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今週のヘッドライン: 2016年07月 3週号

フードバンク 規格外農産物など困窮者らに提供 ―― 山梨県南アルプス市・功刀好和さん(1面)【2016年7月3週号】

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 規格外などにより、食べるには支障がないのに販売できない食品を、農家や業者から寄贈してもらい、経済的な困窮者や福祉施設などに提供する「フードバンク」の活動が全国で広がりをみせる。趣旨に賛同し協力する農家が収穫体験を受け入れるなど、食材提供にとどまらず、交流を生む活動も始まっている。

※フードバンクとは
 食品企業の規格外品や余剰品などを引き取り、福祉施設などへ無料で提供する活動。米国で40年以上の歴史があるが、国内では2000年以降に民間組織を中心に設立され始めた。

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 海外の事例も含めフードバンクを研究する愛知工業大学経営学部の小林富雄准教授に、その意義や、国内での展望を聞いた。

(1面)

〈写真上:「農家にとってはありふれていても、食べたことがない人も多い」と功刀(くぬぎ)さん。子供たちへのお土産のサクランボを準備する〉
〈写真下:「農産物は余りやすい性質があるからこそ、分け合う仕組みも大切」と小林准教授」〉

伸び悩む輸出 政府対策強化へ(2面・総合)【2016年7月3週号】

 農林水産省は12日、5月の農林水産物・食品の輸出金額(速報値)が前年同月比1.7%減の547億円となったと発表した。前年実績を下回るのは今年に入って3回目で、1~5月の累計では前年をわずかに上回ったものの、昨年までの輸出増加傾向から一転、国内生産の減少に円高の進展などの逆風が加わり、停滞が顕著となっている。2020年とした輸出額1兆円目標の前倒しを掲げる政府は、月内にもまとめる経済対策に輸出強化策を盛り込む方針を示す。人口減少社会を迎える中、中長期的には内需拡大に限界も指摘され、海外への販路開拓は重要な取り組みだ。ただ、輸出は国内生産の動向はもとより、為替変動や輸出先国の情勢などの影響を受けやすい危うさを伴う。輸出をめぐる現状を話し合った。

(2面・総合)

梅雨期の大雨被害 農林水産分野は411億円(2面・総合)【2016年7月3週号】

 6月以降の梅雨期における大雨などによる農林水産被害額は11日現在、411億6千万円に上ったと農林水産省が公表した。被害状況を確認中の地域もあり、被害額はさらに拡大する可能性がある。

(2面・総合)

大豆でつなぐ地域の食/豆腐や菓子、食事を提供 ―― 青森県青森市・企業組合なみおか豆や(3面・暮らし)【2016年7月3週号】

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 「長く続けてこられたのは、お客さんをはじめ周囲の支えのおかげ。受けた恩を返すためにも、豆腐作りや地域の食文化を伝えていきたい」と話す、青森市浪岡の企業組合「なみおか豆や」(組合員4人)代表・奈良岡京子さん(69)。道の駅なみおか「アップルヒル」内に店舗「豆や」を構え、地元農家の福士武造さん(79)の大豆を使った地場産豆腐などの加工品販売と「豆御膳」などの食事を提供する。地元農家との信頼関係を大切にしながら、当番を融通し合うなど無理なく働ける環境を整備し、地域の食を若手にもつなぐ態勢を整えている。

(3面・暮らし)

〈写真:豆や店頭で、奈良岡さん(中央)と組合員の対馬さん(右端)、福川アイ子さん(左から2人目)。パート従業員の荒田陽子さん(左端)、雪田真由美さん(右から2人目)〉

特栽野菜の契約取引/ニーズに応え信頼獲得 ―― 奈良県葛城市・伏見泰徳さん(8面・流通)【2016年7月3週号】

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 露地3ヘクタールとハウス40アールで野菜15種類を栽培する奈良県葛城市太田の伏見泰徳さん(42)は、関西を中心に展開するスーパー1社との契約取引をスタートし、経営を軌道に乗せている。化学合成農薬施用で慣行比5割減、化学肥料不使用の特別栽培農産物で、品種別に月1回栽培履歴を提出する。大型規格や葉付きダイコンなど、スーパーの要望に応じて品種を選ぶ。出荷先の5店舗には専用コーナーがあり、消費者の関心を引くよう包装袋にはシールを貼る。市況に左右されない取引価格で、安定経営を図っている。

(8面・流通)

〈写真:ナスの管理をする(左から)伏見さん、久万田武さん(24)、田中翔さん(24)〉

防鳥器具 適期の設置や撤去が容易に(9面・営農技術)【2016年7月3週号】

農研機構・中央農研センターがマニュアル
 収穫間近の農作物がカラスなど鳥類の食害に遭った経験をした農家も多いだろう。固定式防鳥網は、設置費用が高額になるほか、強風や積雪の影響を受けやすく、農作業の障害になるケースがあり、対策に踏み出せない農家もいる。農研機構・中央農業研究センターでは、ホームセンターなどで購入できる安価な資材を使用し、被害に遭いやすい時期だけ設置して鳥害を防ぐ効果的なマニュアルを発表した。防鳥網を簡易に掛け外しする「らくらく設置3・5」と、テグスを圃場に張ってカラスの侵入を防ぐ「畑作テグス君」を紹介する。

(9面・営農技術)

肉厚で高品質のキクラゲ生産【山形県・7月3週号】

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 【山形支局】「生まれ育った所で仕事ができることが農業の魅力。人とのつながりを楽しんでいる」と話すのは、就農4年目になる鶴岡市中京田の鈴木俊将(としまさ)さん(25)。父と共に水稲5ヘクタールやエダマメ3ヘクタールなどを栽培する他、自身でキクラゲを導入し、肉厚で高品質のキクラゲ生産に取り組んでいる。
 鈴木さんがキクラゲ栽培を始めたきっかけは、東京暮らしをしていたころ、知人である鶴岡市の栄養士や調理師から地場産キクラゲが流通していないと聞いたこと。「需要はあるのに供給が無いのなら、自分が作ってみよう」と思い立ち、2012年にUターンして就農し、キクラゲ栽培を始めた。

〈写真:地元に密着した農業を実践する鈴木さん。福島県の大規模栽培農家を視察するなどして栽培技術を磨いた〉

あがの姫牛 地元企業4社が協力して誕生【新潟県・7月3週号】

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 【新潟支局】地元、阿賀野市を愛する企業4社がアイデアと技術を持ち寄り、6月に牛の新ブランド「あがの姫牛(ひめうし)」を誕生させた。牛の飼育、発酵飼料の供給、食肉販売をそれぞれの企業が連携して行い、6次産業化を実践している。
 あがの姫牛の特徴は餌にある。ビールの世界大会で世界一に輝いた天朝閣グループが作る「スワンレイクビール」のビール粕(かす)に、優れた食品発酵技術を持つ(株)バイオテックジャパンの作る乳酸菌を加え、発酵熟成させたものを給餌している。

〈写真:熟成発酵させたビール粕を食べるあがの姫牛〉

フクロウ呼び戻しリンゴ園をネズミから守る【青森県・7月3週号】

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 【青森支局】「リンゴ園にフクロウが戻ってきた」と喜ぶ「下湯口ふくろう会」(会員30人)会長の石岡千景さん(34)。弘前市下湯口エリアの園地を中心に、リンゴの樹皮を食害するハタネズミの天敵、フクロウを呼び戻そうと巣箱の設置に取り組んでいる。今春は24羽のひなを確認。「営巣したリンゴ園ではネズミによる被害が少なくなった」と、手応えを感じている。
 近年は生産量を増やすため栽植3~4年で収穫できるわい化栽培が増加し、フクロウの巣穴がある老木が減り営巣も見られなくなった。また、ハタネズミの被害は若木に多く、わい化樹では成木になっても被害が多いという。

〈写真:巣箱の中で育つフクロウのひな〉

トウガラシ「香川本鷹」 友人と増産し地域の顔へ【香川県・7月3週号】

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 【香川支局】「鋭い辛味と爽やかな後味が、そばとよく合います」と、トウガラシの「香川本鷹」を紹介する、「農家のそば屋 そば処(どころ)財匠(ざいしょう)」店主の山崎隆行(やまさきたかゆき)さん(68歳・三豊市)。ソバ80アールに加え香川本鷹10アールも自家栽培し、店頭で一味として常備する。
 常連客の一人は「辛さの中に甘味のある、鮮やかな風味が気に入っています」と、味わいにほれ込む。家庭でも味わいたいという要望に応えるため、予約制で販売している。

〈写真:「香川本鷹」をPRする山崎さん〉

特産ジャバラを緑茶とブレンド【愛媛県・7月3週号】

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 【愛媛支局】内子町では町特産のジャバラの乾燥果皮と、国産「べにふうき緑茶」をブレンドしたフレーバーティー「内子茶」を三井農林と共同で開発。6月に全国発売され、話題となっている。
 ジャバラの強い酸味を生かすため、香料は使用せず、乾燥果皮を30%配合した。すっきりとした酸味と豊かな香りが特徴だ。
 「お茶の時間で世界に笑顔を届けたいとの思いから生まれた、新しい取り組みです。地方の隠れた名産品をお茶を通して全国に発信したい」と笑顔で話す三井農林の山田寛さん(26)。

〈写真:内子茶をPRする山田さん(左)と大竹さん〉

薬用植物入りせんべい開発【富山県・7月3週号】

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 【富山支局】富山市婦中町の道島・上野営農組合(松本新司組合長=68歳)は、栽培した雑穀と薬用植物オオナルコユリを使用した「縄文雑穀せんべい」を開発した。
 縄文時代中期の道島縄文遺跡で知られる道島・上野地区。同組合は地区内の耕作放棄田を活用し、古代から食されてきたキビやアワ、アマランサスなどの雑穀や薬用植物を栽培している。

〈写真:せんべいを手に組合員〉

防風林「若きも老齢者も担い手なりの努力が必要【2016年7月3週号】」

 ▼新しい海へ漕(こ)ぎ出す船を今、動かすことが出来るのは古い船乗りではなく新しい船乗りだ。なぜなら古い船乗りは新しい海の怖さを知っているから(意訳)――。1970年代にフォーク界の旗手として当時、若者に支持された吉田拓郎の「イメージの歌」の一節。大人世代に対する抵抗の叫びだった。
 ▼この曲を聴き拓郎に心酔、傾倒した若者も、今や第一線を退いた年齢に違いない。国内の基幹的農業従事者数(農水省調査)は65歳以上が60%。高齢化という構造的変化はないものの、新規就農や農業女子などの進出で40歳以下は昨年より1%増加した。今後、若手農家が漕ぎ出した農業には災害や価格低下などの遭遇も予想されるが、座礁せずに局面を乗り切ってほしい。
 ▼高齢農家でも新しい農業で頑張れる、そう教えてくれたのが数年前に出会った80歳手前の農家。県が開発した果樹仕立て新技術の実証試験を担っていた。「ご高齢なのに新技術は骨がおれませんか?」と言葉を掛けた。
 ▼「体がきついから新技術を導入して、ラクをする。当然なことだと君は思わないか?」。"目から鱗(うろこ)が落ちる"という言葉が、本当に存在することを初めて気づいた。翌週、現地に飛ぶと、地元で最高齢の担い手だった。
 ▼「息子が職場で定年を迎えて農地を引き継ぐまで、私は辞めない。それまでの中継ぎ役だからだ」。今も元気に農業に従事しているに違いない。年齢制限のある就農支援交付金に頼らずとも、高齢者により生かされている地域は多い。

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