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今週のヘッドライン: 2016年08月 2週号

北海道十勝地方の畑で生まれる国際交流 ―― 北海道・鹿追町 村瀬ファーム(1面)【2016年8月2週号】

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 北海道一の農業産出額を誇る十勝地方。1戸当たりの平均経営耕地面積が39ヘクタールに上る鹿追町で、畑作物を栽培する村瀬ファーム(村瀬裕志代表=60歳)は、ワーキング・ホリデーやインターシップの制度を活用して海外の若者を呼び込み、農作業を通した交流を深めている。未経験の研修生が農業に興味を持って帰国する姿を見て、村瀬代表は「鹿追町に定住する人や新規就農者が出てくれれば地域農業がもっと盛り上がるのでは」と夢を描く。農家民宿もオープンするなどさらに交流を深める基盤を作り、十勝農業の魅力を国外に発信している。

(1面)

〈写真:「まだ雑草が残っているよ」と指導をする村瀬代表(左)と驚く研修生〉

16年産米も過剰作付け解消の見込み 米価上昇の期待高まる(2面・総合)【2016年8月2週号】

 農林水産省は7月29日、主食用米の過剰作付けが2年連続で解消されるとの見通しを明らかにした。2016年産の作付面積は、生産数量目標の面積換算値(140万ヘクタール)を下回り、民間在庫量を適正水準に減らす自主的取組参考値(139万ヘクタール)まで減少する可能性があるという。生産数量目標の達成となれば、17年6月末の民間在庫量は前年同期比18万トン減の187万トンとなる見通しで、需給改善により米価上昇の期待も高まる。一方、外食・中食業界をはじめとする実需者側からは、米価が上昇した場合の米消費減退を危惧する声も広がる。また、需給安定の要である飼料用米の生産は国費負担が大きく、安定財源の確保と国民理解が課題となっている。米の需給状況を話し合った。

(2面・総合)

15年度食料自給率39% 6年連続の横ばい/米消費減も小麦増産(2面・総合)【2016年8月2週号】

 農林水産省は2日、2015年度のカロリー(供給熱量)ベースの食料自給率は39%で、6年連続で同率となったと公表した。米の消費が減少する一方、小麦とテンサイの国内生産量が増加したため、横ばいとなった。生産額ベースの自給率は14年度比2ポイント増の66%で、7年ぶりに増加した。野菜と畜産物の国内生産額が増えたため。

(2面・総合)

作付けから出荷までNOSAIがカバー(5面・NOSAI)【2016年8月2週号】

 米などの収穫を迎えるこれからの季節は、台風や大雨などによる自然災害も発生しやすく、収穫から出荷まで気が抜けない。NOSAI団体は、農家が納屋などに保管中の農産物を対象に、火災や水害による損害を補償する「収容農産物補償特約」を、建物総合共済の特約として新設。各県のNOSAIでも順次、引受けを開始している。対象となる農産物は、米・麦・大豆だ。保管中の農産物に特化した仕組みのため、手続きが簡単で共済掛金が低く抑えられている。作付けから収穫までは農作物共済や畑作物共済で、収穫後は収容農産物補償特約でと、作付けから出荷までの損害をカバーすることが可能になった。

(5面・NOSAI)

ヘチマ/寝具原材料用に栽培委託 ―― 滋賀県近江八幡市・株式会社ワタセ(8面・流通)【2016年8月2週号】

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 滋賀県近江八幡市安土町で寝具の販売などを手がける株式会社「ワタセ」は、丈夫で通気性のよいヘチマの特徴に着目。地域の農家に栽培を依頼したヘチマを加工し、枕やマットを開発した。ヘチマは水稲生産の合間に、手間をかけずに生産できる。全量をワタセが買い取る契約で、農家の収益向上や遊休農地の解消につながっている。

(8面・流通)

〈写真:貯蔵している乾燥ヘチマの前で話す辻社長(左)と辻康男さん〉

作業労力を軽減 製品化進むアシストスーツ(9面・営農技術)【2016年8月2週号】

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 着用により人間の体の動きを補助する「アシストスーツ」は、農作業での労働負担を軽減することから、高齢農家の営農継続や新規就農の促進に期待されている。同じ姿勢を長時間維持する果樹の棚下作業、収穫物や肥料といった重量物の持ち上げなどを支援する。現在、市販化も進むが、開発・改良段階。動力を使わずゴムの伸縮など簡易な仕組みで姿勢を支える非パワー型、空圧や動力を使うパワー型などがある。今後の普及を進めるには、作業との最適な組み合わせ、人体への安全性向上などが課題となる。

(9面・営農技術)

〈写真:和歌山大学が開発したロボット。手袋内のスイッチで補助機能が働く〉

11月末まで収穫可能 トマトのソバージュ栽培(9面・営農技術)【2016年8月2週号】

 明治大学農学部野菜園芸学研究室は3日、川崎市でトマトのソバージュ栽培(露地放任栽培)をテーマにしたセミナーを開き、ミニトマト「ロッソナポリタン」で慣行の主枝1本仕立てと比べた収量性や品質などを紹介した。

(9面・営農技術)

生果が魅力「あおもりカシス」【青森支局・2016年8月2週号】

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 【青森支局】「ほかにサプリメントがいらないくらい栄養豊富なカシスを、加工品だけでなく生果で食べてほしい」と話す、林健司さん(52)。青森市小館にある農場で、農林水産省の地理的表示保護制度(GI)に登録されている「あおもりカシス」の生産に励む。
 一粒一粒丁寧に手摘みされたカシスの実は、その8割が加工用として出荷される。「日本の消費者は酸っぱいベリーを生食するのに慣れていないので、ヨーロッパに出せば最高級品の手摘みカシスも、加工用になってしまうのはもったいない」と林さん。
 そのまま食べるカシスのおいしさをもっと多くの消費者に知ってもらおうと、はやし農園ではインターネットを通じた販売もしている。林さんは「冷凍果実は通年販売しているが、収穫の時期は限定発売のカシスの生果をぜひ味わってほしい」と話す。

〈写真上:収穫したカシスの選別に励む林さん〉
〈写真下:カシスがたわわに実る木〉

水稲直播「べんモリ」技術の習得へ【宮城支局・2016年8月2週号】

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 【宮城支局】水稲直播栽培に取り組む大崎市鹿島台の髙橋俊夫さん(65)は、種子コーティングの省力・低コストが評価される「べんがらモリブデン(べんモリ)」コーティング技術に注目し、「安定的に収量を確保できるよう、べんモリ技術を習得したい」と、県の指導のもと実証試験に取り組んでいる。
 べんがら(酸化鉄)と苗立ちを阻害する硫化物イオン生成を抑えるモリブデンなどの混合資材を使用する。出芽率が良い上、鉄コーティングのように被覆後に発熱しないことから放熱冷却作業が不要だ。髙橋さんは水稲9.9ヘクタールのうち1.6ヘクタールで鉄コーティングを取り入れる他、べんモリコーティングを60アール手掛けている。

〈写真:「べんモリは期待できる。技術を自分のものにしたい」とべんモリ栽培実証圃場で髙橋さん〉

イタリア野菜の彩り届けたい【千葉支局・2016年8月2週号】

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 【千葉支局】野菜売り場に彩りを――南房総市久枝で「大紺屋(おおごや)農園」を営む足達智子さん(39)は、2年前から40アールの畑で一年を通して70種類のイタリア野菜を栽培。夏季限定でタイ野菜も栽培している。
 「イタリア野菜は素材そのままで十分に味わい深く、どんな料理にも合い、カラフルで目でも楽しめます」と智子さん。レモンバジルやスイートバジルなどのハーブをはじめ、パープルコールラビや渦巻きビーツなど色鮮やかな野菜や形の変わった野菜を栽培する。種はイタリアから農薬を使わない物を仕入れたり自家採種したものを使用。「天候や害虫に悩まされ、安定して育てるのが大変」と話す。

〈写真上:紫のジャガイモ「デストロイヤー」を手に農園で智子さん〉
〈写真下:農園で収穫された色鮮やかな野菜〉

茶剪定用バリカン活用し大豆摘心【長崎支局・2016年8月2週号】

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 【長崎支局】波佐見町田ノ頭地区でこのほど、中古田植機の後方に茶剪定(せんてい)用バリカンを取り付けた機械を使って、大豆の摘心処理が行われた。機械を考案した農事組合法人たのかしらの代表・峯巖(いわお)さん(74)は「県の『儲(もう)かるながさき水田経営育成支援事業』の助成もあり、低コストで摘心作業ができました」と話す。
 草丈が約50センチの時に茎の先端から5~10センチ下を切断することで、分枝し莢(さや)が多くなり増収効果が見込まれる他、6月上旬の早播きであっても倒伏しにくいなどのメリットがある。

〈写真:田植機の後方に茶剪定用バリカンを装着した〉

廃ブドウ園利用し山陰でオリーブ【島根支局・2016年8月2週号】

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 【島根支局】廃園のブドウ園地を利用して、山陰では珍しいオリーブの栽培を行う出雲市神西沖町の糸賀友美さん(69)。栽培方法を模索しながら、生産に取り組んでいる。
葉や果実を食害するハマキムシなどに苦労したが、年間5~6回の防除と徹底した除草管理で病気もなく高品質栽培に成功。出荷先から高評価を受けた。
 収穫期は10月から11月。サクランボ大の大きさに実ったオリーブの実を傷付けないよう、一つ一つ丁寧に手摘みする。糸賀さんは、出雲産オリーブのさまざまな活用方法を模索しながら、「栽培面積を2ヘクタールぐらいに拡大し、加工もできれば」と意欲的だ。

〈写真:「今年も順調に生育しています」と糸賀さん〉

多くの生き物に囲まれて【高知支局・2016年8月2週号】

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 【高知支局】「動物が好きで飼い始めたら、いつの間にか増えていって、多くの種類がここにいます」と四万十町南川口で水稲90アールと林業を営む冨永全重さん(57)。30年前のキジ飼育をきっかけに、プレーリードッグ、ウサギ、アナグマなどの他、ピラニアなどの熱帯魚に鶏類と広がった。オナガドリやウズラチャボ、東天紅鶏(とうてんこう)など天然記念物を飼育するまでになり、各地で有精卵を手に入れては自宅で孵化(ふか)させている。
 自宅前に130平方メートルのケージをコツコツと自作中。「卵を採るため烏骨鶏(うこっけい)をメインに予定しているが、仕事が忙しくなったので年内には完成させたいねえ」と冨永さん。

〈写真:冨永さん。奥にいるのが烏骨鶏〉

防風林「段々畑修復からみる高齢化と農村整備の現状【2016年8月2週号】」

 ▼群馬県の山村、傾斜した段々畑の石垣補修作業に立ち会ったときがある。そこは、コンクリートブロックを使わず、小ぶりな自然石を積み上げる伝統的な野面積みだった。
 ▼大雨が降った後は、所々が崩れてしまうこともあり補修は大仕事だ。崩れた箇所が広範囲の場合は、業者を交え集落民総出で積み直す共同作業が欠かせないのだ。応援の学生も加わり作業を開始。自然石を積む経験のない人に、「石の鼻っ面を土側の斜面に対してこうやって」と説明するのだが、石に顔があるわけでなく石とにらめっこだ。
 ▼石垣の修復技術をもつ業者が少なくなり「何年続けられるか?」。それが住民らの悩みだった。先般の地震で崩壊した熊本城の石垣修復も、数十年が必要とされる。ドリルも重機もない時代に積んで築いた石垣を、超高層ビルさえ容易に建設できる技術をもってしても難しいのだ。
 ▼中国の四大奇書の一つ『水滸伝(すいこでん)』(北方版)にも、石垣造りの名手・陶宗旺(とうそうおう)が、梁山泊防御戦で敵に攻め込まれた窮地に、石垣を崩し撃退する場面がある。平和な時代ならば農地の基盤整備に力を注いでいたことだろう。
 ▼老朽化した用排水路や施設の更新・補修を望む声が大きい。旧政権で大幅削減された公共事業費のツケが、今の地域営農の停滞を招いている。整備計画から時を経て見積もり費用は大きく変化し、計画自体の見直しが迫られる地区も多い。仕切り直しする猶予はない。高齢化とともに共同作業も難しくなり、農村整備は急を要する。

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