ヘッドライン一覧 購読申込&お問い合わせ 農業共済新聞とは? 情報提供&ご意見・ご感想 コラム防風林

今週のヘッドライン: 2016年06月 3週号

150ヘクタールを管理する集落営農組織/水田継続へ丹念に ―― 長野県安曇野市・安曇野北穂高農業生産組合(1面)【2016年6月3週号】

160623-01.jpg

 「一時期のもうけではなく、地域に根ざして農業を続けることが、私たちの経営の強み」――。長野県安曇野市穂高で水田150ヘクタールを管理する農事組合法人「安曇野北穂高農業生産組合」(北穂アグリ)の丸山秀子組合長(67)は胸を張る。北穂高の水田約7割をあずかる集落営農組織として、県内有数の大規模経営を展開。長年のきめ細やかな農地の管理で経営の安定につなげる。全圃場に土壌改良資材を投入するなど土作りを長年実施し、土壌調査をもとに圃場条件に合った肥料設計を独自に行う。農閑期には翌年に向けた圃場改良に取り組むなど、地道な経営改善により水田の力を継続的に維持し未来につなげている。

(1面)

〈写真:「おいしいお米作りには一番の環境。この水田を残したい」と丸山組合長〉

海外食料需給レポート2015/ひっ迫のリスク拡大 中国が世界最大の純輸入国に(2面・総合)【2016年6月3週号】

 農林水産省は14日、「海外食料需給レポート2015」を発表した。世界の穀物需給は、期末在庫率が22%前後で推移するなど落ち着きを見せているものの、今後10年間は人口増加や経済発展に伴い消費量が生産量をやや上回る見通しで、2025/26年の在庫率は18.8%まで落ち込むと予想した。特に食料を買い集める中国が日本を抜いて世界第1位の食料純輸入国となり、世界の穀物在庫量の多くを抱える状況も生じている。食料生産は、気象変動リスクに大きく影響されやすく、穀物相場は投機的資金の流入と隣り合わせの状況が続く。世界の食料需給をめぐる状況や課題などを話し合った。

(2面・総合)

関東の渇水深刻化 農業用水対策本部を設置(2面・総合)【2016年6月3週号】

 農林水産省は14日、農業用水緊急節水対策本部(本部長・伊東良孝農林水産副大臣)を設置した。関東地方で渇水傾向が続いており、少雨傾向が長期化すれば、農業用水の取水制限や農作物などへの影響が懸念されるとして、気象や水源、作物の生育状況などにかかる情報収集・分析や農業用水の効率的な利用・管理などを検討する。

(2面・総合)

農水省がクマ出没に注意呼び掛け 音などで存在アピールを ―― NOSAI全国(2面・総合)【2016年6月3週号】

 全国各地でクマの出没・被害が相次いでいることを受け、農林水産省が生産現場に警戒を呼びかけている。14日には、出没を防ぐ方法や遭遇時の対応をまとめた「農作業中のクマ出没等に関する注意喚起リーフレット」を作成し、ホームページなどで周知を図るとともに、都道府県には人身被害防止などへ指導の徹底を通知した。

(2面・総合)

自家肥育の三元豚/精肉で地元消費者へ ―― 群馬県渋川市・有限会社ほそや(8面・流通)【2016年6月3週号】

160623-02.jpg

 母豚230頭を一貫経営する群馬県渋川市有馬の有限会社ほそや(細谷浩代表)では、SPF豚(特定病原菌不在)を導入して生産・肥育した三元交雑種(LWD)を市場出荷するほか、加工業者から買い戻した精肉を「まる豚」のブランド名で直販する。市内を中心に配達し、地元の消費者と顔が見える関係を築く。1カ月当たりの取引量は60キロ前後と少ないが、豚肉独特の臭みが少なく、きめ細かい赤身と甘味のあるさっぱりとした脂身が好評を得ている。

(8面・流通)

〈写真:配達を担当するかおりさん。同世代の主婦層からの注文が多く、約半数がリピーターだという〉

露地野菜 くず小麦で「リビングマルチ」/雑草抑制、虫害軽減も ―― 栃木県那須烏山市・帰農志塾(9面・営農技術)【2016年6月3週号】

 夏野菜を栽培する上で、除草作業は農家の大きな負担だ。作物の畝間や株間に麦類や牧草などを播種し、地表面を覆うことで雑草を抑制するリビングマルチ法は、作業労力軽減のほか、土壌の流亡防止や病害虫の抑制、有機物の供給など利点が多いとされる。栃木県那須烏山市中山で有機農業を営む帰農志塾(戸松正代表、69歳)は、安価なくず小麦をリビングマルチに活用。抑草効果に加え、アブラムシの被害が減るなど効果を上げている。

(9面・営農技術)

効率作業へトラクターに自動操舵装置【北海道・6月3週号】

160623-03.jpg

 【北海道支局】「一度乗ってしまったら自動操舵(そうだ)装置なしでは走れないです」と話す、士別市の「JA北ひびきICT農業研究会」会長・三橋祐介さん(34)。今年3月に10人の農業者で同会を発足し、ICT(情報通信技術)を導入した先進的で効率的な農作業に取り組んでいる。
 「RTK(リアルタイム・キネマティックの略)-GPS」は人工衛星からの電波をトラクターの受信機で受信し、RTK基地局のあるJA北ひびき多寄基幹支所からの電波をスマートフォンで受信しながら現在地の補正を行うため、正確な位置情報が得られる仕組みだ。自動操舵装置はタッチパネルのボタン一つで簡単に作動し、一度ラインに乗ってしまえば、ハンドルを離した状態でもラインのズレを補正しながら進むことができる。
 RTK-GPSは肥料散布や播種、除草・防除作業に幅広く活用できる。一方、自動操舵で作業することで毎年同じ畝本数で播種することも可能だ。
 防除作業では誤差が数センチなので、薬剤の重複散布を防ぐことができコスト削減にもつながる。さらに防除用の目印の棒を立てずに済むので、作業の効率化にもなり体への負担も少ない。

〈写真:トラクターに乗り込む三橋さん。手前から自動操舵装置、GPS(衛星利用測位システム)モニター、奥に現在地補正用スマートフォンを設置〉

早期成園化技術「流線型仕立て」の普及へ【大分県・6月3週号】

160623-04.jpg

 【大分支局】ナシ農家の高齢化や後継者不足、老木園の更新といった課題を解決しようと、中津市では、公益社団法人「農業公社やまくに」が主体となって、早期成園化技術「流線型仕立て」の普及に取り組んでいる。
 県農林水産研究指導センターが考案した流線型仕立ては、大苗を用いることから、同法人では育苗施設を設置して、現在、「あきづき」「豊水」「幸水」「新高」の4品種・計300本を、苗が5メートルになるまで育てている。
 「流線型仕立ては3年で成園と同じくらいの収量になるため、大幅な期間短縮が可能となる」と、同法人代表の清水孝昭さん(56)はメリットを挙げ、関係機関からは、老木化が進んだ圃場の改植の促進や高品質ナシの生産に期待が寄せられている。
 今後は借地70アールで栽培実証を行い、市内ナシ生産者に大苗を販売する予定だ。また、担い手確保を目的に今年から育成研修事業「梨学校」をスタートしていることから、清水さんは「流線型仕立ては未収穫期間が短いので、新規就農者が取りかかりやすいのでは。新技術の普及で少しでも人材不足を補いたい」と話している。

〈写真:育苗施設では4品種・計300本を、苗が5メートルになるまで育てている〉

ブランドスイカ 対面販売で芽生える向上心【高知県・6月3週号】

160623-05.jpg

 【高知支局】室戸市吉良川町の小松弘之さん(62)は、西山台地でブランドスイカ「キラ坊すいか」の生産に力を注ぐ。
 ブランドの基準は糖度13度以上だが、小松さんたちが生産するスイカは平均14~15度。1株に1玉とすることで実に栄養が集中し、味が良くなるという。天候や温度を見ながらトンネルハウスの開閉を行ったり、水やりの時間を調整したりするなど、何度もトンネルハウスに足を運び良品の生産に努めている。
 道の駅に出荷する小松さん。「市場や個人販売は消費者の声が直接聞けるので、『もっとおいしいスイカを作ろう』という向上心が芽生える」と笑顔を見せる。
 消費者から好評な一方、生産農家が少ないため市場に出回る数が少なく、道の駅が行うインターネット販売は毎年予約が必須になっている。
 小松さんは「目標は糖度15度と今より500個増産すること。日々努力を積み重ねていきたい」と意欲を見せる。

〈写真:キラ坊すいかを手に小松さん〉


有害鳥獣を捕獲 角や牙を装飾品に【山口県・6月3週号】

160623-06.jpg

 【山口支局】銃猟免許を所持し、2015年に下関市から有害鳥獣捕獲隊員として認定を受けている、同市の河田晃幸さん(39)。有害鳥獣の駆除を行い、捕獲したシカの角やイノシシの牙でアクセサリーなどを作り、販売している。
 河田さんは、通常捨てられる角や牙などを利用して、10年前からストラップやアクセサリーを制作。「全て手作りなので、結構手間がかかりますが、世界に一つしかないオリジナルの品です」と笑顔を見せる。ニスを3度塗りし、つやを出しながら強化したり、今は、薬莢(やっきょう)を付けて、見た目と音を楽しめるキーホルダーなども制作している。
 「今後は、冠婚用などの縁起物のアクセサリーも手掛けていきたいですね」と意欲的に話している。

〈写真:作品を手に河田さん〉

アンズ 地域の顔に育てたい【愛媛県・6月3週号】

160623-07.jpg

 【愛媛支局】「長野の主人の実家でいただいたアンズが、とても甘くておいしかったのよ。久万高原町への移住を機に、アンズの栽培を始めたの」と話す、久万高原町上野尻の安川留美子さん(67)。
 留美子さんは、夫の正明さん(68)と共に2012年1月に松山市から久万高原町へ移住。アンズを愛媛の地で産地化したいと土地を借り、翌年11月、10アールの園地に苗木30本を定植した。
 岡本さんは「久万高原町は開花期の気温が低く、ミツバチによる受粉が期待できないため、人工授粉を徹底することと、収穫期にあたる梅雨時期の降雨量が多いため、病気の予防散布に努めることが大事」と話す。友人に声をかけ、アンズの栽培は現在28戸に広まっている。
 「私たちが品質の良いアンズを作って、アンズ栽培が若い人たちにも広まっていってほしいね」と安川さん夫妻は話している。

〈写真:定植したアンズと安川さん夫妻〉

短茎小ギクを広めたい【滋賀県・6月3週号】

160623-08.jpg

 【滋賀支局】長浜市今川町の「株式会社小川ファーム」(小川謙一代表取締役、64歳)で栽培に取り組んでいる、短茎小ギク「プチマム」。関西市場から全国に広まりつつある。
 通常小ギクの茎の長さは70センチほどと長いため、害虫などのリスクがある。プチマムの場合は45センチで、害虫などのリスクも少なく、肥料や農薬の量も通常の小ギクより少なくて済む。また、45センチと仏花用小ギクの長さに合わせて栽培するので、茎や葉を切りそろえる必要がない。
 「茎の長い小ギクは商品価値が高い」イメージだが、それを払拭(ふっしょく)するため、地元のJAが2009年、「プチマム」という名前で商標登録をした。短茎小ギクの栽培は滋賀県が全国初となる。
 県農業技術振興センターの大堀英樹主幹は「滋賀県湖北地域から始まった短茎小ギクの栽培が、今後も全国に広がっていくことを願っています」と期待する。

〈写真:慣用小ギク(右)と短茎小ギク〉

住民巻き込み地域の魅力発掘【新潟県・6月3週号】

160623-09.jpg

 【新潟支局】地域おこし協力隊として昨年7月、三条市下田地域に赴任した大滝雄斗さん(26)。「地域資源発掘コンテスト」などの企画による地域住民参加型の地域おこしを推進し、新たな下田の魅力発見に取り組んでいる。
 「下田地域にはたくさんの魅力がありますが、まだまだアピールが足りないように感じます。自分が移住してきたことで『下田地域が変わった』と思ってもらえるような働きをしたいです」と力強く話す。
 現在、大滝さんが中心となって、下田の名産品であるサツマイモと関連した「芋主プロジェクト」を進めている。これは、地域の人にサツマイモを育ててもらい、それを原料に下田産本格芋焼酎を造るという企画だ。「芋を育ててくれた地元の方に、完成した焼酎を還元する予定です。『投資』ならぬ『投芋』です」と笑顔で話す大滝さん。下田のネクストブランド作りに期待がかけられている。

〈写真:焼酎を手に大滝さん〉

防風林「関税撤廃で危惧される日本の食卓文化 新たな貧困も【2016年6月3週号】」

 ▼「今晩のご飯は何?」「ビフテキだよ」「やったー」。昔、少年だったHはまれに食卓を飾るビフテキに歓声を上げて喜んだ。だが、小学生時代のある日、この料理はビフテキではないのでは......と疑いをもった。
 ▼牛のイラスト入りで「すきやき風味」と表示されたふりかけと、目の前のビフテキと称する料理の風味が全然違っていたからだ。「これ牛肉だよね?」と母親に問うた。「そんな高級な肉はぜいたく、豚肉で十分」。今風にいえばHの母親による「牛肉擬装」となるのだが、四十数年後、焼いた豚肉が例えビフテキでなくても、母の味は記憶の片隅にある。
 ▼先の東京オリンピック開催を契機に、昭和30年代後半からの高度経済成長は、国民の生活水準を向上させたが、地方では好景気の波に乗れた業種は限られていて、裕福な家庭はそう多くはなかった。貧富の差は、中学時代の持参弁当の中身に現れた。
 ▼日の丸模様に申しわけ程度のおかずが入ったHの弁当に対して、まるで欧米の国旗のように彩られた弁当を広げる建機販売業の娘、デザートをほおばる工務店のドラ息子が輝いていた。その後、大量消費の時代に入り豊富な食品が店頭に並び、「ぜいたく」や「もったいない」という言葉も同時に聞かれなくなった。
 ▼TPPで関税率引き下げや撤廃で、低価格の海外農産物が輸入され食卓にあふれるとしたら、日本食文化が徐々に衰退ししかねない。それは、深刻な「新たな貧困」の到来となりはしないか。

» ヘッドラインバックナンバー 月別一覧へ戻る