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今週のヘッドライン: 2017年11月 2週号

棚田 都市住民と守る ―― 岐阜県恵那市・NPO法人恵那市坂折棚田保存会(1面)【2017年11月2週号】

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 約400年にわたって永らえられてきた岐阜県恵那市の「坂折棚田」では、法面(のりめん)に石を積む「石積みの棚田」保全のために都市部から人を呼び込み維持につなげている。管理を担うNPO法人恵那市坂折棚田保存会(田口譲理事長=83歳、地域住民を含む正会員約40人・賛助会員約90人)が「坂折棚田石積み塾」と銘打ちイベント化。今年で12回目を迎える。経験豊富な地元農家らが指導役となり、先頭に立って補修に携わる。「重要なのは、多くの人に関心を持ち続けてもらうこと。できることは何でもやって、古里の存続に力を尽くしたい」と田口理事長は話す。

(1面)

〈写真:「石積みの間隔が空き、崩落する危険がある」と今年の補修対象箇所を指す鈴村直さん〉

台風22号 列島に追い打ち(1面)【2017年11月2週号】

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 台風21号による被害の爪痕が残る日本列島に、追い打ちを掛けるように発生した台風22号は、10月28~29日にかけ、沖縄県を暴風域に巻き込みながら南の海上を北東に進み、30日に南三陸沖で温帯低気圧に変わった。
 台風によって停滞していた秋雨前線が押し上げられた影響で、九州から関東の太平洋側で暴風雨となった。温帯低気圧後も発達し、北日本では強風が吹き荒れた。

(1面)

〈写真:台風22号によって雨水などが流れ込んだハウス(宮崎県串間市、10月29日撮影)〉

TPP11首脳会合開催へ 大筋合意の可能性高まる(2面・総合)【2017年11月2週号】

 米国を除く環太平洋連携協定(TPP)参加11カ国は10日、ベトナム・ダナンでTPP首脳会合を開く。交渉を主導する日本は、直前の閣僚会合で11カ国による新たな協定の発効に道筋を付け、首脳会合での大筋合意を目指す方針だ。新たな協定づくりは12カ国で署名した協定内容を維持しつつ、米国の離脱を受けて一部の項目を凍結させる形で交渉が進んでおり、すでに「相当程度進展」している模様。ただ、焦点の日本の農産物関税の扱いなどについて政府から詳細な説明はなく、米国の動向なども不透明な中、生産現場では不安・懸念が広がっている。政府は合意最優先ではなく、国内農業を守る観点からの慎重な対応が求められる。

(2面・総合)

2017年産米 作況指数100で前回同様も収穫量は4000トン減に(2面・総合)【2017年11月2週号】

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 農林水産省は10月31日、2017年産米の全国の作況指数(10月15日現在)は前回(9月15日現在)と同じ100の「平年並み」と発表した。ただ、都道府県別では、9月中旬に上陸した台風18号や天候不順などの影響から16都県で下方修正されたことから、全国の主食用米の予想収穫量は前回比4千トン減の730万9千トンとなり、生産数量目標(735万トン)の達成・深掘りは確実となった。需給のさらなる引き締まりが予想される。

(2面・総合)

〈表:17年産水稲作況指数(10月15日現在)〉

10月末に台風21、22号 相次ぐ襲来で作物や施設に被害(5面・NOSAI)【2017年11月2週号】

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 台風21、22号と台風の接近・上陸が相次ぎ、畑作物や果樹、園芸施設など農業関連分野にも大きな被害が出ている。気象庁によると10月下旬に立て続けに台風が接近・上陸したのは、観測を開始した1951年以降初めてだという。台風21号は観測史上3番目に遅い上陸となるなど、予期できない気象の変化が起こっている可能性もある。台風21号の続報と、22号の被害状況、被災地域のNOSAIの対応などを取材した。 

(5面・NOSAI)

〈写真上:ソバの損害評価を行うNOSAI関係者(福井県鯖江市、10月26日撮影)〉
〈写真下:強風によって落果したリンゴ(宮城県内、10月30日撮影) 〉

イネ科作物「エリアンサス」 乾燥させ高い燃焼効率(9面・営農技術)【2017年11月2週号】

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 栃木県さくら市内で、草丈約4メートルの巨大なイネ科作物「エリアンサス」が栽培されている。乾燥させると燃焼効率が高く、国産燃料の確保に期待が集まる資源作物。破砕・造粒するとペレット燃料として温水器や暖房などに利用できる。灌水(かんすい)や病害虫防除などの手間が少なく、耕作放棄地の有効活用にもつながる。農研機構は民間と共同で、既存の飼料用収穫機で刈り取り、小規模の加工設備で燃料化できる生産体系を構築。燃料を輸入の鉱物に頼らず地元で安定確保する「エネルギー自給型農村」の実現に一歩近づいた。

(9面・営農技術)

〈写真:定植3年目のエリアンサス。野口さんの身長を超え、草丈4メートルまで育つ〉

遊休農地解消の管理体制を整備【山口県・11月2週号】

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 【山口支局】2003年に設立された阿武町福賀地区の農事組合法人「福の里(7集落137人、111.6ヘクタール)」では、06年から農地の再生に取り組み、現在、同地区の遊休農地はほぼゼロに等しい管理体制を確立している。福の里の市河憲良代表(69)は「車を運転中に、国道沿いの草が伸び放題だった遊休農地を見て、なんとか解消したいと思ったのがきっかけでした」と話す。

〈写真:「遊休農地だったころとは、まったく変わりました」と説明する市河代表〉

空き家をリフォーム 新規就農者の活動拠点に【岩手県・11月2週号】

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 【岩手支局】地域に新規就農者を呼び込もうと、花巻市の地域おこし協力隊として活動する鈴木寛太(かんた)さん(26)が、ブドウ栽培に携わる人が宿泊できる施設造りを企画した。施設は「かんたはうす」と名付けられ、栽培を体験する学生の活動拠点として活用されている。同市大迫町はブドウ栽培が盛んだが、高齢化や後継者不足による生産者の減少が課題だ。鈴木さんは「生産者を増やすには市外から就農希望者を受け入れる環境が必要」と、同町内の空き家をトライアルステイ(お試し居住)として整備した。

〈写真:名前の由来は「地域のみなさんが『語呂が良くて覚えやすい』と言っていたから」と鈴木さん〉

全共に出場 口蹄疫からの復興、農高生もアピール【宮崎県・11月2週号】

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 【宮崎支局】宮崎県立高鍋農業高校(萩原浩二校長)は9月に開催された第11回全国和牛能力共進会(全共)宮城大会の復興特別出品区「高校の部」に出場し、口蹄疫からの復興の歩みや日ごろの活動成果などを写真を使って紹介した。審査の結果、体型審査で1位、総合成績でも2位に当たる優秀賞1席を獲得。全共の舞台を肌で感じた高校生たちは、未来の担い手としての思いを新たにした。

〈写真:体型や立ち姿を美しく見せるための調教に取り組む畜産科学科の生徒〉

復興ボランティアが農家に 「マコモダケを特産にしたい」【宮城県・11月2週号】

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 【宮城支局】東日本大震災の復興ボランティアに参加したことをきっかけに山元町に移り住んだ内藤靖人さん(32)は、新規就農者としてマコモダケ栽培に取り組んでいる。「自分に続く農業者が出てくるようにマコモダケを町の特産品として定着させ、町を活気づけたい」と意気込む。

〈写真:鎌を使い一つ一つ手作業で収穫していく内藤さん〉

自然災害で収入減少 収入保険制度は「心強い」【高知県・11月2週号】

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 【高知支局】「ショウガは今まで無保険の状態。昨年の台風で根茎腐敗病が発症して収入が350万円減少した」と話すのは、四万十町若井川の井上健一さん(57)。2003年、脱サラ後に就農し、現在は露地ショウガ72アール、ハウス栽培のニラ28アール、主食用米1.8ヘクタール、飼料用米20アールを栽培している。収入保険制度について「大きな災害に遭ったときには、収益がなく生活に支障が出るので、新たに設けられるつなぎ融資を使いやすくしてほしいね。これからは、年齢的に自分が病気などで作業が行えなくなる可能性がある。それによって防除ができず収入が減少することがあるので、その点は心強い保険だと思う」と話している。

〈写真:ショウガ畑で過去の被害を振り返る井上さん〉

防風林「地域連携の強化が命を救う最後の砦【2017年11月2週号】」

 ▼北陸地方のある小さな町で、男子中学生が自ら命を絶ったとの報道があった。同世代の子を持つ親は胸を痛めたに違いない。副担任教諭による執拗な叱責(しっせき)や担任の罵声などを気に病んだのが原因という。同僚教諭や校長なども認識しながらも制止や指導を怠っていた。
 ▼弱者への叱責や罵声を浴びせる行為は、わが身に火の粉が降りかかることを恐れる多数の日和見者を生み、少年の心の逃げ道をふさぐ。再発を防ぐには教諭免許の前に、適性や品性を見極める制度が必要かもしれない。
 ▼想定外の事件や災害が多発する中、「学校が最も安全」と親は思うがもはや考えを改めるべきか。だが、生徒同士の喧嘩(けんか)に駆けつけ仲裁し、校内での生徒のケガや発病には親に連絡し病院へ連れて行き、登下校時には街角に立って見守るような現職の教員はたくさんいる。だからこそ畏敬の念を込め先生と呼ぶ。
 ▼『坊ちゃん』(夏目漱石著)に登場する嫌味な赤シャツもなぜか愛嬌(あいきょう)があり、生徒たちが輪をかけ陽気で教師に負けてはいないのだ。内田百の随筆を映画化した『まあだだよ』(黒澤明監督)は、卒業後も教え子を見守り、教え子は老いゆく師を慕う、優しき人々の姿を描いた。
 ▼小さな町で途切れた一つの命。住民の多くが学校の卒業生に違いない。異変に地域社会が察知し抑止できなかった失態に思いをめぐらす必要があろう。地域活性化をどんなに叫んでも一つの命を救えねば意味はない。そんなところに住民連携のほころびが見えてくる。

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