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今週のヘッドライン: 2016年11月 3週号

浮遊するTPP/承認案 衆院通過も米国の姿勢は混迷 国民理解 不十分なまま(1面)【2016年11月3週号】

 環太平洋連携協定(TPP)承認案と関連法案は10日の衆院本会議で、自民・公明両党と日本維新の会の賛成多数で可決され、衆院を通過した。審議の継続を求めていた民進、自由、社民の野党3党は採決前に退席したが、「数の力」で押し切った。政府・与党は今国会の会期延長も視野に、国内手続き完了に万全を期す方針だ。ただ、山本有二農相の相次ぐ不適切な発言などを受け、衆院の審議は、国民が求める熟議には程遠いまま終わり、TPPに対する農家の不安・懸念は払しょくされていない。なにより、TPP脱退を明言するドナルド・トランプ氏が米大統領選挙に勝利し、早期発効は困難との観測が強まる中で、批准にまい進する政府・与党の対応に生産現場などでは疑問・不信が広がっている。

(1面)

中山間地農業を元気に 自民党が政策提言策定へ/高齢化・担い手不足への対応急務(2面・総合)【2016年11月3週号】

 自民党は10日、新設した中山間地農業を元気にする委員会(委員長=宮下一郎衆院議員)の初会合を開き、中山間地域の集落コミュニティーを維持し、多様な農業経営を育成する政策の充実・強化に向けた検討を開始した。12月上旬にも政策提言をまとめ、来年度予算案などへの反映を目指す。中山間地域農業は日本の耕地面積の4割を占め、食料の安定供給はもとより、多面的機能の維持・発揮に重要な役割を担っている。一方、深刻化する高齢化や担い手不足への対応は待ったなしの状況だ。厳しい生産条件下でも営農を継続し、地域を支えている多様な農家が展望を持てる施策の確立が求められる。

(2面・総合)

農業女子プロジェクト 情報共有を深化/第4期へ取り組み方針(2面・総合)【2016年11月3週号】

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 農林水産省は4日、5回目となる農業女子プロジェクトの推進会議を東京都内で開催し、メンバー8人と新規参画を含む企業30社などが出席。第4期に向けた取り組み方針「つながりと新たなチャレンジへのステージへ」を発表した。

(2面・総合)

〈写真:マルシェで試食を勧める、かきぶち農園の垣淵浩子さん(左)〉

自家農産物のスムージー 車で移動販売/手から手へおいしさを届ける ―― 福井県あわら市・藤井和代さん(3面・暮らし)【2016年11月3週号】

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 「飲んだ瞬間に、おいしいと言ってもらうのがなによりのやりがいです」と話す藤井和代さん(51)。福井県あわら市北潟で「カメハメハ大農場」を営む夫の勇さん(53)が生産するスイカやメロン、トマトなどで作った「スムージー」の移動販売を手がける。土日祝日に県内のイベント会場や直売所に移動販売車で向かい、1日平均150人ほどが利用する。素材そのものの味が楽しめると好評で「追っかけ」をするファンもいる。

(3面・暮らし)

〈写真:移動販売車の出店情報をチェックして会場を訪れるなじみ客もいる〉

ソバージュ栽培の省力・多収性を生かす/トマト3種 用途別に販路 ―― 兵庫県篠山市・鎌塚忠義さん(8面・流通)【2016年11月3週号】

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生食用 県内スーパーで販売
加工調理用 イタリア料理店へ
包装を工夫し売り上げ増

 露地野菜1ヘクタールを栽培する兵庫県篠山市野中の鎌塚忠義さん(32)は、管理が省力化でき多収も見込めるトマトのソバージュ(露地放任)栽培に注目。3品種約200株を手掛け、生食用はスーパー内の産直売り場で消費者に販売、また加熱調理用はイタリア料理店に卸すなど、両面対応の出荷形態を実践する。直販の包装資材は、OPP袋をやめてケースに詰めることで、見た目の良さと持ち運びやすさを消費者に訴求する。今年8月から週1回、対面販売も始めた。地元客のほか、単価が高い10月は観光客にも売り込みたい考えだ。Iターンで新規就農して4年、営農が軌道に乗り始めている。

(8面・流通)

〈写真:ロッソナポリタンをソバージュ栽培する鎌塚さん。栽培3年目だが、管理方法は試行錯誤の段階だ〉

圃場間の用水路上に簡易な橋 作業時間を大幅短縮/すれ違い時の待避場にも ―― 石川県七尾市・農事組合法人なたうち(9面・営農技術)【2016年11月3週号】

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 中山間地の水田を多く抱える石川県七尾市中島町の農事組合法人なたうちは、圃場間を遮る用水路上に簡易な橋状の通路「水路横断」を設置し、移動を含めた収穫時間を4分の1に短縮するなど作業を改善している。同県では、県農林総合研究センターが考案した、傾斜地など大区画化が難しい圃場でも取り組める簡易な農地改良の普及を進める。条件不利地でも水田管理の集約を進め効率化が求められる中、規模要件などを理由に基盤整備に踏み込めない課題に対応する。

(9面・営農技術)

〈写真:用水路に密着しない高さに設け、負担がかからないようにしている。「狭い農道でも、農機がすれ違いできれば作業しやすい」と村田代表〉

酪農 従業員の働きやすさを重視【香川県・11月3週号】

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 【香川支局】勤務に2交代制を導入したり、研修として1週間アメリカに留学させたり、働く環境づくりに力を入れるまんのう町の「有限会社森末牧場」(森末雅美代表取締役)。従業員が働きたい、働きやすい環境を整備しながら、牧場規模を順調に拡大している。

〈写真:「畜産に対する理解度を高め、地域に必要とされる会社にしたい」と森末代表取締役〉

自作のくくりわなでイノシシ駆除【高知県・11月3週号】

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 【高知支局】佐川町で水稲60アールを栽培する西田豪夫(ひでお)さん(73)。定年退職後、10年前に趣味と実益を兼ねてわな猟免許を取得し、地元のイノシシ駆除に取り組んでいる。

〈写真:自作のわなを前に西田さん「年間30頭から40頭捕獲する」と話す〉

雪下ろし不要のリンゴ栽培【山形県・11月3週号】

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 【大分支局】「『朝日ロンバス方式』を取り入れた園地は、冬に雪下ろしする必要がなく、作業も楽」と話すのは、朝日町玉ノ井のリンゴ農家、志藤清市郎(しとうせいいちろう)さん(60)。朝日ロンバス方式とは、枝吊(つ)り器具を使った半矮化(はんわいか)栽培で、雪害対策や作業の効率化に高い効果を上げている。

〈写真:間隔が広く、障害物がないため作業性に優れる〉

自家産芋でこんにゃく 香り、味に自信【大分県・11月3週号】

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 【山形支局】耕作放棄地を利用してコンニャク芋栽培を始めた由布市湯布院町の江藤国子さん(43)は、こんにゃく製造を手掛け、地区内の旅館などに販売している。 「芋の分量を多くしています。香りが良く弾力があり、食べ応えがあると評価を受けています」と国子さんは笑顔で話す。

〈写真:芋とこんにゃくを手に国子さん〉

廃校で食用花の水耕栽培に挑戦【新潟県・11月3週号】

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 【新潟支局】廃校となった小学校の給食室を改装し、食用花「エディブルフラワー」を育てる工場として稼働させた阿賀野市境新の株式会社脇坂園芸。養液と発光ダイオード(LED)の光だけで花を育てるための試験栽培に取り組んでいて、今後、本格的に始動する。

〈写真:廃校を改装し、水耕栽培の試験中〉

温泉水を引き込みハウスで葉物野菜【青森県・11月3週号】

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 【青森支局】十和田市米田地区で「川田農園」を営む農園長の川田正人さん(44)、聖子(きよこ)さん(49)夫妻は、ハウス5棟に温泉水を通水するポリエチレンパイプを引き込み、コマツナ11.2アール、山東菜3.8アールの通年栽培に取り組んでいる。

〈写真:ハウスで川田さん夫妻〉

サトイモのコロッケを地域の名産に【富山県・11月3週号】

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 【富山支局】立山町下段地区の農事組合法人いこいの杜は、同町内で栽培したサトイモを使ったコロッケ「立山コロッケ」の製造・卸を行っている。今年4月から販売が始まり、同町の新しい名物として地域の活性化に貢献している。

〈写真:サトイモを使った「立山コロッケ」〉

防風林「経済優先の幸福が、真の国益につながるのか【2016年11月3週号】」

 ▼世界で最も清貧な大統領として有名なウルグアイのホセ・ムヒカ元大統領。公邸ではなく田舎の農場に国民より低い収入で生活する。「発展は人類に幸福をもたらすものでなければならない。愛情や人間関係、子供、そして必要最小限のものをもたらすべき」。この言葉は世界中に共感を呼んだ。
 ▼誹謗(ひぼう)・中傷合戦の末、米国大統領にドナルド・トランプ氏が選ばれた。他国では、内部情報を友人に漏らし便宜を図ったとして糾弾される大統領がいて、国民の窮乏を顧みず核実験やミサイルを乱射する首領もいる。国家権力者は多種多様なのだとムヒカ氏をみて思う。
 ▼米国は新大統領就任後にTPP(環太平洋連携協定)からの離脱が濃厚だという。そんな渦中、衆議院特別委と本会議では議論なき強行採決。TPP発効は暗雲漂う様相だが、国会承認を採択する以上、将来の農業や子息に経営移譲していいものか?との不安を抱く農家が納得する議論を行うのが、国民への義務だろう。
 ▼国際協調を乱し人種による国民の分断を予見させる権力者に国民の安寧は遠い。一方、食料供給や経済に直結する決定を、安易に押し通す国会や首相を戴(いただ)くわが国民も同じ。再考の府・参院での審議に注目したい。
 ▼日本や他の諸国は、ムヒカ氏の「幸福をもたらすもの」の意味を胸に手をあて考え直すべきだ。自国の農業生産や農山漁村の衰退と引き換えに経済最優先で勝ち得た幸福が、真の国益につながるか否か?を。

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