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今週のヘッドライン: 2016年08月 3週号

守りつなげる 伝統野菜かぐらなんばん ―― 新潟県・長岡市山古志 青木幸七さん(1面)【2016年8月3週号】

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 「震災を経験して、地域や自分にとって伝統野菜がいかに大事だったかを感じた。守るという思いが農業を続ける力になっている」と、新潟県長岡市山古志の青木幸七さん(80)は話す。「山古志かぐらなんばん保存会」の会長を務め、同地区で昔から栽培されている伝統野菜を受け継ぐ。最大震度7を記録した新潟県中越地震から12年。「山古志かぐらなんばん」の生産・普及には、後継者不足など課題も多いが、定年退職者に声掛けし、会員を増やすなど被災地・山古志地区の再興を示す伝統の味を次世代につなげている。

(1面)

〈写真:今年の出来を確認する青木さん〉

【連載】持続可能な未来を目指すドイツ農業(1)(1面)【2016年8月3週号】

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 ドイツは、EUの農業生産額の13%を占め、農産物輸出額は世界第4位の農業大国だ。規模拡大や効率化を進める一方、近年「持続可能性(サステナビリティー)」に社会的な関心が高まっている。農家、農村が快適性に配慮した家畜の飼養管理(アニマルウェルフェア)や水源の保護、再生エネルギー――などに取り組み、収益を確保した上で、持続可能な農業を目指す。

(1面)

〈写真:ドイツ南部で乳牛40頭ほどを飼養するステファン・シェドラーさん(46)〉

TPP 米大統領候補が反対合戦で発効不透明(2面・総合)【2016年8月3週号】

 米国における環太平洋連携協定(TPP)批准の見通しが全く立たない状況となっている。11月の米大統領選を争う民主・共和両党の候補者がともにTPPに反対の姿勢を鮮明にしているためで、与党・民主党候補のクリントン前国務長官は11日の演説で改めて反対を強調。野党・共和党候補のトランプ氏に至っては、再三"脱退"を明言しており、オバマ大統領が目指す来年1月の退任までの議会承認も困難な情勢にある。安倍政権は9月にも招集される臨時国会でTPP承認・関連法案の成立に全力を挙げる方針を示し、TPP発効をにらんだ農業対策もまとめるとしている。ただ、米国の批准なしにTPPは発効しない。再交渉や協定失効の可能性すら浮上する中で、日本だけが承認手続きを急ぐ必要はない。

(2面・総合)

家庭でできる防災対策(3面・暮らし)【2016年8月3週号】

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 防災や災害についての認識向上などを目的とした防災週間が30日から始まり、各地で災害に関するイベントや訓練などが実施される。地震や風水害などの自然災害はいつ発生するかわからない。万が一のときに備え、日ごろから家庭内でも十分な対策をとっておきたい。地域や個人向けに防災対策のアドバイスを行う災害リスク評価研究所の松島康生代表に、家庭でできる防災対策について防災用品の選び方を中心に聞いた。

(3面・暮らし)

〈写真:災害リスク評価研究所代表 松島康生さん〉

ジャージー種の自家産乳でチーズ 15種を対面販売 ―― 岡山県・真庭市 (有)蒜山ラッテバンビーノ(8面・流通)【2016年8月3週号】

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 ジャージー牛94頭を飼養する岡山県真庭市蒜山富山根の有限会社蒜山ラッテバンビーノでは、ジャージー種の自家産生乳を使って15種類ほどのナチュラルチーズを製造。チーズ工房を訪れた人に試食を提供し、対面販売している。チモシー13ヘクタールを作付けて粗飼料はほぼ自給し、乳脂肪分が多い濃厚な風味が売りだ。週3~4日製造し、1日80リットルの生乳を利用する。乳タンパク質に重点を置いた牛群改良を進め、チーズの歩留まりは15%と高い。交流サイトなどで情報発信しファンを獲得、年間750万円を売り上げる。

(8面・流通)

〈写真:訪れた人には何種類もチーズを振る舞い、ジャージー独特の濃厚な風味を味わってもらう〉

ハウス水ナスの「つやなし果」 細霧冷房で抑制 ―― 大阪府・羽曳野市 環境農林水産総合研究所(9面・営農技術)【2016年8月3週号】

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 大阪府立環境農林水産総合研究所(大阪府羽曳野市)は、ハウス内で栽培する水ナスで、問題となっている高温障害「つやなし果」の発生を抑える技術を開発した。水を細かい霧状にして噴霧する細霧冷房システムを利用し、昼間のハウス内温度を下げることで、つやなし果の発生は1割程度抑えられた。今後、さらに効果的な運用方法を探り、農家所得の向上につなげたい考えだ。

(9面・営農技術)

〈写真:細霧冷房システムの水を通すパイプを指す鈴木真実研究員〉

安価な輸入肥料直送へ ―― JA全農が担い手向けに対策(2面・総合)【2016年8月3週号】

 JA全農は15日、生産資材価格引き下げ対策の一環として、担い手農家向けに安価な輸入化成肥料の本格的な取り扱いを始めると発表した。海外メーカーにコンテナ単位(20トン)で発注し、港湾から生産者に直接肥料を供給する仕組みで、国産の同成分品に比べ3~4割程度安い価格で提供する。まずは韓国産の1銘柄(チッ素15%、リン酸15%、カリ7%)を対象に実施し、他国製品にも拡大する方針だ。

(2面・総合)

西洋野菜のブランド化目指す【島根県・8月3週号】

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 【島根支局】西洋野菜の産地化を目指し、今年1月に設立された邑南町の「邑南町西洋野菜研究会」(和田英志会長=67歳、会員20人)。町内の農家や飲食店関係者から構成される同研究会は、邑南町産の西洋野菜のブランド化を目標に、なじみの薄い西洋野菜の栽培や普及に日々奮闘している。
 西洋野菜は会員がそれぞれの畑で栽培する。そのため、同研究会では栽培マニュアルの策定や定期的な栽培講習会の開催、料理方法の研修会など精力的に活動している。

〈写真:ひよこ豆(ガルバンゾー)を栽培する和田会長〉

避難先から牛舎へ通い愛情注ぐ【福島県・8月3週号】

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 【福島支局】「移動後は牛もなかなか落ち着かなくて、不安と心配が続きました」と話す、川俣町山木屋出身の菅野宗夫さん(72)と菅野眞一さん(61)は、避難先から牛舎まで片道約15キロの道のりを、毎朝毎晩1日2回通い、愛情いっぱいに飼育を続けている。
 「自宅近くに牛舎があれば牛の鳴き声で牛の状態はわかりますが、牛舎が遠いため不便です。分娩(ぶんべん)が近いと夜も心配で、夜通し看病したときもありました」と苦労している。
 共同飼育は現在、宗夫さんが12頭、眞一さんが7頭で、「離れての飼育は大変ですが、獣医師の親身な指導やアドバイスもあり、勇気づけられています」と、丹精込めて飼育している。

〈写真:牛に愛情を注ぐ眞一さん(左)と宗夫さん〉

ウグイスナス 口どけ、甘さが売り【香川県・8月3週号】

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 【香川支局】今年からウグイスナスの栽培を始めた高松市香南町由佐の黒川照雄さん(キク30アール、70歳)は、「皮は黄緑色で、食べると甘味があって口どけが柔らかなナスです」と話す。ビニールハウスの一角と露地、合わせて3アールで栽培している。
 「輪切りのナスステーキにすると柔らかくておいしいです。消費者の方にも味わってほしい」と黒川さんは話している。

〈写真:収穫したウグイスナスを手に黒川さん〉

ブルーベリーの栽培法を冊子化【富山県・8月3週号】

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 【富山支局】滑川市二塚地区でブルーベリーを栽培している桶川克己(おけがわかつみ)さん(69)が、長年の栽培経験をまとめた冊子を先ごろ作成した。冊子は希望者に印刷代だけで提供する。「書店に売っている本やインターネットの情報などでは分からない、富山での栽培方法などをまとめた」と話す。
 冊子には、ブルーベリーの品種や特徴、品種選びの重要性、栽培に当たっての注意点やアドバイスなど、桶川さんの約15年の歴史が凝縮され、経験者にしか分からない情報が多く掲載されている。「一番大事で難しい、苗木を枯らさない方法を参考にしてほしい」と話してくれた。

〈写真:ブルーベリーの栽培法を冊子化した桶川さん〉

「蒲池大水芋」/手間掛けた分 収穫に喜び【福岡県・8月3週号】

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 【福岡支局】「自分の背丈よりも大きな『蒲池大水芋』を作っています」と話す、柳川市蒲池の新谷盛繁さん(76)。柳川市では柔らかな土壌を生かして、伝統的に大きな水芋生産が続けられている。
 力作業が多く、水管理や施肥のタイミングが難しい。風に弱いため、ござを使って防風対策をするなど苦労も多いという。「ただ、苦労が多い分、大きさで返ってくるため収穫が楽しみになります」と新谷さんはやりがいを話す。

〈写真:水芋の圃場で新谷さん〉

ナシ 芳醇な風味のドライフルーツに【宮崎県・8月3週号】

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 【宮崎支局】小林市種子田地区で「柚木﨑ぶどう園」を経営する柚木﨑寛弥さん(25)。両親とブドウ1ヘクタールとナシ30アールを栽培する他、ナシを使ったドライフルーツ「おもて梨 うらも梨」の製造に力を入れている。
 柚木﨑さんは「ナシは水分が多く、乾燥の調整が難しい。乾燥の度合いによっては、仕上がりが大きく左右されてしまいます」と話す。乾燥前の下処理も長時間の作業となるため、どうしても生産数が限られてしまうという。

〈写真:自家産ナシのドライフルーツを手に柚木﨑さん〉

ブルーベリーの持ち味生かしてジャムに【大分県・8月3週号】

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 【大分支局】自家産ブルーベリーでジャムを作る玖珠町山浦の梅木良介さん(46)・真理さん(42)夫妻は、「やりがいを感じる。変わらない味を届けられるように、頑張っていきたい」と話す。多くの人に味わってもらいたいと、価格も最小限に維持している。
 加工は数年前から取り組み、開発したジャムは保存料などを加えず、グラニュー糖だけを独自の配合で加える。「果実そのものの味と食感があります。『とてもおいしかった』と電話や手紙がくることも」と真理さん。「これからも鮮度を重視して、ブルーベリー本来の味を出すことにこだわりたい」と意欲的だ。

〈写真:ブルーベリーのジャム〉

防風林「科学は時として破滅に導くことを伝承しなければ【2016年8月3週号】」

 ▼オリンピックの熱戦に湧く8月中旬、三十数年来の同窓生数人と神奈川県内にある出身大学のキャンパスで待ち合わせた。敷地には戦時中、旧陸軍研究所があり、秘密戦(防諜=ぼうちょう・諜報・調略など)兵器のほか風船爆弾や電波兵器などの研究開発を担った場所という。会合は終戦記念日を前に資料館を訪ねようとの趣向だ。
 ▼校内の兵舎に似た木造平屋建ての学生課事務棟と生物学実験棟は、戦時中に偽造紙幣の印刷所と保管庫に使われた。軍部は大量の偽造紙幣を特務機関を通じ中国に流通させ、経済的混乱を画策したが成果はなかった。記憶する2棟は老朽化で解体、研究施設が建ち当時の痕跡は少ない。
 ▼風船爆弾もここで開発された。女学生などを大量動員して和紙をこんにゃく糊(のり)で張り合わせた気球を製造、爆弾を吊(つ)って放球した。偏西風に流され太平洋を横断し、米大陸に約360発の着弾が確認されたというが、戦局を覆す力はあるはずもない。
 ▼獣疫ウイルスや対人用毒物も開発し、中国大陸で細菌部隊による非人道的な使用は伝え聞く話だ。戦争末期の疎開や敗戦後の証拠隠滅で膨大な研究資料は消失。跡地には大学が移転したが、学生は戦争に利用された科学の歴史を伝えられず卒業する。
 ▼2010年、大学は戦争遺跡として保存し資料館を開設した。時代や世相は異なるが、同じ敷地内で農学や理工学を学ぶ現在の若者たちに、「科学」は時にして破滅に導く危うさを併せ持つということを伝え続ける責務を負っている。

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