する。戦略の主なポイントを紹介する。

(8面・流通)

施設野菜/天敵組み合わせ難防除害虫を抑制 ―― 高知県南国市・シシトウ・ピーマン農家(9面・営農技術)【2016年5月3週号】

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 高知県南国市田村で施設栽培(シシトウ・ピーマン7アール)する能勢建士(たてし)さん(61)は、土着天敵を購入天敵と組み合わせて、コナカイガラムシ類やミナミキイロアザミウマなど難防除害虫も含め幅広い害虫の発生を抑えている。殺虫剤の全面散布を農協の防除暦よりも少ない1シーズン4回以内に低減することで、害虫の薬剤抵抗性の発達を回避し、散布労力の軽減に役立てている。別棟には「温存ハウス」を設置。土着天敵が生息しやすいバンカープランツ(おとり植物)のソルゴーなどを栽培。ヒメカメノコテントウやクロヒョウタンカスミカメを安定的に増殖させ、野外に昆虫の少ない冬も放飼できている。

(9面・営農技術)

〈写真:三尺ソルゴーは1圃場10ヵ所以上に植える。「分散させるのが大事」と能勢さん〉

露地アスパラガス/定植翌年に"採りきる"栽培、出荷ピークは高単価の4月 ―― 明治大学野菜園芸学研究室(9面・営農技術)【2016年5月3週号】

 明治大学農学部農学科野菜園芸学研究室は14日、川崎市で露地アスパラガスの新栽培法「採りっきり栽培」の発表会を開いた。関東以西で2~3月に早期定植し、12月まで長期に株養成して翌年3月下旬~6月末に若茎を全て収穫する。収穫最盛期の4月下旬~5月上旬は、慣行栽培では立茎させる期間のため流通量が少なく単価が高い上、L級以上の太ものの収量が多いのも利点だ。

(9面・営農技術)

産地維持へ柿のジョイント栽培【新潟県・5月3週号】

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 【新潟支局】柿のジョイント栽培を手がけて今年で2年目となる佐渡市栗野江の本間廣吉さん(63)。作業の効率化を図り、生産規模拡大や生産者の活気につながればと、栽培に力を注いでいる。
 本間さんがこの栽培方法を知ったのは、普及指導センターの指導会だった。興味を持ったが、当初、地域では普及していなかったこともあり、本当にうまくいくのか不安だった。しかし、「自分自身がジョイント栽培を実践し、広めることで、地域の柿の栽培の減少を食い止められたら」との強い思いから、導入を決意。同センターから指導を受け、昨年、40本にジョイント栽培を導入した。
 「ジョイント栽培を普及させることで、新規生産者の増加や、生産規模の拡大が見込めるのではないかと考えています」と、本間さんは笑顔で話す。
 同地域では、高齢化のため、園地を管理することが難しく、栽培面積を縮小したり、栽培自体をやめてしまったりする生産者が年々増加している。
 本間さんは「佐渡でジョイント栽培を広めていくことで、柿の栽培面積を増加させ、農業生産者の活力が戻るきっかけとしたいですね」と意気込む。

〈写真:柿の枝切り作業をする本間さん〉

林業と水稲受託を両立【大分県・5月3週号】

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 【大分支局】「ふるさとを守りたい」――日田市中津江村では、山林(約51ヘクタール)の管理を受託する「株式会社中津江村農林支援センター」(橋本正一代表=50歳・従業員11人)が、地域の水田を借り受けて米を作っている。
 中津江村地区は林業が主要産業だが、後継者不足がすすんできたため、2001年、地区の林業者が企業組合として農林支援センターを設立し、13年に株式会社化した。
 林業と水田農業の受託を行う同センターの水稲作付面積は約10ヘクタール(一部作業受託含む)だ。同地区全体で約35ヘクタールある水田面積の約3分の1を占める。同地区は標高約400メートルに位置し、小さい水田が多い。圃場が分散しているため作業効率が悪く、維持管理が課題となっている。
 「集落の中心に位置している水田が荒れてしまうと、集落全体の元気がなくなってしまう」と前代表・石鞍正幸さん(64)は話し、「高齢化が進む集落の活気を維持する一助となり、農地と山、中津江村地区を守り続けていきたい」と、橋本代表と口をそろえる。

〈写真:「たちはるか」の苗の生育を確認する橋本代表〉

転作田の有効活用にゼンマイ【秋田県・5月3週号】

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 【秋田支局】「転作田を利用し、自分が楽しめる作物に取り組みたいと思った」と話す、横手市山内南郷の鶴田武男さん(78)は、30アールの転作田でゼンマイ栽培に取り組む。
 ゼンマイ栽培は排水の良い土壌が求められるため、転作田で安定した栽培方法を確立させるまでは苦労したという。「粘土質の土壌だったため水はけが悪く、根を腐らせてしまったこともあった」と鶴田さん。
 収穫したゼンマイはゆでてから若葉を折り取り、ビニールハウス内で乾燥。処理にはもむ工程が必要で、効率よく作業を行うために肥料用の混合機を活用している。手もみ作業を減らし、省力化できたことで、鶴田さんは「夫婦二人でも体力的に無理なく作業を進められる」と話す。
 鶴田さんは「外国産の価格の安さに押されたこともあったが、現在は国内産の人気が戻っている。農地を荒れさせないよう、無理なく楽しみながら栽培を続けたい」と話している。

〈写真:ゼンマイを両手でよくもみ、まとめる鶴田さん〉

カンゾウ栽培 地域けん引へ技術確立に力【岡山県・5月3週号】

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 【岡山支局】高梁市有漢町では、町内有志5戸で構成する「有漢地域薬草生産組合」が、遊休農地を活用した「ウラルカンゾウ」の栽培を今年から始める。
 生産組合の代表を務める大月孝之さんは、先陣を切る形で、4月12日に20アールの休耕田に1万200本の苗の植え付けを行った。
 「今後植え付けを行う他の会員の見本になれば」と大月さん。実証栽培で浮かび上がった霜害の課題も、大型扇風機2台を使用することで解消。「ここまでは順調」と手応えを感じている。今後会員全体で1ヘクタール、5万本の苗を6月にかけて植える計画だ。
 「栽培事例が少ないため、今後も除草作業や追肥など手探りの栽培が続くが、実証栽培の状況を参考に組合員と試行錯誤しながら、産地として根付くことを目標にしたい」と大月さんは意気込みを話す。

〈写真:圃場で大月さん〉

ガラス温室でライム 石けんなどに利用も【愛媛県・5月3週号】

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 【愛媛支局】「ガラス温室で作るライムは珍しいと知人に紹介され、栽培を始めました」と話す二宮健吉さん(65)は、西予市宇和町にある有限会社南予園芸の工場(こうば)長を務めている。
 高温管理が必要で経費がかかるパプリカの代わりに、ガラス温室を生かせるかんきつの一つとして選び、収益を伸ばしている。
 35アールのガラス温室の中で栽培されるタヒチライムは、およそ8アール。自然交配で実を付けたライムは、徹底した灌水(かんすい)管理と温度調節で、一般のライムより早い8月下旬から12月末まで収穫できる。
 市内の産直市や東京のアンテナショップでの販売に加え、若い女性に人気の自然派石けんメーカーに出荷し、香料として使用されている。
 「これからは、後継者の育成に力を入れ、技術を継承していきたい」と話してくれた。

〈写真:ガラス温室でライムの果実を手に二宮さん〉

キイチゴの葉「ベビーハンズ」の産地に【宮崎県・5月3週号】

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 【宮崎支局】宮崎県産のキイチゴの葉が、フラワーアレンジメントや生け花で使用されるグリーン商材として今、市場から注目されている。品種名は「ベビーハンズ」で、これまでは、主に北海道でしか生産されていなかった。そこに宮崎県が着目し、西臼杵地区ではJA高千穂地区が主体となり、普及させることとなった。
 2016年3月には、生産組織「ベビーハンズ研究会」(今村浩二三会長、会員21人、作付面積206アール)を設立。同研究会役員の五ヶ瀬町桑野内の後藤桂治さん(68歳、約8アール)は「初期投資が比較的安価で、選別が複雑でないのがいい。収穫作業も重労働ではないため、続けていけるのでは」と期待をよせる。
 ベビーハンズは、本年度から宮崎県内で本格的に出荷が始まる。良品の安定供給には、生産者と関係機関が一体となり、産地として地位の確立が求められる。
 後藤さんは「市場のニーズに応えられる産地化を目指したい」と意欲的だ。

〈写真:JA営農指導員の話を熱心に聞く後藤さん(右)〉

自家産バジル 料理問わない万能ソース【鹿児島県・5月3週号】

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 【鹿児島支局】サツマイモ2ヘクタールと35アールの園芸施設でバジル、コリアンダーなどを栽培している、志布志市松山町の萩原廣夫(はぎはらひろお)さん(65)は、自家栽培したバジルとニンニクを使った香り高いバジルドレッシングを製造・販売している。
 加工のきっかけは、形や大きさがふぞろいなどの理由で出荷できないバジルを見て「もったいない」という思いからだという。妻のアイ子さん(67)と共に試行錯誤しながら作り上げた。アイ子さんは「サラダだけでなく、どんな料理にも合う万能ソースです。おそばにかけた和風ジェノベーゼはお薦めですよ」と話す。
 バジルソルトや黒にんにくゼリーなどの加工品も販売。「安全で安心な商品を届けられるよう、これからも品質向上に努めていきたい」と萩原さんは意気込んでいる。

〈写真:ドレッシング(右)とソルト〉

防風林「無人の圃場に無人のロボット 未来農業は農家はいるか?【2016年5月3週号】」

 ▼攻めの農林水産業に向け自民党の骨太方針策定プロジェクトチーム(PT)が示した施策項目では、農業者の高齢化や担い手の減少に対し人工知能(AI)や情報通信技術(ICT)、ロボットなどを使って生産性向上を図る方針という。
 ▼内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム」(SIP)では、自動走行式トラクターの実用化を2020年までに行う計画だ。産業界からは「技術革新は常に異分野からの参入によりもたされてきた」として、農業分野への参入に意欲を示すなど、日本のお家芸的な先進技術導入でさらに加速化する可能性もある。
 ▼無人農機が圃場を縦横に走り回る風景は、近未来社会の一コマとして描かれる。だが現実味を帯びてくると、高額な導入価格や作業安全性の確保、導入に見合った規模拡大(大区画化)などが課題になりそう。それにもまして、農繁期に農家の姿が見当たらない田園や、真夜中にトラクターだけが稼働する圃場を想像すると背筋が寒くなる。
 ▼国内では有人トラクターが複数の無人機を監視する協調型システムを、18年には市販化させるという。米国のように畑の端から端までの往復に数時間もかかる農場では、大型無人機を導入する方が、はるかにメリットが多そうだが。
 ▼ロボット農機の普及で農作業死亡事故が減りこそすれ、暴走など新たな事故原因とならなければと危惧する。スマート農業より先に、機械化が遅れた分野の克服が先と思うのは、時代遅れの考えだろうか。

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