ヘッドライン一覧 購読申込&お問い合わせ 農業共済新聞とは? 情報提供&ご意見・ご感想 コラム防風林

今週のヘッドライン: 2018年08月 2週号

地域「水田営農」守る 転作麦・大豆に特化し受託 ―― 滋賀県甲賀市・共同ファーム(1面)【2018年8月2週号】

180809_1-1.jpg

 新たな米政策への転換により、各産地の判断による需要に応じた生産が求められる中、転作の麦・大豆による収益確保や労力配分などが課題となっている。滋賀県甲賀市水口町で水稲70ヘクタールなどを栽培する「有限会社るシオールファーム」は、地域内の他の経営体と連携して、麦・大豆作に特化した法人「有限会社共同ファーム」を運営し、作業受託を含め小麦120ヘクタール、大豆250ヘクタールを担う。大型農機の導入などで効率的な生産体系を確立することで、低コスト化と高収量を実現、収益を各経営体や地権者へ還元している。

(1面)

〈写真:共同ファームの農機具庫。「高性能で、大規模でも効率的に作業できる」と示す福永副社長〉

米の2019年6月末在庫減少見込みも 需給動向に注視を(2面・総合)【2018年8月2週号】

 農林水産省は7月27日、食料・農業・農村政策審議会食糧部会を開き、2019年6月末民間在庫量は18年同期に比べ6万トン減の184万トンになるとの見通しを示した。実現すれば、3年連続で米価安定の目安とされる200万トンを下回る。ただ、見通しは価格上昇などで米消費の減退が加速する中、需要量を過去のトレンドに基づき算定したため、微増に転じるとしており、流通・実需者からは疑問の声も上がる。また、18年産米の生産量も政府が示した適正生産量の735万トンになると仮定しているが、今後の作柄などで大きく変動する可能性がある。米の需給と価格の安定に向け、政府には、よりきめ細かな需給動向の分析と正確な情報の提供が求められる。

(2面・総合)

生乳需給、猛暑でひっ迫続く 北海道は牧草不作も(2面・総合)【2018年8月2週号】

 Jミルクは7月27日、2018年度の生乳・牛乳乳製品の需給見通しを更新し、全国の生乳生産量は5月時点と同じ前年度比0.3%減の726万6千トンと予測。今夏の猛暑で生乳生産量の減少が懸念される一方、飲料向け需要は堅調なことから需給はひっ迫基調が続くと指摘した。Jミルクでは、暑熱対策など「生乳生産の新たな減少要因を抑制する取り組みが重要」と強調する。

(2面・総合)

長く楽しく働ける場に 年齢・性別問わず全員が主役 ―― 広島県竹原市・まる政農園(3面・暮らし)【2018年8月2週号】

180808_2.jpg

 「塩害だの獣害だの、いろいろあるけど楽しまなきゃ!」。広島県竹原市でアスパラガス(60アール)など野菜類を約2ヘクタールで栽培する「まる政農園」代表の赤坂佳折〈かおり〉さん(47)は、スタッフに元気を供給するムードメーカーだ。園地は全て借地で営農。農地整備や作付けなどを中心になって担う須賀政次〈まさじ〉さん(52)と共に、スタッフが長く、楽しく働き続けられる農業を目指している。荒れた畑や未整備な畑などを独力で環境整備する。

(3面・暮らし)

〈写真:「さっさと終わらせて、お昼に行くよ!」とネギの調製作業をする赤坂さん(右)〉

収入保険の加入申請事前手続きスタート タブレットで最適な補償を提案(5面・農業保険)【2018年8月2週号】

180808_3.jpg

 NOSAI全国連(全国農業共済組合連合会)は、8月から収入保険の加入申請事前手続きを全国で実施している。収入保険は原則、類似制度との選択制となり同時加入ができないことから、加入手続きなどを委託された全国の農業共済組合等では、タブレット端末機材(携帯型通信端末)を使って掛金などのシミュレーションを農業者に確認してもらいながら、加入説明を行っている。NOSAI宮城(宮城県農業共済組合)の加入推進に同行し、収入保険について説明を受けた角田〈かくだ〉市と丸森町の農家2人に話を聞いた。

(5面・農業保険)

〈写真上:説明を受け、「農家もより経営感覚を持っていかなければならない」と面川さん(右)〉
〈写真下:タブレットで試算された掛金から加入について考える渡辺さん(右)〉

湿度制御でナスすすかび病害防除 ヒートポンプ空調機の除湿機能に着目 ―― 高知県農業技術センター(9面・営農技術)【2018年8月2週号】

180808_4.jpg

 高知県の農業技術センター(南国市)はこのほど、ナスの促成栽培で薬剤に頼らずに、ヒートポンプ空調機を使ってすすかび病を抑制する技術を株式会社四国総合研究所と共同で開発した。ヒートポンプの暖房と除湿の機能を併用し、ハウス内の相対湿度を最大12%低減させて病気の発生を抑制する。天敵農薬による防除が普及する同県安芸市では、化学的手法を減らして病害の発生を抑制する同技術の実証試験に取り組み、収量向上など二次的な成果も上がっている。

(9面・営農技術)

〈写真:ヒートポンプ空調機でハウス内を除湿。小型ハウスのフィルムを閉め、シャッターと換気扇を稼働させる〉

耐雪型鳥獣害防護柵を設置 イノシシ害ゼロに期待【富山県 8月2週号】

180808_5.jpg

 【富山支局】「イノシシ被害はゼロになると期待している」と話すのは、農作物を獣害から守るため耐雪型鳥獣害防護柵を設置した福田勲さん(62)。立山町芦見地区の区長で水稲を中心に10ヘクタール栽培する。防護柵は全長1.8キロにも及び、集落を取り囲むように設置された。柵は地面を這うように20センチ程度伸ばしてアンカーを打ち、イノシシが地面を掘って下から侵入するのを防いでいる。また、道路に沿って侵入されるのを防ぐために扉型の防護柵も設置。サルなどが登って上から柵を乗り越えないよう、電気柵も付設した。

〈写真:防護柵と電気柵を周囲に設置した水田で福田さん〉

暑さ対策徹底した牛舎を新築【熊本県 8月2週号】

180808_6.jpg

 【熊本支局】錦町木上で酪農を営む尾方美季子(おがた・みきこ)さん(29)は、祖父の代から始めた尾方牧場の3代目で、就農7年目。今年4月には美季子さんが中心となって設計した畜舎が完成した。「設計は、特に暑さ対策にこだわりました。屋根の高さや断熱材、換気扇の数や位置など、設計士と考え、精いっぱいのことをやりました」

〈写真:「事故を防ぐため、今まで以上に牛舎にいる時間を大切にしたい」と話す美季子さん〉

リンゴの魅力伝えるDVD制作 小学校で出前授業【岩手県 8月2週号】

180808_7.jpg

 【岩手支局】JAいわて花巻果樹部会の若手リンゴ生産者グループ「THE RINGO STAR(ザ・リンゴ・スター)」では、地元産リンゴのPRや、会員の栽培技術向上に取り組んでいる。「地元においしいリンゴがあること、それを作る農家がいることを知ってほしい」と宇津宮邦昭会長(42)。1年間のリンゴ栽培作業を収録したDVDを制作し、食育活動として市内の小学校で出前授業を実施した。「子どもたちは真剣に話を聞いてくれる。リンゴ農家が魅力ある職業だと思ってもらえたらうれしい」

〈写真:THE RINGO STARのメンバー。右から2人目が宇津宮会長〉

安全・安心の茶栽培 新商品開発、輸出も【三重県 8月2週号】

180808_8.jpg

 【三重支局】津市芸濃町の竹尾英之さん(41)は、茶畑約4.2ヘクタールで農薬や化学肥料を使わずに栽培。害虫は天敵昆虫で駆除し、雑草は手作業で取り除く。茶の市場価格が低迷する中、顧客からの要望を取り入れた新商品の開発に取り組み、ティーバッグなど少人数の家庭でも使いやすい少量販売を始めた。また、半発酵茶の製造を三重大学と共同開発し、「有機茶パウダー」など売れる商品作りに力を入れる。

〈写真:「今の自分があるのは父の背中を追い掛けてきたから」と竹尾さん〉

夏ねぎにも挑戦 ブランド支える【鳥取県 8月2週号】

180808_9.jpg

 【鳥取支局】鳥取県の白ねぎは西日本でも有数の産地。中でも県西部の弓ヶ浜半島一帯は、ブランド産地として確立されている。春・夏・秋冬と、リレー形式で一年を通して出荷するのが特徴だ。「夏ねぎは、品質を保持するために収穫した翌朝には出荷するなど管理は大変です。でも、一年を通して白ねぎだけに集中して取り組むことで、結果的に効率も上がり経営がしやすい」と話すのは村田彰さん(36)。米子市の畑で、管理の難しさから敬遠する生産者もいる夏ねぎを年間150アール栽培し、2万1千ケース出荷している。

〈写真:妻の奈保子さんと仲良く作業する村田さん〉

防風林「農兵節が残す農家の身分制からの脱却【2018年8月2週号】」

 ▼♪富士の白雪やのーえ とけて流れてのーえ とけてさいさい♪――静岡県三島・伊豆地方を起源とする民謡で今も伝わる「のーえ節」。正式名称が、「農兵節」であることを知る人は少ないのでは。
 ▼戦国時代、農民は戦のたびに一兵卒として駆り出された。江戸期に入ると、士農工商の身分制のもと「兵農分離」を原則とし、武士階級以外は特別な例を除き苗字・帯刀は許されず、鉄砲を担ぎ共に隊列を組むことはあり得ないことだった。
 ▼同地方にある"韮山反射炉"は、世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の一つ。設置を推進したのは、砲術家で韮山代官の江川太郎左衛門。黒船来航に国難を憂い大砲製造と沿岸警備を重くみて、農民層から兵を募ることを幕府に願い出たのが農兵の起源とされる。許可が下り編成したのは太郎左衛門の孫世代に入った1890年。農兵節のもとは進軍歌だったよう。
 ▼『幕末の農兵』(樋口雄彦著)に詳しい。庶民も加わった軍隊としては高杉晋作の奇兵隊は有名。だが幕末期には静岡の農兵以外にも諸藩で組織化の例もあった。戦闘のプロたるべき御家人衆などは役人化し兵として無(気)力、「地に落ちていた」と樋口氏はみる。
 ▼商家や庄屋が金銭で苗字・帯刀を手に入れることができた「忖度(そんたく)社会」。農兵が参戦した例は少ないが、矛盾に満ちた幕藩・封建体制の終えんにおいて、抑圧を受けてきた農民層が自ら名乗りを上げた事実は、農兵節に記録としてわずかに留(とど)めている。

» ヘッドラインバックナンバー 月別一覧へ戻る