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今週のヘッドライン: 2016年06月 1週号

3年連続バター追加輸入 年末需要へ6千トン/生産基盤強化が急務(1面)【2016年6月1週号】

 農林水産省は5月31日、バター6千トンと脱脂粉乳2千トンを追加輸入すると発表した。近年、バター不足が社会問題化する中、今年も生乳生産量が減少するとの予測や、猛暑による生産減の可能性などを考慮し、年末に向けた需要期への安定供給に万全を期す。追加輸入は3年連続となり、常態化を阻止するには国内生乳生産の維持・拡大が急務となっている。当面の対策として生産現場には今夏の暑熱対策など飼養環境の改善が求められる。一方、生乳不足の根本的な原因である国内生産基盤の弱体化は、飼料価格の高止まりや環太平洋連携協定(TPP)合意などに伴う先行き不安が大きく影響、突然浮上した指定生乳生産者団体制度の抜本的改革も生産現場の不安を増幅させている。政府は、酪農家の不安を安心に変える施策の拡充・強化に力を注ぐべきだ。

(1面)

エディブルフラワー普及へイベント(1面)【2016年6月1週号】

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 花を目で楽しむだけでなく食材にも――。エディブルフラワー(食用花)の普及を図るため、農家や研究者などで組織する日本エディブルフラワー協会は5月27日、発足後初のイベントを東京都江東区で開いた。会場には、消費者や流通業者など約120人が訪れた。
 全国から6組の農家が登壇し、栽培に懸ける思いなどを話した。来場者に試食用の花3種類が配膳されると、農家たちが「これは少し辛みがある」などと説明。花で飾ったカクテルやカレー、ケーキなども提供された。来場した40代女性は「見た目のかわいさだけじゃなく美容や健康の効果も魅力的」と評価した。

 エディブルフラワーについて研究する小松美枝子会長は、国内外での人気などを解説。「魅力を深く知って楽しんでいただきたい」と話した。新潟県阿賀野市境新で食用のベゴニアなどを栽培する脇坂裕一さんは「専門家やシェフからもアイデアを得ながら広めていきたい」と期待を示した。

(1面)

TPP政策大綱を遂行 骨太方針と再興戦略決定(2面・総合)【2016年6月1週号】

 政府は2日、「経済財政運営と改革の基本方針2016」(骨太方針2016)と「日本再興戦略2016」を閣議決定した。骨太方針では、農業分野は「総合的なTPP(環太平洋連携協定)関連政策大綱」などに基づく施策を実施し、夢と希望の持てる「農政新時代」を創造すると明記した。

(2面・総合)

華やか駅弁で「いすみ鉄道」を応援 ―― 千葉県いすみ市・いすみ鉄道応援団(3面・暮らし)【2016年6月1週号】

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 初夏の休日、千葉県いすみ市桑田に住む米農家の安藤クニさん(72)は、無人駅のホームで乗客を待つ。房総半島を横断するいすみ鉄道の存続を目的に活動するボランティア「いすみ鉄道応援団」に参加。料理の腕を生かし、自家産米などを使った駅弁を販売している。全ての総菜を手作りし、花柄の太巻きずしなど地元の家庭料理で彩る。電車の到着を待つ間は、観光客の道案内などで交流し、地元住民も集う場となっている。「田舎に癒やされて、また元気に月曜日を迎えてほしい」と安藤さんは話す。

(3面・暮らし)

〈写真:「この年になったからこそ、伝えていくことを大事にしたい」と太巻きずしを手に安藤さん〉

迅速な補償体制構築へ ―― 富山県・NOSAIとやま(5面・NOSAI)【2016年6月1週号】

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 NOSAI部長(共済部長)をはじめとする基礎組織の存在は、自然災害による損失を補償し、農家の経営を後押しするNOSAI制度の運営に欠かせない。NOSAIとやま(富山県農業共済組合、森雅志組合長)では、損害評価講習会や果樹共済推進会議などを開いて農家が被災時に適切・迅速な補償が受けられるような体制づくりを行っている。天候不順になりやすい北陸地方にありながら、日本海沿岸部に吹く「あいの風」に育まれる水稲や果樹などの地域営農を支える、共済部長と損害評価委員を取材した。

(5面・NOSAI)

〈写真上:職員と話し合う川東さん(左)。「定年退職後の専業になった人もいる。圃場管理など気にして見ている」と話す〉
〈写真下:ナシの摘心をする土田さん。「不平等にならないような損害評価に務めるのが重要だ」〉

生乳、和子牛、堆肥販売 3本柱の循環型酪農 ―― 岩手県滝沢市(9面・営農技術)【2016年6月1週号】

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 乳用牛126頭を飼養する岩手県滝沢市鵜飼花平の鈴木稔さん(39)は、自家繁殖の後継牛を効率的に確保するため、発情発見器や雌雄判別精液を導入、さらに和牛の受精卵移植(ET)にも力を入れ、子牛の販売収入を伸ばしている。採卵用の繁殖和牛8頭を飼養し、安価に優良な受精卵を確保する。分娩(ぶんべん)後は、母体を十分に回復させてから移植することで、約7割という高受胎率だ。2卵移植も取り組み、収益性を一層高めている。生乳と和子牛、堆肥販売の3本柱を掲げ、安定した酪農経営を図っている。

(3面・暮らし)

〈写真:和子牛に代用乳を飲ませる鈴木さん〉

無人航空機利用指針改正 ドローン3機種と散布装置を追加(2面・総合)【2016年6月1週号】

 農林水産省は5月31日、「空中散布等における無人航空機利用技術指導指針」(指導指針)一部改正し、小型無人航空機(ドローン)3機種と散布装置を追加、農薬散布における安全確保のための飛行基準を策定し公表した。
 農林水産航空協会が、メーカーからの申請に基づき機体を試験や調査し農薬散布に必要な性能を確認し登録、農水省が指針に追記することになっている。今回確認されたのは、株式会社エンルートと株式会社丸山製作所、株式会社ヨコヤマ・コーポレーションの3社の小型無人機と散布装置。飛行基準は各機種とも、飛行速度は10~20キロで飛行高度は2メートル、飛行間隔は3~4メートルとした。

(2面・総合)

「安心おおいた直売所」 県の認証取得し売り上げに貢献 ―― 大分県豊後大野市・道の駅みえ(6面・流通)【2016年6月1週号】

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 「『安心おおいた直売所』の認証直売所へ出荷することに、出荷者が誇りを感じてくれているのがうれしい」と話すのは、大分県豊後大野市三重町にある「道の駅みえ」の後藤節子駅長。大分県では農薬の適正使用に取り組む直売所に対し「安心おおいた直売所」として認証する仕組みを2015年度から始めた。道の駅みえは認証を受け、残留農薬検査や農薬適正使用に関する講習会の開催、安全確認チェックリストの提出などを推進する。適正に農薬を使用する意識の向上とともに、消費者への安心感にもつながったせいか、野菜の売り上げは増加傾向にあるという。

(6面・流通)

〈写真:のぼりを前に話す後藤駅長(左)と佐藤さん〉

和ナシ 適期に共同防除【秋田県・6月1週号】

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 【秋田支局】県内でも有数の和ナシ産地として知られる、男鹿市五里合の中石(ちゅういし)地区。同地区では農家一人一人が丹精込めて育てた果実を病害虫から守るため、40年ほど前から生産者が共同で防除活動を続けている。
 中石地区で共同防除を実施している中石果樹生産組合(永井忠好組合長=57歳、生産組合員48戸)では、同組合内に共同防除組織を設け、同組合が所有するスピードスプレヤー9台と個人所有の12台で56ヘクタールの園地を一斉に防除する。黒星病や黒斑病などの病害、カメムシ類、ハダニ類などの害虫が主な防除対象だ。
 作業は、4月上旬から8月中旬までに15回、収穫終了後の10月下旬に1回実施。基本的にスピードスプレヤー1台につき2人が散布作業にあたる。
 また、防除を的確なものにするため、7人の予察委員を配置。毎回の散布前に園地を巡回し、病害虫の発生状況を確認しながら使用薬剤と散布日を決める。防除機の整備も、担当者が年1回、冬期間のオフシーズンに点検し、円滑な作業を支えている。
 永井組合長は「共同防除は適期に産地全体を一斉防除するため、防除効果に優れているし、費用対効果も高い。また、高齢農家の労働力不足の軽減・解消にもつながっている」と話す。

〈写真:共同で防除活動を行う中石果樹生産組合〉

耕作放棄地でスナゴケを栽培【富山県・6月1週号】

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 【富山支局】氷見市の「白川緑化植物生産組合」(代表・藤林久一さん=69歳)は、同市宇波地区の耕作放棄地約18アールを整備して、屋上緑化に使用するスナゴケを栽培している。「耕作放棄地を借りて栽培すると、地主も喜んでくれて一石何鳥にもなっている」と藤林さんは話す。
 耕作放棄地を整備して畝を作り、網を置いて胞子を吹き付け、約3年育成して収穫する。管理が容易なため、組合員3人が行うのは主に雑草とイノシシの対策だ。
 雑草の種が入り込むのを防ぐため、圃場内外を定期的に除草。また、夏秋にかけては、畝に目の細かいネットを掛けて種の飛来を防いでいる。
 栽培には風が穏やかで適度な湿り気がある土地が向いていることから、山に囲まれた耕作放棄地を選んだ。そのため、獣害対策は必須だった。圃場には二重に柵を設け、電気柵も設置している。
 藤林さんは「これからも耕作放棄地を活用して生産規模を拡大し、需要に応えたい」と意気込みを話す。

〈写真:コケの生育状況を確認する藤林さん〉

軍手と端切れで腕抜き【島根県・6月1週号】

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 【島根支局】使用済みの軍手と端切れを組み合わせ、腕抜きとして再利用し、地元の農家や知人に配布している、美郷町別府の杉谷芳枝さん(88歳、露地野菜2アール)。特に農作業をする女性から好評を得ている。
 家族が仕事で使う軍手を見て「傷みと汚れの少ない手首の部分はまだ利用できる」と、腕抜きの制作を始めた杉谷さん。軍手の手首部分5センチ程度を切り取り、適当な長さの端切れを筒状にして縫い付けるため、材料費はほぼ0円だ。
 一般的な腕抜きは、袖口に細いゴムを入れるが、杉谷さんが作る腕抜きは、軍手の手首部分を袖口に持ってくる。軍手の適度な幅と伸縮性が手首になじみ、手元の動きが多い農作業でも袖口のズレが軽減される。
 杉谷さんは「手間の多い農作業を少しでも快適に取り組んでほしい」と話している。

〈写真:杉谷さんが作った腕抜き〉

ネギの特性熟知し管理に生かす【山形県・6月1週号】

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 【山形支局】「ネギの特性を知り、病気の発生を未然に防ぐことが良品質生産につながる」と話す酒田市本楯の佐藤貢さん(59)は、水稲7ヘクタールに加え、畑と転作田を合わせた40アールでネギを栽培。年間約9トンのネギを出荷している。
 ネギ栽培のポイントには、土壌作りと細やかな管理を挙げる。砂丘地の畑では、3年ごとにバックホーで上層部と下層部の土を入れ替える「天地返し」を実践し、転作田では大豆畑の後作に植える。いずれも、連作障害や湿害を嫌うネギの特性を踏まえたもので、肥沃(ひよく)で浸透性の良好な、ふかふかした軟らかい土壌に作付けすることを心掛けているという。
 また、土寄せ回数は品種により違うが、多いもので7回ほど。「商品価値の高い白い部分を長くしようと、成長点まで土を掛けてしまうとネギが窒息する。欲張らず成長に合わせることが大切」と佐藤さんは話している。

〈写真:「おいしいネギを提供していきたい」と佐藤さん〉

宮城全共へ 晴れの舞台へ腹づくりに力【宮城県・6月1週号】

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 【宮城支局】「全国和牛能力共進会(全共)」宮城大会に向け「肉牛の部」出品候補牛斡旋(あっせん)会が先ごろ開かれ、肥育者18人に去勢子牛70頭が引き渡された。候補牛4頭を導入した大崎市三本木の髙橋俊悟さん(59歳=黒毛和種肥育牛57頭)は、「名乗りを挙げたからには、これまで育成してきた繁殖農家や大会を下支えする関係機関と一緒に全共の舞台を目指したい」と話す。
 今回導入した「好平茂」と「好福久」の産子は、引き渡し時の日齢が210日ほどと、通常市場で取引される日齢より若い。髙橋さんは「肥育に入る前の期間が2カ月長くなるようなもの。チモシーや稲わらなど、良質な粗飼料を十分食い込ませ、しっかり腹づくりをしたい」と話す。
 この4頭で群飼いし、1カ月以上が経過した。髙橋さん方の飼料給与や環境にも慣れつつあり、今後は月齢12カ月まで胃袋と骨格、筋肉の発達を高める肥育前期に入る。
 髙橋さんは「粗飼料に高タンパク質な配合飼料、ビールかすなどの発酵飼料を徐々に増やして与え、競争して食べる中で食欲旺盛で健康な牛にしたい」と話す。

〈写真:今回導入した産子と髙橋さん〉

「天空ノ山茶」 自生種の一番茶を手摘みで提供【徳島県・6月1週号】

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 【徳島支局】三好市山城町上名の川内孟さん(81)は、妻のヌイコさん(81)と一緒に「天空ノ山茶」作りに取り組んでいる。
 同町は、水はけの良い急な斜面と、霧が発生しやすい気候が茶の生育に適していて、古くから茶の栽培が盛ん。この山茶は、標高300メートル以上の山間傾斜地に自生しているもので、5~6種類をブレンドしたものだ。
 山のカヤを敷き詰めるだけの自然農法で作られ、山茶の一番茶だけを手で丁寧に摘み取っている。二番茶は茶樹のために残しているという。「化学肥料や農薬は使っていません。使うと香りが無くなり風味が落ちてしまうんです。この山茶の特徴は、花の香りがわずかに感じられ、さっぱりとした甘い香りがして、渋味が穏やかで飲みやすいところ」とヌイコさん。
 川内さん夫妻は「山茶の栽培面積を増やして、山茶をもっとPRしていきたい」と意欲的に話してくれた。

〈写真:天空ノ山茶〉


防風林「多様な人材による田園回帰はゆっくりと進んでいる【2016年6月1週号】」

 ▼北関東の自然豊かな小さな町。駅前から続く商店街の昼下がり、往来する人は少なく店舗の大方はシャッターを閉じていた。昔ながらの肉屋も八百屋も衣料品店も個人経営は厳しい。
 ▼国道沿いに出店した大型店舗に客足を奪われた商店街の一角、しゃれたガラスの置物の奥にコーヒーをいれる男性の姿が見えた。広い空間に木製のテーブル、黒光りした天井の梁(はり)や柱が古民家風で落ち着ける雰囲気だ。
 ▼十数年前に廃業し荒れ放題だった店舗を借り、改装後に喫茶店を開店したという。入口近くの棚には、籠に盛られた色鮮やかなパプリカやトマトなどの野菜が入っていた。都会から移住した女性が近隣の畑で営農を始め協力する意味で置いている。聞くと、店主も町出身者ではなく、都市からの移住者だと話す。
 ▼この日、訪問した方も近畿圏出身だった。清浄な空気と水が微生物資材の培養に適しているとの理由から数十年前に定住した。周辺には、有名な大滝や解禁期間になるとアユ釣りでにぎわう清流がある。この日、国道から逸(そ)れた山道を車で数分、夕暮れの茜(あかね)色に染まった空を背にして、一軒の和食料理店に向かった。周囲の風景は山並みと野菜畑そして静寂だ。地元食材を使った料理をふるまっている。
 ▼この店の主(あるじ)も県外から移り住んだ。人の往来数やにぎわいだけが活性化の尺度ではない。多様な人材が田園回帰などで農村に定住し、自然や心通える住民と交流できる環境も地域資源。「地方創生」はじわりゆっくり進んでいる。

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