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今週のヘッドライン: 2016年11月 2週号

衆議院TPP特別委員会 承認案と関連法案を強行採決(1面)【2016年11月2週号】

 衆院の環太平洋連携協定(TPP)特別委員会は4日、TPPの承認案と関連法案を自民・公明両党と日本維新の会の賛成多数で可決した。山本有二農相が"強行採決"にかかる発言を「冗談」と述べたことに野党が強く反発する中で、塩谷立委員長が職権で委員会を開き、採決を強行した。今月8日の米大統領選挙までに、国内の承認手続きにめどを付けたい安倍政権の意向が強く働いた格好だ。ただ、一連の国会審議は、国民が求める熟議の実現には程遠い状況で進み、肝心の生産現場の不安払しょくは、なおざりにされている。

(1面)

育成地で守る水稲「かぐや姫」 冷害・震災を越えて ―― 宮城県東松島市・木村正明さん(1面)【2016年11月2週号】

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 平成5(1993)年の大冷害をきっかけに地元農家が育成した水稲品種「かぐや姫」を栽培し続けているのは、宮城県東松島市大塩の水稲農家、木村正明さん(40)だ。現在、県内ただ一人の生産者として3.5ヘクタールを作付ける。東日本大震災の津波により、作付面積の多くが被災。営農を続けるかどうかの判断が迫られる状況の中で、直接販売にかじを切り、同市(旧矢本町)発祥のかぐや姫を地域を代表するブランド米にしようと奮闘している。11月初旬に収穫時期を迎える極晩生の特徴を生かして「日本で最後に収穫する新米」をアピール。商談会などに参加し、販路拡大を目指す。大冷害と大震災という二つの天災を乗り越えて、品種が持つ可能性を信じながら営農に取り組んでいる。

(1面)

〈写真:「震災で職をなくした人は数えきれないほどいる。農業が続けられるだけでも幸せ者」と話す木村さん〉

農地中間管理機構の基盤整備 農家負担なしで実施へ(2面・総合)【2016年11月2週号】

 農林水産省は10月28日、自民党の農業基本政策検討プロジェクトチーム(PT、座長・宮腰光寛衆院議員)で土地改良制度の見直しに向けた論点整理案を示した。新たに農地中間管理機構(農地集積バンク、以下機構)が借りた農地は、農家の費用負担と同意なしでも、基盤整備事業を実施できる制度の創設を盛り込んだ。担い手への農地集積・集約化を加速化するのがねらい。農業生産力の維持・強化には、農地の大区画化や汎はん用よう化など地域の実情に応じた必要な基盤整備の適切な実施が欠かせない。機構を通じずに農地集積を進める地域への支援も含め、現場の実情に応じた制度の見直しが求められる。

(2面・総合)

JA全農 春肥価格1割下げ 原料下落と円高で(2面・総合)【2016年11月2週号】

 JA全農は10月28日、春肥料(2016年11月~17年5月適用)の主要品目価格を、10月までの秋肥価格対比でいずれも値下げすると発表した。代表的な複合肥料の一般高度化成(チッ素、リン、カリが各15%)は、県JA・経済連向け供給価格ベースで10.1%安とし、前年同期比では19.5%引き下げる。輸入原料価格の大幅下落や円高傾向などを反映した。

(2面・総合)

リンゴ約10種を対面販売 顔を合わせて築く信頼 ―― 栃木県矢坂市・加藤農園(8面・流通)【2016年11月2週号】

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 「サンふじ」を主力に「陽光」など年間約10品種のリンゴを約4ヘクタールで生産する、栃木県矢板市長井の加藤農園(代表=加藤博樹さん、41歳)では、父親の代から続く消費者との対面販売を継続、直営する販売所とリンゴ狩りを合わせて収穫量の約7割を生果で売り切る。残りはジャムやコンポート、リンゴバターなどの加工品にして、売り損じをなくす。顧客は昔からのなじみ客や旅行会社のツアー客など幅広く、自社ホームページを活用した通信販売も手掛け、生果・加工品ともに全国発送に対応する。

(8面・流通)
〈写真:「対面販売もリンゴ狩りも、お客さんの生の声を聞けることが刺激になっている」と管理に励む加藤さん〉

大豆 麦後圃場を集積 排水対策徹底し反収238キロ、上位等級比率83% ―― 滋賀県近江市・菊井寛さん(9面・営農技術)【2016年11月2週号】

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 「大豆は良品を多く作れば収益が見込める。経営の主力だ」と、滋賀県東近江市建部上中町の菊井寛さん(69)は強調する。麦作後の圃場を集積し、大豆「エンレイ」「ことゆたか」「タマホマレ」計19ヘクタールを栽培する。排水が悪い圃場では弾丸暗渠(あんきょ)の間隔を狭め、狭畦(きょうけい)密植栽培で苗立ち数を確保しつつ、中耕・培土を省く。生育が良い圃場は、開花期前に摘芯して倒伏を防ぐ。分枝の生育を旺盛にして1株当たりの着莢(ちゃっきょう)数を増やす狙いもある。大面積をこなしながらも圃場ごとの丁寧な管理で、10アール当たり収量238キロ(県平均150キロ)、上位等級比率83%を達成する。

(9面・営農技術)

〈写真:大豆に害虫が付いていないか確認する菊井さん。今年はハスモンヨトウが多発したという〉

NOSAI部長/農家と組合のパイプ役 地域の実情に詳しく最適な加入方式を提案(5面・NOSAI)【2016年11月2週号】

 「NOSAI部長」は、共済部長や共済連絡員など、地域によって呼び名はさまざまだが、地域の事情に精通し、制度にも詳しい農家で、NOSAIの"顔"として地域で活動する。加入申込書や広報紙の配布などを最前線で担う。損害評価員は災害の発生圃場に出向き、現地調査を行う。共済金支払いの基となる重要な手続きだ。NOSAI全国(全国農業共済協会、髙橋博会長)はこのほど、NOSAI部長や損害評価員など基礎組織の現状を把握する調査を実施。2016年度のNOSAI部長は全国に17万3795人となった。NOSAI制度と地域の農業を支える基礎組織構成員について、共子さんが済太郎くんに聞いた。

(5面・NOSAI)

ミニチュア柿――祖父の思い継承【新潟県・11月2週号】

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 【新潟支局】「赤泊地区で栽培されている、かわいらしい小さなおけさ柿をもっと多くの人に知ってもらいたいです」と話す佐渡市赤泊の近藤恭章(たかゆき)さん(40)。祖父が偶然発見したミニチュア柿「ベビーパーシモン」を受け継ぎ、家族4人で大切に栽培している。
 ベビーパーシモンは直径3センチほどの見た目がかわいらしいおけさ柿だ。糖度は20度以上。外皮が薄く、種が無い。佐渡の赤泊が原産地で、発見したのは近藤さんの祖父、保さんだ。

〈写真上:「ベビーパーシモン」を収穫する近藤さん〉
〈写真下:「ベビーパーシモン」(右)。通常のおけさ柿の約6分の1の大きさ〉

イチゴ 独自のネーミングで差別化【静岡県・11月2週号】

161109-05a.jpg 【静岡支局】家業だった茶農家からイチゴ農家に転身し、地元商工会や生産支援事業などの協力で出荷量を50倍にアップさせた、牧之原市静波でイチゴをハウス栽培している石神誠さん(37)。念願だった直売所「イチゴイチエ石神農園」を3年前にオープンし、「恋い味、紅ほっぺ。静波レッド」の名で販売を始めた。
 「自分のイチゴは自分で売りたいという気持ちがあったので、量よりも質にこだわりをもって栽培に取り組んだ」と石神さんは話す。

〈写真:収穫した静波レッドを手にする石神さん〉

バナナを通年で栽培【千葉県・11月2週号】

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 【千葉支局】睦沢町川島の「農園工房ふたば」(農園責任者=鎌田弘司さん・54歳)では、この地域では珍しいバナナの栽培に取り組み、年間を通して提供。併設している直売所で販売する他、カフェでも提供している。
 2連棟のハウス7アールで80株ほどを栽培。3.5メートルほどの高さの台湾バナナと三尺バナナで、1株で2~13段のバナナを結実させる。1株から年2回収穫できるように栽培のサイクルを調整。通年販売を可能にした。

〈写真:「今も試行錯誤しながら栽培しています」と栽培担当の御園孝さん(59)〉

縄文の里をベリーの園に【青森県・11月2週号】

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 【青森支局】青森市三内でブラックベリー、ラズベリー、ボイズンベリーを農薬を使わずに栽培する「株式会社天の川」代表取締役の樋口和美さん(65)。「三内丸山遺跡があり、縄文の里とも呼ばれる三内に、ベリーランドをつくりたい」と意気込む。
 ブラックベリーは16年4.7トン、17年は6~7トンの収穫見込みという。樋口さんは「13年のブラックベリーの全国1位の産地は滋賀県で収穫量は4.1トン。天の川一社でその収穫量を超えた」と自信を見せる。

〈写真:「人と違うことをやってみるという姿勢が大事」と樋口さん〉

伝統野菜「雲仙こぶ高菜」の魅力発信【長崎県・11月2週号】

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 【長崎支局】雲仙市吾妻町の農事組合法人守山女性部加工組合で代表理事を務める馬場節枝さん(66)は、2003年に結成した「雲仙こぶ高菜再生プロジェクトチーム」の中心となり、生産、加工、販売を行っている。
 地域の伝統野菜、雲仙こぶ高菜は10戸の農家が農薬を使わずに栽培している。組合では、雲仙こぶ高菜を使ったまんじゅうやかりんとうなどを販売する。

〈写真:「もっといろんな料理にタカナを取り入れて」とプロジェクト代表の馬場さん〉

青パパイア 初収穫に手応え【山口県・11月2週号】

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 【山口支局】下松市でトマトやホウレンソウなどをハウス栽培(12棟・25アール)する河村和彦さん(65)、真弓さん(59)夫妻が、今年4月からパパイアの未熟果「青パパイア」の栽培に挑戦。8月下旬ごろから実がなり、初収穫を迎えた。「約20センチの苗がみるみるうちに約3メートルの天井付近にまで成長、白い花が咲き実になり収穫できました」と和彦さん。自家消費のほかJA直売所などで販売した。

〈写真:「下松を青パパイアの産地に」と河村さん夫妻〉

防風林「野菜の高騰、生消との情報交流が大切に【2016年11月2週号】」

 ▼秋冬野菜の小売価格が高騰し、消費者は鍋ものシーズンなのに、買い控えや低価格の代替野菜でしのいでいるという。夏から続いた天候不順が、産地の播種や生育に大きく影響した。
 ▼近隣の量販店に足を向けるとキャベツ1玉350円、大根1本258円、長ネギ1束198円。消費者には確かに厳しい。テレビの街頭インタビューでは「夕食の献立に困る」との声に納得もするが、何回も列島を襲った台風に被災した農家へのいたわりの声はあまり聞かれないのだ。
 ▼高単価でも生産量が減少し規格外が多くなれば、農家収入の目減りは当然の理(ことわり)。だが中には、「農家が過剰に儲(もう)けているのでは」と誤解する消費者が少なからず存在するのも事実。生産者と消費者の間には卸や小売り業者が存在し、埋めつくせない距離感が現場の状況を伝えられない。
 ▼過去10年間に発生した自然災害をさかのぼると、「東北大雨」(2007年)、「東日本大震災」(11年)、「新潟・福島豪雨」(同年)、「関東甲信豪雪」(14年)など多々あり、「観測史上」の記録が幾度も塗り替えるまさに異常な気象。だが、江戸中期には数年続いた冷害が餓死者をだす「天明の飢饉(ききん)」を引き起こし、何も天変地異は近年のことだけではない。
 ▼農家経営を脅かすのは自然災害のほかに、産地間競争による価格低下や、企業撤退など地方消費地の購買力低下といった要因も考えられる。農家の収入安定に向けた対策とともに、生産現場の現状を正確に消費者へ情報提供する機能も重要だといえるだろう。

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