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今週のヘッドライン: 2018年05月 3週号

山地放牧で低コスト畜産 日本短角種×黒毛和牛=ブランド牛(1面)【2018年5月3週号】

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 「この急な斜面を軽快に動き回る足腰の強さは、日本短角種ならでは」――。京都府京丹後市網野町で繁殖牛90頭・育成牛約120頭を飼育する、農事組合法人日本海牧場(山﨑高雄代表=55歳、5人)は、自己所有の山地約8ヘクタールに日本短角種の母牛45頭を放牧、黒毛和牛の種を付け産子を約28カ月齢まで肥育し、京都市内の焼き肉レストランに全頭・年間約30頭出荷する。肉質安定のために餌の設計を見直し、輸入飼料の給与量を抑えながら飼料設計の工夫などを行い生産費を低減。ハラール認証を取得したことで、府内を訪れるインバウンド(訪日外国人)需要に対応する。日本短角種の自家生産にも取り組み始め、増産に向けて動き出している。

(1面)

〈写真:「柵は区画を分けるためだけのもの。事故でもない限り確実に牛舎に戻る」と山﨑代表。牛が丈夫になり管理の手がかからず、山の環境維持にもなるなど山地放牧のメリットは大きい〉

営農型太陽光発電の導入促進へ 転用期間を延長(2面・総合)【2018年5月3週号】

 農林水産省は15日、適切に営農を継続しながら発電事業を行う「営農型太陽光発電」の導入に対する新たな促進策を発表した。営農型太陽光発電設備(以下、営農型発電設備)の設置にかかる農地の一時転用期間を現行の3年以内から10年以内に延長するほか、(1)優良事例の普及(2)相談窓口の設置(3)資金調達の円滑化――などを進める。営農型発電は、農作物の販売収入に加え、売電収入も得られることから、担い手の所得向上や荒廃農地の解消などにつながると期待されている。一方、適切な営農の継続実施が必須で、周辺の営農・景観への配慮なども欠かせない。促進策を中心に現状や課題などを話し合った。

(2面・総合)

コンクリ張り施設「農地」に 改正経営基盤強化法が成立(2面・総合)【2018年5月3週号】

 底地を全面コンクリート張りにした農業用ハウス等を「農地」扱いとする措置などを盛り込んだ農業経営基盤強化促進法等の改正法が11日、参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。農外利用を防ぐ観点から、施設の設置を計画する農家は、農業委員会への事前届け出を要件とする。農業委員会は当該施設内の利用状況を確認して、農作物が栽培されていない場合は勧告できる旨も規定した。

(2面・総合)

農研機構がサイト公開 地域農業情報2025年まで確認可(2面・総合)【2018年5月3週号】

 農研機構・中央農業研究センターは16日、「2025年の地域農業の姿が把握できる地域農業情報」を専用サイトで公開した。誰でも閲覧可能で、都道府県・市町村を選択すると、25年までの農業就業人口や農地面積、担い手経営体数などが図表で確認できる。

(2面・総合)

記事内紹の「2025年の地域農業の姿が把握できる地域農業情報」サイト
 https://fmrp.dc.affrc.go.jp/publish/ruralvision/ruralinfo/(外部サイト)

健強に育て通年供給 奈良県認証ブランド「大和まな」など葉物野菜(8面・流通)【2018年5月3週号】

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 奈良県が認定した特産農作物を指す「大和野菜」の一つ「大和まな」やコマツナなどを約4ヘクタール(ハウス30棟・計1ヘクタール、露地3ヘクタール)で通年栽培する、奈良県大和高田市松塚のUEDAなっぱ工房(上田喜章代表・60歳、正職員13人、パート3人)では、アブラナ科を中心とする葉物野菜を約15の出荷先に通年供給している。園芸用ハウスでは年間通じて温度調整をしないことで、露地物のように強健に育てる。収穫後は速やかに保冷し鮮度を維持。食味と棚持ちの良さが取引先から評価されている。

(8面・流通)

〈写真:大和まなの出来を確認する上田さん 注文書は取引先ごとにクリップボードにまとめ、事務所の壁にかけて保管している〉

トマト、キュウリ収量が3倍に 小規模経営でも環境制御が身近に(9面・営農技術)【2018年5月3週号】

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 東京都農林総合研究センターは、都市近郊や中山間地域などでの小規模な施設園芸にも対応する環境制御システムを開発した。経営規模5アール程度の果菜類栽培を想定し、トマトやキュウリでは、一般的なハウス利用の土耕栽培に比べ約3倍の収量を確保。安価に施工できる高軒高のパイプハウスや自作可能な養液栽培装置、他産業の機材も組み合わせた環境制御盤など、多数の新技術を組み合わせて周年栽培を実現する。本年度は実用化に向け、企業や地元農家と連携して実証を進める計画だ。

(9面・営農技術)

〈写真:ハウスは骨材を太くして本数を削減した〉

ハウス内を最適に管理 成果上げる環境制御技術【高知県 5月3週号】

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 【高知支局】高知県全域で取り組まれている「環境制御技術」は、県を挙げての普及推進によって機器導入面積が年々増加。設置農家からは「収量や所得が向上した」という声が広がっている。高知県内の各農業振興センターでは、今後さらに技術を普及させ、産地の強化を目指すという。

〈写真:炭酸ガス用ダクトの前で笑顔の植野さん〉

青枯病対策に有効 ミニトマト「トロ箱養液栽培システム」【広島県 5月3週号】

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 【広島支局】「トロ箱養液栽培システム」を活用して、ミニトマト「アンジェレ」をハウス2棟で栽培する世羅町京丸の平山豊さん(69)。発泡スチロール製のトロ箱を1箱ずつ隔離して養液栽培するため、青枯病対策に効果を上げている。

〈写真:トロ箱養液栽培システムで順調に生育するミニトマトを見る平山さん〉

2016年台風10号から水田復旧 3年ぶり収穫に意気込み【岩手県 5月3週号】

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 【岩手支局】2016年8月の台風10号で、水田と農機具に甚大な被害を受けた岩泉町小本中里地区の武田健さん(59)。水田の整備が完了し、2年ぶりの水稲作付けに向けて作業が進んでいる。今年は水田7ヘクタールに「あきたこまち」と「どんぴしゃり」の作付けを予定。3年ぶりの収穫を目指し、「多くのみなさんの協力があって復旧できた。たくさんの米を収穫して、米で恩返しをしたい」と意気込んでいる。

〈写真:「みなさんの協力のおかげで復旧できました」と武田さん〉

無投薬・ハーブ飼料給与 ビタミン豊富で脂質半分の豚肉【群馬県 5月3週号】

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 【群馬支局】高崎市上滝町にある有限会社江原養豚(江原正治代表=64歳、従業員3人)は、母豚150頭の一貫経営。1997年に農林水産祭で内閣総理大臣賞を受賞している。経営の特徴は抗生物質や合成抗菌剤、駆虫剤を出荷まで一切使わず、ハーブ飼料で育てていること。一般豚と比べビタミンB1とEが2倍、脂質は半分で、生産情報公表JASの認定を受けている。

〈写真:「購入者がおいしく食べて‟幸福"を感じられる豚肉作りに今後も取り組んでいきたい」と話す江原代表(中央)と江原養豚の従業員〉

風評被害乗り越え好評の卵と加工品【福島県 5月3週号】

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 【福島支局】白河市の「たまご工房石井(有限会社石井養鶏場、石井信一社長=56歳)」では、同市農産物ブランド認証を受けた「碧空(あおぞら)たまご」を生産する。7年ほど前からは加工品の開発にも着手。市内外で販売され好評だ。震災後の風評被害で大きな打撃を受けたが、「お客さまから支援や応援の電話をいただき、頑張ろうと思いました」と振り返る。

〈写真:碧空たまごと加工品を手に石井社長と妻のまさ子さん〉

防風林「育成者の権利保護と農業者の採種を考えよう【2018年5月3週号】」

 ▼野菜などの収穫時に形質のいい株を残し、次作用に採種する慣習が農家の古い作業暦(ごよみ)にはあったはず。農家の手で何百年、何十年と継承してきたからこそ在来種は今に命をつなげる。
 ▼現在は、市場出荷を前提に商品性のある購入種子を作付ける農家が多い一方で、採種経験のない農家も珍しくなくなった。購入種子は企業や民間の育種者が種苗法にもとづき品種登録した作物。自家採種する農家の権利は尊重すべきだが、育成者の権利保護も大切だ。
 ▼主要農作物種子法廃止の弊害や平昌冬季五輪で国内品種系統の韓国産イチゴが大手を振るっている件にもつながる。稲や大豆などはもとより野菜や果樹の優良品種が育成者の許諾もなく自家増殖され国外などへの流出を許せば、日本農産物の輸出拡大にも影響しよう。
 ▼種苗法は、登録品種を自家増殖する場合に育成者許諾が必要な植物を指定していて現在は約350。育成者権の存続期間は野菜が25年で果樹などは30年。存続期間が過ぎたものや登録が消滅した品種については採種できるようになる。
 ▼市販種子は近年、固定種から再現性のない一代雑種(F1)に移行し、それが採種しない農家が増えた要因か。新品種登場で種苗店の倉庫に眠り育成者権が切れた種子は多い。そんな作物を播種してみると有用形質を再発見するかも。種子を循環させれば命は永遠に続く。その使命は農家にある。

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