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今週のヘッドライン: 2016年07月 2週号

今年も稲の葉そよぐ ―― 熊本県阿蘇市・水稲契約栽培(有)内田農場(1面)【2016年7月2週号】

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 「うちの米を待っている人がいる。地震の被害を心配する電話をもらい、今年も米を作ろうと心に決めた」と内田智也さん(31)。熊本県阿蘇市内牧の有限会社「内田農場」の代表を務める。実需者との契約栽培で、用途や好みに合わせた業務用の米や酒米など12品種ほどを栽培する。4月に発生した「熊本地震」では水路が破損したり、圃場に地割れが走るといった被害を受けた。2015年産で作付けた水稲50ヘクタールのうち5割程度しか作付けできないと見込んでいたが、4月下旬から水路の補修などを自主的に進め、7割程度で水稲を作付けた。残りの圃場では黒大豆への転換を進めたものの、6月20日から降り続く雨が追い打ちを掛ける。湿潤害の発生も懸念される。

(1面)

〈写真:土砂が流入した水田を指す内田さん。大雨が続き6月23日、水路があふれた〉

畜産農家の減少止まらず 乳牛飼養頭数は1.9%減に(2面・総合)【2016年7月2週号】

 農林水産省は5日、2016年の畜産統計(2月1日現在)を公表した。乳・肉用牛の飼養戸数の減少率は依然4%台で、飼養頭数は特に乳用牛で減少率が上昇。飼養戸数・頭数ともに減少に歯止めがかからず、生産基盤の弱体化が進む現状が改めて浮き彫りになった。畜産は国内農業の基幹分野の一つであり、その振興は地域経済・社会の維持・発展に欠かせない。ただ、営農継続には施設・機械への投資や労働力の確保などが課題となっており、高齢化の進展や環太平洋連携協定(TPP)合意などによる先行き不安が離農を後押しする状況にある。持続可能な畜産の確立に向け、国全体で担い手の育成・確保と畜産経営のサポート体制の強化を急ぐ必要がある。

(2面・総合)

地元農家と連携し米・野菜作り/農のある暮らし楽しむ ―― 神奈川県相模原市・NPO法人「畑と田んぼ環境」再生会(3面・暮らし)【2016年7月2週号】

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 「受け継がれてきた農地や風景を地元農家の協力を得ながら一緒に守っていきたい」と話す、NPO法人「『畑と田んぼ環境』再生会」の田島清春理事長(66)。神奈川県相模原市で、地元農家と連携しながら市内の休耕地や耕作放棄地を借り受け、地域住民を中心とした会員約50人が米や野菜を栽培する。1年かけて米作りを体験する研修会を毎年開催し、会員を増やしてきた。研修は土日を中心に、育苗から収穫・脱穀まで全て手作業で管理する。研修終了後は「田んぼ環境自作人」として認定し、翌年からNPOが管理する田畑を割り振る。収穫物は販売せず、会員同士や地域農家と交流を図りながら、自給自足的な暮らしを楽しんでいる。

(3面・暮らし)

〈写真:「大変さもあるけれど楽しさや喜びの方が大きい」と吉野さん(左)と波多江さん(中)、仲野さん〉

猛暑で懸念生育不良、病虫害 情報共有で農家支援/水稲共済(5面・NOSAI)【2016年7月2週号】

 気象庁の3カ月予報では、今夏は全国的に猛暑となる見通しだ。近年は登熟期の高温傾向により、白未熟粒の発生や病虫害の増加など高温障害が頻発している。NOSAIの水稲共済では収量の低下を補償するほか、被害の多い地域では品質低下の補償や、被害防止に向けた関連機関との連携などの対応が取り組まれている。共済金の支払いには刈り取り前の損害評価が必須のため、各地のNOSAIでは、早期に情報把握と被害申告の呼び掛けができるよう体制を整えている。

(5面・NOSAI)

牛枝肉卸価格高騰も不安な肥育経営(8面・流通)【2016年7月2週号】

 牛枝肉卸売価格が記録的な高値で推移している中で、5、6月は連続で値下がりした。6月の月間価格は、和牛去勢牛A5でキロ2608円と、前月比72円安(前年同月比115%)になったのをはじめ、全牛種で小幅に下げている。6月は鍋物需要と焼き肉需要の端境期とされ、季節要因と捉える市場関係者も多い。しかし枝肉価格がこのまま下げに転じれば、平均取引価格で80万円を超える和子牛を導入する肥育農家の経営に影響を及ぼす可能性もある。今後の価格推移に注目が集まっている。

(8面・流通)

水稲直播でコスト削減/安定収益を確保 ―― 山形県三川町・青山農場(9面・営農技術)【2016年7月2週号】

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特栽「つや姫」を全量直販
 主食用米32ヘクタールなどを栽培する山形県三川町青山の農事組合法人青山農場では、「はえぬき」で鉄コーティング湛水〈たんすい〉直播を中心に、研究機関と連携してV溝乾田直播や無コーティング代かき同時播種も試験し、直播技術による省力・低コスト化を追求。春作業の分散化で、今年は8条植え田植機1台だけの稼働で済んだ。一方、特別栽培「つや姫」は、消費者や飲食店に全量を直販し、安定収益を確保する。従事分量配当制から確定給与制に切り替えるなど魅力ある法人経営に努め、集落内の40代後継者3人が参画している。

(9面・営農技術)

〈写真:水稲は6ブロックに分け、管理担当者を決めている。「各自で責任を持って管理してもらう」と五十嵐さん〉

東日本大震災からの復興状況を報告 日本農研が講演会(2面・総合)【2016年7月2週号】

 日本農業研究所は7日、東京都内で講演会を開き、宮城県名取市の有限会社耕谷アグリサービス元代表(JA名取岩沼組合長)の佐藤富志雄氏が、同法人の東日本大震災からの復興状況を報告。受託面積が約150ヘクタールと震災前と比べ倍増する中、20~30代の社員7人を雇用し、地域に貢献する法人を目指したいと強調した。

(2面・総合)

伊予生糸を守る【愛媛支局・2016年7月2週号】

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 【愛媛支局】西予市で生産される伊予生糸(いよきいと)」が今年2月、地理的表示保護制度(GI制度)に登録された(西予市蚕糸業振興協議会が申請)。地理的表示保護制度とは、国が地域の農林水産物や食品をブランドとして保護する制度。伊予生糸を守っているのは、市内6戸の養蚕農家だ。
 伊予生糸は古くから伊勢神宮や皇室の御料生糸として採用され、英国のエリザベス2世の戴冠式(たいかんしき)の衣装や能装束の復元にも使用されるなど、その高品質さが知られている。
 西予市野村町の松下誠さん(74)は、妻の厚子さんと養蚕業を営んできた。5月から10月に5期養蚕し、約130平方メートルの蚕舎で、糸が取れやすい繭作りを心がけている。
 蚕品種は、極細高級生糸に適したている「あけぼの」。蚕の餌となる桑は、約1.2ヘクタールの畑で自家栽培し、殺菌剤や殺虫剤は使わない。松下さんは「GI制度登録を機に養蚕業が増えていけば」と話し、「良い物が欲しいという人がいる限り、絶やしてはいけない」と厚子さんも続ける。

〈写真上:当日刈り取った新鮮な桑を8時間ごとに与える松下さん〉
〈写真下:回転蔟(まぶし)の中の繭〉

規格外ホウレンソウを無駄なく【岐阜支局・2016年7月2週号】

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 【岐阜支局】捨てない農業を実現するため、高山市の食品加工会社「ミチナル株式会社」の代表取締役・山下喜一郎さん(45)は、地域農家30軒から、それまで廃棄されていたホウレンソウを集荷し、冷凍加工し販売している。
 一日2回、規格外や外葉、下葉などを高山市内の農家から集め、24時間以内に製品化。洗浄、選別、ゆで上げ、カット後、トンネルフリーザーを用い約4分間で凍結を行う。
 「農家が丹精込めて作ったホウレンソウをごみにせず商品化したい。端材を端財に変えたい」と考えた山下さんは、地域農家に協力を依頼。一軒一軒説明にまわり、工場を見てもらうことで理解してもらい、協力してもらえることになった。農家との絆を大切にするため、農家向け通信を発行し情報発信もしている。

〈写真上:機械による自動選別と目視選別を行っている〉
〈写真下:冷凍のカットホウレンソウのパッケージ〉

ブランド米の販路開拓 食堂も好調【千葉支局・2016年7月2週号】

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 【千葉支局】市原市八幡地区を中心に水稲30ヘクタールを耕作する株式会社つばめ農園。代表の布施俊章さん(41歳、同市門前)は、化学肥料は使用せず、ぎりぎりまで農薬を減らして米を生産。また、食味が良い適期に刈り取りできるように数品種を栽培している。栽培品種の一つ「コシヒカリ」は2ミリ目で選別したものをオリジナルブランド「気和味米」として販売する。
 布施さんは、独自に販路を開拓。県内スーパーや食堂などの需要に応えている。「断られて当然、めげずにどんどん営業します」と話す。
 就農当時から支えてくれた仲間と地域を大切にしたいと、仲間の生産した農産物を仕入れて調理販売を行う「農家直営めし処(どころ)つばめ」を今年3月にオープン。県内の食材を多く用いた7種類の定食で気和味米を提供する。

〈写真:「農家直営めし処 つばめ」の前で布施さん(左)〉

双子が描く次代の稲作【奈良支局・2016年7月2週号】

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 【奈良支局】「家族そろって病気もなく農業を営んできたことがうれしい」と宇陀市の辻本博司さん(37)。双子の兄・博文さん(37)と「コシヒカリ」や「ひとめぼれ」など主食用米5品種、「アキツホ」「五百万石」の酒米2品種を栽培している(合計8.6ヘクタール)。
 調製作業時にはカメムシなどの被害で変色した米粒を選別する色彩選別機を導入。はさがけに近い状態で乾燥する遠赤外線乾燥機も取り入れた。また、株間を27~30センチ、条間を30センチ程度に広げて苗代などの低コスト化を図り、風通しを良くして病害虫の発生抑制にも効果が期待される疎植栽培を導入している。
 農機具の修理は博文さんが行っている。「農機具や苗作りの知識を豊富にし、次世代の農家を育成していきたい」と辻本さん兄弟は話す。

〈写真:苗箱を手にする博司さん(手前)と博文さん〉

野菜の魅力と育てる大切さ伝える【福島支局・2016年7月2週号】

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 【福島支局】須賀川市越久の佐藤学さん(32)は、栽培や野菜の魅力を伝える食育に取り組む。会長を務める須賀川4Hクラブ(会員12人)で、地元小学校の総合学習に出向いてのキュウリ・水稲講習会(播種から収穫まで)、大人向けの地域交流会での講演、紙芝居を手作りして作物の生育を分かりやすく紹介する。
 「食べ物がどのように成長し収穫に至るのか、それに農業者がどのように関わっているのかを知ってもらえれば、"育てる"ということを理解していただけると思います」と佐藤さん。「農業の素晴らしさや大切に育てられた農作物の価値を知ってもらい、地域農業への理解を促進する活動を行っていきたい」と意欲的だ。

〈写真:「農業をもっと知ってもらいたい」と佐藤さん〉

玄米コーヒーで「米を飲む」【新潟支局・2016年7月2週号】

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 【新潟支局】「玄米コーヒーで米を飲む習慣を広めたい。そして、米の需要を増やし、県内の農地を守ることが目標」と話す、長岡市下々条町の株式会社FARM8(ファームエイト)代表取締役の樺沢敦さん(37)。同社では、地元農家と連携し、玄米コーヒー「コシBROWN(ブラウン)」を商品化した。
 コシブラウンは玄米を焙煎して作る玄米コーヒーに、県産米を使ったライスミルクの粉末を加えた商品。ライスミルクのとろみが玄米コーヒー特有の粉っぽさを包み、飲みやすい。
 酒粕(さけかす)の乳酸菌発酵食材「さかすけ」を使ったアイス「mui(ムイ)」など、新商品も登場する予定だ。

〈写真:コシブラウン〉

防風林「農高生の米作り、腕をみがいて将来はプロに【2016年7月2週号】」

 ▼今、「夏の甲子園」の予選大会が全国各地で繰り広げられている。説明するまでもなく〝高校野球〟のこと。〝甲子園〟という言葉のもつ響きは、高校球児の汗や涙を連想させ、日本人の琴線に触れやすいのかも。
 ▼体育会系の部活動は何かと脚光を浴びるが、最近は、書道やダンスなどの非運動系でも、会場が異なるのに「○○甲子園」と称する全国大会も増えている。さらに、高校生が対象ではない「直売所甲子園」も盛況だ。ただ、歓喜の姿や敗者への拍手や声援には、競技にかかわらず熱いものが胸に込み上げてくる。
 ▼本紙もオフィシャルスポンサーとして後援する「全国農業高校 お米甲子園」(主催:米・食味鑑定士協会ほか)が今年は、熊本地震の被災県・菊池市を会場に開かれる予定で現在、参加登録を受け付けている。昨年の最高金賞は鳥取県立倉吉農業高校、プレゼン部門グランプリが青森県立五所川原農林高校。
 ▼高校生の米作りだからと侮ってはならない。アイガモ農法のほか食味向上、環境負荷低減に配慮した肥培管理技術にも工夫する。米・食味分析鑑定コンクールと同様に、収穫した米のサンプルを食味計値を元に事前審査、本大会では食味鑑定士が慎重に試食して受賞者を決定する。
 ▼農業高校の現状は、後継者育成の機能は薄れ卒業後に就農する生徒は3%程度と少なく、ほとんどが企業への就職だ。お米甲子園に挑戦した生徒の一握りでも将来、プロの米作り農家として羽ばたいてくれることを真に願っている。

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