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今週のヘッドライン: 2016年06月 4週号

コケでガッチリ稼ぐ 手間かからず高単価 ―― 島根県江津市・52 KOKE PROJECT(1面)【2016年6月4週号】

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 島根県江津市浅利町の石原零志さん(36)は、耕作放棄地で造園などに使用される「ハイゴケ」などのコケ類を生産、販売する。2014年1月に新規就農し、60センチ×30センチのコケシートは1枚当たりインターネットで千~2千円(送料別)で販売する専作農家だ。農薬や肥料なども不要のため、極めて低廉な初期コストで導入でき、手間をかけずに高い価格で販売できるコケに、市が注目。「52 KOKE PROJECT(ごうつこけぷろじぇくと)」を設立し、特産化を目指す。移住者や新規就農者の獲得、高齢農家の収益確保の切り札と位置づける。

(1面)

〈写真:コケの生育を確認する石原さん(手前)と山本総括主任〉

魅力ある暮らし自分たちの手で ―― 長野県佐久市・谷川農園&おまめ耕房(3面・暮らし)【2016年6月4週号】

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 「農業だけでなく、生活全体を自分たちの手でつくっていきたい」と話す、長野県佐久市湯原の谷川ゆかりさん(31)。夫の拓也さん(33)と共に水稲などを栽培し、個人向けに販売している。結婚前はそれぞれ別々の場所で営農していたが、佐久市に二人で移住し、2年目の作付けを迎えた。集落の集まりに積極的に参加するなど、地元住民と密接に関わり信頼関係を築いてきた。春太朗くん(1)の子育てをしながら春から秋は農作業に励み、冬は竹細工や県内の伝統工芸を習いに出向き、受け継がれてきた生活の知恵を身に付け、技を磨く。地域内の休耕地が増える中、田植え体験などのイベントを企画して人を呼び込み、農村の豊かさや暮らしの魅力を伝えている。

(3面・暮らし)

〈写真:「失敗もあるけれど、それも含めて農業は面白いね」とゆかりさん、拓也さん。息子の春太朗くんと〉

鳥獣害対策/"集落の力"引き出す ―― 福井県・NOSAI福井(5面・NOSAI)【2016年6月4週号】

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 NOSAI福井(福井県農業共済組合)では、野生鳥獣による農作物被害を減らすため、対象となる鳥獣の行動習性や電気柵の正しい設置方法などを学ぶ研修会を開催している。集落に専門家を派遣して講義と現地指導を実施し、改善策などをアドバイスする。市や町の事業を活用して新たに柵などを設置する集落には、購入費用の一部をNOSAIが助成して活動を後押しする。昨年度は7会場で開催し、19集落の175人が参加した。実施した集落では、獣害における水稲の支払共済金が前年度比約8割減となり、高い成果を上げている。

(5面・NOSAI)

〈写真:恒久柵付近でイノシシの通り道を説明する服部さん(左)〉

「酒米」が地域を創る/産地独自の味と芳香さが魅力に ―― 京都市右京区・嵯峨酒づくりの会(6面・特集)【2016年6月4週号】

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 日本酒造りは、麹米や掛け米など米を主原料にした、日本古来からの伝承文化といえる。国内出荷量の減少が続く中で、近年の和食ブームとともに海外での評価も高くなっており、高品質の日本酒需要も伸びつつある。それを支えるのが酒米(酒造好適米)だ。「山田錦」や「五百万石」といった主力品種を超える良質な酒米作出を目指して、県独自の育成品種や、途絶えた在来品種により地域性の創出を担う地域も現れている。飼料用米の増産が叫ばれる中で、酒米作りを核に地域活性化を担う産地のほか、酒米や日本酒をめぐる話題を集めてみた。

(6面・特集)

〈写真:オーナー田で談笑するメンバー。「収穫まで気が抜けません」と話す〉

ドローンの農薬散布 問われる適正運航への意識(16面・機材)【2016年6月4週号】

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 今年の防除期から、マルチローター式の小型無人航空機(ドローン)による農薬散布が事実上、可能となった。5月末に市販機の機体および散布装置の性能が確認されたため。昨年12月の航空法改正で、産業用無人ヘリコプターを含む無人航空機の飛行空域や高度を規制、農薬散布する際は、国土交通大臣の許可・承認の申請が必要となったことによる。農林水産省は「空中散布における無人航空機利用技術指導指針」(指導指針)を定め安全確保を使用者に呼びかけている。農家にとって新たな防除手法が身近になった感もあるが、地上防除機を使う意識とは異なり航空法を順守しつつ、指定された薬剤選択が必要など指導指針に則した取り組みが問われる。改めて小型無人航空機防除の注意ポイントを確認する。

(16面・機材)

〈写真:無人航空機での農薬散布は認定オペレーターが補助者を伴い実施する(メーカーの飛行デモンストレーション)〉

和牛肥育 子牛導入に独自基準/足で稼いで着実な経営(17面・営農技術)【2016年6月4週号】

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 「お金を掛けず手間暇をかける」をモットーに、黒毛和牛約100頭を肥育する茨城県笠間市押辺の安達政弘さん(62)。徹底的な経営データの分析や市場などからの情報収集で、独自に素牛(もとうし)の購入基準を設定。毎月5市場を回って全頭の体格や体調などを確認し、軽度の疾病など一見不利な条件からも収益を見極める。平均より10万~20万円安く購入しつつA4・A5率を9割以上に仕上げ、年間50頭を出荷し安定した収益を確保する。

(17面・営農技術)

〈写真:「従業員でも理解しやすいように、血統などの個体差をボードで示す」と安達さん〉

TPP発効の見通し立たず 米国で強まる再交渉の声(2面・総合)【2016年6月4週号】

 11月の大統領選挙を控える米国で、環太平洋連携協定(TPP)の議会承認の行方が一層不透明な状況となっている。オバマ政権は年内承認を貿易政策の最優先事項としているものの、与野党の大統領選候補者はともにTPP反対の姿勢を鮮明にし、再交渉を求める方針に言及。日本政府は「仮に要求があっても再交渉には応じない」とするが、協定発効には米国の承認が不可欠で、先行きは予断を許さない。TPPは今後の農業・農政に大きな影響を与えかねず、その是非は22日に公示された参院選挙で大きな争点の一つとなっている。各党・各候補者の方針や今後の対応などを吟味し、投票を通じて生産現場の意思を示したい。

(2面・総合)

畜舎屋根にドロマイト石灰散布 ―― 鳥取県・NOSAI鳥取(5面・NOSAI)【2016年6月4週号】

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 NOSAI鳥取(鳥取県農業共済組合)では、畜舎内の高温抑制を目的に、管内の家畜共済加入者を対象とした損害防止事業の一環として、ドロマイト石灰塗布を行っている。動力噴霧器や補助人員は無償で手配。農家は塗布作業とドロマイト石灰購入にかかる実費を負担するだけでいい。塗布直後から畜舎内の気温低下による環境改善が図れることから毎年、継続して利用する農家が多い。

(5面・NOSAI)

〈写真:畜舎のおよそ1000平方メートルある屋根に散布する兼三さん(左)〉

果樹栽培の傍ら青果センター経営【山梨県・6月4週号】

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 【山梨支局】笛吹市八代町の橘田政喜さん(48)はモモ50アールとナシ3アールを栽培する傍ら、有限会社山梨御所青果センターを経営する。「農家の手取りを増やす」ことを目的に、地域の契約農家の農産物を取引のある市場へ出荷している。
 橘田さんは公務員やJAの営農指導員を経て、36歳の時に親の後を継いで就農した。生産に専念するつもりだったが、「自分で価格を設定して販売しなければ、収入を上げることはできない」と考え、2006年に山梨御所青果センターの経営を始めた。
 現在ではモモやブドウの他、トウモロコシやナス、キュウリなどの野菜も扱い、年間約700トンを出荷する。取引先は築地市場を中心に京浜や東北、中京地域の市場にまで及ぶ。市場を通してスーパーや量販店とも取引する他、個人宅配も行っている。
 現在、契約農家は100人を超える。「高齢化が進んでいるが、栽培面積を減らさない農家も多く、結局手が回らずに単価が下がるというケースもある」と話す橘田さん。JA出荷では商品にならないB級品の需要を見つけ、少しでも農家の手取りを増やせるように努めている。

〈写真:青果センター〉

茶のアイスで若者客や女性客が増加【新潟県・6月4週号】

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 【新潟支局】「北限の茶処」と呼ばれる村上市で、冨士美園株式会社の飯島剛志さん(40歳・同市長井町)は、伝統の村上茶を守るとともに、県内では珍しい紅茶の製造を手掛けるなど、茶の魅力を発信し続けている。
 「緑茶用の製造機で紅茶を作るため、調整が大変でした」と苦労を話す。試行錯誤の末、4年目にしてようやく紅茶の商品化にこぎ着けた。県内でも村上茶を知る若い世代が減ってきていることから「雪の降る新潟でも茶の栽培をしていることを知ってほしい」との思いを込めて「雪国紅茶」と名付けた。
 もう一つ同社の名物に、茶葉を粉末にして混ぜ込んだ抹茶と紅茶のソフトクリームがある。飯島さんは「"お茶屋さん"というと何となく店内に入りづらい感じもしますが、紅茶やソフトクリームを販売してから、若いお客さんや女性客が増えました。努力して作ったかいがあります」と話している。

〈写真:「雪国紅茶」を手に飯島さん。茶師として活躍している〉

田植機に手作り屋根【山口県・6月4週号】

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 【山口支局】「農業は、天候と除草との闘いです」と話すのは、水稲7.8ヘクタールを耕作する山口市の原田憲治さん(67)。天候を気にせず作業ができるようにと、田植機に手作りの屋根を装着した。
 安価な材料や身近にある材料を利用して、屋根の取り付け部分は補強材を入れながら強度を増すなど数回の試作を繰り返し完成させたという。また、突然の雨にも対応できるよう、施肥タンクにも工夫を凝らしている。
 屋根部分は、雨対応のビニールだけでは日差しが防げないため、日差しよけにブルーのシートを張り、その上にビニールを張ったため、強度にもつながっている。

〈写真:自作した屋根付きの田植機と原田さん〉

トマト もっと技術高めたい【千葉県・6月4週号】

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 【千葉支局】「『このトマトなら食べられます』と言われるのがとてもうれしい」と話す、香取市の伊原努(いはらつとむ)さん(31)。有限会社「さかき」(露地野菜20ヘクタール、施設野菜1.5ヘクタール)に勤め、トマトの養液土耕栽培に取り組んでいる。
 農場で伊原さんが栽培するトマトはミニトマトサイズだが、品種は中玉サイズのものを使用。根の部分にフィルムを敷き、水分制限して栽培する養液土耕栽培(フィルム農法)を用いることで、味が凝縮され、甘さが引き立ったミニトマトができる。伊原さんが栽培したトマトは「みつトマト」という名前で販売している。
 20アールから始めたトマトの養液土耕栽培について伊原さんは、「当初、栽培事例がほとんどありませんでした。温度や湿度・日光量の微調整の判断が難しかったです」と振り返る。試行錯誤を重ね、栽培面積を3年かけて1.5ヘクタールまで拡大。安定して生産できるようになった。
 伊原さんは「より安定した経営につながるよう、栽培技術を磨いていきたい」と意気込む。

〈写真:トマトの色づきを確認する伊原さん〉

すし専用米 飲食店向けに全量を契約栽培【石川県・6月4週号】

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 【石川支局】七尾市花園町の林義太郎さん(72)は、すし専用米「笑みの絆」の生産に取り組んで3年目だ。自身が耕作する2.5ヘクタールのうち、上流域に位置する60アールで栽培する。
 笑みの絆は酢のなじみがよく、粘り気が少ないため口に入れるとほぐれやすいのが特長。栽培面では、登熟期の高温に強く、「コシヒカリ」に比べ稈長が短く成熟期がやや遅い。倒伏しにくく、収穫期の労力分散に向く。
 林さん方では、初年の試験栽培が話題となり、東京のすし店から購入の申し出があり、翌年から販売を開始。今年も収穫を見込む約2トンをすべて契約栽培している。
 昨年は市が呼びかけて、栽培環境の近い市内5地区5農家で試験栽培が行われ、地元の炊飯業者に販売した。現在は主食用と同等価格で取引しているが、業務加工用とあって価格の折り合いが難しいという。
 農家や市で組織する業務用米普及協議会では、市内の旅館や飲食店にむけた試食会を開催し、地元での販路の拡大を図っている。

〈写真:「今後も作り続けたい」と生産者の林さん〉

地元野菜使った米粉麺を製造【宮城県・6月4週号】

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 【宮城支局】地場産のイチゴやパプリカを練り込んだ米粉麺を開発した亘理町の隈川浩さん(64歳、食品開発・販売会社経営)は、「地元の農産物を使い、環境と健康に配慮した商品を提供していきたい」と話す。
 「震災後、復興に向けて動き出している町のために、自分も何か手伝うことかできたら」と、定年退職を機に定住。地元の農産物を練り込んだ米粉麺の商品開発を進め、県産「ササニシキ」の米粉に、地元農家から直接仕入れるイチゴなどを混ぜ込んだ米粉麺「めん恋乙女(こいおとめ)」を2年ほど前に商品化した。
 「イチゴなど農産物には出荷ロスがある。市場に出せないだけで味は確か。形を変えて提供し、地元の農産物をPRしたかった」と隈川さん。同町のイチゴ農家も「地元産をアピールして宣伝してほしい」と応援する。

〈写真:場産のイチゴやパプリカを練り込んだ米粉麺〉

防風林「棚田の小さな区画も命の糧を生み出す場【2016年6月4週号】」

 ▼日本の原風景、棚田が残る山村には類似したさまざまな言い伝えが残っている。ある雨の日、役人が来て「ここの棚田には田んぼが何枚あるのか?」と尋ねるので、「確か○枚あるはずだ。1枚、2枚......」。何回数えても、1枚足りない。
 ▼「自分の田の数がわからないのか?」と怒る役人に、平身低頭。翌日、田んぼに向かうと1頸(くび)の蓑(みの)が落ちていた。数えた時に雨が上がったために、地面へ無造作に置いたのを思い出す。拾うとそこには、蓑がすっぽり入るほどの小さな田があった。
 ▼満月の晩に行くと、月が額縁に入ったように水面に映る小さな田んぼがあるとの話も。山頂近くまで畦(あぜ)を盛り水を引く苦労をいとわぬ古人のこと、誇張ではなくそんな田もあるはず。ふと思う。棚田は「どんな田でも命の糧を生み出す場なのだ」との、祖先の声なき伝言なのだろうと。
 ▼今年も7月に、新潟県佐渡市で棚田サミットが開かれる。何年か前の取材で、息を飲むような棚田風景を写真に残そうと、参加者の多くが引き上げた棚田に残った。後片付けする地元保存会の代表に言葉をかけた。「棚田保存は耕す労力確保が大事だが、大きな壁は地権者が全国に散在してしまっていること」と話す。
 ▼整備には蓑1枚の田でも地権者の了解が必要な時もある。何十年も前に都会に移り、転居先不明の場合が多い。文化財保存なら昔のままの姿でいい。だが、営農継続には、せめて耕うん機が入るよう畦を撤去せねばならないこともある。

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