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今週のヘッドライン: 2017年09月 2週号

九州北部豪雨から2カ月 復旧にまず一歩 ―― 福岡県・朝倉市(1面)【2017年9月2週号】

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 福岡県と大分県で記録的な大雨に見舞われた九州北部豪雨から2カ月、甚大な被害を受けた福岡県朝倉市と東峰村などでは、行方不明者の捜索や道路の復旧工事などが続く。多量の土砂や流木が田畑や果樹園地に堆積した結果、NOSAI筑後川流域(筑後川流域農業共済組合)では、水稲共済で収穫皆無の申告があった約187ヘクタールに対し、共済金の仮渡しを8月31日から始めている。被災農家は、早期の営農再開を目指しているが、管内では多くの農地が被災し、復旧のめどは立っていない。規模縮小を余儀なくされ、営農継続へ苦境に陥っている。

(1面)

〈写真:ナシの交配樹を前に渕上さん。大規模な土石流で園地は流失し、見る影もない〉

多面的機能支払で中間年評価 組織・面積とも拡大(2面・総合)【2017年9月2週号】

 農林水産省はこのほど、多面的機能支払交付金の中間年評価をまとめた。活動組織数・面積ともに増加傾向にあり、共同活動による地域資源の保全管理活動は着実に拡大していると強調。さらに活動には全国で農業者と非農業者を合わせて約212万人が参画し、地域コミュニティーの強化などにも貢献していると評価した。一方、課題には「過疎化・高齢化に伴う活動の継続の困難化」や「リーダーの不足」を挙げ、多様な主体の参画や活動組織の広域化などによる持続可能な体制づくりの必要性を提起した。農地や水路などの適切な維持・管理は農業生産の持続可能性の前提となる。国土保全や水源かん養などの多面的機能を次世代につないでいくためにも、地域の主体的な活動を国全体で全力に後押しする必要がある。

(2面・総合)

テンサイシストセンチュウ初確認 拡大防止や根絶へ万全に(2面・総合)【2017年9月2週号】

 農林水産省は7日、国内で初めて確認された野菜の重要害虫「テンサイシストセンチュウ」について有識者を交えた第1回対策検討会議を開いた。まん延すれば、アブラナ科野菜などへの被害だけでなく、輸出制限など貿易の障壁にもなりえることから、拡大防止や根絶へ万全の対応が求められている。
 欧州や米国、韓国など広く分布する線虫で、アブラナ科のほかテンサイ、ルバーブなどを加害する。土壌を介して広がり、黄化症状やひげ根の異常増殖などを引き起こして減収や枯死する場合もある。なお、人畜には無害で、線虫が付着した作物を食べても健康に影響はない。

(2面・総合)

農業災害補償制度70周年 全国展開する各種記念事業(5面・NOSAI)【2017年9月2週号】

 農業災害補償法が1947年(昭和22年)12月に施行されて、今年で70周年を迎える。NOSAI全国(全国農業共済協会、髙橋博会長)では、NOSAIがこれまで果たしてきた役割やセーフティーネットとしての重要性をあらためて確認するとともに、農家・地域住民との結びつきを強め、より農家の経営安定に資するよう各種記念事業を実施、予定している。「農業災害補償制度70周年記念大会」を開くほか「ふるさと見守り活動」などがあり、都道府県のNOSAIでも独自の記念事業を計画している。NOSAI全国が企画するメニュー内容を紹介する。
 NOSAI団体のマスコット「ノーサイくん」は、地域や企業のキャラクター日本一を決める「ゆるキャラグランプリ(R)2017」にエントリー。「企業・その他ゆるキャラ部門」に初参加し、多くの方の投票を呼び掛けている。
 同グランプリのインターネット公式サイトにアクセスし、IDを取得すれば1日1回投票ができる。スマートフォンなどでQRコードを読み取り投票することも可能だ。ノーサイくんは農業祭など各種イベントなどに参加して子どもたちに大人気。制度の役割や重要性をPRするとともに、全国各地で投票を呼び掛ける活動を行っている。

(5面・NOSAI)

ハウスキュウリ 効率的な施肥を探求 ―― 埼玉県加須市・清水文章さん(9面・営農技術)【2017年9月2週号】

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 施設キュウリ20アールで、年4回の土壌診断や自らが行う分析など、データに基づいて効率的な施肥を実践する埼玉県加須市上種足の清水文章さん(35)。「適正な施肥は安定経営に直結する。データから自分で判断することを大切にしている」と話す。各肥料成分の蓄積量などを計算し、必要な成分だけを単肥などで補う。リン酸過剰だったハウスでは大幅な減肥で、収量を維持しながら1作で肥料代を10アール当たり1万7千円削減した。さらに、収量安定のために、定期的にキュウリの葉柄を採取してチッ素吸収量の変化を測定する「栄養分析」も行い、追肥の時期などを調整している。

(9面・営農技術)

〈写真:チッ素吸収量の測定を実演する清水さん〉

農林水産関係予算概算要求での研究分野 現場重視の技術開発に対応(9面・営農技術)【2017年9月2週号】

 農林水産省が8月31日に正式決定した2018年度農林水産関係予算概算要求の研究分野では、政府・与党の「農業競争力強化プログラム」を踏まえ、農家からの要望を把握した技術開発や、ICT(情報通信技術)・AI(人工知能)など先端技術の現場への応用・展開に重点を置いた予算を盛り込んだ。
 農林水産技術会議事務局では、目標を明確にした研究や現場での応用・展開を促進する「戦略的な技術開発の推進」に125億2300万円を計上。現場で要望を把握し、農家・企業・大学などの連携を促す「現場ニーズ対応型技術開発」は、傾斜地向けの農薬自動散布機の開発や、ジビエ(野生鳥獣肉)活用のための効率的な運搬方法なども想定する。
 さらに、新規の「高度先端型技術実装促進事業」(1億円)では、ICTやAIなどの活用促進に向け、オランダを参考に、民間企業などが研究機関と連携・協力する方式を検討・実証する。専門知識を持つ民間事業者による技術のコスト分析や市場調査などで事業化を促進。講演や実演会などを通じて生産現場への普及を図る。
 そのほか、生産局の「生産体制・技術確立支援事業」(2億1千万円)では従来からの労働力確保などに加え、ICT導入について性能などを比較・検討できるウェブサイトを構築する。資材価格や流通の実態などを調査する「農業競争力強化プログラムの着実な実施に向けた調査」には2億円を計上した。

(9面・営農技術)

台風でハウスが浸水被害 花苗を掘り起こし再起【岩手県・9月2週号】

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 【岩手支局】昨年8月30日に岩手県を襲った台風10号災害から1年。河川が氾濫し、宮古市老木の関川政俊さん(52)が栽培する切り花などが、流れ込んだ泥水ですべて倒された。再開を目指し、花苗を掘り起こして再利用するなど早急な対処を心掛け、被災から約半年後、無事に再出荷を迎えることができた。

〈写真:トルコギキョウの出荷準備を進める関川さん〉

復興進めるエゴマ栽培 郡山女子大学が葛尾村と協定【福島県・9月2週号】

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 【福島支局】郡山女子大学は、原発事故による帰還困難区域以外の避難指示が解除された葛尾村と包括連携協定を締結し、同村上野川地区でエゴマ栽培を開始した。村と村民、同大学が一体となって復興への歩みを加速させることを目指し、共同で定住化対策や地域活性化のための活動を進めている。

〈写真:草むしりに励む学生たち〉

ドローンで水稲の薬剤散布 30アール圃場は5~6分で終了【石川県・9月2週号】

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 【石川支局】小型無人航空機「ドローン」の農業分野での活用が進んでいる。本年産水稲からドローンでの薬剤散布に取り組む宝達志水町吉野屋の大橋俊治さん(73)は、「体力的に負担が減り、時間的にも効率の良い防除ができる」と利点を話す。30アール圃場での作業は5~6分で終了するという。

〈写真:天候や風向きなどに注意して薬剤を散布〉

獣医師資格を生かし和牛繁殖農家に転身【神奈川県・9月2週号】

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 【神奈川支局】夫妻で獣医師の資格があり、製薬会社で働いていた経歴を持つ久世洋司さん(40)と詩子さん(41)。平塚市に「合同会社湘南B&V」を立ち上げ、2017年7月から約5アールの牛舎で繁殖和牛12頭と和牛子牛2頭を飼養している。

〈写真:久世さんの家族は休みの日にはそろって牛舎に来る〉

休耕地に地被植物 景観づくりに一役【兵庫県・9月2週号】

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 【兵庫支局】水稲約70アール、タマネギ約80アールを栽培し、プロの陶芸家としても活動する南あわじ市の前田幸一さん(46)は、2015年から土壌保全などの目的で、休耕地にダイカンドラと呼ばれるグラウンドカバーを播いている。ダイカンドラは背丈があまり伸びず、すき込みしやすいうえ、雑草に対しても強いという。

〈写真:草刈機と前田さん〉


「ジビエカー」を導入 素早い処理で品質確保【高知県・9月2週号】

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 【高知支局】鳥獣害対策で捕獲されたイノシシやシカを現地で解体処理できる車「ジビエカー」が7月、梼原町に導入された。地域住民で結成した集落活動センター「ゆすはら西」では、ジビエ班を設置し、捕獲連絡を受けたら町内どこへでも駆け付ける。捕獲獣の解体に時間をかけると鮮度が落ちてしまうが、捕獲場所の近くで処理ができるジビエカーは、高品質な食肉の確保に有効だ。

〈写真:導入されたジビエカー〉

防風林「兵法書『孫子』が子ども社会に必要なわけは?【2017年9月2週号】」

 ▼兵法書『孫子』がにわかにブームだそうだ。ビジネスを兵法の手法になぞらえるのは理解できそうだが、漫画版も出版され子供社会も計略が必要なご時世なのだろうか。
 ▼この兵法、紀元前500年頃の中国春秋時代の呉国・孫武が作者とされる(子孫にあたる孫臏〈そんぴん〉との学説も)。ざっくりと「五事七計」で構成され、事は道・天・地・将・法の五つで、自然や組織、人などの要素を基本とする。計は味方や敵を含めた状態を七項目に分けて冷静に分析して、後は、兵の勢いが大切だとする。
 ▼戦いは敵を打ち負かすことが常だが、孫子は「戦わずいかに損失なく勝つか」が上策で、これは経済学に通じる。嘘の情報を流し戦場をかく乱したり、調略で敵同士を反目させて力を削ぐ場面は、『三国志演義』や日本の歴史小説にも再三登場する。
 ▼一方の子供社会では、校内暴力で荒れた昔と異なり、今は陰湿なイジメが横行するという。今年も夏休み後半から新学期にかけて小・中学生の自殺報道が続いた。教師を含む子供社会のゆがみは、大人社会にも匹敵する厳しさがあるのかもしれない。
 ▼暴力や誹謗(ひぼう)・中傷などに対し正攻法で解決しようにも難しい時があり、戦わずにイジメっ子を悔い改めさせる戦法があればと考える。学校や組織を一先(ひとま)ず離れることで開ける未来もある。足利尊氏など多くの覇者も大敗を喫した後に再起した。大人も同じ。五事七計が整うまで自分磨きの期間があっていい。


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